ここは外すな! 抑えておきたい見どころポイント
見どころ① 天守
見どころ② 二重櫓(にじゅうやぐら)
見どころ③ 大手門跡とその石垣
見どころ④ 「備中松山雲海城展望台」と天守を結ぶ山道
見どころ⑤ 旅の記念になる「御城印」
見どころ⑥ まるで天空の城ラピュタの世界! 備中松山城を包み込む雲海
見どころ⑦ 愛らしいマスコット的存在 猫城主さんじゅーろー
備中松山城の歴史とは? おもな歴代城主と出来事
基本情報・アクセス・駐車場
備中松山城と合わせて楽しみたい周辺観光情報
備中松山城周辺で開催されるイベント
まとめ

岡山県高梁市の標高430mの臥牛山頂上付近に建ち、岡山県を代表する人気の観光名所のひとつ「備中松山城」。幻想的な雲海の景色が人気なだけでなく、天守が残る日本で唯一の山城として国の重要文化財に指定がされており、日本100名城にも選ばれています。

この記事では、これから備中松山城を訪れる方へ向けて城の歴史や見どころ、合わせて訪れたい周辺の観光スポットなどについてご紹介します。雲海以外の見どころもたくさんありますので、ぜひ旅のプランの作成に活用ください。


協力:高梁市観光協会/高梁市

ここは外すな! 抑えておきたい見どころポイント

はじめに備中松山城を訪れたら絶対に抑えておきたい、見どころのポイントをご紹介します。備中松山城は観光の名所が広範囲にわたるスポットです。効率的な観光のためにも、見どころはしっかりと事前に抑えておくのがおすすめです。また、観光の際には徒歩での移動が多いので、スニーカーや登山靴など歩きやすい靴・服をご用意くださいね。

天守の残る唯一の山城・備中松山城(小松山城跡)の見どころ7選

備中松山城を巡る際は大きく三の丸・二の丸・本丸・天守と4つのエリアを回りますが、7つの見どころがガイドマップでは紹介されています。その中で、特に見ていただきたいのが、国の重要文化財にも指定がされている天守と二重櫓(にじゅうやぐら)です。

見どころ① 天守

備中松山城天守

標高430メートルに建つ天守(写真:PIXTA)

備中松山城は山の地形を生かして築かれた〝山城(やまじろ)〟という種類の城ですが、現在も天守が残る日本の山城は備中松山城だけ。1683年に修築された備中松山城の天守は非常に貴重な建造物なのです。「層塔型」と呼ばれる、段々に積み重ねた建築様式で、天守の高さは約11メートル。お城の中では比較的低いのも特徴のひとつです。見かけは三層ですが実際は二層二階です。

天守の中は一般開放されており、外観だけでなく内部の様子を見学することも可能です。建物1階には大広間と囲炉裏、城主一家の居室である「装束の間」が設けられており、籠城戦も想定していたことが窺い知れます。2階には「御社壇(ごしゃだん)」とよばれる祭壇も設けられています。

媚中松山城内部の御社壇

2階にある「御社壇」(写真提供:(一社)高梁市観光協会)

もともと備中松山城は天守と「八の平櫓」という建物が連結していて、八の平櫓から天守の中に入れるようになっていました。しかし八の平櫓は荒廃がひどかったために現在は跡地として残っています。

見どころ② 二重櫓(にじゅうやぐら)

備中松山城の二重櫓

二重櫓も国の重要文化財に指定されています(写真提供:岡山県観光連盟)

天守のすぐ近くにある、天守よりも少し小ぶりの建物が「二重櫓」です。名前の通り2階建ての構造を持ち、1681年〜1683年の大修築の際に建てられたと言われています。建物の土台には石垣が築かれており、高さは約8.4メートル。備中松山城にある建物の中で、天守と同じく2階建ての構造を持つ唯一の櫓であることから、ここが城の中において重要な施設であったことが汲み取れます。

この他にも、備中松山城にはおすすめの見どころがありますのでいくつかご紹介をいたします。

見どころ③ 大手門跡とその石垣

備中松山城の大手門脇の石垣

大手門脇の石垣(写真提供:岡山県観光連盟)

