岐阜県白川村に位置する、日本が誇る世界遺産の一つ「白川郷」。1995年、富山県の五箇山集落とともに世界文化遺産に登録されました。特徴的な三角屋根の茅葺(かやぶき)合掌造りの集落は、時間が止まったかのような古き良き日本原風景です。
一年中観光客が訪れる白川郷ですが、冬の白川郷は、豪雪地帯ならではの景色と体験が待っています。この記事では、白川郷ライトアップイベントをはじめ、冬の白川郷の楽しみについて紹介します。
※この記事は2019年11月に制作されたものです。諸事情により最新の状況と異なる場合があります。お出かけの際はご自身で最新の情報をご確認ください
※2024年9月、一部情報を更新しました
冬の楽しみ①:雪の絶景
白川郷は例年、12月初旬に初雪が観測されます。合掌造りの屋根に雪が積もった様子は美しく、一幅の絵のようです。
雪が降るかどうかは、白川村の天気予報を確認してみてください。
雪の白川郷
冬の楽しみ②:ライトアップ
白川郷では例年、1月・2月の週末限定で集落のライトアップを行なっています。2019年からは完全予約制となり、ツアー等で参加するか、事前に駐車場や宿を予約してから参加する必要があります。
2025年(第39回)の白川郷ライトアップは全4回で開催。日程は次の通りです。詳しい参加方法などは後半で解説します。
2025年白川郷ライトアップ開催日
①2025年1月13日(月・祝)
17:30~19:30
②2025年1月19日(日)
17:30~19:30
③2025年1月26日(日)
17:30~19:30
④2025年2月2日(日)
17:30~19:30
《公式サイト》
・第39回(2025年)白川郷ライトアップイベントの開催概要について|白川郷観光協会
冬の白川郷のライトアップ
冬の楽しみ③:温泉めぐり
白川郷とその周辺には、日帰りで利用できる温泉施設があります。冬の絶景、集落の散策を楽しんだあとに、ゆっくりとお湯に浸かって温まるひとときは格別ですね。
白川郷周辺の温泉施設は次の通りです。
白川郷の湯
白川郷バスターミナルの近くにある温泉施設。内風呂、露天風呂、サウナを備えた浴場と、売店、テラス、休み処があります。
●住所:岐阜県白川村荻町337
●時間:7:00~21:00(最終入館20:30)
●定休:-
●料金:大人800円/4〜12歳400円
●アクセス:白川郷バスターミナルより徒歩約2分
●公式サイト:天然温泉白川郷の湯
※編集部しらべ(2024年9月)
大白川温泉 しらみずの湯
「道の駅 飛騨白山(ひだはくさん)」に隣接する日帰り温泉施設。周囲の峰々を望む開放感あふれる露天風呂が自慢。内湯にも大きな窓があり、四季折々の景色が楽しめます。
●住所:岐阜県白川村平瀬247-7
●時間:11:00〜20:00(最終受付19:30)
●定休:水曜・第2・第4火曜(祝日の場合は翌日休)
●料金:大人700円/小中学生400円
●アクセス:
①濃飛バス[平瀬温泉バス停]から徒歩約10分
①白川郷バスターミナルから車で約15分
●公式サイト:大白川温泉 しらみずの湯
※編集部しらべ(2024年9月)
このほか、白川郷近隣の温泉施設には「大白川露天風呂」もありますが、こちらは営業期間が6月中旬〜10月下旬までとなるため、冬は利用ができません。
冬の楽しみ④:冬のアクティビティ
雪の上をスノーシューで歩いたり、囲炉裏端で温まるのは、雪深い白川郷の冬ならでは体験。
トヨタ白川郷自然學校
白川郷バスターミナルから車で約10分の場所にある、森で遊べ、森に泊まれる施設。天然温泉やレストランを備えたホテルに泊まり、自然と触れ合うアクティビティを楽しめます。
例年冬には冬限定のアクティビティやレンタルを実施。宿泊者限定の夜のアクティビティもあります。
《トヨタ白川郷自然學校》
●住所:岐阜県白川村馬狩223
●冬のアクティビティ例:
・スノーシューレンタル
・キラキタ!ナイトハイク(宿泊者限定)
・スノースライダー(宿泊者限定)
●アクセス:
①東海北陸自動車道[白川郷IC]から車で約15分
②白川郷バスターミナルから送迎あり(要予約)
●公式サイト:トヨタ白川郷自然學校
※編集部しらべ(2024年9月)
遠山家のすったて汁づくり体験
白川郷バスターミナルから車で約15分の場所にある「旧遠山家住宅」は、1827(文政10)年頃に建てられた4層建ての合掌家屋。国の重要文化財に指定されています。例年、冬になると白川村の郷土料理「すったて汁」を作る体験イベントを開催しています。(2024年の開催情報は未確認)
《旧遠山家住宅》
●住所:岐阜県白川村御母衣125
●2023年の情報:遠山家 すったて汁づくり体験|白川郷観光協会
●関連サイト:
・旧遠山家住宅|白川村
・旧遠山家住宅|白川郷観光協会
白川郷はどのくらい雪が積もる?
