広大な畑と牧場の風景、まっすぐ続く白樺の並木道、威風堂々とそびえる日高山脈……。帯広は北海道を象徴するような雄大な景色が広がる場所です。
世界中で帯広でしか見られない「ばんえい競馬」やご当地グルメ「豚丼」、一世を風靡した「幸福駅」のある場所としても知られます。
この記事では帯広観光で訪れておきたい定番スポットや、ツアー&アクティビティ、ご当地グルメを紹介します。
TOP画像:いただきますカンパニーの農場ピクニック
※掲載の情報は2023年6月時点のものです。諸事情により変更となる場合があります
Ⅰ. 帯広の定番観光スポット7選
北海道の南、広々とした畑や牧場の風景が広がる十勝地方。その中心都市が帯広市です。東側は十勝平野、西側は日高山脈にかかっています。
JR根室本線の各駅のほか、帯広空港(とかち帯広空港)があり、観光拠点でもある帯広。観光では十勝地方らしい風景や美しい庭、帯広ならではの「ばんえい競馬」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Ⅰ-1. 八千代公共育成牧場
八千代公共育成牧場でのびのび過ごす牛たち
八千代公共育成牧場は、東京ドーム210個分の広大な敷地を有し、乳牛や馬などを飼育している牧場。JR帯広駅から車で50分ほどの場所に位置しています。
こちらの牧場では、牛や馬たちが自由に過ごすようすと、遠くに十勝幌尻岳(とかちぽろしりだけ)がそびえる雄大な景色が楽しめ、開放感満点。バーベキュー場やパークゴルフ場も併設されています。
毎年6月には八千代牧場まつりを開催。乳製品が当たる抽選会や、牧草ロール転がし体験、美味しいグルメが食べられる屋台などが集まり賑わいます。季節限定のイベントに合わせて訪問するのもおすすめです。
●住所:北海道帯広市八千代町西4線187
●公式サイト:八千代公共育成牧場
Ⅰ-2. 帯広競馬場(ばんえい十勝)
土けむりをあげて走るばんえい馬は迫力満点(写真提供:十勝観光連盟)
大きな鉄のソリを引きながら力とスピードを競い合う「ばんえい競馬」。世界でも帯広でしか見ることができません。一時は財政難により存続の危機にも立たされていましたが、地元住民や全国からの支援もあり、今では全国的に知られる公営競技となっています。
帯広競馬場は馬券を買わなくても、入場料(高校生以上は100円)を支払えばレースの観戦が可能。敷地内には、馬の博物館や産直品や土産物を扱う「とかちむら」も併設されています。ばんえい競馬以外にも見どころあふれるスポットです。
レースは土・日・月曜を中心に開催。詳しくは公式サイト内、開催日程/時刻のページからご確認ください。
●住所:北海道帯広市西13条南9丁目
●公式サイト:ばんえい十勝
Ⅰ-3. 紫竹(しちく)ガーデン
季節によりチューリップ、ムスカリ、デルフィニウムなどが咲く「花の径」
1万5000坪の敷地に、約2500種類ほどの草花が植えられている紫竹ガーデン。初代オーナーである、紫竹昭葉(しちく あきよ)さんが1992年に開園した、帯広でも人気の観光名所です。
園内は10ほどのエリアに分かれており、それぞれ違った花を楽しむことができます。エリアのひとつ、「ワイルドフラワーガーデン」では、赤いポピーや黄色のハナビシソウなどが生育されています。
紫竹ガーデンには、花を楽しむ以外にも魅力が盛りだくさん。おすすめは花畑を楽しみながらの朝食。十勝の食材をふんだんに使用したサンドウィッチやチキンなどを、ビュッフェ形式でいただけます(要予約/1980円)。朝の清々しい風を感じながら、1日をスタートしてみてはいかがでしょうか。
●住所:北海道帯広市美英町西4線107
●公式サイト:紫竹ガーデン
Ⅰ-4. 真鍋庭園
成長の遅い植物を集めた「ドワーフガーデン」、巨大なシダレヤナギのある「芝生の広場」など、真鍋庭園にはさまざまなエリアがあります
総面積100ha(東京ドーム約21個分)の広さを持つ真鍋庭園。園内は、日本庭園・ヨーロッパガーデン・風景式庭園の3つで構成されています。すべてのエリアを回ると、1周約1800m。所要時間は45分ほどになります。
針葉樹を中心に構成される、コニファー庭園としては日本初の庭園で、背の高い木々に覆われた森の中にいるような景色を楽しむことのできます。また、秋には紅葉も見事。
庭園内では景色と合わせて北海道グルメも楽しめます。併設のカフェで、北海道産小麦を使用したクレープや、畜大牛乳(※)を使用したソフトクリームを味わってみてはいかがでしょうか。
※畜大牛乳:帯広畜産大学内で飼育している乳牛から搾った牛乳。大学内の乳製品工場で製造しています。
●住所:北海道帯広市稲田町東2-6
●公式サイト:真鍋庭園
Ⅰ-5. 幸福駅
幸福駅の駅舎の中
1973年にNHKのテレビ番組『新日本紀行』で取り上げられ、「愛の国から幸福へ」のキャッチフレーズで隣の駅である愛国駅と一緒に全国的に知名度を上げたのが幸福駅です。その当時は、恋人たちの聖地とも呼ばれ限定切符は即日完売するほどの人気を集めました。
幸福駅は、旧国鉄(JRの前身)の広尾線の駅でしたが、広尾線廃線に伴い廃止となっています。しかし駅舎や線路はそのまま残り観光スポットとして存続。駅舎には、カップルや夫婦の幸せを願うメッセージが書かれた名刺が多数貼られています。
当時運行していた列車の一部もプラットフォームにそのまま残っているため、歴史を感じる記念撮影スポットとしてもおすすめです。
