現代にも伝わり多くの書物でも取り上げられている「日本神話」。日本神話の神様の名前は聞いたことはあるけれど、内容はわからないという人も多いのではないでしょうか。
日本神話は何かと難しそうだからと敬遠されがちですが、実はとてもおもしろい話がたくさんあるのです。今回はそんな日本神話の代表的な逸話や神々の解説、登場する動物について紹介していきます。
日本神話ってなに?
そもそも日本神話とは一体何なのか。日本神話というのは、古事記や日本書紀を元にした日本の神様の話です。古事記や日本書紀は712年と720年に作られた書物。日本神話はかなり昔から現在まで浸透していることになります。
そして日本神話は現代の感覚で読むと、なかなか破天荒であったり行動が極端な神々がいたりと賑やかで面白い話ばかり。
日本神話の期間
日本神話は神武天皇の時代までの話
日本神話は昔から存在することはわかったものの、「いつからいつまでのことを記したものなのか」と思う人もいるかもしれません。
数多くある日本神話は、およそ世界の始まりと言われる「天地開闢(てんちかいびゃく)」から日本初の天皇「神武天皇」による日本国の建国までと言われています。
有名な神話
日本神話と呼ばれる中でも、有名ないくつかの神話を紹介します。きっと聞いたことがある名前や逸話があるはず。
天地開闢
天地開闢により天と地に分けられた
まずは日本書紀と古事記でも最初に語られている「天地開闢(てんちかいびゃく)」。簡単に言ってしまえばこの世界の始まりの話であり、天と地が分けられた。というものです。しかし、驚くべき点が一つ。なんと日本書紀と古事記では書かれている内容が違うのです。
話の内容が違うのは天地開闢だけではありません。この後に出てくる多くの日本神話で書かれている内容が違います。それじゃあ何を信用したらいいかわからない!という人も多いかと思いますが、ここが日本の不思議なところ。
他国であれば神話は統一されてることが多いですが、日本は好きなものを信じれば良いというスタンスで古事記と日本書紀で違った内容が書かれています。
古事記の天地開闢
黄泉の入り口と言われるものが山奥に残っている
古事記に記されている天地開闢はざっくり書くと、神様たちの自己紹介の場。天と地は既に存在している中で神が誕生したということを記しています。
天地開闢で何が起きたかというと、まずは「高天原(たかまがはら)」に相次いで、「三柱の神(みはしらのかみ)」が生まれたと記述されています。高天原というのは現在で言われる天国、つまり天界のこと。
そして古事記では人間の住む地上を「葦原中国(あしはらのなかつくに)」と言い、死後行く地底のことを「黄泉の国(よみのくに)」と表現しています。
そこで生まれた三柱の神というのは、天界を領する「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」、創造を司る「高御産巣日神(たかみむすひのかみ)」、出雲家系の神々の援助を行う祖神と言われた「神産巣日神(かみむすひのかみ)」のこと。この3人の神様は造化三神と呼ばれています。
高天原への階段
その後「宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)」と「天之常立神(あめのとこたちのかみ)」が生まれることに。
この神々が天地開闢の話以降に目立つことはないですが特別な神として、造化三神とこの2人の神は合わせて「別天津神(ことあまつかみ)」と呼ばれると記されています。ここまでの神には性別というものはない記述もされています。
またその後にさらに「神世七代(かみよななよ)」と言われる12人の神も誕生。ここで初めて性別のある神が誕生するのです。ここでイザナギ、イザナミという名前で知られている「伊邪那岐神(いざなぎのかみ)」や「伊邪那美神(いざなみのかみ)」が登場。
イザナギ・イザナミは夫婦であり、この名前を何かと聞いたことがある人も多いかもしれません。
日本書紀の天地開闢
気の重さによって分けられた天と地
日本書紀の天地開闢は古事記と違い、神の誕生についてはあまり記されていません。ここでは天と地がどのように分けられたかということが記されています。
古事記ではもともと天と地は既に存在すると考えられていましたが、日本書紀では造られたということに。混沌の世界の中、軽い気は上へ、重い気は下へ分かれた結果が天地になったとされています。
