日頃、何気なく飛行機を使った旅行をしている中で「飛行機の違い」について意識したことはありますか?
実は日本国内で見られる旅客機には、様々な種類が存在し、大きさはもちろん製造するメーカーごとの細かい違いも多数存在するのです。
今回は数ある旅客機の中でも「大型」に分類される旅客機において、日本で見られる機種を特徴とともにご紹介していきます。
TOP画像:エアバスA350-900(写真:筆者)
※本記事に掲載の情報は2024年4月時点の情報です。諸事情により変更となる場合があります
1. 旅客機の種類:大型機とは
旅客機の中でも一度に最大300人以上を乗せることができるような機種を大型機と分類できます。数ある旅客機の中でも、サイズが大きく一度に多くの乗客を運べます。また、遠くまで飛行することに優れていることが多いです。
大型旅客機の中には2階建てを有していたり、機内の通路が2本に分かれているなどの特徴もあり、大型機だからこその壮大さが感じられる設計になっています。
外から見ても大型旅客機の存在感は抜群で、大きいからこその迫力が感じられ、大空港を中心にその姿を見ることができる人気の存在です。
世界最大の旅客機、エアバスA380-800。成田空港にて
2. 日本で大型旅客機が見られる空港
ここ日本でも数多くの大型旅客機を見ることができます。
特に首都圏の羽田空港、成田空港、関西圏では関西空港など、世界各国から国際線が集う空港では、大型旅客機を見ることができます。
日本の航空会社では、大型旅客機は長い歴史を通して運用されてきています。会社の顔として君臨し続けている機種もあり、常に注目の的として存在するのです。
国際線が多数就航する関西空港は、多くの大型旅客機を見ることができる場所
3. 日本で運航される大型旅客機の種類
エアバスA380-800|世界最大・2階建て
エアバスA380-800(写真:筆者)
世界最大の旅客機として知られているのがフランスのエアバス社が開発したA380-800です。
オール2階建てという、規格外の大きさが特徴的な旅客機です。
日本では、ANAのみが3機だけ運用しており、全てウミガメの特別塗装が施されています。これらはハワイ専用機材となっており、東京(成田)⇔ホノルル線のみで運用されている、まさに特別な機体です。
ANA以外にも外資系の航空会社である、韓国のアシアナ航空やシンガポールのシンガポール航空、UAEのエミレーツ航空がA380を使用して日本路線を運航しています。
ボーイング747-8|代表格ながら運用は減少
ボーイング747-8(写真:筆者)
ジャンボジェットの愛称で親しまれているボーイング747は、まさに大型旅客機の代表格と言えるでしょう。
絶大な人気を誇るボーイング747シリーズですが、残念ながら時代の流れとともに数を減らしており、最新シリーズの747-8においても日本の航空会社は貨物型を除いて運用が行われていません。
しかし、ドイツのルフトハンザが747-8を使用してフランクフルト⇔東京(羽田)線を運航しており、貴重な747の姿を日本でも毎日見ることができます。
筆者も一番好きな旅客機は747シリーズだけに数を減らし続けているのは残念ですが、ぜひこの美しいフォルムと迫力を兼ね備えた機体に皆さんにも魅了されて頂きたいところです。
ボーイング777-300ER|国際線のレギュラー
ボーイング777-300ER(写真:筆者)
経済性に優れており、各国の主要航空会社で今なおフラッグシップ的存在に君臨する大型旅客機の大ベストセラー機がボーイング777-300ERです。
日本では2大キャリアであるJALとANAが運用しており、国際線における絶対的存在として君臨しています。
また、日本の政府専用機としても運用されており、国を超えた信頼性が感じられるでしょう。
数ある旅客機エンジンの中でも巨大なGE90エンジンを搭載しておりパワフル。それでいて洗練されたスラッとした細長いボディで、その姿に魅了される方も少なくありません。
日系の航空会社以外にも、世界中の航空会社が777-300ERを使用して日本への路線を運航しており、まさに現代の大型旅客機の象徴的存在です。
777-200ER|ANA国内線を支える
ボーイング777-200ER(写真:筆者)
前述の777-300ERの短胴型となるのがボーイング777-200ERです。
777-300ERよりも機体が短く、搭載されているエンジンの選択肢も多いことが特徴的です。
日本ではANAが国内線用の機材として運用しており、東京(羽田)を拠点に札幌や大阪、福岡、那覇などの高需要路線を中心に投入しています。
世界的に見ると777-200ERも数を減らしている傾向にあり、日本でも、アメリカ系のユナイテッド航空を除き、外資系エアラインで見かける機会は減少してきました。
JALでは後ほどご紹介する最新鋭機材であるエアバスA350-900の導入に伴い、777-200ERを2023年に退役させました。
エアバスA350-1000|次期レギュラーとなるか
エアバスA350-1000(写真:筆者)
長らく前述の777-300ERが大型旅客機において主役の座に君臨していましたが、その時代にも変化をもたらしているのがこちらのエアバスA350-1000の存在です。
アメリカ・ボーイング社の最大のライバルとなるフランス・エアバス社は、近年メキメキと勢力を上げており、フラッグシップとしてA350シリーズを採用する航空会社も増えてきました。
まさに日本の航空会社としてJALが、次期フラッグシップとしてA350-1000を選定したことは歴史的な出来事であり、時代の変化を象徴する瞬間であったことは間違いありません。
2024年に入って運用が開始されたばかりの最新鋭機材であるため、執筆時点(2024年4月)では3機のみの運用で、東京(羽田)からニューヨーク、ダラスを結ぶ路線のみで使用されています。今後世界的にも大型旅客機として目立つ存在になることが期待される機種です。
エアバスA350-900|JAL国内線を支える
エアバスA350-900(写真:筆者)
先ほどのA350-1000の短胴型となるのがA350-900です。
JALでは、国内線のフラッグシップにおいてもこちらのA350-900を採用し、国内線向けの777シリーズを完全退役に追いやりました。
JALでは国内線のみの運用となっていますが、世界的には長距離路線にも投入されるほど航続性能にも優れた機体。フィンランドのフィンエアーや、アメリカのデルタ航空など外資系航空会社が、日本までの長距離便を運航しています。
外資系航空会社を合わせると日本で今、最も見ることのできる大型旅客機の一つであると言えるでしょう。
まとめ:国際線を中心に活躍する大型旅客機
今回ご紹介した大型旅客機は、各航空会社における代表的な機種として運用されているものが大半です。
特に長距離飛行に適していることから国際線を中心に運用されており、A380や747、777、A350のどれもが国際路線の大動脈を支える存在となっています。
一方で世界的に見ても特殊な運用形態が取られることの多い、日本の国内線においてもJALが次期国内線フラッグシップとして選定したA350-900や、ANAの777-200ERなど大型旅客機が運用されていることから、国内旅行においても大型旅客機に搭乗する機会が訪れることもあるでしょう。
小型機多頻度輸送の時代が到来しつつあると言われていますが、それでも大型旅客機の需要は今なお一定数が存在し、各国を結ぶ存在として重要な地位を確立しています。空港に行かれた際は展望デッキなどを訪れて、これらの機体を探してみるのも楽しいかもしれません。
Text・Photo:芳岡淳(Atsushi Yoshioka)
1994年生まれ。神奈川県横浜市出身。小学生の頃、旅客機に興味を持ったのをきっかけに写真撮影をスタート。海外撮影も得意としており、世界中で撮影した作品を展開しながら、各専門誌、WEBメディアにてフォトグラファー&ライターとして活躍中。
Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA