日向灘に面した絶壁に位置する「鵜戸神宮(うどじんぐう)」。色鮮やかな朱塗りの本殿が、洞窟の中にあるという珍しい神社です。岬のまわりには奇岩や怪礁が連なり太平洋の荒波が打ち寄せる美しい景勝地となっています。
鵜戸神宮は有名なパワースポットの一つとしても知られ、縁結びや安産の利益がある神社として親しまれてきました。鵜戸神宮の名物のひとつが、運試しができる言われる「運玉投げ」。見事成功すると願いが叶うといわれています。
この記事では運玉投げはもちろん、見どころやアクセス情報、周辺の観光スポットなども紹介します。
※この記事に掲載の情報は2023年2月時点のものです。諸事情により変更となる場合があるため、お出かけの際はご自身で最新の情報をご確認ください
鵜戸神宮はどんな神社?
鵜戸神宮本殿
宮崎県南部の日南市に位置する「鵜戸神宮(うどじんぐう)」。地元では「鵜戸さん」の名で親しまれています。国の名勝「鵜戸」として登録されている絶壁に沿うように参道や門が整備されており、鵜戸神宮の本殿は、自然洞窟の中にあります。
民話「浦島太郎」のもとになった神話「海幸山幸(うみさちやまさち)」の舞台であり、皇室の祖先を祀る神社です。
鵜戸神宮の参道(下り宮)
鵜戸神宮の本殿へ参拝するには、崖に沿って作られた石段を下りる必要があります。これは「下り宮」と呼ばれ、群馬県・一之宮貫前神社、熊本県・草部吉見神社とともに日本三大下り宮に数えられています。
日本の神社の多くは山への信仰と密接につながりがあることから「上って参拝する」構造が多いため、鵜戸神宮のような「下って参拝する」形は非常に珍しいものです。
鵜戸神宮のご祭神
鵜戸神宮のご祭神は、初代天皇・神武天皇の父である「日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)」。
〝山幸彦(やまさちひこ)〟こと、彦火火出見尊(ひこでほほのみこと)が龍宮を訪れた際、海の女神である豊玉姫命(とよたまひめのみこと)と深い契りを結び、生まれたのが日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊です。
豊玉姫命のお産のときに用いられた産屋の跡が、鵜戸神宮の本殿がある洞窟であると伝えられています。
鵜戸神宮のご利益
鵜戸神宮 お乳岩
鵜戸神宮のご利益は、「縁結び」「安産」「育児」「海上安全」。
鵜戸神宮は、彦火火出見尊と豊玉姫命が結ばれ、ご祭神である日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊が生まれた伝説が残る場所。その伝説にちなんだご利益があります。
また、豊玉姫が育児のために両乳房をくっつけたと伝えられている「おちちいわ」は、安産や健やかな子供の成長を願う人々のパワースポットとして有名。おちちいわから滴り落ちる水で作った「おちちあめ」は一粒お湯に溶かして飲むと、お乳の出がよくなるといわれています。
名物は「運玉投げ」
運玉投げの「霊石亀石」
鵜戸神宮の名物ともいえるのが「運玉投げ」。本殿前の広場から海岸を見下ろすと、12メートル先に約8メートルほどの亀のような形をした岩があり、その岩のくぼみに、願いを込めて「運玉」を投げるというものです。
男性は左手、女性は右手で投げ、岩の背中にあたればよし、くぼみの中に入ればなおよし、とされています。
ちなみにこの岩は「霊石亀石(れいせきかめいし)」と呼ばれ、豊玉姫が乗ってきたと伝えられています。運玉の初穂料は5個で200円です。
鵜戸神宮の運玉
ウサギと縁が深い?