備中松山城の入り口としての役割を担っていたのが大手門で、備中松山城へふいご峠方面(駐車場方面)から向かうと中盤で目にする場所です。
周囲の山で取れる花崗岩を石垣に活用し、重厚感あふれる出で立ちが印象的です。周囲には、紅葉する木が植わっているため夏は新緑、秋は紅葉のスポットとしても人気を集めています。

見どころ④「備中松山城展望台」と天守を結ぶ山道

備中松山城と備中松山城展望台の間の徒歩ルート

備中松山城と備中松山城展望台の間の徒歩ルート(写真:PIXTA)

備中松山城と、雲海が望める「備中松山城雲海展望台」は少し離れています。備中松山城からは車または徒歩で向かいましょう。

車を利用すればおよそ10キロの道のりを、20分ほどでアクセスすることができます。備中松山城から備中松山城雲海展望台に車で向かう際に通る峠にはその昔、刀を作る施設があったそうです。そこに大きな「ふいご」が置かれていたことから、その峠は「ふいご峠」と呼ばれています。

備中松山城から備中松山城雲海展望台へ、徒歩で向かう場合は車でのルートとは別のルートをたどります。備中松山城の天守からさらに奥、「大松山城跡」方面に進み「大松山つり橋」を経由します。山中をゆくハイキングコースのようになっており、山城らしさを味わうにはおすすめのコースです。

見どころ⑤ 旅の記念になる「御城印」

備中松山城の御城印

備中松山城の御城印は通常タイプとさんじゅーろーのイラスト入りの2種類!(写真提供:(一社)高梁市観光協会)

旅の記念などに御城印を集めている人も多いのではないでしょうか。備中松山城でも御城印を手に入れることが可能です。
備中松山城のイラストを背景に、赤い色で描かれた備中松山藩・藩主の板倉氏の家紋と「登城記念・備中松山城」の文字と訪れた日の日付が描かれています。
購入を希望する方は入り口にある券売所へ足を運んでください。また、備中松山城の御城印はスタンプ式ではなく、書き置き(印刷)を採用しています。

見どころ⑥ まるで天空の城ラピュタの世界! 備中松山城を包み込む雲海

備中松山城雲海展望台から見る雲海

備中松山城雲海展望台から見る雲海(写真:PIXTA)

備中松山城を全国的に有名にしたと言っても過言ではないポイントが、「備中松山城雲海展望台」から見ることのできる景色。
雲海に包まれた備中松山城と臥牛山(がぎゅうざん)の景色がとても幻想的で素晴らしいと人気を集め、毎年多くの人が足を運ぶスポットとなりました。その様子は宮崎駿監督のスタジオジブリ作品のひとつ『天空の城ラピュタ』のワンシーンを再現したような光景とも言われています。

雲海の見頃は秋〜春の早朝

雲海は9月下旬〜4月上旬の早朝の時間帯に現れることが多く、早朝と前日の日中の寒暖差が大きいほど出現の可能性が高くなります。自然現象のため天気に左右されることが多く、訪れた日にその景色に出合えるかどうかは運も重要な要素といえるでしょう。
運良く雲海に出合うことができれば、その景色に感動することは間違いなしです。雲海の出現率を予想したサイト(週末探検家「雲海出現NAVI」備中松山城)などもありますので、ぜひ訪れる前は活用してみてください。

見どころ⑦ 愛らしいマスコット的存在 猫城主さんじゅーろー

猫城主のさんじゅーろー

猫城主のさんじゅーろー(写真提供:岡山県観光連盟)

備中松山城に訪れたら絶対に会いたいのが、猫城主のさんじゅーろーです。2018年(平成30)年の西日本豪雨災害後に備中松山城に突然現れ、いつしか住み着くようになった猫さんで、激減した観光客数をV字回復させた招き猫です。
愛らしいその姿が人気を集め、2018年(平成30)年の12月に正式に猫城主に就任。最初に見つけられた場所が、三の丸であったことと、備中松山藩出身の新撰組隊士・谷三十郎にちなみ、「さんじゅーろー」の名前が付けられました。

