樹氷とは?樹氷はどうやってできるの?
樹氷を楽しむのにおすすめのスポット6選
【山形蔵王】蔵王
【宮城蔵王】蔵王
【長野県】志賀高原横手山
【青森県】八甲田山
【岩手県】八幡平樹氷
【北海道】旭岳
樹氷が育つ時期と見頃は?
樹氷は日本を代表する冬の絶景

雪の花のように繊細で美しい姿から、怪獣のように自然の力強さを感じさせる姿までさまざまな表情をもつ「樹氷」。日本の冬の風物詩のひとつである雪の絶景です。

実は樹氷は世界的にみても非常にレア。日本のほかにはドイツでしか見ることができない希少なものなんです。

今回はそんな樹氷の秘密や魅力、おすすめスポットについて紹介します。

樹氷とは?樹氷はどうやってできるの?

樹氷ってなに?

富士山と繊細な樹氷が織りなす絶景

富士山と繊細な樹氷が織りなす絶景

樹氷とは0℃以下の水の粒が樹木にぶつかることで凍ってくっつき、薄い氷の層を作り出す現象のこと。そう簡単にできるものではなく、多くの自然条件が整わなければなりません。

樹氷は非常に層が薄く、繊細なものから、大きな雪の塊にまで育った大迫力のものまでさまざまです。中でも大きなものは「スノーモンスター」や「アイスモンスター」と呼ばれ、日本国内だけでなく、海外からの観光客までも魅了しています。

樹氷ができる仕組みとは?

太陽を浴びてキラキラと輝く樹氷

太陽を浴びてキラキラと輝く樹氷

神秘的な雪景色である樹氷。

樹氷は3つのステップを繰り返すことで成長していきます。

①着氷:雪や風の中に増えた水分が枝や葉にぶつかり、凍る
②着雪:着氷した氷の隙間に吹雪などで多くの雪が入り込む
③燃結:さらに雪がくっつき、風上に向かって成長する

この3ステップを繰り返し行うことで、薄かった氷の層が成長し、やがてスノーモンスターと呼ばれるほど大きくなっていきます。

雪をまとい巨大化したスノーモンスター

雪をまとい巨大化したスノーモンスター

上記のステップを満たすには多くの自然条件が整っている必要があります。

その条件とは、
・適切な降雪量
・常緑針葉樹が自生している(落葉広葉樹には氷がつきにくい)
・同じ方向から冷えた水分を含んだ強風が吹き続ける
・亜高山地帯の西側の傾斜である
・気温が0℃以下で、たまに氷点下10℃以下の猛吹雪が吹く

これらの条件がそろい3ステップを繰り返すと樹氷ができるというわけです。樹氷は風上に向かってとび出るように成長していき、その姿は「エビの尻尾」と呼ばれることも。条件が全て揃う場所はかなり珍しく、日本以外では黒い森を意味するドイツのシュヴァルツヴァルトでしか見ることができません。

雪原一面に広がる樹氷郡

雪原一面に広がる樹氷郡

人間の背丈を優に超えるモンスターが立ち並んだ光景はまさに言葉を失う絶景といえるでしょう。

樹氷のおすすめ絶景スポット6選

樹氷を見るのにおすすめなスポット6選を紹介します。見ることができるだけでも奇跡なその絶景を、その目で堪能しましょう。

【山形蔵王】蔵王

日本随一の知名度を誇る蔵王の樹氷

日本随一の知名度を誇る蔵王の樹氷

山形県と宮城県にまたがっている蔵王連峰は言わずと知れた樹氷の名所。山形県側、宮城県側にそれぞれ特色があリます。ここからはその特色を紹介していきます!

