300年の歴史を持つ、高知の日曜市とは?
地元民が教える、日曜市の歩き方
オススメいろいろ<食べ物編>
オススメいろいろ<お土産編>
一緒に楽しみたい周辺スポット
まとめ

新鮮野菜・果物やローカルフードが並ぶ街路市。高知県高知市では、1690年から300年以上続く「日曜市」が毎週開かれています。
高知城が見える追手筋(おおてすじ)という大通りに、400店を超えるお店が約1,000mにわたって並ぶ日曜市。これは、街路市としては日本一の長さで、 日曜市開催時には片側2車線の道路の片側が閉鎖され、歩行者手天国に変わります。

今回は、高知県出身のライターが実際に日曜市を歩きながら、楽しみ方やおすすめのお店をレポート。さまざまな地場産品と地元の方、生産者の方の温かいおもてなしにも出会える場所が「日曜市」。是非土佐のマルシェに出かけてみましょう。

高知県 < 高知

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川・湖沼

300年の歴史を持つ、高知の日曜市とは?

「南国土佐」の名の通り、温暖で冬の日照時間も長い高知県。四国山地から平場、そして沿岸部へと変化に富んだ豊かな自然のもと、さまざまな農産物が育てられています。そんな農業県高知の街路市として有名なのが「日曜市」です。

日曜市全景

地元住民と観光客とで毎週にぎわう日曜市

新鮮な朝採れ野菜や手作り惣菜を求めて、近所に住まう人はもちろん、県内外や、最近では海外からも多くの観光客が訪れます。高知市の日曜市は約1,000mにおよぶ日本一の長さを誇るだけでなく、どことなく異国情緒漂南う国の雰囲気や、気さくな店主のみなさんと楽しむ会話も醍醐味です。

毎日のようにどこかで市が立つ。県民の生活に根付く「市」文化

日曜市は高知市が認めた公設の街路市ですが、実は火曜・木曜・金曜にも県庁周辺で開催されています。公設以外の市も各地で開かれ、最近では高知県立池公園の土曜市「高知オーガニックマーケット」も人気が出てきています。

日曜市の出店者のなかには、ほかの曜市と掛け持ちしている人も多く、「日曜」を逃してしまったらぜひ、ほかの市場を訪れてみてください。

新鮮な高知県産の野菜たち

色とりどりの高知野菜も手に入る

ここで「市」に関する小話をひとつ。

県内を旅行していると無人の産地直売所によく出会いますが、高知ではこれを「良心市」と呼びます。無人店舗のため代金支払いは購入者の「良心」にゆだねられるという、ちょっとユニークな名前です。

午前中がおすすめ。中心地なのでアクセスよし!

日曜市の朝は早い!
4月から9月は朝の5時、10月から3月は5時30分に開きます。終了時間は夕方ですが、売れ行きや天気によって早じまいするお店もあるので、午前中に行くのがおすすめです。人気の惣菜は昼前に売り切れることもあるのでご注意ください。

市が開かれる追手筋(おおてすじ)は、高知駅から歩いて10分ほど。高知駅前の観光情報発信館「とさてらす」で、観光客向けの無料レンタサイクルを利用することもできます。車の場合は、渋滞や駐車場の混雑を考えて早めに行くのがいいでしょう。路面電車を使って行くのも情緒があっておすすめです。一日乗車券を使えば、日曜市を楽しんだあとの移動にも便利です。

高知駅

JR 高知駅から追手筋までは徒歩約10分
とさでんのイメージ

高知市内を巡回しているとさでん交通の路面電車

地元民が教える、日曜市の歩き方

東西約1kmにわたって続く日曜市。どこからスタートしても楽しめますが、東西のお店の特徴やポイントを知っておくとより楽しめます。ここでは、地元ライターが日曜市のおすすめの歩き方・楽しみ方をご紹介。

日曜市の東西の特徴

日曜市から見える高知城

西側に高知城を眺めながら散策

東から日曜市1丁目、日曜市2丁目と続き、高知城に向かって歩いていった西端は6丁目になります。

中心となる農作物はどのエリアでも見られますが、大きく特徴を分けると東は農作物や惣菜、中央は食べ歩きに適したフード類、西側には植木屋や花、土佐刃物などの生活雑貨のお店が並びます。