鵜戸神宮と縁の深いうさぎ
鵜戸神宮では、参道などでウサギの像を見かけることがあります。なぜウサギなのかといえば、鵜戸神宮では神の使いがウサギとされているから。
神の使いがウサギなのは、ご祭神の名前と関係があるという説も。日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)の「う」が「卯」に転じたという説です。
本殿のある洞窟の奥には、撫でると病気平癒や開運飛翔などの願いが叶うとされる「撫でうさぎ」の像があり、パワースポットとして多くの人が訪れます。
参道で出迎えるうさぎ
(ちなみに)鵜戸神宮と各地の鵜戸神社
宮崎県内には「鵜戸神宮」のほかに「鵜戸神社」がいくつかあります。同じような名前ですが、別の場所にある神社なので、それぞれに参拝の際は間違えないようご注意ください。
●鵜戸神社(宮崎県高鍋町)
鵜戸神宮と同じく「鵜草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)」をご祭神とする神社です。
参考:鵜戸神社(うどじんじゃ)|宮崎県神道青年会
●鵜戸神社(宮崎県日向市日知屋)
「日向お伊勢さま」として親しまれている大御神社(おおみじんじゃ)の境内にも「鵜戸神社」があります。昇り龍のシルエットが浮かぶ洞窟で有名です。
参考:龍神の霊(玉)・昇り龍|大御神社
●鵜戸神社(宮崎県日向市)
こちらもやはり「彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)」をご祭神をしている神社です。漢字は少し異なりますが、鵜戸神宮と同じ神です。
参考:鵜戸神社|神社探訪・狛犬見聞録
鵜戸神宮の授与品
鵜戸神宮の御朱印
美しい景色とうさぎが印象的な御朱印(写真提供 Instagram:maki_miyagi様)
鵜戸神宮の書き置きの御朱印は、絶壁に立つ本殿と青い海とのコラボレーションが印象的なデザイン。実際の景色と御朱印の景色を見比べて、同じ場所から写真を撮ってみるのもおすすめです。
鵜戸神宮のお守り
神使のうさぎが描かれたお守り(写真提供 Instagram:maki_miyagi様)
神使がうさぎである鵜戸神宮ならではのお守りがたくさん取り揃えられています。安産守りや運気上昇守り、なでうさぎ守り、学業・健康守りなど、あらゆるお守りに可愛らしいうさぎのモチーフが入っています。
そのほか、子授け守り・家内安全守り・無病息災守り・病気平癒守り・元気回復守りなども授かることができます。
鵜戸神宮の絵馬
うさぎの形をした珍しい絵馬(写真提供 Instagram:maki_miyagi様)
鵜戸神宮の絵馬も、神使であるウサギのモチーフ。願い事を書くだけでなく、うさぎの似顔絵を書く人も多いそう。鵜戸神宮の神使であるうさぎに、願いを込めてお祈りしてみてはいかがでしょう。
鵜戸神宮の歴史
創祀された年代は不明
鵜戸神宮が創建されたのは、第十代天皇・崇神天皇(すじんてんのう)の時代だと伝えられています。
奈良時代〜平安時代の頃には、天台宗の僧・光喜坊快久が桓武天皇の勅命により、神殿を再興し、寺院を建立します。そして「鵜戸山大権現吾平山仁王護国寺(うどさんだいごんげんあびらさんにんのうごこくじ)」の勅号を賜りました。
その後宗派の変遷を経て、一時は「西の高野」とも呼ばれる霊地として栄えました。
そして明治維新とともに権現号・寺院を廃して鵜戸神社となり、後に「神宮」に昇格となります。
鵜戸神宮へのアクセス
最寄バス停・IC
●最寄りバス停:宮崎交通[鵜戸神宮バス停]
●最寄りIC:宮崎自動車道[田野IC]
電車とバスで行く
JR日南線[伊比井駅]または[油津駅]で下車。路線バスで約20分、[鵜戸神宮バス停]で下車し、徒歩約10分
●[伊比井駅]から[鵜戸神宮バス停]行きの路線バス
宮崎交通の[日南行・飫肥行・都井岬行]
●[油津駅]から[鵜戸神宮バス停]行きの路線バス
宮崎交通の[宮崎駅・空港駅行]
※乗車バス停名は[油津待合所]
バスの時刻は九州のバス時刻表で検索できます。
車で行く
宮崎自動車道[田野IC]から、国道220号経由で約45分
駐車場
鵜戸神宮参拝の際は以下の駐車場が使えます。
●鵜戸神宮 参拝者第一駐車場
●鵜戸神宮 参拝者第二駐車場
●鵜戸神宮観光駐車場
鵜戸神宮の基本情報
●住所:宮崎県日南市大字宮浦3232番地
●時間:6:00開門〜18:00閉門
●公式サイト:鵜戸神宮 公式サイト
鵜戸神宮周辺のおすすめ宮崎ランチ
とんかつ大晃
地元の豚肉を使用したジューシーな「とんかつ大晃」(写真提供 Instagram:kaaaaana.kmtuuuu様)
宮崎県日南市に位置する「とんかつ大晃」。地元で生産された肉汁たっぷりで新鮮なピンク色の豚肉と、本場である鹿児島県産の黒豚を使用し、とっても柔らかくジューシーなお肉を堪能することができます。
いいお肉を最高の状態で提供するため、調理にもこだわりが詰まっている大晃のとんかつ。最初に高温の油で肉汁を閉じ込めたあと、低温でじっくり中まで火を通します。また大晃のソースは全て手作り。とんかつソースは3日間手間暇かけてじっくり煮込み、味噌だれは名古屋の角久味噌から直接仕入れた味噌を蜂蜜とりんごで仕上げています。
定番の「大晃ロース膳」から、中にチーズが挟んである「やわらかチーズかつ膳」、とんかつ屋さんでは珍しい「チキン南蛮」など幅広いメニューがあるのも魅力的。
とんかつ大晃 基本情報
住所:宮崎県日南市上平野町1-4-1
営業時間:
【ランチ】11:00~14:30(LO14:00)
【ディナー】16:30~21:00(20:00)
定休日:月曜日
アクセス:JR日南駅より徒歩約4分
公式サイト:とんかつ大晃 公式サイト
にこにこショップ
日南市の行列店「にこにこショップ」(写真提供 Instagram:umi.rakuda 様)
宮崎県日南市の海沿いに位置する「にこにこショップ」。お昼時には大行列ができる、日南市で人気の軽食店です。にこにこショップの看板商品は、なんといっても天むす!この天むす目当てに全国各地から多くの人が足を運びます。簡単に食べられる商品が豊富に取り揃えられているため、美味しさだけでなく気軽さも人気の理由の一つです。
にこにこショップ 基本情報
住所:宮崎県日南市風田3850-10
営業時間:9:00~18:00
定休日:無休
アクセス:JR日南駅より車で約11分
公式サイト:観光にちなんの旅 公式サイト
鵜戸神宮の周辺観光スポット
サンメッセ日南
世界で唯一完全復興したモアイ像がある「サンメッセ日南」
宮崎県日南海岸の小高い丘の上に位置する「サンメッセ日南」。世界で唯一完全復興したイースター島のモアイ像を見ることができます。「なぜ宮崎県にモアイ像があるの?」と不思議に思う方もいるかもしれません。部族間の争いや昭和35年のチリ大地震によってモアイ像は倒壊。それを修復したのが日本の技術者たちだったのです。
約3年かけて修復した15体のモアイ像は、「ラパヌイ国立公園」としてユネスコ世界遺産に登録。イースター島の人々は日本の修復チームの要望に応え、世界で初めてモアイ像を日本で復刻することを認めました。
サンメッセ日南では青い海を背に立ち並ぶ7体のモアイ像によって、異国の情緒を感じることができます。また右から2番目のモアイ像を触ると金運が、左から3番目を触ると恋愛運が上昇するのだとか。世界の七不思議とされているモアイ像をぜひ自分の目で焼き付けてください!
サンメッセ日南 基本情報
住所:宮崎県日南市大字宮浦2650
営業時間:9:30~17:00
休館日:水曜日
料金:大人1,000円/中・高生700円/4歳以上500円
アクセス:
①宮崎駅前バスセンターより日南行きバスで約1時間20分
バス停「サンメッセ日南」下車
②宮崎ICより車で約40分
③宮崎空港より車で約40分
④宮崎駅より車で約50分
公式サイト:サンメッセ日南 公式サイト
【関連記事】
【モアイ像】なぜ宮崎県のサンメッセ日南にあるの?
青島神社
島の中央に鎮座する「青島神社」
宮崎県宮崎市の青島に位置する「青島神社」。島全体が境内といわれており、弥生橋を渡って島の中央に鎮座する神社を参拝します。青島神社は神話「海幸彦・山幸彦」の舞台であり、山幸彦と豊玉姫が結ばれた地とされていることから縁結びにご利益があることで有名です。
願いが解けないように結ぶ「産霊紙縒」
願い事によって色が違う紙縒(こより)を願いが解けないように結びきる「産霊紙縒(むすびこより)」や、土器の皿を投げ入れて磐境に入ると願いが叶い、割れると開運厄除になる「天の平瓮投げ(あめのひらかなげ)」ができるのも魅力的。ほかにも境内にある隠れハートを探すこともでき、恋愛成就を願う方におすすめのスポットです。
青島神社 基本情報
住所:宮崎県宮崎市青島2-13-1
参拝時間:6:00~日没
アクセス:JR日南線青島駅より徒歩約10分
公式サイト:青島神社 公式サイト
飫肥城(飫肥城下町)
地元の名産で再建された「飫肥城」
宮崎県日南市に位置する「飫肥城(おびじょう)」。藤原氏南家の子孫で800年続いた由緒ある家柄の伊東家が、1587年豊臣秀吉に城を賜って以来、明治4年の廃藩に至るまでに伊東家14代の城主がこの地を本拠としました。地元の名産・飫肥杉(おびすぎ)で再建された大手門や平城松尾の丸、苔むした壮大な石垣など見どころ満載です。
また飫肥城歴史資料館には、武具や古文書など飫肥藩ゆかりの歴史資料およそ220点を展示。飫肥城下町を散策し、江戸時代の風情を存分に味わってみてはいかがですか。
飫肥城 基本情報
住所:宮崎県日南市飫肥大手
営業時間:9:30~16:30
休館日:12月29日~31日
料金:大人300円/大学生・高校生200円/中学生・小学生100円
アクセス:
①JR飫肥駅から徒歩で約10分
②宮崎自動車道田野ICから車で約50分
公式サイト:観光にちなんの旅 公式サイト
おわりに
鵜戸神宮は非常に縁起が良く、全国各地から多くの参拝者が訪れるパワースポット。日向灘の絶景や、日本では珍しい洞窟内の本殿、数々の名物など魅力が満載の神社です。
名物の運玉投げで運試しをしてみたら、宮崎県の美味しいグルメや人気の観光スポットで素敵な旅をお過ごしください。