ツアーの予約はどこでできる?
ホエールウォッチング宇佐
大方ホエールウォッチング
海来(みらい)
ホエールウォッチングいろいろQ&A
①どこでクジラを見ることができる?
②どんな種類のクジラが見られる?
③クジラに遭遇しやすい時期は?
④ツアーはどんな感じ?
⑤どんな服装で参加すればいい?
⑥なぜ土佐湾ではクジラ遭遇率が高い?
【ルポ】編集部スタッフがツアーに参加してきました
案内してくれるのはベテラン漁師さん
移動中イルカに会えることも
約2時間、ゆったりとした船旅
ついにニタリクジラと遭遇!
大興奮の体験を終え帰路へ
ガイドさんに聞いてみました
ホエールウォッチングの魅力は?
海外からの参加者へのアドバイス
おわりに

クジラやイルカが泳いでいる姿を目前で見られる「ホエールウォッチング」。これを目的に世界各地を旅する人もいるというほど、大きな感動が味わえるアクティビティです。

日本でホエールウォッチングというと、沖縄や小笠原が有名ですが、高知県でも90%の確率でクジラに遭遇できることをご存知ですか?

ここでは、高知県土佐湾のクジラのこと、ホエールウォッチングでの体験をレポートしたいと思います。

※この記事に掲載の内容は2019年夏の取材時のものです。諸事情により変更となる場合があるため、お出かけの際はご自身で最新の情報をご確認ください

高知県 < 高知

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ツアーの予約はどこでできる?

はじめに、高知県でホエールウォッチングのツアーを催行している事業者をご紹介。いずれも公式サイト等から事前予約ができます。詳細が気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。

ホエールウォッチング宇佐

5月から10月にかけて、宇佐しおかぜ公園(高知県土佐市宇佐町)発着でホエールウォッチングのツアーを催行しています。

ホエールウォッチングで使うのは小回りが効く漁船。操縦は、土佐湾を知り尽くした漁師さん達。クジラやイルカがいるポイントを探すのはお手のもの。天候や波の状態に合わせた運航をしてもらえるので、安心です。

予約合計人数が6名に満たなかったり、天候が悪かったりする場合は欠航となるため、事前に問合せてから参加しましょう。

●出航場所:宇佐しおかぜ公園(高知県土佐市宇佐町橋田浜2752-7)
●所要時間:5時間程度
●料金目安:
 中学生以上……7000円
 小学生……4000円
 3歳以上……3000円
●公式サイト:ホエールウォッチング宇佐

大方ホエールウォッチング

こちらも5月から10月にかけてツアーを催行しています。ツアーは乗り合い制の「定期便ツアー」、1隻を貸切利用できる「チャーター便ツアー」、船長がその場で釣った魚を昼食にいただける「全員集合!?大群ツアー」などなど多彩なツアーメニューがあるのが魅力です。

また、クジラの糞からクジラの体調をチェックしたり、環境保全のヒントを得る取り組み「クジラのうんこプロジェクト」を、国立科学博物館などと共同で進行中。ツアー中に、くじらの排泄シーンを見たり、クジラの糞をすくい上げる貴重な体験ができるかも。

●出航場所:ウォッチングセンター(高知県黒潮町入野227−ロ)
●所要時間:4時間〜
●料金目安(定期便ツアーの場合):
 大人……8000円
 小学生……4000円
 幼児……2000円
●公式サイト:大方ホエールウォッチング

海来(みらい)

水族館での深海生物などの飼育経験を持つ船長が運営する、深海魚の漁や研究、水族館や研究機関向けの情報提供などを行っている「海来」。

一般向けには、カニ籠回収ができる「体験漁」や、船上での釣りができる「遊漁船」、クジラ&イルカやオオグソクムシに出会える「クルーズ」のツアーを催行しています。室戸の海の生き物に詳しい船長からいろいろな話が聞けます。

●出航場所:佐喜浜港(高知県室戸市佐喜浜町1289‐2)
●所要時間:3時間程度
●料金目安:
 高校生以上:5500円
 小中学生:2750円
 未就学児:無料
●公式サイト:室戸で深海漁業体験|海来

ホエールウォッチングいろいろQ&A

①どこでクジラを見ることができる?

高知県では土佐湾でクジラを見ることができます。どこにクジラが現れるかは、その時々で変わります。

後半で紹介している、「ホエールウォッチング宇佐」でのツアーでは、「黒潮牧場」と呼ばれている大きなブイが浮いているポイントでクジラに遭遇することができました。

悠々と泳ぐニタリクジラ

姿を見せたニタリクジラ

②どんな種類のクジラが見られる?

