令和ゆかりの地「古都 大宰府」へ
波乱万丈の特別史跡「大宰府政庁跡」
万葉の和歌がうまれた場所
「梅花の宴」の舞台の有力候補地「坂本八幡宮」
古都大宰府を今に伝える「大宰府展示館」
太宰府観光といったら「太宰府天満宮」へ!
太宰府天満宮の隣に博物館!?「九州国立博物館」
太宰府観光でチェックしたい「梅」のお土産
梅ヶ枝餅
梅の実ひじき
太宰府天満宮 お神酒
まとめ

「平成」から「令和」へと元号が移り変わり、新しい時代の幕を開けた日本。新元号「令和」の発表は多くの日本国民に驚きと新しい時代への期待感を与えました。「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」との意味が込められた「令和」を支持する声も多く、今では生活の中になじみつつあります。

そんな「令和」ですが、元となった文章は730年の正月に現太宰府の邸宅でたった一度のみ開催された、とある宴の序文でした。

今回は「令和」ゆかりの地である太宰府に古代、存在した大都「古都 大宰府」をご紹介します。太宰府に眠る古都の魅力を、「令和」のルーツに触れながら巡っていきましょう。さらに太宰府観光で必ず訪れたい「太宰府天満宮」や周辺情報、食べ歩きやお土産にもぴったりのグルメまで盛りだくさんでお届けします!

(メイン写真/製作者:山村延燁、所蔵:公益財団法人古都大宰府保存協会)

令和ゆかりの地「古都 大宰府」へ

福岡県、太宰府市。ここはかつて「大宰府」と呼ばれるエリアでした。

「大宰府」とは、7世紀後半から12世紀前半にかけて存在した九州地方最大の役所を指します。ここでは当時の九州地方の統轄や外交の窓口、軍事の防衛拠点を担っており、日本有数の重要拠点のひとつだったのです。実はこの大宰府、日本の新しい元号「令和」ゆかりの地であることを、ご存知でしたか?

※ちなみに、現在の地名である「太宰府」は当時栄えた「大宰府」がもとになっており、現在の地名や行政名には「太宰府」を、律令制下の役所・組織を指す場合には「大宰府」をそれぞれ区別し用いられています。

令和のルーツは「梅花の宴」に

「令和」のルーツは727年ごろ、九州の重要拠点である大宰府に大伴旅人(おおとものたびと)が長官として赴任したことから始まります。大宰帥である大伴旅人は政治家として手腕を発揮すると同時に、優れた歌人でもありました。

730年の正月に彼は大宰府を含む九州諸国の役人を自身の邸宅に招き、宴を開催したとされています。


この「梅花の宴」を再現した博多人形のジオラマ(製作者:山村延燁、所蔵:公益財団法人古都大宰府保存協会)

この宴こそが、中国渡来の白梅をテーマに歌を詠んだ「梅花の宴」でした。この宴の中で歌を詠む前に、宴の参列者に向けて発された序文「初春の令月、気淑しく風和ぐ。梅は鏡前の粉に披き、蘭は珮後の香に薫る。」の文言から2字を抜粋して「令和」の元号となったのです。

この序文は現代でいうところの開宴の挨拶で、宴の開かれた日が好天であり梅の花日和であったことを表しているのかもしれません。

波乱万丈の特別史跡「大宰府政庁跡」

かつて日本の外交・軍事において重要な役割を果たした大宰府政庁。現在、この重要拠点の跡地には草原と礎石群が広がります。

広大な土地に広々と並んだ礎石からは政庁の柱一本一本が、いかに立派なものだったかをうかがい知ることができます。今でこそ穏やかな時間が流れる大宰府政庁跡ですが、その背景には数々の破壊と荒廃を乗り越えた歴史がありました。


ここにかつて大宰府の政庁が置かれていた

大宰府政庁が役割を終えてからは幕末・明治時代にかけて礎石の抜き取りや土地の荒廃が進み、かつて大宰府政庁の建物があったこの地は見る影もなく荒れ果てていました。江戸時代から学問が盛んになっていた福岡藩と地元住民はその惨状を憂い、3基の石碑を建てて大宰府を顕彰することで古都大宰府の象徴を保護しようとしたのです。

