耶馬溪とは
耶馬溪六十六景
耶馬溪は名付け親?
耶馬溪へのアクセス
耶馬溪周辺おすすめスポット
耶馬溪に行こう!

自然豊かな日本では、美しい景観を楽しめる場所が数多く点在します。中でも渓谷は地方に限らず全国各地で見られますが、その中でも大分県に位置する渓谷「耶馬溪(やばけい)」をご存知ですか?

実は耶馬溪は日本遺産に登録されており、渓谷といえば耶馬溪と言われるほどの名所。奇岩(きがん)が連なり作り上げた耶馬溪特有の景色は一度見たら忘れられません。

今回はそんな耶馬溪とはいったいどんな場所なのか、その成り立ちやおすすめの渓谷スポットを紹介していきます。

耶馬溪とは


耶馬溪の有名な奇岩
大分県の中津市に位置する耶馬溪。日本を代表する渓谷の1つです。耶馬溪と言われると1つの渓谷と思ってしまうかもしれませんが、実は山国川(やまくにがわ)の上・中流域を中心とした渓谷全体のことを指します。

耶馬溪の景観

耶馬溪の景観は、新生代第四紀の火山活動によってできたものだと言われています。凝灰岩(ぎょうかいがん)や凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)、溶岩といった岩から成る台地の侵食により、奇岩の連なったものが耶馬溪の正体です。

凝灰岩や凝灰角礫岩の侵食作用によって生まれた洞窟や渓谷の美しさには、ため息が出てしまうほど。耶馬溪全体の景色は美しく、一度見たら忘れることはできません。

耶馬溪の歴史


火山活動によって耶馬溪は形成された
溶岩からなる大地の侵食によって生まれ、長い歴史がある耶馬溪。その名が付けられたのは、1818年、漢詩人で思想家だった頼山陽(らいさんよう)がきっかけと言われています。

当時「山国谷」という名前が付いていたその地域一帯に、頼山陽が中国風の文字をあて「耶馬渓天下無」と漢詩に詠んだことで現在の名前に。

しかし頼山陽は、現在「耶馬溪」と呼ばれる一帯を名付けただけだったので、後に周辺の渓谷は「奥耶馬溪(おくやばけい)」や「深耶馬溪(しんやばけい)」といった細かい名称が付けられました。

耶馬溪は国内初の有料道路


鑿だけで青の洞門を掘った禅海和尚の石像
耶馬溪は見事な景観でも知られていますが、それ以外にも有名なことがあります。それは国内初の有料道路であること。当時の耶馬溪は渓谷の厳しさから、参拝者が足を踏み外し命を落とすことも多々ありました。

それを見かねた「禅海(ぜんかい)」が、現在は「青の洞門」という名前で有名になっているトンネルをたった1本の鑿(のみ)で開通。そして開通後に通行料を徴収するようになり、青の洞門は日本初の有料道路になりました。

またこの話を知った小説家の菊池寛が「恩讐の彼方に」に書き記し出版。耶馬溪はその名を全国に広げることになりました。

日本新三景


説日本新三景に登録されるほど美しさを持つ耶馬溪
耶馬溪は日本遺産にも登録されていますが、それだけではありません。

神奈川県の寒霞渓(かんかけい)や群馬県の妙義山(みょうぎさん)を含み、耶馬溪は日本三大奇景や日本三大奇勝の1つとしても有名。また、林春斎(はやししゅんさい)が決めた日本新三景にも100年以上前から登録されています。昔から名勝に選定され、多くの人から愛される耶馬溪。1度は訪れたい渓谷です。

また現在では、耶馬溪ではサイクリングをしながら景観を楽しむこともできるそう。秋には紅葉、夏には新緑を感じることができるサイクリングは格別です。

そして外せないのが耶馬溪特有の奇岩や若葉もみじ、錦もみじで囲まれた「耶馬溪ダム」。季節によって耶馬溪ダムは様々な表情を見せてくれます。時間によっては大きな噴水が見られることも。

ダムに囲まれた「耶馬溪湖」は日本でも有数の水面コンディションをもち、水上スキーやウェイクボードといった水上スポーツが盛んです。

耶馬溪六十六景


奥耶馬溪にある西椎谷の滝の景
山国川の上・中流域やその支流域を中心とした渓谷をまとめて名付けられた耶馬溪。そんな耶馬溪には数々の絶景スポットが存在します。その数なんと66カ所。

「羅漢寺(らかんじ)の景」や「西椎屋(にししいや)の滝の景」を含む耶馬溪の66カ所の絶景スポットは「耶馬溪六十六景」という名前で愛されています。

また耶馬溪は、山国川の付近の場所により名称が変化。約10カ所に分けられている耶馬溪の中でも代表的な渓谷を紹介します。

本耶馬溪


西洋風に作られた耶馬溪橋
山国川の上流一帯のことを指す「本耶馬溪」。有名なスポットとして、参拝者の安全のために禅海和尚が掘った「青の洞門」や日本最長の石造アーチ橋である「耶馬溪橋」などが挙げられます。

青の洞門は、鑿で削った跡自体がかなり薄れてしまったため、確認するためにはじっくり見るのがおすすめ。また青の洞門を通らず、現在でも鎖で繋がれた崖側のルートを通ることもできますが、進む際は注意が必要です。