潮を上げるニタリクジラ

潮を上げるニタリクジラ(画像提供:ホエールウォッチング宇佐)

高知県土佐湾を棲み処としているのがニタリクジラ。穏やかな性格と優雅に泳ぐ姿から、「海の貴婦人」とも呼ばれています。穏やかな性格からか船が近づいてもあまり警戒しません。

上あごにある3本のすじが特徴で、体長は12~15m。世界最大のシロナガスクジラと同じナガスクジラ科です。

ニタリクジラを対象としたホエールウォッチングは世界でも珍しく、日本では高知だけ。通常は沖を回遊することが多いニタリクジラですが、高知県土佐湾には数十頭が棲みついていることが確認されているそうです。

ニタリクジラ

ニタリクジラの上あご部分

③クジラに遭遇しやすい時期は?

「ホエールウォッチング土佐」のガイドさんによると、クジラに特に遭遇しやすい時期は8月から9月にかけて。土佐湾近海の海水温が上昇し、餌場を求めて東シナ海から上がってくるクジラやイルカが増えるからだそうです。

④ツアーはどんな感じ?

高知でのホエールウォッチングツアーは、地元の漁師さんたちが操縦する小型の漁船に乗ることがほとんど。地元の海を知り尽くした船長さんたちなので、安心してツアーに参加することができます。

ツアーの催行は主に5月から10月にかけて。所要時間は3〜5時間程度。「大方ホエールウォッチング」では1日プランを選ぶこともできます。

具体的なツアーの流れや、注意事項は各社の公式サイトに記載があるので、予約前によく確認しましょう。また、船に酔いやすい人は、ツアー前に酔い止め薬を服用してください。

詳しいツアーの様子は後半でレポートします。

土佐湾でのホエールウォッチング。こんなに近くにクジラがやってくることも

⑤どんな服装で参加すればいい?

海の上での揺れ、波のしぶきやクジラの吹く潮で濡れることを考え、動きやすく濡れてもいい服を着ていきましょう。

船に乗り降りしやすいよう、スカートは避け、靴は滑りにくいスニーカーが無難。

日差しが強いことも考えられるので、薄手の上着や帽子(風で飛ばされないもの)、サングラスも用意しておくといいでしょう。

⑥なぜ土佐湾ではクジラ遭遇率が高い?

高知県土佐湾で開催されるホエールウォッチングは、クジラの遭遇率なんと90%。日本全国を探しても、ここまで高いクジラ遭遇率を誇るホエールウォッチングスポットはありません。

その理由は、土佐湾を流れる水温の高さにあります。土佐湾は、東は室戸岬から西は足摺岬(あしずりみさき)まで、南からの海流・黒潮の通り道。温かな水温を好むクジラの棲みかにぴったりなのです。

また、海とクジラの習性を知り尽くしたベテランの漁師さんが案内してくれるのも、クジラ遭遇率が高い理由のひとつです。

日本近海の海流図

日本近海の海流図

【ルポ】編集部スタッフがツアーに参加してきました

それでは、実際に「ホエールウォッチング宇佐」の船に乗りクジラに会いに行きましょう。

朝8時前、大きなクジラのモニュメントが立つ「宇佐しおかぜ公園」に到着。施設内に入ると、船長のご家族をはじめ地元の皆さんが温かく迎えてくれます。受付けや人数調整などもありますので、出航予定の20分前には着くようにしましょう。

しおかぜ公園

宇佐しおかぜ公園

ホエールウォッチング受付場所

ホエールウォッチング宇佐受付所には写真やお土産も

桟橋を渡って船へ乗り込みます。ライフジャケットを着たら、いよいよホエールウォッチングへ出航です!

案内してくれるのはベテラン漁師さん

筆者が参加した「ホエールウォッチング宇佐」では、現役の漁師さんたちが船長を務めます。

この日の船長は「第八正純丸」の松村敏勝さん。普段はイワシ漁を行っている土佐湾を知り尽くしたベテラン漁師です。船長の親戚だというボランティアガイドの女性と、息の合ったコンビプレーでクジラやイルカを探します。

ホエールウォッチング船長

この日乗船したホエールウォッチング「第八正純丸」船長の松村敏勝さん

「ホエールウォッチング宇佐」では、ホエールウォッチング参加人数によって船の出航数が変わり、多いときは6隻で出航することもあるそうです。

当日漁に出ている仲間の漁師や、ホエールウォッチングをする他の船と目撃情報を連絡しあって船を進めていくため、出航数が多いシーズン中や土日ほど遭遇率は高まるそうです。

ホエールウォッチング協会の旗

ホエールウォッチング協会の旗

船で移動している間、船長やガイドさんからはクジラや地元に関する貴重なお話が聞けます。

移動中イルカに会えることも

出航して20分ほど経ったころ、ガイドさんが物見台に上り、双眼鏡で海の様子を確認しはじめます。

クジラを探すガイド

「このあたりでイルカがいることもあるんですよ」とガイドさん

浮かんだり沈んだりしている「黒い物体」がないか、目を凝らします。

筆者が乗った船はイルカには会えませんでしたが、9時発の船は5頭のバンドウイルカに会えたそう。イルカたちのかわいい鳴き声も聞けるようです。

イルカの群れ

船の周りにイルカが現れると、こんな感じになることもあるそう(画像提供:ホエールウォッチング宇佐)

