光の絨毯と表現されるほど幻想的な雰囲気を演出する夜景。日本にも多くの名所と呼ばれるスポットが存在し、たくさんの人が夜景を楽しんでいます。
中でも「日本三大夜景」と呼ばれる長崎、札幌、北九州の夜景は一度見たら忘れられないほどの美しさを誇っています。今回はそんな日本三大夜景をより楽しむためのスポットや併せて訪れたいイベントを紹介します。
日本三大夜景には3つの種類がある?
日本の三代夜景には、実は複数の種類があることをご存知ですか?
- 日本三大夜景:函館山(函館)・摩耶山(神戸)・稲佐山(長崎)
- 新日本三大夜景:笛吹川フルーツ公園(山梨)・若草山(奈良)・皿倉山(北九州)
- 日本新三大夜景:北九州市・札幌市・長崎市
呼び名が少し異なれば、その場所も違います。
それぞれの三大夜景について、順番に解説していきます。
日本三大夜景(函館・神戸・長崎)
日本三大夜景は函館山(函館)・摩耶山(神戸)・稲佐山(長崎)が指定されています。
それぞれの場所を知っているという方も、いるのではないでしょうか?
そんな日本三大夜景ですが、実は誰が夜景の場所を決めたのか判明しておらず、いつごろ広まったのかも不明。審査基準も分かりません。
しかし、夜景がなぜ3つだけ選ばれたのかは諸説ありますが、日本文化からきているようです。
日本の文化として、物事を3つにくくる文化があります。例えば日本三大都市(東京・大阪・名古屋)や日本三景(松島・天橋立・松島)、三種の神器(勾玉・剣・鏡)、日本三大駅伝(出雲・箱根・全日本)などがありますね。
この3つに選定する文化が、夜景に対しても反映され、日本三大夜景という言葉が生まれたのかもしれません。
3つの夜景の共通点は、山上にあること、ロープウェイが整備されておりアクセスが良い、港町であること。
が挙げられます。
日米修好通商条約により開港になった5つの港のうち3つ(函館・神戸・長崎)が、日本三大夜景として知られるようになりました。
港町からの発展を遂げ、多くの人が訪れるようになった都市が選ばれているようですね。
その煌びやかに光る夜景を見下ろすことができる山が、観光客が足を運びやすいように整備されているのもポイントです。
函館山(函館)
函館山からの夜景
函館山からの夜景は、北海道を代表する観光スポットとして非常に人気があります。
市街地の明かりが星のように輝き、函館湾を中心に放射状に広がる街の光景は、まるで一枚の絵画のようです。
函館山の眺望は「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にて、3つ星として紹介されました。函館に訪れる際は、欠かすことのできないスポットです。
アクセスは市内中心部からロープウェイを利用し、山頂駅まで約3分で到達できます。
山頂には展望台があり、朝・昼・夜と時間帯に限らず美しい風景を望めるでしょう。展望台にはショップやレストランなどの施設もあるので、ゆったりと時間を過ごせます。
【函館山ロープウェイの基本情報】
住所:北海道函館市元町19-7(山麓駅)
駐車場:あり
公式サイト:函館山ロープウェイ
摩耶山(神戸)
摩耶山の掬星台からの夜景
摩耶山は、神戸市を代表する夜景スポットとして多くの観光客が訪れます。
摩耶山は六甲山地の中央にある標高702mの山。まやビューライン(ケーブルカー・ロープウェー)を乗り継ぐことで、約10分程度で山頂にたどり着くことができます。
摩耶山にある「掬星台(きくせいだい)」から、神戸市内の高層ビル群、大阪湾、さらには関西空港までの絶景を一望でき、日本三大夜景のひとつとして知られています。
夜景の他に、カフェ・ショップの「摩耶ビューテラス」や「摩耶自然公園」、「摩耶山天上寺」など見どころ満載。
夜景の他にハイキングや参拝など、1日中楽しむことができるでしょう。
【摩耶山掬星台の基本情報】
住所:神戸市灘区摩耶山町2-2
駐車場:あり
公式サイト:摩耶ビューライン
稲佐山(長崎)
稲佐山からの夜景
九州の長崎市にある稲佐山の標高333mからの夜景は、「1000万ドルの夜景」として有名です。
市街地が湾に囲まれた特有の地形を生かし、夜になると幻想的な光景が広がります。特に工場夜景としても知られる長崎は、産業と自然が織りなすハーモニーが魅力的。
稲佐山公園内を運行するスロープカーや、ロープウェイで一気に山頂に登ることが可能です。車両のデザインを手掛けたのは、フェラーリなどのデザインを手掛けた奥山清行氏が率いるチーム。
