たまには自分で運転せずに、のんびり気ままに鉄道で。そんな旅もいいものです。そして、そんな時に立ち寄れると嬉しいのが温泉でしょう。乗り換え・待ち時間の有効活用や、旅の疲れを癒すなど、温泉に浸かれば旅の満足度もグッと上がります。
魅力的な鉄道路線が多い北海道で、駅近で日帰り入浴を楽しめる温泉施設をピックアップしてご紹介します。
TOP写真:谷地頭温泉
※本記事に掲載の情報は2024年3月時点のものです。諸事情により変更となる場合がありますので、お出かけの際は各公式サイト等で最新情報をご確認ください
《関連記事》
■ 【函館本線】列車でゆるり函館〜長万部観光:駅弁や大沼公園を満喫
■ はじめての【青春18きっぷ】2024年版-値段・利用期間・使い方と裏ワザetc
■ 【北海道の温泉】有名な三大温泉地&人気温泉街の冬イベントを紹介
紹介施設一覧MAP
今回紹介する施設は次の6カ所。すべて鉄道または路面電車でアクセスできます。
【昆布駅】昆布川温泉 幽泉閣(こんぶかわおんせん ゆうせんかく)
昆布川温泉 幽泉閣の大浴場(写真提供:昆布川温泉 幽泉閣)
新幹線の並行在来線として廃止が決まっている函館本線のいわゆる「山線」区間。幽泉閣はその中の昆布駅の近くにあり、駅を出て跨線橋を渡ると見えてくる温泉です。
泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で源泉かけ流し。浴室には、大浴槽はもちろん、露天風呂・うたせ湯・湿式サウナ・乾式サウナ・あつ湯・ジャグジー・水風呂があるほか、要予約ですが家族風呂もあります。
館内にはWi-Fi完備、新聞・雑誌コーナーが併設されているロビーのほか、レストランや、お米や山菜、地元銘菓といった地域の特産品を取り揃えている売店コーナーがあり、温泉だけでなく食事からお土産の購入まで可能です。
昆布川温泉 幽泉閣の露天風呂(写真提供:昆布川温泉 幽泉閣)
昆布川温泉 幽泉閣へのアクセス
JR函館本線[昆布駅]から徒歩約7分
昆布川温泉 幽泉閣 施設情報
●住所:北海道蘭越町昆布町114-5
●時間:10:00~21:30(最終入館21:30)
※月曜(祝日の場合は火曜)は12:00から営業
●定休:なし
●料金:大人……600円 小学生……360円
●備え付け:シャンプー/ボディーソープ
●タオルの貸出・販売:あり
●公式サイト:幽泉閣
【上野幌駅】里の森 天然温泉森のゆ
露天風呂は眺望抜群(写真提供:山根園ウエストヒル)
札幌駅から普通列車で15分ほど、上野幌駅近くの温泉なので札幌近郊からのアクセスはグッド。札幌市中心部からほど近い場所でありながら、温泉の周囲には森林が広がっているのも特徴です。
男女の浴室は毎日入れ替わり、西側の浴室からは札幌周辺の山々の姿が、東側の浴室からは眼前に広がる森を通して四季の移ろいが、それぞれ目を楽しませてくれます。
内風呂は中温湯と高温湯の2種。大きな窓があり開放的(写真提供:山根園ウエストヒル)
泉質はアルカリ性単純泉。免疫力アップや美肌に効果があるとされています。浴室にはバイブラもある内湯のほか、露天風呂やサウナもあり、特に露天風呂では湯浴みと森林浴を一度に楽しめます。
館内には足を伸ばしてくつろげる広い休憩室のほか、レストラン・売店・冷たいドリンクやおつまみを販売するテイクアウトコーナーも完備されています。温泉の周囲にはパークゴルフ場もあり、1日楽しむことができる施設です。
ハンモックやテーブル&イス、レンガ造りの暖炉がある中央休憩所。外にはウッドデッキテラスもあります(写真提供:山根園ウエストヒル)
里の森天然温泉森のゆへのアクセス
JR千歳線[上野幌駅]から徒歩約10分
里の森 天然温泉森のゆ 施設情報
●住所:北海道北広島市西の里511-1
●時間:9:00~22:00(最終入館21:30)
●定休:なし(元日・設備メンテナンス日を除く)
●料金:
大人……平日800円、土日祝・特定日850円
子ども……300円
●備え付け:シャンプー/ボディーソープ/ドライヤーなど
●タオルの貸出・販売:あり
●公式サイト:温泉|里の森
【新得駅】新得町営浴場駅前温泉
レトロで可愛らしい外観(写真提供:新得町)
十勝地方北西部にある新得町。その中心駅である新得駅で下車し、駅を出ると右側に見えるピンクの建物が「新得町営浴場駅前温泉」です。その看板には「狩勝峠」や「秘境トムラウシ」などの文字が踊り、まさしく「駅前温泉」であることが伝わってきます。
広々とした浴場(写真提供:新得町)
温泉の泉質は弱アルカリ性で美肌効果が期待できます。なお、こちらの温泉は毎日、約60km離れた町内のトムラウシ温泉から運ばれてきます。そのため、天候不良や輸送車の点検で温泉を運べない場合、水道水での営業となることにご注意を。
男女浴室のほかサウナ付き浴室があり、水曜のみ女性、そのほかの曜日は男性が利用できます。サウナ付き浴室の入浴料は450円(2024年6月1日以降は520円)です。
サウナの中はほどよい暗さ(写真提供:新得町)