そして天地が分けられた後に、男性の神である造化三神が誕生。古事記では造化三神は性別のない神とされていましたが、日本書紀では最初から性別という概念が登場するのも古事記との大きな違いになっています。
その後にペアで生まれる神が登場しますが、そこで初めて女性の神が登場し、男女という性別がきちんと記されることになります。
国生み神話
矛で地上を混ぜるイザナギとイザナミ
天と地が分けられているとはいえ、まともな大陸がなかった頃。ある時、イザナギとイザナミは別天津神から「天沼矛(あめのぬぼこ)」という矛を渡され、大陸を作るように命じられます。
2神は「天浮橋(あめのうきはし)」に立ち、それぞれ地上を矛でかき混ぜます。その際に矛から滴り落ちたものが蓄積され「淤能碁呂島(おのごろじま)」が誕生。
そこに降り立った2神は初めて出会い、お互いに「なんて素敵な人なのだろう」と恋に落ちるのです。そこで夫婦になり最初に生み出したものが淡路島。そこから順に九州や四国、隠岐島などを生み出し、最後に本州も生みました。
そこで合計8つの島国が誕生したことで大八島国と呼ばれます。これが日本の国土の始まりにつながることに。すなわち今の日本を創り上げたのはイザナギとイザナミになるのです。
天の岩戸
天照大神が引きこもってたと言われる天岩戸
「天の岩戸(あまのいわと)」の逸話は名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これは「天照大神(あまてらすおおみかみ)」と「須佐之男命(すさのおのみこと)」が引き起こした事件です。
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高天原を統治する、アマテラスという非常に地位の高い女神がいました。アマテラスは太陽神と巫女の性格を併せ持つ女神。そんな女神にはスサノオという悪戯ばかりをする厄介な弟がいました。
その弟は他の神の神殿に糞を撒き散らし、乱暴なことばかりを起こすといった所業を繰り返しアマテラスの頭を抱えさせます。いつも何かとスサノオを庇ってきたアマテラス。しかしある時にスサノオがアマテラスを驚かせようと、機織り中のアマテラスの御殿に皮を剥いだ馬を投げ込みます。
天照大神がいたと言われる天岩戸神社
これには流石のアマテラスも大激怒。アマテラスは天の岩戸と言われる岩屋に引きこもってしまうのです。太陽神も併せ持つアマテラスが引きこもってしまったことで、太陽が消え高天原も葦原中国も闇となり大混乱。多くの禍が訪れてしまいます。
そんな状況を見かねた八百万の神(やおよろずのかみ)は「天安の河原(あめのやすのかわら)」に集い、どうしたらアマテラスが出てきてくれるか作戦会議を行います。そこで「思兼神(おもいかねのかみ)」がとある作戦を提案。
その作戦のために八百万の神が踊ったり太鼓を叩いたりして、賑やかな音を多く出していました。そこで自分が引きこもっていて太陽もないはずなのに「どうして外が賑やかなのだろう?」と興味をもったアマテラスが少しだけ顔を出します。
八咫鏡のモデルになった八咫烏
「なぜこんなに賑やかなの?」と問うアマテラスに「貴方より貴い神様がいらっしゃり喜んでいるのです。」と答える神々。そしてアマテラスが遣わせたと言われる3本足の「八咫烏(やたがらす)」をモデルにした「八咫鏡(やたのかがみ)」を見せます。
鏡に映った自身の姿を別の神だと思い、さらにその姿をよく見ようと覗き込んだアマテラスを他の神々が捕獲。アマテラスが天の岩戸から出てきたことで太陽が戻り、平和がまた戻ってきたと言われています。
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出雲神話
スサノオが八岐大蛇を討伐する様子
この出雲神話はスサノオが「八岐大蛇(やまたのおろち)」を討伐する有名な神話です。頭が8つもある大蛇と言われればピンとくる人も多いのではないでしょうか。
この神話では出雲が伝説の地です。天の岩戸の一件で、高天原を追放されたスサノオが出雲国を歩いている時のこと。とある悲しむ家族と出会います。その家族には美しい一人娘の「櫛名田比売(くしなだひめ)」がいました。