毎日10時と14時に城内見回り(散歩)をしていますので訪れた際はぜひ見つけてみてください。見回りのルートが決まっていなくどこで会えるか分からないのも、旅人の心をワクワクさせます。
またSNSでも、さんじゅーろーの様子は配信されていますのでこちらも合わせてご覧ください。

Instagram ▶︎ さんじゅーろー【公式】
Twitter ▶︎ 備中松山城 猫城主 さんじゅーろー
facebook▶︎備中松山城 猫城主 さんじゅーろー

備中松山城の歴史とは? おもな歴代城主と出来事

築城と兵乱[秋庭氏〜三村氏時代]

備中松山城の復元予想図

備中松山城の復元予想図(写真提供:(一社)高梁市観光協会)

備中松山城の歴史は1240年、鎌倉時代まで遡ります。現在の高梁市有漢町(たかはしし うかんちょう)に当たる地域に地頭として赴任していた秋庭三郎重信(あきば さぶろうしげのぶ)が、臥牛山の大松山に砦を築いたのが始まりと言われています。

その後時代が流れ、1574年に起こった備中の戦国大名・三村元親(みむら もとちか)と毛利氏・宇喜多氏による戦い「備中兵乱」。この時には、20を超える砦が城の周りに築かれ、戦いの重要拠点となっていました。要塞の跡は現在も一部残っていて、当時の様子を垣間見ることができます。

戦いに敗れ城主交代[毛利氏〜小堀氏時代]

備中兵乱では城主であった三村元親が毛利氏に破れ、1575年に毛利輝元(もうり てるもと)が城主に就任。その後は、毛利氏の東方進出の重要拠点として備中松山城は活躍しました。

1600年頃まで毛利氏が治めた備中松山城でしたが、関ヶ原の戦いに毛利氏が敗れた後には備中国の奉行として小堀氏が1617年まで城主を務めます。この間には、大きな戦乱などはなく城の改修などが行われていました。

改修が進んだ江戸時代[池田氏〜水谷氏時代〜]

小堀氏から池田氏に城主が移ってからの数十年間は世襲で城主を務めてきたものの、1640年頃になると跡継ぎ不足が発生。そのため江戸幕府の大名であった水野勝俊(みずの かつとし)が城地を預かりその後、5万石で1642年に水谷勝隆(みずのや かつたか)が備中成羽から移り城主を務めました。

水谷勝隆が死去したあとには、水谷勝宗が城主を引き継ぎ1681年から1683年にかけて城の大改修を実施。現在残っている天守や高い石垣などは、この時の大改修によって完成したとされており、現代まで残る城の基盤を構築しました。

備中松山城の歴代城主家と主な城主

明治以降

明治に入り廃城令が出されるも、備中松山城の天守や櫓は山の上にあったため取り壊しを免れました。しかし時が経つにつれ、城は荒廃。崩壊寸前だった城を救ったのは地元の有志でした。1939年(昭和14年)の「昭和の大改修」を経て、1950年には天守が残る貴重な山城として国の重要文化財に指定されました。修復などを行いながらもその美しい姿を後世に伝えています。

昭和の修理時の備中松山城

昭和の修理時の備中松山城(写真提供:高梁市)

基本情報・アクセス・駐車場

●住所  :岡山県高梁市横町1694-4
●開館時間:
①4〜9月 9:00〜17:30(最終入場17:00)
②10〜3月 9:00〜16:30(最終入場16:00)
●休館  :12月29日~1月3日
●入場料 :天守への入城料大人500円
●アクセス:
①JR伯備線「備中高梁」駅からタクシーで10分。ふいご峠駐車場から徒歩20分 ※タクシーツアーの予約は備中松山城HPからできます
②JR伯備線「備中高梁」駅から徒歩1時間30分
●駐車場 :ふいご峠駐車場(14台)※天守まで徒歩20分/城まちステーション(110台)※天守まで徒歩50分
●公式サイト:天空の山城 備中松山城