日曜市のガイドブックや観光客向けの冊子やフリーペーパーが並んでいるブースもあります。英文の日曜市マップもここで手に入ります。ちなみにお土産にもぴったりのミニチュアの路面電車は、日曜市でしか売られていないそうです。

「ごめん」の看板

「ごめん(後免)」とは高知の地名。セメントの路面電車はここでしか買えない

往路でチェック、復路で買い物

どのエリアも賑わっている日曜市ですが、高知駅から来た場合は東端からスタート。

新鮮な野菜や魚、手作りの菓子や惣菜のお店が次々と現れます。時間があれば、往路では店員さんとの会話を楽しんだり値段を比較したりしながら、何を買うかチェックし、復路で購入するのがおすすめです。ただし田舎寿司などの人気の惣菜は早めに売り切れるので、見つけたら買っておきましょう。

日曜市の園芸品

高知県は温暖な気候を活かして園芸もさかん

中央付近は店の数も多く、芋天やアイスクリンなど食べ歩きに適したお店もあるので、休憩しながらぜひ西端まで進んでみてください。西端の6丁目には、土佐刃物や骨董品、盆栽や花など、ちょっとユニークでお土産にもいいお店が並んでいます。

お店の人との会話を楽しむ

野菜店の夫婦

有機栽培野菜店のご夫婦と笑顔で野菜の話を

日曜市の一番の魅力は、店主のみなさんの楽しそうな笑顔。毎週ほぼ同じ位置に出店するので、ご近所さんも仲良しです。ちょっと店を離れるときはお隣さんが代わりにお会計してくれたり、買い物している間に子どもをあやしてくれたり。日曜市で高知県民の温かな人柄に触れてみてください。

買い物袋を持っていこう

いろいろと買い物をしているうちに、いつの間にか両手が買い物袋でいっぱいになることも。エコバッグを持参して、快適に買い物を楽しみましょう。

せっかくなので、坂本龍馬や鳴子(高知県のお祭り「よさこい」に使う道具)があしらわれた高知らしい袋を購入していけば、気分もさらに盛り上がること間違いなし。宅配便のブースもあるので、宿泊先などに送ることもできます。

龍馬グッズ

龍馬グッズも手に入れられる

オススメいろいろ<食べ物編>

400軒以上のお店が並ぶ日曜市。散策だけでも十分に楽しめますが、せっかくですから地元でも人気のお店やローカルフードは試しておきたいところ。長い道のりのなかお腹が空いたら立ち寄るのにぴったりなお店や、お昼ごはんにちょうどいいお店を少しだけ紹介します。

まずはやっぱり、地元野菜

みずみずしい野菜たち

店主との会話を楽しみながら、高知県産の野菜を手に入れよう

高知と言えばなんといっても新鮮野菜と魚。太陽の恵みをたっぷり浴びた野菜たちはみずみずしく輝き、赤いトマトや黄色い柑橘類が市場を鮮やかに彩ります。冷やしトマトやきゅうりはその場でも食べられます。魚は干物などに加工されているため保存が効くのもうれしいポイント。高知名産ちりめんじゃこは、おやつやおつまみにもぴったりです。

徳谷トマト

高知を代表する高級トマト「徳谷トマト」

どの店もおすすめで美味しいので、ぜひ店主の皆さんに話かけてみてください。「これは何ていう野菜?」「どう調理して食べるの?」と聞けば、あたたかい土佐弁で気さくに返してくれますよ。最近は、英語で案内を書いているお店も増えてきているため、訪日観光客でも気軽に楽しめること間違いなし。

行列のできる芋の天ぷら

芋天

次々にできあがる揚げたて天ぷら

揚げたての芋の天ぷらで人気の「大平商店」は、地元の人ならみんなが知っていると言ってもいいほどの有名店。

いつも行列ができていますが、店員のみなさんが手際よく揚げていくのでそれほど待たずに購入できます。スナックのようにカリっとした歯ごたえの衣に、ほくほくと甘いお芋。一度食べたらやみつきになる芋天を、ぜひ試してみてください。

大平商店は日曜市だけでなく、木曜市にも出店しています。毎年7月後半から9月前半までは休業しているためご注意を。

日曜市の焼き鳥

香ばしい焼き鳥の匂いにお腹が空いてくる

向かいにある焼き鳥屋も日曜市名物のひとつ。市の中ほどにあるので、ゆっくり日曜市を散策しているとちょうど小腹が空いてくる頃に出会えるお店です。ぜひ、芋天と焼き鳥を買ってひと休みしてみてはいかがでしょうか。