話を聞いてみると「越国(こしのくに)」から年に1度、頭と尾が8つある八岐大蛇がやってきて娘を食べてしまうとのこと。夫婦には本当は8人の娘がいましたが、食べられ続け最後の1人になってしまったのです。そんな話を聞いたスサノオは櫛名田比売と結婚することと引き換えに、八岐大蛇の討伐を約束。
八岐大蛇は大の酒好き
スサノオは家の周りに入り口を8つ用意し、それぞれに甕(かめ)いっぱいの強いお酒を入れて置きました。娘を食べようとやってきた八岐大蛇はそれぞれの入り口に向かうとお酒を発見。上機嫌で飲み干し酔っ払ってしまうのです。そこをスサノオがすかさず剣で斬りつけました。
最後に尻尾を切りつけた際に八岐大蛇の中から大刀が出てきて、その刀を天照大神に献上したスサノオ。その後は長らくその土地で櫛名田比売と共に暮らしたと言われています。
天照大神に献上した刀は「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」と名付けられ、現在の熱田神宮の神体に。
稲羽の白兎
白兎と大国主命の出会い
兎といえば白い兎を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。そんな誰しもが想像しやすい白兎にも逸話があるのです。
ある一羽の兎が淤岐嶋(おきのしま)から稲羽に行きたいと考えていました。しかし兎は海を渡れない。そこでその兎はある考えを思いついたのです。白兎は「兎の方が数が多いと思うのだけれど、どっちが多いか勝負しないか?ワニである君たちが何匹いるのか数えようじゃないか」とワニに言って、勝負を仕掛けることに。
稲羽の白兎はワニを騙し海を渡った
陳列してもらったワニの背中に飛び乗っていき、白兎はなんと淤岐嶋から稲羽まで渡ることができたのです。しかしここで白兎は「お前たちは利用されたんだよ。」と余計な一言。その言葉を聞いたワニたちは激怒し、白兎の皮を剥ぎ取ってしまいました。
自業自得な白兎ですが、ここで登場するのが「大国主命(おおくにぬしのみこと)」とその兄弟神。彼らは皮を剥ぎ取られた白兎に出会い、その訳を問いただします。白兎が訳を説明すると、兄弟神らは「海水に浸り風で乾かすと傷は癒える。」と伝えましたがこれは嘘。その通りにした白兎は痛みで苦しみます。
その様子を見かねた心優しい大国主命。彼は「川の真水で身体を洗い、ガマの穂で覆えば治る。」と助言し白兎の傷は癒え、毛が元通りになりました。
大国主命と地主神社
心遣いに感謝した白兎は、大国主命を「八上姫(やがみひめ)」の元へ連れていくことに。そして大国主命は八上姫と惹かれあい、結婚することになりました。
現在でもこの稲葉の白兎の逸話があり、大国主命が祀られている「地主神社」は縁結びの神社とも言われているのです。
国譲り
大国主命が移り住んだと言われる出雲大社
国譲りの逸話は古事記の中でも、他の逸話同士を結ぶ大事な役割を担う話になります。国譲りというのは今まで地上を治めていた大国主命がその権利を他に譲るという内容に。
高御産巣日神と天照大御神が八百万の神を集め、どの神を葦原中国に派遣しようか迷っていました。最初は天照大神は自分の息子に行かせようとしていましたが、息子はこれを放棄。代わりに「天菩比命(あめのほひ)」を派遣させ、大国主命の元に行かせようという話になります。
しかしその期待は外れ、天菩比命は大国主命の家来となり3年経っても高天原に戻ってきません。仕方が無いので次は「天若日子(あめのわかひこ)」に天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)と天之羽々矢(あめのははや)と言われる弓矢を持たせて行かせましたが彼も8年帰ってきませんでした。彼は大国主命の娘と結婚し、葦原中国を占領しようと企てていたのです。
天若日子をそそのかす天邪鬼
不審に思った天照大神達は、一体どうなっているのか調べるために「雉名鳴女(きぎしのななきめ)」を派遣。しかし雉名鳴女が天若日子の自宅の前で鳴いていると「この鳴き声は不吉なものだから殺しておしまい。」と「天佐具売(あめのさぐめ)」、別名天邪鬼(あまのじゃく)という名の鬼がそそのかします。
