宿場町の基本情報
五街道の一つ「中山道」
1.奈良井宿(長野県)
2.妻籠宿(長野県)
3.馬籠宿(岐阜県)
4.醒井宿(滋賀県)
5.草津宿(滋賀県)
その他

江戸時代、街道に設けられた宿場を中心に栄えた「宿場町」。それから200年近く経った今でも、その街並みを残す宿場町は数多くあります。

今回は、江戸時代に整備された五街道の一つ「中山道」の宿場町を5ヶ所紹介。古き街並みを散策するだけでなく、郷土料理や伝統工芸品など、様々な楽しみ方がありますよ。

宿場町とは

電車や車など様々な乗り物が発達した現在とは違い、徒歩や馬が移動手段だった江戸時代。当時、参勤交代という自分の領地と江戸を1年おきに往来しなければならない制度があり、日本各地から徒歩や馬で移動していました。

その際の休憩場所として、街道沿いには一定区間ごとに「宿場」が設けられ、その宿場を中心に様々なお店が集まることで形成されたのが宿場町です。


街道一覧

江戸と日本各地を結ぶ街道のうち、東海道・中山道・甲州街道・奥州街道・日光街道の5本の主要な街道は「五街道」と称され、その五街道だけでも、宿場の数は200を超えます。

また、宿場町には防塞施設としての役割もあり、敵の侵入を防ぐために道を直角にする「枡形」という道を設けていました。

五街道の一つ・中山道

江戸時代に整備された五街道の一つ「中山道(なかせんどう)」は、江戸の日本橋と京都の三条大橋を結ぶ街道です。

江戸と京都以外には、現在の埼玉県・群馬県・長野県・岐阜県・滋賀県を通り、長野県南西部の木曽地域も通っていたことから「木曽路」とも呼ばれています。約540㎞ある中山道には69ヶ所の宿場が設けられ、五街道の中では最も多い宿場の数です。

中山道のおすすめ宿場町

時代とともに宿場町は役目を終え、数も減少傾向をたどっていますが、今でも江戸時代の街並みを残す宿場町はいくつかあります。江戸時代の休憩所としての役割から、昔の街並みを現在に伝える場所として、多くの観光客で賑わっています。

1.中山道 奈良井宿(長野県)


中山道 奈良井宿の街並み

長野県塩尻市に位置する中山道の「奈良井宿」。奈良井川に沿って約1㎞広がる宿場町は日本最長を誇り、多くの旅人で栄えていたことから「奈良井千軒」とも呼ばれていました。江戸時代の建物がほぼ完全な状態で残されており、1978年には国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。


上問屋資料館の外観

奈良井宿を楽しむためにまず訪れたいのが、国の重要文化財に指定されている「上問屋(かみといや)資料館」です。館内には、古文書や陶器、日常生活に使用されていた道具など、約400点が展示されています。


五平餅

奈良井宿の食べ歩きグルメとして人気なのが「五平餅」と「おやき」。五平餅とは、奈良井宿のある木曽地方を中心に伝わる郷土料理で、お米をすりつぶしたものを串焼きにし、タレをつけて食べます。

他の宿場町でも五平餅を味わうことはできますが、場所によってタレの味が異なるので、ぜひ食べ比べてみてください。奈良井宿の五平餅は、「喫茶たなかや」というお店がおすすめです。


奈良井発祥の郷土料理のおやき

そして、もう一つの人気グルメである「おやき」は奈良井発祥の郷土料理で、小麦粉を水で練ったものに、野沢菜などのお惣菜を包んで蒸し焼きにします。奈良井宿には、おやき専門店の「てずから」というお店があります。


奈良井宿のアイスキャンドルまつり

また、毎年2月3日の節分の日には「アイスキャンドルまつり」が開催されます。手作りのアイスキャンドルが約1kmに渡って続き、古き建物を照らす様子は幻想的です。

2.中山道 妻籠宿(長野県)


中山道の妻籠宿の街並み

碓氷峠を越えてきた旅人で大変賑わっていた軽井沢宿を越え、下諏訪宿を経ると妻御(つまご)宿です。

妻籠宿は長野県南木曽町に位置し、隣接する馬籠宿と並んで木曽路を代表する宿場町です。日本で最初に街並みの保存を試みた宿場町で、1976年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。


妻籠宿の南木曽町博物館

妻籠宿観光の中心となるのが「南木曽町博物館」。国の重要文化財に指定されている「脇本陣奥谷」と、間取り図をもとに再現した「妻籠宿本陣」、妻籠宿の歴史などの資料が展示されている「歴史資料館」の三つの施設で構成される博物館です。