白川郷のある「白川村」は岐阜県の北部、富山県と石川県との境にあります。
日本海側からの湿った空気が流れ込む北陸に近い場所にあり、さら
に標高2702mの白山の麓ということもあり、日本有数の豪雪地帯です。
例年12月〜2月にかけて雪が積もり、4月まで雪が残る年もあります。積雪はもっとも深いときで、2mを越すこともしばしばです(※)。
車にはスタッドレスタイヤを!
白川郷へ至るまでの路面は、冬季はとても滑りやすくなっているため、車でアクセスする際は、必ずスタッドレスタイヤの装着を。安全運転で向かってくださいね。
白川郷ライトアップの参加方法
冬の風物詩である白川郷ライトアップイベントは、開催33年目を迎えた2019年から完全事前予約制になりました。予約なしで当日訪れても参加はできないのでご注意を。ここでは参加方法について紹介します。
白川郷観光協会の公式アナウンスにも記載されていますが、白川郷ライトアップイベントへの参加方法は5通りあります。
参加方法①:村内の宿を予約する
通常時とは異なり、ライトアップイベント開催期間に宿泊したい場合は、かなり前もった宿泊予約が必要です。例年10月頃にライトアップ期間の予約受付が開始されます。宿泊予約は先着順ではなく、抽選式。当選者の発表は2024年11月10日(日)の予定です。
《2025年分・宿泊応募受付期間》
2024年10月1日(月)〜10月31日(木)
※1人1応募まで
《応募方法》
10月1日(火)13:00より白川郷観光協会のHPにて発表
参加方法②:指定駐車場を予約(マイカー)
マイカーでの訪問を考えている人は、ライトアップ専用駐車場の予約が必要です。募集は2回に分けて行われます。日程は次の通りです。
《指定駐車場・予約期間》
- 2024年9月10日(火) 13:00〜(完売)
- 2024年12月1日(日) 13:00〜
こちらは先着順なので、早めの予約が必要です。なお駐車場チケットは、展望台(城山天守閣 展望台)への入場チケットは含まれません。展望台へ行きたい方は宿泊予約をするか、バスツアー等への参加がおすすめです。
《予約方法》
白川郷観光協会のHPよりネット予約
参加方法④:バスツアー(路線バスが企画)を予約
岐阜県・富山県で高速バスを運行している3社(濃飛バス、加越能バス、富山地鉄バス)が白川郷ライトアップイベントに合わせて特別便を運行します。バス会社によって「博物館入園券&ぜんざい付き」「展望台入場チケット付き」など内容が異なりますので、確認のうえ予約しましょう。
濃飛バスの白川郷ライトアップバス2025
[運行日]
- 2025年1月13日(月祝)
- 2025年1月19日(日)
- 2025年1月26日(日)
- 2026年2月2日(日)
[詳細ページ]
白川郷ライトアップバス2025
[販売開始日]
2024年10月4日(金)14:00〜
※web申し込み
加越能バスの白川郷ライトアップ2025見学バス
[運行日]
- 2025年1月13日(月祝)
- 2025年1月19日(日)
- 2025年1月26日(日)
- 2026年2月2日(日)
[詳細ページ]
「白川郷ライトアップ2025」見学バスの受付について
[予約受付開始日]
- 2024年10月4日(金)14:00〜
- 2024年10月11日(金)14:00〜
- 2024年10月18日(金)14:00〜
- 2024年10月25日(金)14:00〜
※web予約
富山地鉄バス
[運行日]
- 2025年1月13日(月祝)
- 2025年1月19日(日)
- 2025年1月26日(日)
- 2026年2月2日(日)
[詳細ページ]
白川郷ライトアップバスの運行について
[予約受付開始日]
- 2024年10月4日(金)14:00〜
- 2024年10月11日(金)14:00〜
- 2024年10月18日(金)14:00〜
- 2024年10月25日(金)14:00〜
※電話予約またはweb予約
※web予約は発車オーライネットにて受付
参加方法⑤:バスツアー(各旅行会社等が企画)を予約
各旅行会社や、白川郷近郊のホテルからも白川郷ライトアップイベントに合わせてツアーが組まれます。出発地や含まれる内容は、各社により異なるので、以下よりご確認ください。
クラブツーリズム
阪急交通
klook
2025年冬限定|世界遺産・高山白川郷ライトアップ日帰りツアー(少人数グループオプション)|名古屋 / 高山発
WILLER(2024年情報)
高山グリーンホテル(2024年情報)
ほか
冬の白川郷ライトアップの見どころ
天守閣展望台に逆さ合掌造りなど見どころ満載の白川郷。事前にインスタ映えスポットや見学場所、おすすめポイントなどを知っておくとさらに旅が楽しくなります。
天守閣展望台
展望台から眺めた冬の白川郷ライトアップの様子