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天若日子は天邪鬼のささやきに耳を傾けてしまい、天照大神にもらった弓矢で雉名鳴女を射殺。その弓矢は身体を貫きなんと高天原まで届いてしまいます。その矢に驚いた天照大神は、天若日子が命令に背いていれば矢が刺さるようにと念を込め下界に投げ返しました。
するとその矢は次の朝に天若日子の胸に刺さり、彼は亡くなったのです。三度目の正直と言わんばかりに、天照大神は最後に孫である「瓊々杵尊(ににぎのみこと)」が葦原中国を治めるべきだと決断。「建御雷神(たけみかづちのかみ)」と「天鳥船神(あめのとりふねかみ)」を連れて下界へ行きました。
最初はあまり国を譲る気のなかった大国主命。息子たちが認めない限り、自分は国は譲らないと言い張る大国主命でしたが、「代わりに私が移り住む宮殿を作ってくれれば譲ろう。」と言い出します。最後にはついに大国主命の言う通り大きな宮殿を作り、移り住んでもらうことに成功。これが出雲大社の起源と言われています。
なんとも自分勝手なものや極端な神々が多い話ですね。
天孫降臨
天照大神から受け継いだ三種の神器
この天孫降臨という逸話は国譲りの日本神話と繋がりがあるもの。国譲りの話で葦原中国の統治権利を受け継いだ「瓊々杵尊(ににぎのみこと)」は天照大神からある物を貰い受けます。
それが三種の神器と言われる、八咫の鏡(やたのかがみ)・八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)・草薙剣(くさなぎのつるぎ)でした。
瓊々杵尊はこの三種の神器を持ち、瓊々杵尊の天下りを迎えにきたという「猿田彦神(さるたひこのかみ)」と共に、日向の高千穂の地に天降りを完遂。
彼は地上に降りた後に、とても美しい「木花咲耶比売(このはなさくなひめ)」に一目惚れし求婚しました。その親である「大山津見神(おおやまつみのかみ)」は姉の「石長比売(いわながひめ)」も嫁にと差し出しますが、その見た目の醜さから瓊々杵尊は石長比売を拒否。
木花咲耶比売は燃える産屋で出産した
親の大山津見神は大激怒し「もし石長比売も嫁にもらっていれば瓊々杵尊の寿命も、石のように丈夫に長寿を得ることができたのに。」と言います。瓊々杵尊やその子孫、後の初代天皇の神武天皇は寿命が神より短くなったと言われてます。
その後、木花咲耶比売はなんと一夜で瓊々杵尊の子を身篭ります。しかし瓊々杵尊はそれを浮気したのではないかと疑いをかけ、木花咲耶比売はショックを受けることに。木花咲耶比売は疑いを晴らすために力技に出ます。
戸のない密室の産屋に炎をつけ、燃え盛る中3人の子どもを無事に生むのです。こんな状況の中で無事に生まれるのだから瓊々杵尊の子どもに違いないと思った瓊々杵尊。その後2人は仲良く暮らしていったと言われていますが、木花咲耶比売の度胸の凄まじさを感じる話でもあります。
特殊な日本神話たち
今まで紹介してきた日本神話に登場する神々はかなり癖の強いものが大多数でしたが、神様と言っても人間らしい神話もあるのです。そんな少し特殊な日本神話を紹介していきます。
イザナミとイザナギの破局
破局したイザナギとイザナミ
国生みの逸話の中にも出てくるイザナギとイザナミですが、なんと神でも破局することがあるのです。もともと最初は大陸を子どもとして生んでいたイザナミですが、途中から神の子を出産することにもなります。
しかし、イザナミは最後に火の神を生んだ際の火傷が身体に大きな負担をかけ、帰らぬ人となってしまいました。イザナミの死が耐えられないイザナギは、黄泉の国からイザナミを連れ戻すことを決意。黄泉の国へ赴きます。
死を受け入れられない様子
イザナギが暗い黄泉の国へ着いた際に、イザナミと会話することに成功。なんとか戻ってきて欲しいと懇願するイザナギに「黄泉の国の神に交渉してくるから、その間に決して私の姿を見ないで。」とイザナミは伝えます。しばらくしても帰ってこないイザナミに痺れを切らしたイザナギは火をつけてイザナミを見てしまいました。
そのイザナミの姿はなんとも醜く恐ろしいものに。恐怖のあまりにイザナギは逃げ出し、約束を破られたイザナミは髪を振り上げながら追いかけます。イザナギは黄泉の国の入り口を大きな岩で塞ぎ、イザナミが出られないようにしました。
イザナギが逃げる際に投げた桃の実