妻籠宿の風物詩である斜光

中でも人気なのが脇本陣奥谷で、格子から太陽の光が差し込む光景を見ることができます。この光景は、9月から3月の晴れた日限定で見ることができ、妻籠宿の風物詩です。


木曽名物の栗きんとん

妻籠宿を観光する際に、ぜひ食べてほしいのが「栗きんとん」。木曽路の名物お菓子で、栗に砂糖を加えたものを炊き上げ、それを栗の形に茶巾で絞ったものです。妻籠宿にある「澤田屋」の栗きんとんが人気で、その場で味わう以外にお土産にも喜ばれますよ。

3.中山道 馬籠宿(岐阜県)


中山道の馬籠宿の街並み

岐阜県中津川市に位置する中山道「馬籠(まごめ)宿」。全国でも珍しい坂道にある宿場町で、石畳のなだらかな坂が続きます。山の尾根に位置する馬籠宿は水に恵まれておらず、1895年と1915年の二度の火災で江戸時代の街並みは焼失してしまったため、現在の街並みは再建されたものです。


藤村記念館の外観

この馬籠宿は、明治から昭和にかけて活躍した日本の文豪・島崎藤村の生まれ故郷。生家跡に建てられた「藤村記念館」には、島崎藤村に関連する資料、約6,000点が収蔵されています。

他にも、小説『夜明け前』に登場する「馬籠脇本陣史料館」や、小説『嵐』に関連する「清水屋資料館」など、島崎藤村にゆかりのあるスポットが数多く残されています。


馬籠宿のシンボルの水車

また、馬籠宿の入口付近には水車小屋があり、水車と石畳の階段、そして枡形の道が同時に見られる馬籠宿のシンボル的存在です。水車小屋では、小規模ながら水力発電も行われており、水車小屋のライトアップや室内照明などに使用されています。

4.中山道 醒井宿(滋賀県)


中山道にある醒井宿の街並み

「醒井(さめがい)宿」は中山道の61番目の宿場で、現在の滋賀県米原市に位置します。名水の郷として知られる醒井は、「琵琶湖とその水辺景観—祈りと暮らしの水遺産」として日本遺産にも登録されており、清流に沿って宿場町が広がっていました。


地蔵川に咲く梅花藻

そんな醒井宿で最も人気なのが、清流・地蔵川に咲く「梅花藻(ばいかも)」の風景。梅花藻とは、清流にしか育たないキンポウゲ科の植物で、梅の花に似た白くて小さな花を咲かせます。

醒井宿では清流の地蔵川に梅花藻が咲き、見頃は例年7月中旬から8月下旬です。また、例年7月下旬から8月上旬にかけては、水中ライトによるライトアップも行われ、幻想的な雰囲気の梅花藻を見ることができます。

また、梅花藻が咲く地蔵川の源流でもある「居醒(いさめ)の清水」は、古来から伝わる伝説が残されています。

日本の古代史において英雄と称される日本武尊(やまとたけるのみこと)が熱病に倒れた際、居醒の清水から湧き出る水で毒を洗い流したそうです。そして、この居醒の清水は「醒井」という地名の由来にもなりました。

湧き水が豊富な醒井では、様々なものに湧き水が使用されていて、中でも人気なのが醤油です。創業100年を超える「醤油屋喜代治商店」では、醤油や味噌を購入できるほか、バニラアイスクリームに醤油をかけた「醤油ソフトクリーム」を販売しており、醒井宿を訪れたら必ず食べたい味です。

5.中山道 草津宿(滋賀県)

滋賀県草津市に位置する「草津宿」。この宿場町は、東海道と中山道の分岐地点でもあったことから、交通の要衝として栄えていました。


草津宿本陣

そんな草津宿のシンボル「草津宿本陣」は、新選組の土方歳三や赤穂事件で知られる吉良上野介など、名だたる要人たちが泊まった場所で、本陣としては日本最大級です。

国の史跡にも指定されており、1996年に平成の大修理を終えて一般公開されるようになりました。内部にある座敷や湯殿などは江戸時代の姿のまま復元されているのも特徴で、当時の面影を間近で体感することができます。

また、草津宿で観光客に人気なのが、1999年に開館した「草津宿街道交流館」。江戸時代の街道や旅の歴史の紹介、江戸時代後期の草津宿の街並みを1/200の大きさで再現した模型が展示されています。

「旅の体験コーナー」では、当時の旅の服装に着替え、人を運ぶ際に使われていた駕籠(かご)と呼ばれる乗り物に実際に乗ってみることも。簡単な浮世絵摺りも体験でき、子供から大人まで楽しめる施設です。

中山道の宿場町に泊まって江戸の雰囲気を満喫

古き街並みを残す中山道の宿場町には、江戸時代の雰囲気を残した旅館や民宿などがあり、実際に宿泊することも可能です。これほど古い建物に泊まる機会はなかなかないので、貴重な体験ができますよ。