醤油の歴史
醤油の三大名産地
まとめ

日本を代表する歴史ある調味料、「醤油(しょうゆ)」。寿司につけて食べるのはもちろん、煮物やすき焼きなどにも使用される、日本人には欠かせない調味料です。

今回は醤油の歴史と、日本の三大名産地である千葉県、兵庫県、香川県小豆島の醤油について、特徴をまとめます。普段の食事で欠かせない醤油の魅力を改めて感じてみてはいかがでしょうか。

醤油の歴史

寿司と醤油

寿司と醤油

歴史ある醤油の原型は、紀元前700年頃の中国の古文書「周礼(しゅうらい)」に記されている「醤(ひしお)」であるといわれています。

醤とは当時の貯蔵食品の総称で、原料別に草醤(くさびしお)、肉醤(ししびしお)、穀醤(こくびしお)の3種類に分かれていました。草醤は漬物、肉醤は塩辛類、そして穀醤が現在の醤油や味噌の原型であったとされています。

奈良時代

大豆と味噌

大豆と味噌

奈良時代には、多くの中国文化が日本に伝えられ、漬物や味噌を始めとする様々な発酵食品が日本で作られるようになりました。

それに伴い「醤」が急速に発展して種類も増え、原料に大豆、米、麦などが使用されるようになります。ただ、奈良時代の庶民の調味料は「塩」であり、醤は上流階級の贅沢な食品だったと推定されています。

平安時代

調味料5種類

調味料

平安時代には醤の技術が進み、形状が固形から液状へと変化しました。

食事をする際には4種類の調味料「塩・酒・酢・醤」が食前に置かれ、好みの味付けで食べていました。この調味料は「四種器(よぐさもの)」と呼ばれ、貴重なものだったといわれています。

鎌倉時代

鎌倉時代には日本の農業の発展と共に、西日本を中心に行われていた大豆が国内で広く栽培されるようになりました。

また、「溜(たまり)」という調味料が使われるようになります。醤の一つである味噌を造る過程において、味噌桶の底に溜まった液体が溜として利用されました。この溜こそが醤油の原型です。

室町時代

室町時代の中頃には、ほぼ現在の醤油に近いものが造られるようになりました。「醤油」という文字が誕生したのもこの頃で、初めて文献に登場するのは1597年に刊行された日常用語辞典の『易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)』だとされています。

室町時代の末から醤油の醸造が盛んになり、当時の文化の中心地であった関西から工業化が始まりました。

江戸時代

ざるそば

ざるそば

江戸時代には醤油の工業生産が始まり、醤油の原料に大麦ではなく小麦が使用されるようになりました。こうして今日の「濃口醤油」が量産され、広まっていきました。

江戸時代に根付いた醤油文化から、天ぷら、そば、蒲焼きなど、醤油を使った外食産業が流行し、味も江戸の人々の好みに合わせた濃口醤油ができあがり、関東地方で普及しました。

明治時代

明治時代、海外との交流が始まると、ソースやケチャップなどの西洋風の調味料が伝わり、日本国内でも生産されるようになります。

しかし、醤油は庶民の生活必需品として定着し、第一次世界大戦後に訪れた好景気で、生産量も飛躍的に拡大しました。近代的な大量生産の体制に移行し、一般家庭への普及も急速に進みました。

昭和時代

昭和には戦後の原料不足により、醤油は国民の消費生活を統制するための「統制物資」となって、配給の規制を受けるようになりました。

しかし、その後著しい技術革新が行われ、醤油の製造方法が人力から機械化へと一新しました。

現在

現在では均質で優れた醤油が大量に生産され、日本国内はもちろん、アメリカ、中国、オーストラリアなど、世界各国に輸出されています。日本が長い年月をかけて生み出した醤油は、世界の調味料としてその名を広めています。

以上が醤油の辿ってきた歴史です。日本に伝わってから様々な歴史や変遷を経て、今の醤油ができあがっていることがわかります。

醤油の三大名産地

日本全国で作られている醤油ですが、代表的な産地は、千葉県、兵庫県、香川県の小豆島になります。それぞれの産地で生産される醤油の特徴について紹介します。

醤油の産地 千葉県

醤油蔵醤油蔵

日本を代表する醤油メーカーである「キッコーマン」や「ヤマサ醤油」の本社がある千葉県は、日本全体の3分の1の量を生産して醤油の名産地です。

その歴史は江戸時代にまでさかのぼり、なかでも銚子と野田が醤油の産地として有名な町です。銚子と野田は、どちらも江戸川と利根川の水運を利用しており、原料の入手から消費地である江戸への運搬までとても便利だったため、醤油の産地として発展していきました。

千葉で作られる醤油の多くは濃口醤油となっており、濃口醤油は日本の醤油の消費量の約8割を占めます。

醤油の産地 兵庫県

いろいろな濃さの醤油

様々な濃さの醤油

淡口(うすくち)醤油の一大産地である兵庫県。主な生産地は、兵庫県西部に広がる播州(はりま)平野の西に位置した「龍野(たつの)市」です。

全国の生産量の約15%を占め、1位の千葉と合わせると日本の醤油の半分はこの2県で生産されていることがわかります。

兵庫県では主に色が淡く、料理の色や味わいを活かす「淡口醤油」が造られています。もともとは一般的な濃口醤油を造っていたのですが、現在の龍野市で江戸時代から淡口醤油が造られるようになりました。

播磨平野の豊かな小麦、山間部に産した質のよい大豆、赤穂の塩、そして清らかで鉄分の少ない川の水が淡口醤油作りに適していたそうです。

現在では、国内の5大メーカーの一つの「ヒガシマル醤油株式会社」が龍野市に設立されています。

醤油の産地 香川県・小豆島

醤油の木桶

木桶

木桶の保有数トップである香川県の小豆島。現在では、木桶仕込みの醤油は全体の流通量の1%を下回っていますが、江戸時代までは発酵調味料はすべて木桶で醸造されていました。

海に囲まれた小豆島ではもともと製塩業が盛んでしたが、瀬戸内の各地で塩が生産過剰となってしまったため、その塩を原料として活かせる醤油造りが始まります。

小豆島の温暖な気候は醤油作りに欠かせない麹の発酵に適していることに加え、海を渡ると天下の台所大阪がある、北九州から大豆や小麦の原料も容易に運送できる、といった条件が重なり、醤油造りの産地として発展していきました。

現在では、日本を代表する醤油の5大メーカーの一つ「マルキン忠勇株式会社」が設立されています。

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絶景

醤油名産地での工場見学もおすすめ

いかがでしたか。普段何気なく食べている醤油ですが、その歴史の深さや産地、種類について知ってみると、奥が深くて面白いですよね。今回紹介した三大名産地には、醤油の工場見学をできる場所もあるので、ぜひ実際に醤油が作られているところを見に行ってみてください。

醤油の産地と歴史に注目して、醤油を楽しく美味しくいただいてみてはいかがでしょうか。