まず最初に紹介するのは山形蔵王。その特徴は気軽に訪れることができる点です。ロープウェイが完備しており上空から樹氷を眺めることもできます。さらに数十分ほどで樹氷エリアに訪れることができるので、アクセスの良さは大変魅力的です。

樹氷の間を縫うように滑ることができるゲレンデ

樹氷の間を縫うように滑ることができるゲレンデ

樹氷を観賞しながらウィンタースポーツが楽しめるのも嬉しいポイント。「ザンゲコース」と呼ばれる、スノーモンスターの間をスキーやスノーボードで滑走することができるコースが大人気です。写真を撮るもよし、ウィンタースポーツを楽しむのもよしと自分に合った楽しみ方を選ぶことができます。

このように山形蔵王では観光施設が整備されているほか、ウィンタースポーツのついでに見ることができるその好立地が特色です。

山形蔵王ロープウェイ運行情報

営業時間:
①山麓線(蔵王山麓駅〜樹氷高原駅):8:30〜17:00
②山頂線(樹氷高原駅〜地蔵山頂駅):8:45〜16:45
運休日:なし
※天候による運休あり
料金:
【樹氷高原駅】
大人:片道1,000円/往復2,000円
子ども:片道500円/往復1,000円
【地蔵山頂駅】
大人:片道2,000円/往復3,800円
子ども:片道1,000円/往復1,900円
公式サイト:蔵王ロープウェイ

さらに山形蔵王では、暖房付きの雪上車に乗り込み夜のライトアップされた樹氷を間近で体験できる「樹氷幻想回廊ツアー」も開催します。昼の景色とはまた違った夜の樹氷を楽しむことができるでしょう。

樹氷幻想回廊ツアー情報

開催期間:2023年12月23日(土)~2024年2月25日(日)
運行時間:17時・ 18時・ 19時・20時
所要時間:約70~80分
料金:大人6,000円/子ども5,000円
公式サイト:樹氷幻想回廊ツアー

【宮城蔵王】蔵王

自然の雄大さに圧倒される宮城蔵王

自然の雄大さに圧倒される宮城蔵王

宮城蔵王は人の手が加えられていないことが特徴。周りには雪しかない白銀の世界で、樹氷のありのままの姿を堪能することができます。

ロープウェイのようないつでも利用できるものでなく、完全予約制の雪上車で樹氷へ向かうため、落ち着いてゆっくりと観賞したい人にはピッタリです。樹氷の見頃である2月頃は予約が込み合うことが多いため、要注意。

また樹氷の他にも宮城蔵王では、例年1月末に雪上の花火大会が開催されます。樹氷と花火を贅沢にご覧になられてはいかがでしょうか。

宮城蔵王の雪上車情報

運行期間:2023年12月23日(土)~2024年3月10日(日)
料金:大人5,500円〜10,500円
※時期・クラスにより異なる
公式サイト:マウンテンフィールド宮城蔵王すみかわ

【長野県】志賀高原横手山

スノーモンスターが立ち並ぶ横手山の樹氷

スノーモンスターが立ち並ぶ横手山の樹氷

雪原を埋め尽くすほどのスノーモンスターが待ち受ける志賀高原横手山。青空と白銀のコントラストが美しい樹氷の名所です。

横手山で樹氷を見ることができるのは渋峠スキー場。標高2,307mにある日本一標高が高いスキー場です。ここではリフトを利用することでスキーやスノーボードをしながら樹氷鑑賞できます。晴れた日は北アルプスや日本海まで見渡せるのも魅力のひとつ。

標高の高さの恩恵を受けて、暖冬でも非常に気温が低いので高確率でスノーモンスターを見ることができます。防寒対策を意識した服装で見にいきましょう。

志賀高原共通リフト1日券の料金

運行期間:ハイシーズン(12月23日~3月31日)
【大人】6,000円
【中高生】5,400円
【子ども】3,400円
公式サイト:志賀高原・横手山・渋峠

【青森県】八甲田山

夕日に照らされて赤く染まる八甲田山の樹氷

夕日に照らされて赤く染まる八甲田山の樹氷

青森県八甲田山に位置する豪快なスノーモンスターが雪原いっぱいに広がるスポットです。

山頂付近にはスキーのコースが豊富に揃っており、ウィンタースポーツを楽しむ人からも絶大な支持を得ている八甲田山の樹氷。樹氷だけでなく白銀のパノラマも必見で、一度見たら忘れられない美しさを放っています。

