- 全国60航路に乗船したライターがセレクト! スゴすぎる夜行フェリー4航路+おまけ1航路
- 北海道に行くフェリーなら……
- 九州に行くフェリーなら……
- スゴい夜行フェリーVol.1:太平洋フェリー(苫小牧~仙台~名古屋)
- POINT①:船体サイズは豪華客船並み!お楽しみはラウンジショー
- POINT②:レストラン&スタンドコーナー
- POINT③:仙台立ち寄り&名古屋の〝名港トリトンくぐり〟
- 太平洋フェリー乗船ガイド
- スゴい夜行フェリーVol.2:商船三井フェリー「さんふらわあ」苫小牧航路(大洗~苫小牧)
- POINT①:関東⇔北海道1日2往復体制
- POINT②:お船グルメの定番「さんふらわあカレー」
- POINT③:新造船「くれない」
- 商船三井フェリー「さんふらわあ」苫小牧航路 乗船ガイド
- まとめ
日本列島は北から南にグッと長く伸び、その長さは3300kmとも。北から南へ、さまざまな長距離フェリー航路が各地を結んでいます。
その中には「設備が豪華!」「船内のアクティビティが充実!」「使い勝手がよくて、コスパも抜群!」など、さまざまな「ココがスゴい」ポイントを持つ長距離フェリーがあります。ここでは全国60航路に乗船したライターが、4つの航路(プラスおまけで1航路)をピックアップし【北海道編】と【九州編】の2回に分けてお届け。
こちらの記事では北海道と本州とを結ぶ2航路をご紹介します。
九州編はこちら↓↓
スゴすぎる夜行フェリー《九州編》〜東京九州フェリー・阪九フェリーetc〜
TOP画像:太平洋フェリー「きそ」のエントランスロビー
※本記事は2023年8月以前に行った取材をもとに作成しております。最新情報と異なる場合がございますので、お出かけの際は公式サイト等で最新情報をご確認ください。
全国60航路に乗船したライターがセレクト! スゴすぎる夜行フェリー4航路+おまけ1航路
北海道に行くフェリーなら……
太平洋フェリー(苫小牧港~仙台港~名古屋港)
《ココがスゴい!》
①船体サイズは豪華客船並み!お楽しみはラウンジショー
②レストラン&スタンドコーナー
③仙台立ち寄り&名古屋の〝名港西大橋くぐり〟
→本記事 太平洋フェリー参照
商船三井フェリー「さんふらわあ」苫小牧航路(茨城・大洗港~苫小牧港)
《ココがスゴい!》
①関東⇔北海道1日2往復体制
②お船グルメの定番「さんふらわあカレー」
③全国に広がる「さんふらわあ」ネットワーク
→本記事 さんふらわあ参照
九州に行くフェリーなら……
東京九州フェリー(横須賀~新門司)
《ココがスゴい!》
①ラグジュアリーホテルばりの広々船内
②超・高速!
③晴れたら「船上バーベキュー」
→《九州編》東京九州フェリー参照
阪九フェリー・名門大洋フェリー(大阪・神戸~新門司)
《ココがスゴい!》
①競争がスゴい!切磋琢磨しあう2社
②明石海峡大橋の下を通る!
③個性際立つ2社のレストラン
→《九州編》阪九フェリー・名門大洋フェリー参照
[おまけ]オーシャン東九フェリー(東京~徳島~新門司)
スゴい夜行フェリーVol.1:太平洋フェリー(苫小牧~仙台~名古屋)
太平洋フェリー「きそ」
POINT①:船体サイズは豪華客船並み!ラウンジショーあり!