こちらの焼き鳥屋も木曜市にも出店しているので、曜日が合わない場合やスムーズに購入したい人はそちらもおすすめです。

山のお寿司、田舎寿司

高知名物「田舎寿司」

人気店は午前中からお客さんでいっぱい

こちらもぜひ試してほしい、高知の郷土料理「田舎寿司」。たけのこやこんにゃく、しいたけにみょうが。寿司ネタがすべて山のものでできているお寿司です。

寿司酢にはみかんやゆずを使ったお酢が使われており、ゴマやショウガの風味も効いてさっぱりとしています。

田舎寿司のイメージ

田舎寿司(イメージ)

お店ごとに味付けやネタに特徴があり、土佐の家庭の味が楽しめます。最近はいろいろなメディアで紹介されたこともあり早く売り切れる店が多いので、見かけたら購入することをおすすめします。

冷やしあめ、アイスクリン

暑い時期なら外せないのが、高知県名物の「アイスクリン」。コーンに乗っていますがアイスクリームではなく、シャーベットに近い食感のアイスです。甘くてさっぱりしているので、ちょっと疲れたころに食べてみては。日曜市以外にも、海岸沿いの道路やお祭りなどでも販売しています。

冷やしあめの屋台

ショウガと水あめで作る「冷やしあめ」

疲れを癒す甘いものといえば、「冷やしあめ」もおすすめです。関西と中国・四国の一部以外はあまり知られていないようですが、水あめを溶かしてショウガの絞り汁を入れた飲み物です。

冬場はお湯で溶いた「あめゆ」でも楽しめます。ショウガを入れるかはお好みでどうぞ。

オススメいろいろ<お土産編>

農産物が有名な高知県ですが、実は和紙や竹細工、金細工などの工芸品も良質なものがたくさんあります。日曜市にも6丁目を中心にクラフト雑貨が並んでいるので覗いてみてください。お土産にもぴったりですよ。

土佐打ち刃物

くじらナイフ

切れ味と耐久性の高さを誇る「土佐打ち刃物」

400年の歴史を持つ土佐の伝統工芸、打ち刃物。一般的には鍛造から刃付け、仕上げまでを職人が一貫して行うため、自由度が高く「自由鍛造」とも呼ばれています。値段も比較的安価で普段使いの刃物です。

鯨漁も行われていた高知ならではの「くじらナイフ」もお土産として人気。愛らしいフォルムはもちろん、刃先が丸く安全に考慮されているため、小さな子供のファーストナイフとしても最適です。

竹細工

竹の鍋敷き

美しい竹細工の鍋敷き

県全体の80%以上が森林という高知県では、さまざまな木材加工品が作られています。森林組合のブースで定期的に出店する「Forest」では竹を使った製品を扱っています。細かい細工を施したコースターや鍋敷き、スマホスタンドなど、さまざまなアイデア商品は見ていて飽きません。なかでも漢字をかたどったマグネットはお土産にぴったり。「旅」「愛」「働」といった文字が人気のようです。

和小物

手作り和小物のお店は、普段使いのものを求めて地元住民が買いにくるのはもちろん、外国人観光客に人気です。お店の方に伺うと、「和柄の布でできた小袋や人形などは外国からのお客さんに喜ばれます。最近では中国からのお客さんが多いですね」とのこと。

和小物

着物布でできた小物が人気

そのほかにも、金物や骨董品など、彫り出しもの雑貨店もたくさんあるので、気になるお店は覗いてみましょう。

一緒に楽しみたい周辺スポット

高知の中心街で開催されている市なので、周辺にもお勧めの観光スポットがたくさんあります。ぜひあわせて立ち寄ってみてください。

観光・買い物・グルメがまるごと楽しめる高知市の「日曜市」

往復およそ2.5kmにおよぶ日曜市を歩き終えるころには、きっと心地よい疲れと満足感を感じていることでしょう。

高知駅からのアクセスもいいので、ぜひ高知に行くたびに訪れて、春夏秋冬それぞれの旬を味わってみてください。お正月と夏のよさこい祭りの期間を除いた毎週日曜日、明るい店主のみなさんが迎えてくれますよ。