簡単に絶景スポットへ行ける八甲田山のロープウェー

簡単に絶景スポットへ行ける八甲田山のロープウェー

八甲田山の樹氷を見るのにおすすめなのは八甲田ロープウェー。101人乗りの広々としたロープウェーで絶景スポットにアクセスできます。都会では決して味わうことのできない景色を堪能してはいかがでしょうか。

八甲田ロープウェー 基本情報

営業時間:
①9:00~16:20(3月〜11月上旬)
②9:00~15:40(11月中旬〜2月)
料金:
【大人】片道1,250円/往復2,000円
【子ども】片道450円/往復700円
公式サイト:八甲田ロープウェー

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【八甲田山】豪雪の悲劇の歴史に隠れた魅力を徹底解説

青森県 < 青森

八甲田山の樹氷

【八甲田山】豪雪の悲劇の歴史に隠れた魅力を徹底解説 日本百名山の一つ「八甲田山」。青森県中心部に位置し、有名映画の基となった事件が発生した豪雪地帯です。スキーや登山、トレッキング、紅葉、温泉など見どころ満載。今回は八甲田山の歴史に隠れた魅力や観光情報を紹介します。

絶景

【岩手県】八幡平樹氷

どこまでも広がっている八幡平の樹氷

どこまでも広がっている八幡平の樹氷

蔵王に並ぶといわれるほどの規模を誇る八幡平樹氷。秋田県鹿角市に位置するアオモリトドマツの樹氷郡です。

八幡平樹氷の特徴はスポットに行くために冬山をトレッキングする必要があること。雪山を5kmほど歩く必要があるため、見学ツアーに参加する、もしくはガイドが必要となります。

寒さに耐えて辿り着いた絶景はより一層特別なものになること間違いなし。雪に囲まれた空間で自然の驚異を体感することができます。

【北海道】旭岳

北海道随一の眺望を誇る旭岳から見る樹氷

北海道随一の眺望を誇る旭岳から見る樹氷

冬の時期には樹氷だけでなく、雲海やサンピラーなど神秘的な自然現象を見ることができる旭岳。北海道最高峰の山で、北海道の先住民族であるアイヌから「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれてきた神聖な場所。随一の樹氷スポットで、多くの観光客で賑わっています。

北海道で観測された神秘的なサンピラー

北海道で観測された神秘的なサンピラー

旭岳は冬にサンピラーが観測されやすい場所としても知られています。サンピラーとは日没前後に太陽と同じ幅程度の光の柱が出現する現象のこと。運が良ければ眼下に広がる樹氷郡とのコラボレーションを楽しむことができます。

旭岳ロープウェイ 基本情報

営業時間:9:00~16:00(季節により異なる)
料金:
【大人】往復2,400円/片道1,400円
【子ども】往復1,600円/片道1,000円
※10中旬〜5月末まで
公式サイト:旭岳ロープウェイ

樹氷が育つ時期と見頃は?

2月に見頃を迎える樹氷

2月に見頃を迎える樹氷

常緑針葉樹が氷で覆われ始めるのは11月から12月頃。季節風によって冷えた水分が運ばれ、着氷し始めます。そして徐々に着雪が始まり、大きさを増していきます。

1月は成長期と呼ばれ、風上に向かってエビの尻尾が発達し始めます。この頃には着雪も盛んになり、大きな樹氷となるものも出てきます。

2月は最盛期と呼ばれ、まさに見頃。このシーズンになると着氷と着雪が最も盛んで、スノーモンスターが次々と生まれ、巨大な雪の塊が立ち並びます。この時期になると有名なスポットでは多くのイベントが開催。観光客も増え、多くの人で賑わいます。

3月に入ると気温の上昇に伴い、段々と樹氷が細くなっていきます。雨などをきっかけに一気に崩れることもある、いわゆる衰退期へと向かっていくのです。

樹氷は日本が誇る白銀の絶景

今回は樹氷の仕組みとおすすめスポットについて紹介しました。雪と氷が織りなす絶景は世界的にも珍しく、日本の冬を象徴するような現象となっています。

風が吹くだけで壊れてしまいそうな繊細さや自然の驚異を体感できるスノーモンスターなど、さまざまな表情を見せる樹氷。そんな景色を楽しむために、都会の喧騒を抜け出して白銀の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。