太平洋フェリー「きそ」のエントランスロビー
「太平洋フェリー」の3隻の船舶(「いしかり」「きそ」「きたかみ」)は、フェリーとしては最大クラス・豪華客船並みのサイズ(全長200m弱・全幅27m)で、海が少し荒れた程度ではびくともしない乗り心地の良さが魅力。最大800名近い旅客定員にもかかわらず、お盆や正月にはかなりチケットが取りづらくなるほどの人気ぶりです。
また船内には本格的なステージを備えたシアターラウンジがあり、クラシックならヴァイオリン・ピアノ、またジャズやラテンバンド、中国揚琴の独奏など、幅広いジャンルの本格的なコンサートが行われています(開催されない場合もあり)。コンサート終わりの音楽家の方にお話を伺ったところ、「船上コンサートをすれば、格安で名古屋・北海道に移動できて、ツアーで多くの土地を巡れる」とのこと。音楽家にとっても、フェリー会社にとっても〝ギブアンドテイク〟ですね!
POINT②:レストラン&スタンドコーナー
太平洋フェリー船内バイキングの食事(写真:宮武和多哉)
「太平洋フェリー」船内のレストランは朝・昼・晩ともバイキング形式で料理を提供。こまめに料理を補充しているようで、晩のステーキは、いつ見に行っても焼き立て!
さらに「いしかり」「きそ」船内にはスタンドコーナーがあり、レストランが20時や20時30分に閉まっても、こちらは21時30分まで営業しています。おにぎりやうどん、カレーなどの軽食から水割り・ビールまで、軽くお酒を飲んだり、小腹が空いたときにちょうどいいメニューを完備しています。
POINT③:仙台立ち寄り&名古屋の〝名港トリトンくぐり〟
「太平洋フェリー」は名古屋港の入港前に「名港西大橋」の下をくぐる(写真:宮武和多哉)
「太平洋フェリー」の運航便のうち、苫小牧~名古屋間の便は、途中の仙台港で3時間ほど休憩。そのあいだ、乗客は手続きの上で一時下船することが可能です。少し長めの徒歩か路線バスでの移動になるものの、近くには「三井アウトレットパーク仙台港」「イオン多賀城店」などがあり、ショッピングを楽しむことができます。
また、名古屋港の手前では、「名港トリトン」と呼ばれる伊勢湾自動車道の3本の橋のうち、名港西大橋の下を通過します。この橋は「真下をフェリーがくぐれるように」設計されており、橋桁空間は何と39.4m!クルマやトラックがひっきりなしに駆け抜ける橋を、そろそろとフェリーがくぐり抜ける様子を、たっぷり眺めることが可能です。
太平洋フェリー乗船ガイド
●就航区間:苫小牧西港~仙台港~名古屋港(約1330km)
●乗船時間:約40時間
●アクセス:
①苫小牧港(西港)
(公共交通)
JR[苫小牧駅]から路線バスで約15分(250円)
※路線バス料金:250円
(クルマ)
道央自動車道[苫小牧中央IC]から車で約15分
②仙台港
(公共交通)
JR[仙台駅]から路線バスで約50分(550円)、JR中野栄駅から路線バスで約13分(160円)
(クルマ)
仙台東部道路[仙台港IC]・三陸自動車道[仙台港北IC]から車で約10分
③名古屋港
(公共交通)
JR[名古屋駅]から連絡バスで約40分(830円)、名古屋臨海高速鉄道[野跡駅]から路線バスで約12分(210円)
(クルマ)
伊勢湾岸自動車道[名港中央IC]から車で約5分
●予約:
公式サイト 太平洋フェリーより
※運賃・キャンペーンなどはホームページを確認
(編集部しらべ)
スゴすぎる夜行フェリーVol.2:商船三井フェリー「さんふらわあ」苫小牧航路(大洗~苫小牧)
フェリーさんふらわあ
POINT①:関東⇔北海道1日2往復体制
大洗港に停泊するフェリーさんふらわあ(写真:宮武和多哉)
東京などの首都圏から北海道にクルマで行く際には、「さんふらわあ」苫小牧航路の活用をおすすめします。茨城県・大洗港まで運転して、あとはフェリーで熟睡しつつ、体力満タンで北海道入り! もし「さんふらわあ」がなければ、首都圏から青森県内(八戸港・青森港・大間港など)まで700㎞以上もクルマ移動、津軽海峡をフェリーで越えて、また道内で300kmほど運転……これだけで疲れ果て、ガソリンも消費してしまうでしょう。