西洋の造りのような耶馬溪橋は「オランダ橋」とも呼ばれ、その上流には3連アーチで有名な「羅漢寺橋」もあるので見逃せません。

裏耶馬溪


裏耶馬溪の連なる奇岩
金吉川(かなよしがわ)上流の渓谷のことを指し、玖珠町(くすまち)との境界でもある「裏耶馬渓」。屏風のようにそびえ立った岩壁が特徴的です。

立羽田の景(たちはたのけい)、鶴ヶ原の景などの景勝地を含むことで、耶馬溪の中でも人気は高め。特に10月中旬から11月中旬に見られる色鮮やかな紅葉と、荒々しくそびえ立つ岩との景観は別格です。

付近には伊福温泉があり、その温泉で養殖したスッポンが名物に。観光した後に温泉に寄って一息つくのもおすすめです。

奥耶馬溪

山国川上流に位置する「奥耶馬溪」。特に猿飛の景と呼ばれる峡谷に位置する「耶馬渓猿飛の甌穴群(やばけいさるとびのおうけつぐん)」は非常に有名です。

奥耶馬溪で見られる耶馬渓猿飛の甌穴群
甌穴とは、川底や岩石上にできる天然の円形の穴のこと。そしてこの穴の集まった耶馬渓猿飛の甌穴群は、国の天然記念物にも指定されています。

国の天然記念物に登録されている甌穴群は少なく、耶馬溪猿飛の甌穴群はとても希少な景色。足を運んでみたい景勝地です。

深耶馬溪


紅葉の時期に見られる深耶馬溪の一目八景
山国川支流の山移川沿いに位置する渓谷、「深耶馬溪」。耶馬溪と言われる際は、ほとんどがこの深耶馬溪のことを指します。

深耶馬溪の中でも奇岩奇峰で知られる景勝地「一目八景(ひとめはっけい)」は特におさえておきたいスポット。海望嶺や仙人ヶ岩、嘯猿山など8カ所の景色を一望できることから、一目八景と名付けられました。

周辺には鴫良や深耶馬溪の温泉もあるので、観光で疲労した体を癒すのにもってこいの場所。

耶馬溪は名付け親?

多くの景勝地がある耶馬溪。実は日本各地に存在する奇岩の景は、耶馬溪をなぞらえて付けられた名前であることが多いのです。そのため耶馬溪と名がつく渓谷をどこかしら目にしたり耳にしたりする人が多いのではないでしょうか。

全国の渓谷の元


長野に存在する渓谷
長野県にある「信濃耶馬溪」や秋田県の「東北の耶馬溪」など、多くの渓谷に耶馬溪とついていることがあります。これは耶馬溪が元になっているものが多く、耶馬溪がいかに全国に名をとどろかせていたかがよく伺えます。

また日本だけではなく、耶馬溪の名前はなんと台湾にも。日本統治時代に、台湾を代表する奇岩の景「六亀耶馬渓」などにも耶馬溪は使われているのです。

多くの「奇岩の景」元になった耶馬溪。オリジナルとも言える大分の耶馬溪に足を運んでみてはいかがでしょうか。

耶馬溪の基本情報

交通アクセス:博多駅から日豊線特急ソニックに乗り中津駅(約80分),高速道で九州道、東九州道を経由し博多駅より中津駅(約120分)
住所:〒871-0422 大分県中津市耶馬溪町大字深耶馬
電話番号:0979-55-2880
営業時間:散策自由
料金:散策自由
問い合わせ:中津耶馬溪観光協会HP

耶馬溪周辺おすすめスポット

耶馬溪の周辺には美味しいお店や温泉、お寺といった観光地がたくさん。その中でもオススメなスポットを紹介します。観光に行く際には同時に訪れてみてはいかがでしょうか?

深耶馬溪温泉


深耶馬溪温泉は美肌の湯で有名
深耶馬溪温泉は深耶馬溪に湧く温泉です。山移の川沿いにあるため奇岩が連なり豊かな自然が楽しめる景勝地。外にある温泉なので温度は少しぬるめですが、肌がすべすべになる美肌の湯としても有名なため、特に女性から大人気です。

観光で疲れた体も、自然に囲まれた温泉に浸かれば癒されること間違いなし。

小柿山光円寺


小柿山光円寺のしだれ桜は大人気
裏耶馬溪からおよそ3kmほどの距離にある「小柿山光円寺(こかきやまこうえんじ)」。九州で5本の指に入るほどの美しい「しだれ桜」が有名です。

推定樹齢は約360年と長い歴史を持ち、この立派な枝垂れ桜を見るために訪れる人も多いそう。開花時期は毎年3月下旬から4月の上旬と言われており、咲き誇る枝垂れ桜にはため息が出てしまうほどの美観を楽しめます。

甘味処禅海茶屋


甘味処 禅海茶屋で食べられるスイーツ(写真提供 Instagram: zenkaichaya様
奇岩の山である競秀峰(きょうしゅうほう)の麓にある「禅海茶屋(ぜんかいぢゃや)」。禅海が約30年の月日をかけて掘った青の洞門の近くにある甘味処です。

きなこ団子や抹茶パフェといったは甘味はもちろん、出汁の美味しさを存分に使った大分名物・だんご汁や「おおいた冠地鶏」を使ったうどんなど出していることが特徴的。

和の甘味と茶の渋みの相性は抜群です。土日や祝日は営業していますが、毎週木曜日は定休日なのでご注意ください。

耶馬溪に行こう!

今回は耶馬溪についておすすめスポットや歴史を紹介してきました。

秋の紅葉と奇岩の織りなす景色は大人気。もちろん春や夏と季節問わず多くの観光客で賑わいます。日本遺産や日本新三景にも登録されている耶馬溪を一度は訪れてみてはいかがでしょうか。