開放的な作りになっており、山頂へと登りながら望む景色は迫力のあるパノラマビューです。
稲佐山では夜景だけではなく、レストラン「ITADAKI」や緑豊かに広がる「稲佐山公園」、公園内にある「猿舎」や「鹿放牧場」などの動物と触れ合える場所もあります。
子ども連れの方でも、楽しめるスポットがこちらの稲佐山です。
【稲佐山公園の基本情報】
住所:長崎県長崎市淵町407-6
駐車場:あり
公式サイト:稲佐山公園
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新日本三大夜景とは?(山梨・奈良・北九州)
新日本三大夜景とは「新日本三大夜景・夜景100選事務局」が選ぶ夜景のことを指します。
事務局は2002年4月に発足した、日本初と言われている夜景活動団体です。
2003年に
・笛吹川フルーツ公園(山梨県山梨市)
・若草山(奈良県奈良市)
・皿倉山「(福岡県北九州市)
が新日本三大夜景に選ばれました。
選定基準として以下のようなものが挙げられます。
・感動できること
・一定の都市の近くにあること
・道がある程度舗装されていること
・一般開放されていること
多くの人が訪れることができる、場所が選ばれているようですね。
公式サイト:新日本三大夜景・夜景100選事務局
それぞれの場所の魅力を紹介していきます。
笛吹川フルーツ公園
笛吹川フルーツ公園からの夜景
笛吹川フルーツ公園は、山梨県の山梨市に位置する観光スポット。フルーツについて学べる施設が揃っています。
その他、「わんぱくドーム」や「アクアアスレチック」など、小さなお子様が体を動かせる設備も備えているので、お子様連れの方にも楽しめる公園です。
夜になると、甲府盆地やドーム型レストラン「星屑レストラン ガイア」がライトアップされ、美しい夜景が広がります。
そのロマンチックな風景から、「恋人の聖地」としても知られています。カップルで訪れても良いですね。
【笛吹川フルーツ公園の基本情報】
住所:山梨県山梨市江曽原1488番地
駐車場:あり
公式サイト:笛吹川フルーツ公園
若草山
若草山からの夜景
奈良県の奈良市にある若草山は、奈良公園の近くにある芝生に覆われた山です。
毎年1月には若草山で「山焼き」が行われています。山頂には5世紀ごろに作られたとされる、史跡鷲塚古墳も点在。
山頂からは、奈良市街や東大寺の大仏殿、さらには遠くの生駒山などを一望でき、日が落ちると街の明かりが美しく輝きます。
視界を遮るものがなく、パノラマビューを存分に楽しむことができるでしょう。
アクセスは市内中心部から徒歩やバスで、公園や歴史的な施設と併せて訪れることがおすすめです。
【若草山の基本情報】
住所:奈良市雑司町469
駐車場:あり
公式サイト:奈良公園
皿倉山(北九州)
皿倉山からの夜景
北九州市の皿倉山は、標高622mの九州地方を代表する夜景スポットです。
山頂まで「皿倉山ケーブルカー・スロープカー」で登ることができ、アクセスは抜群。
ゆっくりと登りながら、眼下に広がる北九州市の夜景は、思い出のひとときになりそうです。
山頂からは、門司港や小倉市街、関門海峡をはじめとする壮大な景色を楽しむことができ、夜の景色は「100億ドルの夜景」とも呼ばれています。
展望レストラン「天宮-TEN・KYU-」で夜景を見ながらの食事も、おすすめですよ。
【皿倉山の基本情報】
住所:福岡県北九州市八幡東区尾倉1481-1
駐車場:山頂付近になし
公式サイト:皿倉山ケーブルカー&スロープカー
日本新三大夜景とは
長崎の鍋冠山からの美しい夜景
日本新三大夜景とは、国内の事業団体である「夜景観光コンベンション・ピューロー」が認定する夜景のことを指します。
選出方法は夜景鑑賞士による投票。全国のアンケート方式。投票された各都市のランキングからポイント別に集計し、上位三都市を日本新三代夜景として認定しています。
3年に一度、その順位を更新しており2022年は4年ぶりに選定。その結果、1位は北九州市、2位は札幌市、3位は長崎市となりました。
日本三大夜景といえば函館、神戸、長崎というイメージを持っている人も多いと思いますが、なぜこの3都市が選ばれることとなったのでしょうか。
それぞれの都市の魅力を紹介していきます。
公式サイト:日本新三代夜景
日本新三大夜景①:北九州
力強い工場夜景が特徴の北九州の夜景
ランキングの1位を獲得したのは福岡県北九州市の夜景です。沿岸地域の力強い印象を与える工場夜景と煌びやかな都市部の夜景の両方を楽しむことができるエリアとなっています。