高台に位置する天守閣展望台は、白川郷荻町の集落を一望できるスポット。ライトアップ期間中の雰囲気は格別で、思わず冬の寒さを忘れてしまうほど。天気がいい日の日中なら、白山連峰も望めます。
自家製の飛騨そばや石割豆腐、ソフトクリームなどの食事が楽しめる施設や土産屋もあるため、風景を楽しんだ後はゆっくりと休憩するのもいですね。
※ライトアップ開催日夕方以降の天守閣展望台への立ち入りは事前予約制になります。宿泊予約またはバスツアーへの参加申し込みが必要なのでご注意ください。
明善寺から見える逆さ合掌造り
水面に反射した合掌造りの家屋
荻町地区の集落内にある明善寺からは、田んぼの水面に反射する「逆さ合掌造り」を見ることができます。集落内には、いくつかの逆さ合掌造りが見られる場所がありますが、その中でも一番ハッキリと映り込むのが明善寺です。
昼間も逆さ合掌造りは現れますが、ライトアップされるとよりくっきりと水面に映り込みます。ただし、積雪量が多いと田んぼが雪で埋まってしまうこともあるので、ご注意を。
和田家
白川郷最大規模の合掌造り「和田家」のライトアップ
国の重要文化財にも指定されている和田家は、荻町集落で最大規模の合掌造りの住居。現在も人が生活しており、昼間は居住区以外の1階の一部と2階が公開されています。入館料は大人400円、小学生200円。
和田家の見どころは風格ある建物、外観のダイナミックさ。中に入ると火が灯された囲炉裏を囲むことができます。
ライトアップ日には、和田家は二方向から照らされ、大きな合掌造りがひときわ目立つ仕様に。ライトアップ開始は17:30以降です。空が薄く青い時間帯は幻想的ですよ。
幻想的な冬の白川郷のライトアップ
「白川郷」と「合掌造り」について
世界遺産にもなっている白川郷
白川郷は、岐阜県白川村に位置する「合掌造り」の集落が残された、手つかずの自然が残る場所。季節の移り変わりとともに移ろう情景の変化も魅力のひとつです。
合掌造りとは、急勾配の屋根部分が茅葺きづくりになっている建築様式のこと。屋根の丸太組みが掌を合わせたように組まれている様子が、合掌の由来となっています。豪雪地帯の積雪時の屋根荷重を支えるのに適した建築であり、江戸時代後期から明治時代にかけて多くの合掌造りの家が建てられました。
茅葺き屋根の合掌造りをもつ民家
しかし現在、合掌造りの風景を残した地域は世界で3カ所しかない貴重な存在。合掌造りの立ち並ぶ景観は世界的にも重要な文化遺産として、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界文化遺産に登録されています。
日本の著しい経済成長の中で多くの合掌造りの景観が失われてしまった中で、この白川郷の美しい景観を守ってきた住民の努力も登録の決め手となりました。
積雪期間中、またライトアップ期間中は普段とは違った景色が楽しめる白川郷。ぜひどこか懐かしくも幻想的な風景を楽しんでみてはいかがでしょうか。
おわりに
雪景色に包まれた白川郷
白川郷のライトアップは事前予約・抽選式で行われ、その人気ゆえに誰でも気軽に見に行けることのできない貴重なイベント。
ただ、冬の白川郷の夜は、ライトアップがなくても十分に魅力的です。夜の白川郷を照らす家々の明かりは、実際に白川郷で生活が送られていることを改めて実感できます。静かな白川郷の景色を楽しむなら、ライトアップ期間外に訪れるのもおすすめです。
また、アニメ聖地巡礼スポットとしても人気の白川郷。日本が誇る新進気鋭のアーティストたちがその魅力を劇中で表現しており、映画『君の名は。』やアニメ『ひぐらしのなく頃に』など、数々の作品で白川郷が描かれています。『君の名は。』ファンの間では、白川郷と岐阜県飛騨高山を組み合わせて散策するのが人気のコースとなっているそうですよ。
白川郷へのアクセス
公共交通(村内の宿を予約している人向け)で
最寄駅:白川郷(バス停)
①金沢駅から
JR[金沢駅]→ 濃飛バスの高速バス(高山バスセンター行き)乗車 →[白川郷バス停]下車
②富山駅から
JR[富山駅]→ 濃飛バスの高速バス(高山バスセンター行き)乗車 →[白川郷バス停]下車
③名古屋駅からのアクセス
JR[名古屋駅]→ 岐阜バスの高速バス(白川郷行き)に乗車 →[白川郷バス停]下車
車で
最寄りIC:白川郷IC・荘川IC
①金沢方面から
北陸自動車道を経由し、東海北陸自動車[白川郷IC]で高速道路を下りる。国道156号経由で約5分
②名古屋・大阪方面から
東海北陸自動車[荘川IC]で高速道路を下りる。国道158号経由で約45分
③東京方面から
長野自動車道[松本IC]から国道158号経由で約2時間15分
→[飛騨清見IC]から東海北陸自動車に入り[白川郷IC]で高速道路を下りる。国道156号経由で約5分