学問の神様を祀っていることで有名な「湯島天満宮(湯島天神)」。多くの受験生が合格祈願に訪れるのはもちろん、普段から学問成就や修学旅行の学生たちで賑わっています。
そんな湯島天満宮(湯島天神)ですが、なぜ「学問の神様」として広まり、合格祈願の名所として知られるようになったのでしょうか。
この記事では湯島天満宮(湯島天神)の由来やご利益など、さらに楽しめる見どころを紹介します。
湯島天神が「学問の神様」と呼ばれる理由は?
「学問の神様」と呼ばれ、合格祈願の名所として人気の湯島天満宮(湯島天神)。学業成就や勝運などのご利益があるといわれています。ここでは湯島天満宮(湯島天神)の御祭神とご利益、そして「天神」や「学問の神様」の由来を詳しく解説していきます。
湯島天神の御祭神とご利益
湯島天神の本堂と梅
湯島天満宮(湯島天神)はもともと「天之手力雄命(あめのたぢからおのみこと)」を祀る神社として、1500年以上前の古墳時代に創建されました。また「湯島天神」は通称で、正式名称は平成12年に定められた「湯島天満宮」です。
天之手力雄命は力による征服に嘆き、岩に隠れてしまった天照大神を救いだした力の強い神様。そのため開運や勝運を司り、仕事運、スポーツ運、くじ運などのご利益があるとされています。
湯島天神が「学問の神様」として知られるようになった理由
それでは、なぜ湯島天神が「学問の神様」と呼ばれるようになったのでしょうか。それは南北朝時代の1355年「菅原道真」をもう一体の御祭神として合祀したことが由来といわれています。
菅原道真は平安時代に醍醐天皇の右大臣を務めた学者。詩や書をたしなみ、勉学に優れた才人であったことから、学問の神様として祀られることとなったのです。
菅原道真が「天神様」として祀られる理由
菅原道真像
しかし、いくら優秀な学者であったとしても、神様として祀られることはそうありません。菅原道真が「天神様」となったのにはさらに理由があるのです。
優秀だった菅原道真は役人として出世を重ね、醍醐天皇の時代に右大臣まで上り詰めたものの、政敵である左大臣の「藤原時平」に虚偽の告訴をされて福岡の太宰府へ左遷。現地でその生涯を終えてしまいます。
天災と結び付けられ「天神」になった菅原道真
ところが菅原道真の死後、都に疫病がはやり、流刑に追いやった藤原時平は病死。さらに天変地異が多発したことから、人々はこれを菅原道真の呪いと恐れ、その怒りを鎮めようと建立されたのが京都の「北野天満宮」といわれています。
天災と結びつけられた菅原道真はここで「天神」として祀られることに。その後、勉学の才能に秀でた菅原道真にあやかり、「学問の神様」として全国に信仰が広まったとされています。
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北野天満宮
菅原道真を祀った神社は「天満宮」と名付けられ、全国に約1万2000社が存在します。中でも有名なのが、総本社である京都の「北野天満宮」、福岡の「太宰府天満宮」、日本最古の天満宮といわれる山口県の「防府天満宮」の3社。これらは「日本三大天神」と呼ばれています。ちなみに湯島天満宮は「関東三大天満宮」の一つです。
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知られざる「宝くじの聖地」
目黒不動尊
学業成就と合格祈願で有名な湯島天神ですが、実は「宝くじ」の聖地でもあるんです。
江戸時代、現在の宝くじとなる「富くじ」が流行します。湯島天神は谷中の天王寺、目黒不動と並び幕府公認の富くじが発行された神社で、 この3つの場所で発行された富くじは「江戸の三富」と呼ばれ、江戸庶民にも親しまれるようになりました。
そんな宝くじ発祥の地である湯島天神は、御祭神が勝運のご利益を司ることもあり、宝くじの当選祈願をする参拝客も多いんだとか。
湯島天神の見どころは?
