日食ってなに?
日食の種類
日食に関するあれこれ
まとめ

空に輝き、地球に光を届ける太陽。雲で隠れることはあっても、常に光を放ち続けます。そんな太陽が見えなくなるのが「日食」。非常に珍しい現象であり、日食が観測できるとなれば世界中で多くの人が注目します。

そんな注目度の高い日食ですが、一体どんな条件が揃うと観測できるのでしょうか。今回は日食が起こる仕組みや種類、次に観測できる日食について紹介します。

日食ってなに?

日食が起こる仕組み

日食が起こるのは月が太陽を隠すから

日食が起こるのは月が太陽を隠すから

日本のみならず世界でも注目度の高い日食。太陽が見えなくなる現象ですが、そもそも日食が起きるのは月の存在が影響しています。日食が起こるのは月が太陽を隠してしまうため。つまり日食とは、月が太陽を隠してしまう現象とも言えます。

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歴史

それではなぜ、月が太陽を隠して日食が起こるのでしょうか。その原因は月が地球の周りを公転していることにあります。地球が太陽の周りを公転する周期がおよそ1年であるのに対し、月が地球の周りを公転する周期は約27日。この地球と月の公転のタイミングが上手く合い、月が地球と太陽の間に入り込むことで日食が起こります。

日食が見られるのは、太陽、月、地球の順に一直線に並んだ時。地球の限られた場所が月の影になり、日食が観測されます。日食とは異なり、一直線上にならなくても起こるのが「新月」。月に反射した太陽の光が地球に届かないために、月が見えなくなります。

なぜ日食は珍しいのか

日食は子どもも注目する珍しい現象

日食は子どもも注目する珍しい現象

日食が観測されるとなると、世界でも多くの人が注目。その理由は日食の希少性にあります。地球と月の公転周期を考えると、1年に何度か日食を目にできそうなもの。しかし実際に日食が観測できるのは数年に1度、長ければ数十年に1度しか観測できません。なぜ日食はこんなにも珍しいのでしょうか。

日食が珍しい現象であるのは、地球と月の公転軌道が傾いているため。地球の公転軌道と月の公転軌道は約5度傾いているので、なかなか太陽、月、地球が一直線上に並びません。月の直径は地球の約4分の1しかないので、一直線上に並んだとしても日食が観測できるのは限られた場所のみ。だからこそ日食は珍しい現象であり、多くの人が日食に注目するのです。

ちなみに、日食と混同されがちな「月食」も太陽、月、地球の位置関係によって起こる現象。ただし、日食以上に月食の方が発生する頻度が少ないそうです。

日食の種類

一言で日食と言っても、実は日食には種類があります。日食の種類は全部で3種類。1つずつ紹介していきます。

皆既日食

皆既日食は特に珍しい現象

皆既日食は特に珍しい現象

日食の中でも、最も観測されにくい「皆既日食」。太陽全体が隠される現象で、日食が起きても皆既日食が観測できるのは非常に狭い範囲のみです。皆既日食でのみ確認できる現象が「コロナ」、「プロミネンス」、「ダイヤモンドリング」の3つ。

コロナとは、太陽を取り巻く希薄なガスを指します。普段は太陽の明るさによって観測できないコロナですが、実は満月と同じほどの明るさ。皆既日食が起こる際には、このコロナを見ることができます。

プロミネンスとは、太陽の彩層が磁力線に沿って太陽表面に持ち上がる現象。彩層とは、太陽表面のすぐ上にある不均一なガス層を指します。皆既日食の際に太陽の縁が鮮やかなピンクがかった赤色に見えたら、それがプロミネンス。太陽の縁が燃えていると感じられます。

ダイヤモンドリングとは、皆既日食が終わろうとする頃に観測できる現象。月が動き始めた時に太陽の光が漏れ、コロナの内側と一緒に輝くことで指輪のような姿が見えます。

金環日食

金環日食ではキレイなリングが観測できる

金環日食ではキレイなリングが観測できる

太陽がリング状に見える「金環日食」。太陽が月よりも大きく見えるため、太陽がはみ出したように見える日食です。皆既日食と同様に珍しい現象で、観測できる範囲も限定的。太陽はほんの一部見えるだけでも非常に眩しいので、金環日食ではそれほど空は暗くなりません。

実は、皆既日食と金環日食が起こる時の太陽、月、地球の並び方は同じ。違いは月と地球の距離です。月が地球の周りを回る公転軌道は楕円形なので、月と地球の距離は一定ではありません。月と地球が近い時は月が大きく見えるので皆既日食が起こり、月と地球が遠い時は月が小さく見えるので金環日食が起こります。

部分日食

部分日食は広い範囲で観測される

部分日食は広い範囲で観測される

太陽の一部が欠けて見える「部分日食」。他2つの日食に比べれば、観測されやすい日食です。皆既日食や金環日食と違い、部分日食が観測されるのは広い範囲。太陽、月、地球が完全には一直線上に並ばなくても部分日食は起こるため、より多くの場所で観測できます。

日食に関するあれこれ

過去に日本で見られた日食

2012年に日本で観測された金環日食

2012年に日本で観測された金環日食

21世紀に入ってから、日食は何度か日本でも観測されています。最後の日本で日食が観測されたのは2020年6月21日。日本全国で部分日食が観測されました。16時ごろに日食が始まり、17時ごろに欠け具合が最大に。18時ごろには日食が終わりました。

他には2009年にトカラ列島や奄美諸島などで皆既日食を観測。2012年には本州の太平洋沿岸部や九州南部など、広範囲で金環日食が観測され大きな話題となりました。広範囲で金環日食が観測されたのは、なんと実に932年ぶりだったそうです。

次に観測できる日食

次に日食が観察できるのはいつ?

次に日食が観察できるのはいつ?

非常に珍しい現象である日食ですが、次はいつどこで観測されるのでしょうか。日本で次に日食が観測できると言われているのは2030年。北海道のほぼ全域で金環日食が見えるそうです。同じ日本国内でも、日食が観測できるかどうかや太陽の欠け具合、日食が始まる時間は地域によってバラバラ。日食が観測できる際は見逃さないようにご注意ください。

ただし、日食を観察する際に肉眼で見るなど誤った方法で太陽を見ることは禁物。日食観察専用グラスを使うなど、正しい方法で日食を観察しましょう。また各地で見られる日食の一覧については、国立天文台の公式サイトをご覧ください。

日食にまつわる神話

天岩戸を祀る天岩戸神社の天安河原(あまのやすがわら)宮

天岩戸を祀る天岩戸神社の天安河原(あまのやすがわら)宮

実は日本には、日食に関する神話があると言われているのをご存知ですか?その神話が「岩戸(いわと)隠れ」。太陽の神「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」が弟である「須佐之男命(すさのをのみこと)」の悪事に怒り、「天岩戸(あまのいわと)」という洞窟に隠れます。すると世の中はたちまち真っ暗に。

のちに天照大御神が姿を表し世界は再び光を取り戻しましたが、この神話は日食のことを表していると言われています。科学的に説明される以前から神話として語られるほど、日食は神秘的な現象ということかもしれませんね。

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その他伝統・日本文化

日食は特別で珍しい現象

今回は、日食の仕組みや種類について紹介しました。非常に珍しい現象である日食。一定の条件を満たした時に限られた範囲でしか観測できないため、多くの人が注目します。仕組みを理解することで、その珍しさをより一層感じられるはず。日食が観測できる際には、ぜひお見逃しなく。