その後も度重なる住宅開発計画や地元での大規模な反対運動を乗り越え、ついに1968年、古都大宰府研究のための発掘調査が地元住民の作業協力のもと開始されました。大宰府政庁跡の保護は地元住民・太宰府市・福岡県が手を取り合うことではじめて実現したことだったのです。

このように大宰府政庁跡は過酷な歴史を乗り越え、特別史跡として私たちに古都大宰府が確かに存在した事実を物語っています。太宰府を訪れた際は、梅の都として栄えた古都大宰府の歴史に心を重ねてみてください。

万葉の和歌がうまれた場所

今回は、そんな令和ゆかりの地「大宰府」の観光名所を紹介。この地には、梅花の宴のジオラマが展示されている「大宰府展示館」や、大伴旅人の邸宅があったとされている「坂本八幡宮」などが位置しており、梅花の宴で詠まれた32首の歌や、日本最古の歌集『万葉集』に収められている歌の一部が詠まれたとされている歌人の聖地でもあります。


令和の石碑

大伴旅人のほか、山上憶良(やまのうえのおくら)といった高名な歌人の詠んだ歌が歌碑に刻まれ道端に点在し、歌碑をめぐるだけでも歌が文化の中心だった万葉の時代を感じることができるでしょう。

「梅花の宴」の舞台の有力候補地「坂本八幡宮」

当時、大変高貴な花とされていた中国渡来の白梅をテーマに32首の歌が詠まれた梅花の宴。この宴が開かれた大伴旅人の邸宅があったとされている候補地のひとつが坂本八幡宮です。

坂本八幡宮は応神天皇を御祭神とし、土地神・産土神(うぶすなかみ)として地元の方々に崇拝されています。


坂本八幡宮

氏子会が管理する社務所では御朱印がいただけます。基本的に書置きの御朱印をいただくことになりますが、日程のタイミングが良ければ宮司から直書きの御朱印をいただくことができます。


坂本八幡宮の御朱印(初穂料 500円)

梅花の宴をイメージした梅の枝と、梅花の宴の序文のスタンプが押された趣のあるデザインです。

古都大宰府を今に伝える「大宰府展示館」

坂本八幡宮から歩くこと約5分。大宰府政庁跡に隣接した土地に立つのが、古都大宰府の研究成果や発掘調査における出土物を展示し、古都大宰府の歴史的資料を閲覧できるのが大宰府展示館です。


大宰府展示館外観

大宰府展示館では古都大宰府の史跡から読み解き再現された大宰府のミニチュア模型や、当時の人々の食文化、大宰府役人の装飾品や古代建造物の装飾などを閲覧できます。館内では、ボランティアの大宰府史跡解説員が展示品について古代の時代背景を交えつつ紹介してくれます。

梅花の宴を雅に再現

大宰府展示館に来館したからには必ず目にしておきたいのが、博多人形を用いた「梅花の宴」の再現ジオラマ。「令和」の典拠元である文章がうまれた梅花の宴を数少ない資料をもとに、大伴旅人の邸宅に歌人や役人が集まり庭先で歌を詠んでいる様子が再現されています。参加者の服装や各人に提供された酒肴も研究資料を参考にして作られており、人々が集うにぎやかな様子はまるでショーケースの中で実際に宴が開かれているかのよう。


博多人形による「梅花の宴再現」ジオラマ(製作者:山村延燁、所蔵:公益財団法人古都大宰府保存協会)

大伴旅人の邸宅の正確な場所や、宴は屋外で開かれたのかなど明らかになっていない部分も多く、専門家の間でさまざまな説が飛び交う「梅花の宴」。

資料に残る日付以降、このような宴が開催されたという記述は見つかっておらず、たったの一度のみの開催だったと考えられています。精巧なジオラマを観察しながら、この宴に考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。

太宰府観光といったら「太宰府天満宮」へ!