合格祈願で有名な湯島天神ですが、観光スポットとしても魅力的な湯島天神の見どころを紹介します。
撫で牛
湯島天神の撫で牛
菅原道真と深い縁があったとされる牛。遺言に「自分の遺骸を牛にのせて人にひかせずに、その牛の行くところにとどめよ」とあり、その牛は黙々と東に歩いて安楽寺四堂のほとりで動かなくなり、そこを御墓所と定めたとの逸話が残っています。
天満宮にはおおかた撫で牛が設置されており、自分の体の悪いところと同じ部分を撫でると、病回復の御利益があると信じられています。
本殿
湯島天神の本殿
初詣の時期に参拝客で行列ができる湯島天神の本殿。樹齢250年といわれる木曽ひのきを使用した、純木造の木造建築です。現在の建築基準法では、防火地域で新たに木造物を建築することは認められていません。しかし湯島天神の本殿は万全の防災設備をととのえ、建設大臣認定第一号として特別に許可された建物なのです。
男坂・女坂
湯島天神の男坂
境内に繋がる石段にある「男坂」と「女坂」。男坂は38段、女坂は33段で、女坂のほうがゆるやかな階段となっています。この坂の上からの景色は、歌川広重の名所江戸百景・第117景の「湯しま天神坂上眺望」にも描かれたほど。春になると、坂の両側に白梅が咲きます。
奇縁氷人石(きえんひょうじんせき)
湯島天神の奇縁氷人石
別名「迷子石」とも呼ばれる「奇縁氷人石(きえんひょうじんせき)」。昔は迷子を探す際に名を書いた紙を、この石の右側に貼って探し、迷子を見つけた際はその子の特徴を書いた紙を反対側に貼って知らせていました。身の回りに落とし物や迷子のある場合は、この石にお願いすると見つかるといわれます。迷子だけでなく、男女の仲を取り持つ力があるという噂もある石です。
梅園・筆塚
湯島天神の梅園と筆塚
湯島天神に訪れたら絶対に外せないのが「梅園・筆塚」。梅は菅原道真が愛した花と伝えられており、春になると白・赤・ピンクの梅の花が咲き乱れ、湯島天神を彩ります。梅園の右側には使い古した筆の供養のため、筆を地に埋めて築く「筆塚」が。湯島天神の筆塚は「婦系図」の作者である「泉鏡花」のもので、昭和17年に建てられました。
宝物殿
湯島天神の宝物殿
菅原道真の生涯を表す作品が多く展示された「宝物殿」。特に宝くじの元となった「富突(とみつき)」の現物や歌川広重の「江戸名所百景」は他では見られない代物です。拝観時間は9時~17時。拝観料は一般500円、高校・大学生300円、小・中学生200円。
努力の碑
湯島天神の努力の碑
元プロ野球選手・王貞治氏の「努力の碑」。1977年9月3日に通算本塁打七五六号を達成し前人未踏の世界記録を樹立した際、政府が日本初の「国民栄誉章」を王貞治氏に贈りました。その記念に建てられた石碑です。
「努力」は王貞治氏の座右の銘。崇敬する湯島天神に梅の木を献木し、そこへ一緒に建てられたそうです。
表鳥居
湯島天神の表鳥居
湯島天神の入り口に立つ「表鳥居」。都内に現存する鋳造の鳥居としては最古ものです。寛文7年(1667)に寄進されたもので、東京都指定有形文化財に指定されています。
湯島天神で合格祈願をしよう!