自然も豊富でイベントも多く開催されるなどさまざまな要素が入り混じり、楽しみ方の幅が広がっていることが評価のポイントになったそうです。「皿倉山」「門司港レトロ展望室」など夜景観賞スポットも点在しています。
北九州のおすすめ夜景スポット・イベント
多くの名所があり、さまざまな楽しみ方ができる北九州の夜景。「100億ドル」ともいわれる貴重な絶景を存分に楽しめるスポットを紹介します。
門司港レトロ展望室(もじこうレトロてんぼうしつ)
レトロ感満載の建物がある門司港レトロ展望室
地上103mに位置する「門司港レトロ展望室」。見下ろすと明治・大正時代に国際貿易港として栄えた門司港があり、文字通り「レトロ」な雰囲気を残しています。奥に目をやると都市部の煌めきが見え、時代の混ざり合いを味わうことができます。
冬にはイルミネーションが開催され、水面に色とりどりのライトが映り込む景色はまさに絶景。展望室にはカフェも併設されているため、ゆったりと過ごしたい人にもおすすめです。
工場夜景
独特の存在感と美しさを放つ工場夜景
北九州の夜景といえばなんといっても「工場夜景」。近年の「工場夜景ブーム」により、注目度が高まっているエリアです。
北九州の工場夜景はとにかくダイナミック。製鉄所やプラント群などイメージ通りの工業地帯が夜の中に浮かび上がります。
定期鑑賞クルーズも運行しており、より近くで工場の迫力を感じながら無機質な美しさに浸ることができます。
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小倉イルミネーション
環境にも配慮されている小倉イルミネーション
北九州の冬を代表するイベントである「小倉イルミネーション」。次世代を担う子供の夢と感動を育むという目的で開催されている光のショーです。
都心部の各エリアではさまざまなイルミネーションが開催。テーマの一つを「エコ」と設定し、環境やヒトに優しいイルミネーションを展開しています。
日本新三大夜景②:札幌
光り輝く夜の札幌市街
ランキングで2位を獲得したのは北海道札幌市の夜景です。北海道の夜景といえば函館や小樽を挙げる方も多いと思いますが「日本新三大夜景」のランキングでは札幌が北海道エリアを制することとなりました。
札幌が上位に食い込んだ理由は「藻岩山(もいわやま)」「さっぽろテレビ塔」「JRタワー」など多くの夜景スポットが点在しているからだそう。
夜景に加えてイルミネーションの先駆けともいわれる「さっぽろホワイトイルミネーション」や「さっぽろ雪まつり」など冬を彩るイベントも多く開催され、賑わいを見せています。
札幌の夜景おすすめスポット・イベント
「煌めく宝石箱」ともいわれる札幌の夜景を楽しむためのスポットやイベントを紹介します。冬の北海道の澄んだ空気を肌で感じながらロマンティックな絶景を堪能しましょう。
藻岩山(もいわやま)
まさに宝石箱のような美しさを放つ藻岩山からの夜景
標高563mを誇る「藻岩山(もいわやま)」。札幌の街並みを一望できる絶景スポットです。眼下に広がる石狩平野には北海道最大の都市が広がり、美しい光を放っています。
麓(ふもと)から中腹まではロープウェイ、中腹から山頂まではケーブルカーの「もーりすカー」で移動できるため、足腰に自信がない人も訪れやすくなっています。
また「日本百名月」として認定登録された地でもあるため、雲の少ない夜に浮かぶ月と夜景のコンビネーションはうっとりするほど幻想的。全国の夜景ファンからも絶大な支持を得ている眺望です。
さっぽろテレビ塔
さっぽろテレビ塔から見た札幌大通公園
赤が目を引く「さっぽろテレビ塔」。1956年に建てられた高さ約147mを誇る札幌のランドマークです。
さっぽろテレビ塔の地上約90mに位置する展望台からは「札幌大通公園」の夜景を楽しむことができます。奥までまっすぐ伸びる大通りは整理された都市の美しさを伝えてきます。
また11月からは札幌大通公園にて「さっぽろホワイトイルミネーション」が開催。近くで見るのとは異なる表情のイルミネーションは美しい夜景にアクセントを加えています。
JRタワー
札幌の夜景をすぐ近くで堪能できるJRタワー
札幌駅直結の「JRタワー」。非常にアクセスが良い展望台として札幌の夜景価値を高める主役となったビルです。
