【七夕】歴史や由来は？日本三大七夕祭りの見どころを解説

七夕の歴史や由来は？

日本の七夕の短冊

日本で7月7日に行われる行事といえば「七夕」。願いを込めた短冊を笹に飾り、織姫と彦星が再会する星空に思いを馳せるなんて方も多いのではないでしょうか。

七夕は江戸時代に季節の節目を意味する「五節句」の一つに定められ、古くから伝わる日本の夏の風物詩。しかし、七夕の伝説や歴史はいつから始まったのでしょうか。

一年に一度、七夕だけ会える織姫と彦星

天の川

七夕といえば、織姫と彦星の物語。二人が一年に一度会うことができるのが、7月7日の七夕というのは広く知られています。七夕の起源には諸説ありますが、すでに紀元前600年ごろの中国最古の詩集「詩経」で、「牛郎織女（ぎゅうろうしゅくじょ）」のお話が語り伝えられていました。

天から万物を支配する神「天帝」の衣を縫っていた「織女（しょくじょ）」。天帝はいつも一人でいる織女に、働き者で牛飼いの「牽牛（けんぎゅう）」を婿として迎え入れました。しかし夫婦になってから仕事をおろそかにした織女に天帝は激怒し、二人を天の川を隔てて引き離したのです。

年に一度会うことを許された織姫と彦星

悲しみに暮れている二人を見かねた天帝は、年に一度、7月7日の夜だけは会うことを許しました。それ以来、この日が訪れるとカササギが羽を広げて天の川に橋を架けたと伝えられています。

中国では、「織姫のように手先が器用になりたい」という女性の願いと重なり、「乞巧奠（きっこうでん）」という裁縫や手芸、書道などの上達を祈る祭りが生まれました。これらが奈良時代に日本に伝わり、現在の七夕の原型になったといわれています。

二人の物語は、天の川の両岸に位置する一等星「こと座のベガ（織姫）」と「わし座のアルタイル（彦星）」に例えられ、二つの星と「はくちょう座のデネブ」を結んだのが「夏の大三角形」です。

「七夕」はなぜ「たなばた」と読むの？

「棚機津女」が由来という一説

日本では中国の「星祭り」伝説とは別に、「棚機津女（たなばたつめ）」の伝説が。祖先の霊あるいは神様の「神聖な衣を織る乙女」を棚機津女と呼び、織姫と彦星の話と合わさって「七夕」が「たなばた」と読まれるようになったといわれています。

他にも日本の農村には苗代へ種を蒔くタナバタ祭りがあり、これが七夕の由来になったという説も。「タナ」は種子のことを、「バタ」は端を意味し、水田の端にある取水口から水を田へ入れる重要な農事であり、「タナバタ」は大切にされてきました。

このように、中国の伝説や日本の風習が複数合わさったものが七夕行事であるといえます。

七夕飾りに込められた意味は？

七夕の飾りに込められた意味とは？

子どもの頃、学校やお家で七夕の飾りを作ったことはありませんか？願い事を書いた短冊を飾るのと同様に、七夕ではいくつかの定番の七夕飾りがあります。そして、それら全てには意味が込められているのです。

千羽鶴

長寿祈願として飾られる「千羽鶴」

平和の象徴やお見舞いなどを目的に飾られることが多い「千羽鶴」。七夕では鶴が長寿を象徴していることから、長生きできるようにという願いが込められています。

吹き流し

裁縫の上達を願って飾られる「吹き流し」

紙風船やくす玉に五色のテープを貼り付けた「吹き流し」。織姫に供えた五色の織り糸を表しており、裁縫の上達を願って飾られるようになりました。

網飾り

魚網を表す「網飾り」

魚を捕獲する魚網（ぎょもう）を表す「網飾り」。形は網のように格子になっていて、大漁や食べるものに困らないようにといった願いを込めて飾られます。

財布・巾着

折り紙を財布や巾着の形に折る七夕飾り。金運アップや無駄遣い防止などお金に関する願いを込めて飾られます。折り紙だけでなく、本物の財布を飾ることもあるようです。

神衣・紙衣（かみこ）

紙で作った人形や着物の形をした飾り「神衣・紙衣」

神衣・紙衣は紙で作った人形、もしくは着物を飾ったもの。裁縫の上達や、着るものに困らないようにという願いが込められます。人形に災いや穢れの身代わりになってもらうという意味も。

くずかご

「くずかご」は、七夕飾りを作るときに出た紙くずを折り紙で折ったかごに入れて吊るす七夕飾り。整理整頓や倹約の心を育むという意味があります。

輪つなぎ

天の川をイメージした七夕飾り「輪つなぎ」

星が連なる天の川をイメージした「輪つなぎ」。「つながる」という言葉から連想されるように、人とのつながりや夢が続きますようにという願いが込められています。

ちょうちん

お祭りで飾られることの多い「ちょうちん」。七夕では周囲を明るく照らすことから「魔除け」の意味があるとされています。他には、ちょうちんで照らすことで神様が読みやすくなるようにという意味も込められているそうです。