また、新得駅構内には町の名物・新得そばの立ち食いコーナーがあるほか、駅の周辺でもお蕎麦屋さんが数軒営業しており、入浴の前後にお腹を満たすことができます。
新得町営浴場駅前温泉へのアクセス
JR根室本線[新得駅]から徒歩約3分
新得町営浴場駅前温泉 施設情報
●住所:北海道新得町本通南1-21
●時間:14:00~21:30(最終入館21:00)
●定休:1月1日、1月2日、設備点検日
●料金:
大人(12歳以上)……420円[490円]
中人(6歳以上12歳未満)……140円[150円]
小人(3歳以上6歳未満)……70円[80円]
サウナ付き浴室利用……450円[520円]
※[]内は2024年6月1日以降の改定料金
●備え付け:なし(石鹸/シャンプーの販売あり)
●タオルの貸出・販売:あり
●公式サイト:町営浴場|北海道 新得町
【谷地頭電停】谷地頭温泉
谷地頭温泉の内湯(写真提供:谷地頭温泉)
函館には全国的にも知名度が高い「湯の川温泉」がありますが、今回ご紹介するのは函館山の東麓にある谷地頭温泉。函館市電2系統の終点・谷地頭電停の近くにあり、観光地然とした湯の川温泉とは違い、地元客に人気の温泉です。
もともとは市営温泉として営業されていましたが、2013年に民営化・リニューアルオープンしたため、館内はバリアフリー対応。泉質はナトリウム塩化物泉で源泉かけ流し、鉄分を含んでいるため茶褐色となっているのが特徴です。
浴場内は天井が高く開放感があり、露天風呂には特別史跡五稜郭跡をかたどった星形の浴槽があるのもポイント。
星型の露天風呂(写真提供:谷地頭温泉)
もちろんサウナも完備されています。休憩所や食堂(火曜定休)もあり、入浴後にゆっくりとくつろぐことができます。特に、食堂で販売されている山川牧場の牛乳やソフトクリームはオススメです。
谷地頭温泉へのアクセス
函館市電2系統[谷地頭電停]から徒歩約5分
谷地頭温泉 施設情報
●住所:北海道函館市谷地頭町20-7
●時間:6:00~22:00(最終入館21:00)
●定休:第2火曜
●料金:大人……460円 子ども……140円
●備え付け:なし(シャンプー/ボディーソープなどの販売あり)
●タオルの貸出・販売:あり
●公式サイト:地元密着なごみの湯、谷地頭温泉の楽しみ方|はこぶら
【稚内駅】ヤムわっかない温泉港の湯
稚内市の中心部にある副港市場、その中に2022年10月にグランドオープンしたのがこちらの施設。泉質は塩化物泉・含鉄泉・炭酸水素塩泉で、露天風呂やジェットバス・サウナも完備しています。
露天風呂からは港の景色が見え、海鳥の声を聴くこともでき、最北の街の風情を感じられるでしょう。
館内には売店やレストランがあるほか、休憩スペースもあり、そちらには常時約5000冊の漫画が取り揃えられ、自由に読むことができます。
また、施設が入居する副港市場内には稚内市樺太記念館という資料展示施設も入っており、樺太と北海道・日本の結びつきや、樺太の暮らしや文化を学ぶことができます。周辺には土産物屋も建ち並んでおり、温泉の周辺で旅の思い出をたくさん作ることができます。
ヤムわっかない温泉港のゆへのアクセス
①JR宗谷本線[稚内駅]から徒歩約10分(車で3分)
②JR宗谷本線[南稚内駅]から徒歩約15分(車で4分)
ヤムわっかない温泉港のゆ 施設情報
●住所:北海道稚内市港1-6-28
●時間:10:00~22:00(最終入館21:30)
●定休:-
●公式サイト:ヤムわっかない温泉港のゆ
※編集部しらべ
【江部乙駅】えべおつ温泉
駅を出て左へ進むとほどなく見えてきます。大正初期に冷鉱泉が発見され、その後1980年代にボーリングによって温泉が噴出しました。温泉の泉質は単純泉。温泉・冷鉱泉とも掛け流しで、高温湯・温泉・電気風呂・バイブラ風呂・温浴風呂・水風呂・サウナと7種類のお風呂を楽しめます。
隣接する「蕎麦処 みたて」では、近郊の浦臼産ぼたん蕎麦を、挽きたて、打ちたて、茹でたての十割そばでいただくことができます(土日祝のみ、11:00~14:00)。
かけ流しの温泉と十割そばで贅沢な時間を過ごすことができるでしょう。
えべおつ温泉へのアクセス
JR函館本線[江部乙駅]から徒歩約2分
えべおつ温泉 施設情報
●住所:北海道滝川市江部乙町西12-8-22
●時間:10:00~22:00
※月曜は15:00~22:00
●定休:-
●公式サイト:えべおつ温泉
※編集部しらべ
おわりに
今回は北海道の鉄道旅で訪れたい駅近日帰り温泉をご紹介しました。
駅はまちの中心にあることが多く、その近くにある温泉はまた、有名な温泉地とは違い、地元の人々が多く訪れるということが特徴のひとつと言えるでしょう。
温泉に浸かりながら、その土地の風土や文化を感じるのも旅の醍醐味ですね。
Text:JYK_R
フリーライター、日本観光士会認定観光プランナー。北海道出身・在住。学生時代を東京・茨城で過ごしたため関東成分も少し。旅行&鉄道好きが高じて地理・観光を学んだことから、その二つの分野のほか、旅行や都市、文化などに関する記事を中心に執筆。
Edit:Erika Nagumo