多くの参拝客が合格祈願に訪れる湯島天神では、学問の神様にちなんださまざまな合格祈願アイテムがあります。身につければ学問の運気がどんどん上昇するかもしれません。
合格祈願のご祈祷
湯島天神で合格祈願をしよう
湯島天神で受けられるご祈祷の中で最も人気があるのはやはり合格祈願。受験シーズンは大変混雑するので、待ち時間なく済ませるなら時期をずらして行くのがおすすめです。
絵馬
びっしりと吊るされた湯島天神の絵馬
牛に乗った菅原道真が描かれた絵馬は、受験生たちに大人気。受験シーズンには、約3万枚の絵馬が奉納されるんだとか。どれも志望校や合格祈願の文字がいっぱいに踊り、強い願いが伝わってきます。
お守り
湯島天神のお守り
湯島天神には様々なお守りがありますが、一番人気はやはり学業成就の「学業守」。学業成就が合格に繋がるとの考え方から、「合格祈願」というお守りは置かないのだそう。
さらにユニークなのが、「入試突破」の文字が大きく書かれたハチマキ。これを巻けば気合いとパワーがみなぎってきそうです。
学業成就鉛筆
これまたユニークなアイテムが、学業成就の願いが込められた鉛筆。合格を祈願する鉛筆は五角=合格という語呂合わせから五角形となっている場合がありますが、湯島天神のものは四角形。なぜ?と思ってしまいそうですが、こちらは五を欠く=合格という語呂合わせからきているんだとか。ちょっとひねりがきいているところがいいですね。
「日々の努力」「一歩一歩進め」といった格言が書かれている6本の鉛筆と、格言が入っていない6本の鉛筆が入った計12本で1セット。これは言葉や文章が書かれた鉛筆が試験で使用できない場合を考慮してのこと。昨今の受験の厳しいルールにもしっかり対応した粋な計らいです。
お礼参り
お礼参り用のだるまの絵馬
合格祈願をしたらそれっきりでおしまい、そう思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、合格など願いが叶った後には「お礼参り」をするのが作法。願いを叶えてくれたお礼に礼拝やお布施をします。湯島天神では合格祈願が多いことから、お礼参りに来る参拝客も他の神社と比べて多いそうです。
お礼参りを終えたら、だるまの描かれた絵馬を奉納します。湯島天神に掛けられているいくつものだるまの絵馬は、多くの人の願いが叶ったという証なのです。
湯島天神のイベント
湯島天神では、1年を通して個性豊かななイベントが開催されます。ここでは、湯島天神の代表的なお祭りを3つ紹介します。
梅まつり
湯島天神の梅まつり
湯島天神の中でも人気の行事の一つが、毎年2月〜3月に開催される「梅まつり」。「白加賀」という白梅を中心とした約20品種300本の梅が、美しく咲き乱れます。湯島天神は江戸時代から梅の名所として庶民に親しまれてきました。
湯島天神 梅のライトアップ
期間中はお神輿や神楽、抹茶を立てていただく野点(のだて)などのイベントを毎日開催。また日没から20時まで、ライトアップされた「夜観梅」が楽しめます。
例大際
湯島天神 例大祭のお神輿
偶数年の5月25日に行われる「湯島天神例大祭」。天神様の紋を染め抜いたお揃いの白い半纏(はんてん)を羽織った担ぎ手が、お神輿を担いで周辺地域を威勢良く練り回ります。露店も多く出店し、街全体が盛り上がるお祭りです。
菊まつり
湯島天神の菊まつり
毎年11月のはじめから下旬にかけて行われる菊まつりでは、約2,000株の菊が展示されています。「文京花の五大まつり」の一つで、地域の秋の風物詩となっています。
湯島天神 菊まつりの千輪咲
都内では珍しい「菊人形」や、崖から垂れ下がるような形に仕立てられた「懸崖(けんがい)」、一株から多数の花を咲かせ一輪の花のように見せる「千輪咲」など、意匠を凝らした様々な菊の作品を楽しめます。
湯島天神へのアクセス
東京メトロ千代田線「湯島駅」(徒歩約2分)
東京メトロ銀座線「上野広小路駅」(徒歩約5分)
東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目駅」(徒歩約10分)
JR山手線・京浜東北線「御徒町駅」(徒歩約8分)
都営大江戸線「上野御徒町駅」(徒歩約5分)
湯島天神の周辺情報
せっかく湯島に来たら、湯島天神だけではもったいない。ここでは、湯島天神と合わせて訪れたい、湯島エリアのおすすめスポットやランチを紹介します。
湯島聖堂
徳川五代将軍綱吉により、儒学の振興を図るために建てられた「湯島聖堂」。中国様式の建築が取り入れられています。
後に昌平学問所として発展し、現在の筑波大学やお茶ノ水女子大学の源流となった近代教育発祥の地であることから、こちらも合格祈願の名所となっています。湯島天神と合わせて訪れれば、さらなるご利益があるかも?