星飾り

願い事が叶うようにお願いする「星飾り」

「願いが天高く届くように」という意味が込められた「星飾り」。願い事が叶うようにとお願いするための七夕飾りです。

七夕の短冊に願い事をしよう！

七夕で有名な機物神社の七夕の短冊

日本の七夕の風習として、短冊に願い事を書くというものがあります。笹の木に吊るされたカラフルな短冊は、日本の七夕文化を象徴する光景です。

この短冊に願い事が書かれるようになったのは江戸時代。当時は書道など技芸の上達を願うものが多かったといわれています。

また、短冊に使われる紙の色は、赤・青・黄・白・黒の五色。これは中国古代の学説「五行説」という、自然は木・火・土・金・水の五つの元素の循環に従って変化するという説に基づいたものです。

短冊の色に込められた意味

赤は火、青は木、黄は土、白は金、黒は水を指します。ただし、黒に関しては負のイメージが強いこともあり、紫が代わりに使われる場合が多いです。

五行説は、人間が真面目に生きて行く意味の「五徳（仁・礼・信・義・智）」もあてはめられています。徳に合った願い事、また風水的な色に合わせて願い事を書くと願いが叶いやすくなるのだとか。

短冊の色にはどのような意味が込められているのか、チェックしていきましょう。

赤の短冊

赤の短冊は、親や先祖への感謝を表すという意味。両親や親族に関する願い事に向いているとされています。風水的には「決断の色」。何かを選択する時や大きな分岐点に立っている時は、思い切って赤の短冊に願いを込めてみてはいかがでしょう。

青の短冊

青の短冊は人間力を高め、徳を積むという意味。自分自身の成長を願うものがおすすめです。風水的には安心や信頼といった意味があります。

黄の短冊

黄の短冊は、人を信じ大切に思う気持ちを意味します。人間関係の願い事を書きたい人は、黄の短冊がおすすめ。風水的には金運アップに適し、商売繁盛などの願い事もいいでしょう。

白の短冊

白の短冊は、義務を守る心を意味します。自分の決め事を短冊に書くのがいいでしょう。風水的には、人間関係の改善やリラックスの効果があります。

黒（紫）の短冊

黒の短冊は、学業の向上を願う気持ちを表します。合格祈願や資格取得などの願い事は黒がぴったり。風水的には強い力を発揮する色とされているので、書いた願い事に強いパワーが宿ることでしょう。

七夕の食べ物とは？

意外と知られていない七夕の行事食についてご紹介します。

七夕の行事食は「そうめん」

意外と知られていない七夕の行事食

五節句の一つである七夕。1月7日の人日の節句で七草粥、3月3日の上巳の節句（桃の節句）ではちらし寿司、5月5日の端午の節句では柏餅やちまきを食べるなどそれぞれの節句で行事食があります。

七夕の行事食は「そうめん」。その由来とされているのは、古代中国のある伝説です。

7月7日、皇帝の子どもが病によって亡くなりました。その後、亡くなった子どもが霊となって街全体に熱病を流行らせます。蔓延した疫病を収めるため、子どもが好きだった「索餅（さくべい）」を供えることに。すると見事に収めることができ、平和な街を取り戻すことができました。

中国から伝えられた七夕のお菓子「索餅」

なぜこの伝説が七夕にそうめんを食べる由来なのでしょうか。実は索餅は縄のように編んだ小麦のお菓子のことで、同じく小麦から作られるそうめんが日本で食べられるようになったのではないかといわれているのです。そこから、7月7日にそうめんを食べると1年間無病息災で過ごせると伝えられるようになりました。

また、そうめんは織姫が使う織り糸に似てることが由来という説も。裁縫の上達を願ってそうめんが食べられていたのかもしれません。

梅雨が明け、夏バテも多くなる七夕の季節。そうめんは食欲がなくなってしまう時でも食べやすく、おすすめです。今年の七夕は1年間の健康を祈りながら、そうめんを食べてみてはいかがでしょうか。

日本三大七夕祭りとは？

七夕の時期になると、日本各地で開催される七夕まつり。地域によっては旧暦の7月7日、現在の8月のお盆前後に開催する場所もあります。

宮城県の仙台市の「仙台七夕まつり」、神奈川県平塚市の「湘南ひらつか七夕まつり」、愛知県安城市の「安城七夕まつり」は日本三大七夕祭りとして全国的にも有名。この記事では日本三大七夕祭りの見どころをご紹介します。

日本三大七夕祭り①「仙台七夕まつり」

仙台七夕まつりの七夕飾り

宮城県仙台市で、毎年8月6日から8日に開催される「仙台七夕まつり」。江戸時代から続く伝統行事で、日本一の七夕とも称されています。

“七夕”まつりなのに8月に開催するのは、もともと旧暦7月7日の行事として全国各地に広まっていたため、季節感を合わせるよう新暦の1か月遅れの中暦を用いているからです。