フェリー移動、実はコスパ(コストパフォーマンス)・タイパ(タイムパフォーマンス)がいいんです。さらに「さんふらわ」なら、夕方便(大洗港19時45分発・苫小牧西港18時45分発)・深夜便(大洗港1時45分発、苫小牧港1時30分発)を選ぶことも可能です。
POINT②:お船グルメの定番「さんふらわあカレー」
「さんふらわあ」船内レストランのカレー(写真:宮武和多哉)
「さんふらわあ」オリジナルのカレーは同船の代名詞と言えるほどの人気。ピリッとスパイスが利いて、濃厚な風味のカレーは、朝・昼・晩と食べても飽きません。船内レストランのバイキング以外にも、単品で頼むこともできます。
さらに、このカレーを「家でも食べたい!」という方のために、船内売店ではレトルトカレーとしての販売もあります。
POINT③:新造船「くれない」
2023年1月に就航した、さんふらわあ「くれない」
ひとくちに「さんふらわあ」と言っても、各地のフェリー会社が合併しているため、ほかにも大阪南~志布志・別府航路や、神戸~大分航路などもあります。
ここ数年で各航路とも新造船に変わり、特に別府航路の「さんふらわあ くれない」は、LNG(液化天然ガス)を燃料とする国内初のフェリーとして就航。重油で動くフェリーよりもエンジン音が静かで、「あれ?いまフェリーに乗ってたっけ?」というくらい快適です。この先、全国でLNG船が増えていくのか? 「さんふらわあ」に注目です。
商船三井フェリー「さんふらわあ」苫小牧航路 乗船ガイド
●就航区間:大洗港~苫小牧西港(約754㎞)
●乗船時間:約19時間
●アクセス:
①大洗港
(公共交通)
鹿島臨海鉄道[大洗駅]から路線バスで5〜12分(190円)
(クルマ)
北関東自動車道[水戸大洗IC]から車で約10分
②苫小牧西港
(公共交通)
JR[苫小牧駅]から路線バスで約15分(250円)
(クルマ)
道央自動車道[苫小牧中央IC]から車で約15分
●予約:
公式サイト 商船三井フェリーより
※運賃・キャンペーンなどはホームページを確認
(編集部しらべ)
まとめ
このほかにも、日本海側の敦賀港・舞鶴港から北海道を結ぶ「新日本海フェリー」や、鹿児島新港からいくつもの離島を経由して那覇港に向かう「フェリー波之上」など、さまざまな長距離フェリー航路が、今日もどこかの海上をゆっくりと進んでいます。
広い北海道を鉄道やクルマで回るなら、到着の直前までゆっくり休めるフェリーで行くのがいいでしょう。何しろ、到着の直前まで熟睡していてもOK! 体力・気力ともに満タンで上陸できます。
ただし、観光シーズンや年末年始はチケットの奪い合いになることも。早めに予定を立てましょう。
Text:宮武和多哉(みやたけ・わたや)
鉄道全線完乗、路線バス1800系統乗車、フェリーなど船舶60航路乗船(いずれも国内・2023年現在)。47都道府県で通勤ラッシュ巻き込まれ&100km以上ドライブを経験。モードにこだわらず「乗りもの」全般をカバー。
全国で食べ歩いた駅弁・駅そば・ご当地料理は数知れず。おうちで再現レシピの作成も得意としており、NHK『さし旅』では〝再現料理人〟として指原莉乃さんと共演。
香川県高松市出身。兵庫県・大阪府・高知県・東京都・神奈川県などに在住経験あり。著書に『全国“オンリーワン”路線バスの旅(1・2)』、『路線バスで日本縦断! 乗り継ぎルート決定版』(いずれもイカロス出版)がある。
Text:Wataya Miyatake Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA/写真AC
参考:各社公式サイト/一般社団法人 日本長距離フェリー協会ほか