令和ゆかりの観光スポットを堪能した後は、太宰府のもう一つの古都の顔である太宰府天満宮を訪れてみましょう。


太宰府天満宮の楼門

ちなみに、太宰府は歴史的な建造物を多く残す古都であると同時に、歴史の背景に梅が随所に登場するため「梅の都」とも呼ばれます。太宰府天満宮境内には各所に梅の木が奉納されており、冬の下旬には紅梅や白梅の花が豊かに咲き誇ります。なんでも太宰府の梅の開花は早く、例年2月の初旬頃に咲くのだそう。


太宰府天満宮では2月初旬に梅の見頃を迎える(写真提供:太宰府天満宮)

御祭神として祀られているのは学問・誠心の神として崇敬されている菅原道真公(すがわらのみちざね)で、通称「天神さま」として親しまれています。学問にご利益のある神社とされていることから、受験の季節になると多くの受験生が参拝に訪れます。

参道には古民家を利用した土産物店や食事場が立ち並び、和菓子や食器などを購入できます。境内から参道まで日本の和を感じられる、国内外から観光客が訪れる人気の観光スポットです。

見どころが盛りだくさんの太宰府天満宮ですが、今回はそのなかから一部をピックアップ。観光に訪れる際は、ぜひ参考にしてみてください。

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神社・寺

御本殿


太宰府天満宮の本殿

菅原道真公の御墓所の上に造営された太宰府天満宮御本殿では、毎朝8:30から太宰府天満宮で奉仕する神職・巫女が集まり朝拝を行っています。太宰府天満宮御本殿前で誰でも参列ができ、参拝すると神職からお祓いを受けられます。築400年以上を経た豪壮かつ絢爛な御本殿には、連日多数の観光客が訪れます。

飛梅


2月初旬〜中旬に見頃を迎える太宰府天満宮の「飛梅」

太宰府天満宮御本殿の御前の御神木「飛梅」は、品種を「色玉垣」といいます。太宰府の梅は毎年2月初旬から中旬にかけて咲き始めますが、飛梅は境内で1番に咲き始めるのだそう。

菅原道真公が京都から大宰府への御出発の際に詠まれた、「東風吹かば匂いおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」の歌に呼応するかのように、京都から大宰府まで菅原道真公を追って飛来してきたとの逸話から「飛梅」と呼ばれています。

心字池・太鼓橋


直線の橋「直橋」が湾曲の橋「太鼓橋」に挟まれている

漢字の「心」に形づくられた心字池にかかる3つの橋はそれぞれ過去・現在・未来を表すといわれ、これらの橋を歩き心字池を渡ることで心身が清められるとされています。心字池に仕込まれた噴水が静かな水面に動きを与え、参拝者の目と耳を楽しませます。

御神牛


太宰府天満宮の御神牛

菅原道真公が干支では乙丑(きのとうし)年生まれであること、御本殿創建の聖地が牛にゆかりがあったことなどから、境内の随所に銅牛や石牛像が納められています。御神牛像の頭をなでることで知恵を授かるとの言い伝えから、参拝者や観光客がこぞってなでる人気の像です。

麒麟像


太宰府天満宮の麒麟像

麒麟とは徳をもって世を統治する王者を象徴する聖獣とされ、太宰府天満宮では凛々しく佇む様子の麒麟像が参拝者を見守ります。菅原道真公による善政や人を憎まない誠心が聖獣麒麟に重ね合わせて考えられたことから、天満宮へと奉納されたと伝わります。

太宰府天満宮でいただける御朱印は?


太宰府天満宮の御朱印(初穂料 500円)

御本殿に向かって左側で受けることができる太宰府天満宮の御朱印。中央に梅の花をモチーフにしたスタンプが押され、堂々とした印象を受けます。御朱印をいただくと、太宰府天満宮のガイドパンフレットももらえます。

太宰府天満宮の隣に博物館!?「九州国立博物館」

あまり知られていませんが、実は太宰府天満宮のすぐ隣には、巨大な博物館があるんです。「九州国立博物館」は、東京・奈良・京都に次ぐ4番目の国立博物館として、2005年10月に「太宰府天満宮」の隣に開館しました。


九州国立博物館

曲線のデザインが特徴的な建物は、国際競技の可能なサッカー場がらくらく一面すっぽり入るほどの大きさを誇ります。また、周りを山々に囲まれているのも特徴。壁面のガラスに木々が映り込み、まるで自然と共存しているようです。

九州国立博物館は「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」というコンセプトのもと、アジア諸地域との文化交流の歴史を中心に展示しています。展示室は、文化交流展示室と特別展示室の2つ。常設展示を行う文化交流展示室では、800~900点もの文化財を定期的に入れ替えながら展示しています。


エントランスの天井は木で作られている

また、見るだけでなく、触れたり、嗅いだり、五感で体感できる展示も魅力の一つ。日本と交流のあったアジアやヨーロッパの国々の文化を五感で体感することができる施設「あじっぱ」は子どもたちにも大人気なんだとか。

太宰府天満宮だけではもったいない!そんな魅力たっぷりの博物館にもぜひ合わせて足を運んでみては。

太宰府観光でチェックしたい「梅」のお土産

梅に関連したエピソードがいくつもある、梅の都 太宰府。今回はそんな梅の都にちなんで、梅にゆかりのあるお土産をピックアップしてみました。中には太宰府でしか手に入らないお土産もあるので、ぜひ観光の際の参考にしてみてください。

梅ヶ枝餅


1個120円前後で購入できる店舗が多い。セットで購入してお土産にも

太宰府駅を出てすぐの参道にいくつもお店がある、お餅に小豆餡を包んで焼いた太宰府定番のお菓子です。

このお菓子には由緒があり、太宰府で外出も許されなかった道真公を慰めるために、時折この餅をふるまったことが起源といわれています。そして道真公が薨去された際には、この餅の傍らに梅の枝を添えて送ったということから「梅ヶ枝餅」と呼ばれるようになったのです。古くからこの餅を食べると病魔を防ぐ効能があると噂されているのだとか。

梅の焼き印が押された焼き立ての梅ヶ枝餅は、一口かじると餅の香ばしい香りと餡子の絶妙な旨味がマッチ。電子レンジやオーブンで加熱することでまた違った食感を楽しめるのも特徴です。

梅の実ひじき


「梅の実ひじき」100g 550円(税抜)

「十二堂 太宰府えとや」で販売されている、ひじきと梅の実を使用した生ふりかけです。

厳選された肉厚なひじきのしそ風味と、歯ごたえのある梅の実の爽やかな酸味が織りなす旨味が白米によく合い、箸がすすみます。ニーズに合わせて便利なコンパクトサイズの商品も販売されており、手土産やご近所へのおすそ分けなどでも買い求められる人気のお土産品。

太宰府天満宮 お神酒


太宰府天満宮の「御神酒(梅酒)」小 500円 / 大 800円

なんと太宰府天満宮では、全国でも珍しい梅酒の御神酒(おみき)がいただけます。太宰府天満宮にのみ置かれている希少なもの。知る人ぞ知る名品です。

原材料の梅も太宰府天満宮の梅を一部使用しており、太宰府のお土産としてもってこい。後味の残らないスッキリとした飲み心地で、梅酒好きの人にもおすすめできる、飲みやすい御神酒です。

令和ゆかりの地、太宰府で梅の花に思いを寄せて

大宰府政庁が外国との貿易を担っていた時代。唐から渡った梅の木がこの地へ根をおろし、咲き誇った梅の花は歌人の宴を飾り、菅原道真公に愛されながら数々の伝承を残しました。

学問や文化の象徴とされ、文人や儒学者に好まれた梅の花。それぞれの枝が独特で個性的な伸び方をする姿から、人のようとも評されます。

古代から現代へと、時代が変わっても変わらない和の心を求めて、令和ゆかりの地、太宰府を訪れてみてはいかがでしょうか。