見どころは本堂に祀られた世界最大の孔子像。湯島天神と合わせて御朱印をいただくこともできます。
神田明神
江戸時代から下町の明神として庶民に親しまれた「神田明神」。神田、日本橋、秋葉原、大手町・丸の内など、108の町々の総氏神です。日本三大祭りとして有名な「神田祭」が古くから行われ、江戸の幕府や庶民に愛されてきた神社です。初詣の時期には約30万人以上が訪れるほどの人気を誇ります。
神田明神の歴史や見どころを知りたい方はこちら↓
【神田明神】江戸の守り神とも称されるパワースポット
妻恋神社
神田明神の北、蔵前橋通りを渡った路地にある小さな神社「妻恋神社」。日本七社の一つに数えられます。
「妻恋」という名前にあるように「日本武尊(やまとたけるのみこと)」とその妃「弟橘媛(おとたちばなひめ)」の「夫婦神」を祀る神社。ご夫婦愛や縁結びにご利益がある恋愛のパワースポットです。
旧岩崎邸庭園
三菱財閥岩崎家の茅町本邸だった建物とその庭園を整備した都立公園「旧岩崎邸庭園」。建物は、洋館、和館、撞球室(ビリヤード場)が残っていて、いずれも国の重要文化財に指定されています。
洋館の設計は鹿鳴館やニコライ堂と同じジョサイア・コンドルで、和館は書院造、撞球室はスイス山小屋風と様々な建築様式を楽しめます。
天庄 湯島店 本館
湯島天神から徒歩1分に位置する「天庄(てんしょう)」。明治42年の創業時から続く老舗の味を堪能することができます。「衣はサクっ、中はプリっ、ジュワー。」と口の中に広がる天ぷらは、唯一無二の食感。至福の時間を味わうことができるでしょう。
現在の店主は2代目で、なんと90歳。熟練の技を弟子たちに伝え、伝統の味は現在まで変わらず受け継がれています。ランチはボリューム満点の天丼やデザートまでついてくる天ぷら定食など、お昼からお腹いっぱいになれるメニューがいっぱい。訪れる際はお腹を空かせて来てくださいね。
天庄 湯島店 本館 基本情報
住所:東京都文京区湯島2-26-9
営業時間:11:30~14:00、17:00~21:00
定休日:水曜日
アクセス:
①地下鉄千代田線「湯島駅」より徒歩5分
②JR「御徒町駅」より徒歩10分
③地下鉄銀座線「上野広小路駅」より徒歩10分
④地下鉄丸ノ内線「本郷三丁目駅 」より徒歩10分
公式サイト:天庄
鳥つね 湯島天神前本店
湯島駅から徒歩3分の場所に位置する「鳥つね 湯島天神前本店」。1912年に鶏肉の販売を湯島天神で始めたことがきっかけで、2代目から飲食店として営業を始めました。ランチは上親子丼、ディナーはそれに加えて鳥鍋や地鶏のコース料理などを堪能することができます。
材料は鶏肉、卵、割り下、三つ葉のみ。鶏肉はその日一番良い状態のものを仕入れているそうです。素材を生かすためお肉は煮すぎず、卵はとろっとろの状態で。こだわりが詰まった一品を、ぜひ鳥つねでお召し上がりください。
鳥つね 湯島天神前本店 基本情報
住所:東京都文京区湯島3-29-3 湯島白梅ハイツ1F
営業時間:11:00~13:30、17:00~21:00(L.O.20:30)
定休日:日曜日・祝日
アクセス:東京メトロ千代田線「湯島」駅5番出入口より徒歩3分
BAIDAM 湯島店
湯島駅から徒歩1分の場所に位置するネパール料理店「BAIDAM 湯島店」。現地のスパイスを使用した、本格的な家庭料理が味わえます。本場のシェフが作るネパールの国民食「ダルバート」は大人気。豆のスープ、カレー、野菜の付け合わせがワンプレートで食べられる日本の定食のようなものです。
BAIDAM 湯島店 基本情報
住所:東京都文京区湯島3-25-11 東京堂湯島ビルB1F
営業時間:11:30〜15:00(L.O. 14:30)、17:00〜23:00 (フードL.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:30)
定休日:不定休
アクセス:
①地下鉄千代田線「湯島駅」5番出口より徒歩1分
②地下鉄銀座線「上野広小路駅」A4番出口より徒歩3分
③都営大江戸線「上野御徒町駅」A4番出口より徒歩3分
④JR「上野駅」より徒歩8分
⑤JR「御徒町駅」南口より徒歩6分
公式Instagram:BAIDAM
合格祈願以外でも楽しめる湯島天神
今回は、湯島天神の歴史や見どころを紹介してきました。合格祈願以外でも様々な見どころやイベントが盛りだくさんの湯島天神。受験のときの合格祈願だけでなく、受験生以外の方もぜひ観光スポットとしてゆっくり訪れてみてくださいね。