裏切られたイザナミは「約束を破ったあなたの国の人を1日1,000人殺すわ。」と言い「なら私は1日1,500人生む。」と張り合います。これがイザナギとイザナミの破局の真実であり、現在の世界でも1日で多くのものが死に、多くの命が誕生する原理だと言われることに。
さらにイザナギが黄泉の国から逃げる際に桃の実を投げ、手下を撃退したという記述から、現代の桃の節句は邪気を払うものという認識になりました。また生き返ることを「甦る(よみがえる)」とも表現しますが、これは「黄泉から帰る」という言葉が語源になっていそうです。
娘の結婚は認めない
スサノオが討伐した八岐大蛇
姉の天照大神を散々困らせたと思えば、天下り先で八岐大蛇を倒し英雄になっている須佐之男命。彼の逸話にはおもしろいものがあります。
スサノオには「須勢理毘売命(すせりびめのみこと)」と言われる娘がいました。そんな娘がある時に一目惚れした大国主命と結婚したいと連れてくることに。しかしスサノオは娘の婚約を許さずに、大国主命にさまざまな試練を与えました。
ムカデや蜂がいる部屋に閉じ込めたり大国主命がいる野原に火を放ち焼き殺そうとしたりとほとんど嫌がらせ状態に。そんな状態を見かねた大国主命と須勢理毘売命はスサノオが眠る間に駆け落ち。泣く泣くスサノオは結婚を許すことになりました。
昔から父親は娘を嫁にやりたがらない、とは言われてきましたが、まさか日本書紀や古事記から行われていた文化だとは思わなかったと驚く人も多数います。
日本神話と類似している海外の神話
実は日本神話と類似している他の国の神話が存在することをご存知でしょうか?ここでは日本神話と世界の神話で共通してみられる点を挙げ紹介します。
冥界降り
決して見てはいけない
ギリシャの神話には、日本神話のイザナミとイザナギの黄泉の国の話と共通している点が多くあります。それは亡くなった妻を取り戻しに黄泉に訪れること、姿を決して見てはいけないこと、妻を取り戻せないことです。
ギリシャ神話にある冥界降りの中でもオルフェウスとエウリュディケのお話がまさに、イザナギとイザナミなのです。毒蛇に噛まれたことで若くして亡くなったエウリュディケ。彼女を取り戻したいという一心でオルフェウスは冥界に訪れます。なんとかして妻の元に辿り着いたオルフェウス。
彼は連れて帰る際に、ある条件を課せられます。それは冥界を上がる際に決して後ろを振り向かないこと。しかしオルフェウスは足を怪我しているエウリュディケが心配で、その道中に後ろを振り返ってしまうのです。そしてエウリュディケは冥界の国に引き戻され、その後決してオルフェウスの元へ戻ることができませんでした。
鶴の恩返しや、イザナギたちの黄泉の国の話のように「決して見てはいけない」というのはつい日本特有の文化だと思ってしまいがちですが、実は世界共通の文化のようです。
ラーマーヤナ
ラーマーヤナの舞台インドの街並み
インドの二大古典叙事詩の一つである「ラーマーヤナ」。その中に登場する王のラーマ王子とその妻シーターにも、日本神話と同じような展開になっている部分があるのです。
ラーマーヤナのあらすじは、ラーマ王子が誘拐された妻シータを奪還すべく、敵国の王ラーヴァナに戦いを挑むというもの。最終章でシーターは奪還され、無事にラーマ王子の元に戻り妊娠します。しかしシーターはラーヴァナに囚われていたことで、その貞操が疑われてしまいます。
そこでシーターがとった行動がまさに、日本神話の燃える産屋で出産した木花咲耶比売と同じようなこと。シーターは自らの身の潔白を証明するために、燃え盛る火の中に飛び込むのです。
身の潔白が証明できたシーターは無事に火の中から生還し、王や民に快く迎え入れられました。自らの潔白の証明のために火の中で出産するような話は、日本神話だけだと思われそうですが、インドでも珍妙な話があることに驚く人も多いはず。
日本神話は面白い話だらけ
いかがでしたでしょうか?日本神話にはそれぞれ多種多様な話がありますが、なかなか突飛な行動をする神様や極端すぎる神様、人間以上にわがままな神様、父性がありすぎる神様など見ていて飽きない神様ばかりです。
日本にいても日本神話と関わる機会がなかった人も多いと思いますが、これを機に日本神話を調べてみるとさらにおもしろい話に出会えるかも?
日本神話に限らず、日本神話と似た他国の神話と比べながら読めば、共通した文化や日本特有の文化を感じることがきっとできるはず。ぜひ古事記や日本書紀を読んでみてはいかがでしょうか。