約2時間、ゆったりとした船旅

広がる海と空

360度広がる空と海

目指すは「黒潮牧場」。海上に目印として大型のブイ(浮標)が浮かんでいるそう。ちなみにこのブイは、カツオやマグロなどの回遊魚が大型の漂流物に集まるという習性を利用して設置されているとのこと。クジラもそこに現れることが多いそうです。

到着までは2時間ほどかかるので、気持ちのいい潮風を受けつつ、四方に広がる大海原を眺めながらゆったりと過ごします。

ガイドさんの案内で海上に目をやると、モジャコ(ブリの稚魚)の目印となる藻が浮かんでいたり、トビウオやオミズナギドリが現れたり、さまざまな海の生物たちに出会えます。

ついにニタリクジラと遭遇!

ブイ黒潮20号

海上に浮かぶブイ「黒潮牧場20号」

船に揺られるうち、海上にあるブイ「黒潮牧場20号」に到着。船長の村松さんが周辺の漁師仲間に声をかけます。「今日は見ていない」という返答があったと思ったら、「いた!」の声。ニタリクジラです。

みんながいっせいに船首に集まり、「あそこだ!」と指差したりカメラを構えたり、船内がにわかに盛り上がります。

悠々と泳ぐニタリクジラ

ニタリクジラに遭遇

ニタリクジラは背中をチラッと覗かせたあと、すぐに海中へ。

潜ったときの背中の丸まり方や、クジラの泳いだあとに水面にできるリングを参考にして、次にどこに浮かんでくるか検討をつけます。

潜る時間にも個体差があるという説明を聞いて、だんだん浮上のタイミングがわかってきた参加者たち。みんなで一丸となり、「あっちだ!」と声をかけると、船長がググっと舵を切る。漁船ならでは小回りの良さを活かして、クジラとの追いかけっこが始まります。

クジラを探す参加者たち

声を掛け合いながらクジラの次の浮上ポイントを探す

この日のニタリクジラはとても人懐っこく、グルグルと回って白いお腹を見せてくれたり、船の真下を泳いだり。船長のベテランの勘で浮上ポイントに何度も近づくことができ、参加者一同は大満足。

白いお腹を見せるニタリクジラ

お腹を見せる人懐っこさ

大興奮の体験を終え帰路へ

ニタリクジラは10回ほど顔を出しては潜ってを繰り返し、1時間近く船と追いかけっこをしたあと、どこかへ泳いでいってしまったのか、姿が見えなくなりました。

今回のホエールウォッチングはここまで。帰りもイルカなどを探しながら2時間かけて帰港。朝から5時間ほどのツアーでしたが、あっという間の体験でした。

海を眺める子供

船に乗る非日常体験に子どもたちも大満足

ガイドさんに聞いてみました

「ホエールウォッチング宇佐」には4人のボランティアガイドさんが所属しています。2人は高知県在住、2人は県外出身(2019年夏取材時)。地元に貢献したい、カメラが趣味、など、それぞれの思いを持ってホエールウォッチングガイドを務めていらっしゃるそうです。

クジラを探す船長

クジラを探すガイドさん

ホエールウォッチングの魅力は?

「ホエールウォッチングの船に乗ったのは、最初はお客さんとしてでした。出航していきなりイルカの群れと遭遇して、とても感動したのを覚えています。クジラやイルカなど、自然の生き物と出会えるのは素晴らしい体験になると思います。

それに加えて、ゆっくりと船の上で過ごす時間が、個人的には大好きです。悩みごとも忘れて広い海を眺めていると、心も広くなったように感じます。」

海外からの参加者へのアドバイス

「外国の方は『右』『左』といった日本語を覚えておくといいかもしれません。クジラが浮かんできたときに船長がとっさに方向を叫ぶのですが、違う方向を見ていて見逃してしまう方がいるんですよ。

英語での通訳はありませんが、アジアやヨーロッパなど、各国からホエールウォッチングに参加される方も皆さん楽しまれています。人数によってその日の出航が決まるので、事前に問合せをお願いします。」

おわりに

思いのほか人懐っこいクジラに、船の引き波と遊ぶイルカ。360度に広がる空と海を見ながら過ごすホエールウォッチングの時間は飽きることがありません。

地元の皆さんで運営しているアットホームな雰囲気や、一緒に乗船する参加者たちとの会話も楽しく、きっと思い出に残る旅になると思います。特別な一日を過ごしに、高知県土佐湾でホエールウォッチングに参加してみてはいかがでしょうか。

Text・Edit:編集部
Photo:ホエールウォッチング宇佐/編集部

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