見どころは、街を埋め尽くす約3,000本の七夕飾り。人気キャラクターが描かれているなど手の込んだものばかりで、 一つ一つの作品から目が離せません。また、仙台七夕まつりには古くから「七つの道具」と呼ばれる重要な飾りがあり、裁縫の上達や長生きなどの願いが込められています。これらの飾りを探し出すのも、仙台七夕まつりの楽しみの一つです。

【仙台七夕まつり 基本情報】
開催期間：2023年8月6日(日)~8日(火)
公式サイト：仙台七夕まつり

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仙台七夕まつりの歴史と見どころを知りたい人はこちら↓
【仙台七夕まつり】の歴史や由来は？七夕飾りが彩る3日間の見どころ解説

日本三大七夕祭り②「湘南ひらつか七夕まつり」

湘南ひらつか七夕まつりの七夕飾り

毎年7月上旬に神奈川県平塚市で開催される「湘南ひらつか七夕まつり」。平塚市は1945年の大空襲で焼け野原になり、七夕まつりは戦後商業復興策として始められました。初めは約10万人だった来場者が、現在では約300万人にのぼるなど多くの人に愛されているお祭りです。

流行や話題を取り入れた豪華絢爛な七夕飾りが特徴的。メイン会場の「湘南スターモール商店街」は、人形や看板が装飾された大型の竹飾りで埋め尽くされます。

七夕まつりの期間中は街全体が七夕一色となり、個性豊かな行事でまつりをより一層盛り上げます。七夕飾りのコンクールやパレード、地元グルメが味わえる屋台など、見どころ盛りだくさんの湘南ひらつか七夕まつりから目が離せません！

【湘南ひらつか七夕まつり 基本情報】
開催期間：2023年7月7日(金)~9(日)
公式サイト：湘南ひらつか七夕まつり

日本三大七夕祭り③「一宮七夕まつり」

「おりもの感謝祭」として開催される「一宮七夕まつり」

愛知県一宮市で開催される「一宮七夕まつり」。繊維の神様に感謝し、更なる繊維産業の振興と一宮の発展を願って昭和31年に始まりました。毎年100万人以上の人々が訪れる、一宮市の夏の最大イベントとして親しまれています。

一宮市民の守り神は、古くから織物の神様として知られていました。そこで「おりもの感謝祭」として、織物と縁の深い牽牛・織女にちなんで開催されたのがきっかけ。7月の最終日曜日をフィナーレとし、木曜日からの4日間、全市をあげて盛り上げます。

【一宮七夕まつり 基本情報】
開催期間：2023年7月27日(木)~7月30日(日)
公式サイト：一宮七夕まつり

全国の七夕祭りを紹介

全国の七夕祭り①「安城七夕まつり」

安城七夕まつりの多くの七夕飾り

愛知県安城市にて、毎年8月の第一金・土・日の3日間で開催される「安城七夕まつり」。世界記録に認定された「願いごと短冊」やキャンドルに願い事を巻きつける「願いごとキャンドル」など、願い事に関するイベントが日本一充実しているお祭りです。

日本全国でここだけという「七夕神社」は、商売繁盛や開運、縁結びなどにご利益があるとされています。

【安城七夕まつり 基本情報】
開催期間：2023年8月4日(金)~6日(日)
公式サイト：安城七夕まつり

全国の七夕祭り②「能代七夕 天空の不夜城」

巨大な鯱を乗せた七夕灯籠が練り歩く「能代七夕 天空の不夜城」

秋田県能代市で開催される「能代七夕 天空の不夜城」。太鼓や笛、巨大な鯱（しゃち）を頭に乗せた城郭型の七夕灯籠を引き回す伝統的な七夕行事です。

能代の七夕を彩るのは、中世能代を治めた檜山城主、安東愛季にちなんだ高さ日本一の「愛季-ちかすえ-」（24.1m）と、名古屋城を模した城郭灯籠を初めて作った大工宮腰嘉六にちなんだ「嘉六-かろく-」（17.6ｍ）の二基。天にまで届きそうな城郭七夕灯籠が街を練り歩く姿は正に圧巻です。

【能代七夕 天空の不夜城 基本情報】
開催期間：2023年8月2日(水)~8月3日(木)
公式サイト：能代七夕 天空の不夜城

七夕をもっと楽しむ夏にしよう！

織姫と彦星が年に一度会うことができる7月7日。そんなロマンチックな七夕の歴史や由来、飾りに込められた意味や七夕の食べ物についてご紹介しました。

短冊や七夕飾りに込められた意味を知ることで、よりいっそう願い事も叶うのではないでしょうか。家族や友人、大切な人と一緒に星に願いを込め、素敵な日をお過ごしください。