盤泉荘（旧松井家住宅）

愛媛県大洲市にある大正時代に建てられた近代和風建築の別荘で、読み方は「ばんせんそう」。フィリピンで日本人移民向けの百貨店を経営し、貿易商として成功した兄弟・松井傳三郎氏と國五郎氏によって建設されました。
木造3階建の盤泉荘は、肱川沿いの景観を見渡す高台に位置します。斜面を飾る石積みは、現地周辺で切り出した石をＸ状に積み上げた独特のデザインが特徴です。前庭と中庭は急斜面を生かした回遊式庭園で、景石として有名な「伊予の青石」がふんだんに使われています。
前庭に置かれたライオン像は、約300年前に大洲で作られ数十年で途絶えたという柳瀬焼（やなせやき）を大正時代に復興させた新柳瀬焼。ほかにも当時の日本建築としては珍しいバルコニーや、随所に東南アジアから輸入された南洋材を使用している点など、国際色豊かな見どころが満載です。
主屋と石垣はそれぞれ大洲市の指定有形文化財に認定されています。日本の建築様式を採用していながらも、貿易業らしくどこか西洋の風を感じられる独特の雰囲気を堪能しましょう。駐車場は盤泉荘より徒歩5分の「大洲まちの駅あさもや」利用がおすすめです。
（写真：［一社］キタ・マネジメント）
（公開日：2024/9/9　最終更新日：2024/9/9）