地上160mという高さを誇りながらも、夜景街の中心に位置するJRタワー。山から遠くを眺めるように観賞する場所が多い夜景の名所ですが、JRタワーは360度全方位を夜景に囲まれています。すぐ足元まで輝く夜景を心ゆくまで楽しむことができるスポットです。
さっぽろホワイトイルミネーション
日本三大イルミネーションにも認定されているさっぽろホワイトイルミネーション
イルミネーションの先駆けといわれている「さっぽろホワイトイルミネーション」。冬に札幌大通公園にて開催される大規模なイルミネーションです。
クリスマスや北海道の自然をイメージしたオブジェが立ち並び、色とりどりの光を放ちます。毎年新演出が加わるため、何度訪れても新鮮な気持ちで楽しむことができます。
さっぽろ雪まつり
ライトアップされている巨大な雪の城
札幌の風物詩ともいえる「さっぽろ雪まつり」。1950年に始まった歴史ある祭りです。
開催地である札幌大通公園には迫力のある巨大な雪像がいくつも並び、多くの観光客を魅了します。雪像は毎年異なり、ジャンルもさまざま。どんな雪像があるか楽しみに訪れてみましょう。
飲食ブースではラーメンやジンギスカンなどの北海道名物や、海鮮、温かいスープなどが楽しめます。開催時期の札幌は非常に気温が低いため、温かいものが染み渡ります。
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日本新三大夜景③:長崎
日本一の夜景と評される長崎の夜景
長崎の夜景の中心となっているのが「鶴の港」と呼ばれる長崎港。港の周りを山が取り囲むようにそびえ立ち、すり鉢状と表現される地形が特徴的な地域です。
この地形の恩恵を受けて稲佐山、鍋冠山、グラバー園などさまざまなスポットからの景観が楽しめる日本随一の夜景が広がっています。夜景に関するイベントも多く、街をロマンティックな雰囲気が包みます。
長崎のおすすめ夜景スポット・イベント
さまざまな角度から観賞できることが特徴の長崎の夜景。日本一の座を勝ち取った絶景を目一杯楽しむためのスポットやイベントを紹介します。
鍋冠山(なべかんむりやま)
豪華クルーズがインパクトを加えている鍋冠山の夜景
標高169mの「鍋冠山」。稲佐山と並ぶと評されるほどの絶景を楽しむことができる人気のスポットです。
何気ない1日に訪れても息を呑むほどの景色が広がっていますが、長崎港に豪華クルーズが夜間まで停泊する日は圧巻の輝きを放ちます。いつでも見られるわけではないので見たい人はしっかりとチェックしてから訪れるようにしましょう。
グラバー園
西洋の雰囲気を醸し出すグラバー園の建築物
旧グラバー住宅をはじめとする明治時代に長崎市内に点在していた6つの歴史的建築物を移転復元した「グラバー園」。美しい建物やライトアップ、自然と街並みを一度に楽しめる眺望が魅力の長崎県を代表する観光スポットです。
グラバー園の名前にもなっている旧グラバー住宅はスコットランド出身のトーマス・ブレーク・グラバーの邸宅として建てられました。日本の建築と西洋の建築が織り混ざった歴史的にも貴重な建築物です。
ライトアップされる旧グラバー住宅
邸宅前の丸い花壇は絶好の撮影スポット。チューリップ、アジサイなどの美しい季節ごとの花を楽しむことができます。
園内でのライトアップや「グラバーズナイトイルミネーション」と呼ばれるイルミネーションも建物や花の美しさをより際立たせるイベントとして多くの人が訪れます。
グラバー園から見る長崎の夜景
グラバー園からの夜景を楽しむことができるのは「旧三菱第2ドックハウス」。2階のベランダからは夜景だけでなく、稲佐山などの雄大な長崎の自然を堪能することができます。
長崎ランタンフェスティバル
巨大なオブジェに圧倒される長崎ランタンフェスティバル
長崎の冬の風物詩ともいえる「長崎ランタンフェスティバル」。中国の旧正月を祝う「春節祭」を起源とする一大イベントです。
各会場には大型のオブジェが設置され、新地中華街では10mを超えるものを見ることができます。「龍踊り」「中国雑技」など中国らしいイベントが開催され、多くの人が訪れます。
ランタンが町中を赤く照らす情景は異国のような雰囲気を作り出しており、長崎の夜に華を添えています。
自分にとっての特別な夜景を探してみよう
今回は日本三大夜景とおすすめスポットについて紹介しました。エリアごとにさまざまな特徴と魅力がある夜景。あなたがいつも何気なく通る街でも遠くから見ると息を呑むような美しさを放っているかも。
全国各地の夜景を回って自分にとっての特別な景色を探してみてはいかがでしょうか。
Edit:Kaoru Maki