※2023年2月時点の情報です。

備中松山城と合わせて楽しみたい周辺観光情報

備中松山城を訪れた際に、合わせて楽しみたい高梁市の観光スポットをご紹介いたします。

石火矢町ふるさと村

石火矢町ふるさと村

歴史ある建物が並ぶ通り(写真:PIXTA)
備中松山城の城下町で、250メートルに渡り武家屋敷が並ぶ風情漂うエリアです。往時の姿を色濃く残した町並みは岡山県のふるさと村に指定されています。

【Infomation】
住所:岡山県高梁市石火矢町(備中松山城から車で約10分)
駐車場:あり(武家屋敷館無料駐車場)
関連サイト:石火矢町ふるさと村(高梁市観光ガイド)

武家屋敷 旧埴原家/旧折井家(石火矢町ふるさと村内)

高梁市の旧折井家

旧折井家(写真提供:岡山県観光連盟)
旧埴原家は江戸時代中期に建造され、寺院や数寄屋風の要素を取り入れた珍しい建物で市の重要文化財にも指定されています。また、旧折井家は江戸時代後期に建てられ、漆喰壁が特徴的な武家屋敷です。

【Infomation】
関連サイト:武家屋敷 旧折井家・旧埴原家(高梁市)

天柱山 頼久寺

頼久寺の庭園

頼久寺の庭園(写真提供:岡山県観光連盟)
1339年、足利尊氏により建立された禅寺。小堀遠州により作庭された庭園が見事で、紅葉やサツキの花など四季折々の日本的な風景を楽しむことができます。国の名勝に指定されています。

【Infomation】
住所:岡山県高梁市頼久寺町18(備中松山城から車で約10分)
駐車場:あり(頼久寺参拝者駐車場)
公式サイト:天柱山 頼久寺

吹屋ふるさと村

吹屋ふるさと村

ベンガラ色の街並み(写真提供:岡山県観光連盟)
ベンガラとは江戸時代に使われていた赤色の顔料のこと。高梁市の吹屋地区はその産地でした。吹屋の街にはベンガラ塗りの格子や石州瓦で赤褐色に統一された建物が並び、タイムスリップしたようなノスタルジックな雰囲気が味わえます。昔ながらの建物を活かしたカフェや土産物店もあります。

【Infomation】
住所: 岡山県高梁市成羽町吹屋838-2(備中松山城から車で約40分)
駐車場:あり(吹屋下町駐車場ほか)
関連サイト:日本遺産「『ジャパンレッド』発祥の地」吹屋ふるさと村(高梁市観光ガイド)

備中松山城周辺で開催されるイベント

備中松山城の周辺では、季節限定のイベントも開催されています。訪れる時期をうまく合わせて、季節限定のイベントもお楽しみください。

町家通りの雛まつり(4月上旬/紺屋川美観地区)

旧暦の雛まつりに合わせ毎年4月上旬に開かれる春のイベントです。「日本の道百選」にも選ばれている、紺屋川沿いの桜と一緒に楽しめますよ。
■関連サイト:備中たかはし町家通りの雛まつり(岡山観光WEB)

備中たかはし松山踊り(8月14〜16日/JR高梁駅付近)

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毎年お盆に開催される備中たかはし松山踊り(写真提供:岡山県観光連盟)

1648年に備中松山城主の水谷勝隆が、五穀豊穣を祈願して町衆に踊らせたのが始まりと言われる、岡山県では最大規模の盆踊りです。この盆踊りは、岡山県の重要無形民俗文化財にも指定されています。
■関連サイト:備中たかはし松山踊り(高梁市観光ガイド)

まとめ

いかがでしたでしょうか。備中松山城の歴史や見どころ、周辺施設などの情報についてご紹介をさせていただきました。
これから備中松山城への訪問を予定されている方は、ぜひこれらの情報を参考にして計画を立ててみてください。予備知識が増えることで、より現地での観光をお楽しみいただけます。


Text:サブワーク太郎 Edit:Erika Nagumo