●住所:北海道帯広市幸福町東1線
●参考URL:幸福駅(帯広観光Navi)
詳しくはこちら:帯広の【幸福駅】は恋人の聖地! かつてブームになった北海道の駅は今も人気だった
Ⅰ-6. とかちむら
休憩やお土産探しにぴったりの「とかちむら」(写真提供:十勝観光連盟)
帯広競馬場の敷地内に併設されている、産直市場やレストラン、馬の資料館などが集まるエリアがとかちむらです。
産直市場では、帯広周辺の農家で獲れた新鮮な野菜や果物が並びます。スーパーなどで購入するより価格が安く、地元の人もよく訪れます。
レストランの「とかちむらキッチン」では、帯広名物の豚丼を提供する「豚丼 きくちや」、十勝産の素材を使ったスイーツが人気の「ペイストリー ストーブハウス」などのメニューがいただけます。
とかちむらは入場料無料で入ることのできる施設のため、食事やおみやげ探しに足を運んでみてください。
●住所:北海道帯広市西13条南8-1
●公式サイト:とかちむら
Ⅰ-7. スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド
緑がまぶしいキャンプサイト。区画サイトは車の横付けOK(写真提供:スノーピーク)
高い機能性と洗練されたデザインで人気のアウトドアブランド・スノーピークが、帯広で運営しているのが「スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド」。帯広市中心部から35kmほど離れた、自然豊かなポロシリ高原に位置しています。
区画サイト(電源あり・なし)、フリーサイトのほか、建築家・隈研吾氏と共同開発したトレーラーハウス「住箱(じゅうばこ)」に泊まれるサイトも完備。キャンプ初心者でも気軽に利用でき、自然に溶け込むような滞在が楽しめます。
テントやタープ、焚き火台、バーベキューコンロなど、キャンプ用品のレンタルも行っているため、手ぶらで訪れてもOK。レンタルアイテムはもちろんスノーピーク製品です。炊事場やシャワー、水洗トイレも整備されているため女性や子ども連れでも快適に過ごせます。
●住所:北海道帯広市拓成町第2基線2-7
●公式サイト:十勝ポロシリ Campfield
Ⅱ. 帯広ならではの体験・アクティビティ 4選
Ⅱ-1. いただきますカンパニーの「農場ピクニック」
十勝の恵みを全身で感じられる農場ピクニック(写真提供:いただきますカンパニー)
十勝農業の案内人・畑ガイドと一緒に畑を散策しながら、食の現場を体験できるツアーが「農場ピクニック」。散策した畑で収穫した作物を、散策した畑の中で味わうことができるのも、このツアーの特徴です。
「農場ピクニック」を主宰するのは「いただきますカンパニー」。普段食べている農作物の畑の中での姿、「食べ物」を作っている農家さんの想いなど、生産現場だからこその「見て触って食べて」の体験を、畑ガイドがあますところなく案内してくれます。
小麦やジャガイモ、トウモロコシなど、そのとき一番「旬」の畑で様々なツアーを開催。作物の生育状況によりますが、収穫体験もできます。そして収穫した食材はその場で調理して食べるまでがツアー行程。子どもたちにとっては特別な体験になること間違いなしです。屋外で過ごす時間が長いため、参加の際は熱中対策と、汚れてもよい格好が必須です。
●開催場所:ツアーにより異なる
●公式サイト(予約):株式会社いただきますカンパニー
Ⅱ-2. 十勝ホースマンシップクラブ
スタッフ指導のもとなので、馬と触れ合うのが初めての人も安心(写真提供:サムライプロデュース)
田園風景の広がる帯広市郊外で、馬とのコミュニケーションを学びながら馬と触れあったり、乗ったりすることができるのが「十勝ホースマンシップクラブ」。
オーナーである持田裕之さんは、馬本来の性質や行動特性、心理を踏まえて馬と接する「ナチュラル・ホースマンシップ」という考え方・取り組みの第一人者。体験では、単に馬を引く・馬に乗るだけではなく、馬との信頼関係を築きながらアクティビティを楽しみます。
体験プログラムは全体を通して60分。グランド(馬に乗らずコミュニケーションを取る)、ライディング(乗馬体験)、スタッフによるホースショーの3つを楽しめます。通年で体験できるため、夏のグリーンシーズンだけでなく、真っ白な景色を楽しめる雪のシーズンもおすすめです。公式サイトから予約が可能です。
●体験場所:帯広市富士町西6線58-13(ヒロユキ モチダ ホースマンシップ)
●公式サイト(予約):十勝ホースマンシップクラブ(サムライプロデュース)
Ⅱ-3. 馬車BAR
夜の帯広の街を馬車で散策(写真提供:十勝観光連盟)
馬車BARは、2019年に帯広で始まった話題のアクティビティ。馬車に揺られながら、帯広市内を散策します。馬車は2階建ての構造で、2階はオープンデッキです。市内を散策中にはクラフトビールやおつまみの提供があり、これが「BAR」の由来。
発着場所は、HOTEL & CAFE NUPKA。約2kmのコースを50分かけて周遊します。馬車を引くのは体重1tを超える雄馬のムサシコマ。昔はばんえい競馬で活躍していた馬です。
●発着場所:北海道帯広市西2条南10-20-3(HOTEL & CAFE NUPKA)
●公式サイト(予約):馬車BAR
Ⅱ-4. 十勝ナイトリバークルージング
夜の帯広川でボートクルージング(写真提供:サムライプロデュース)
十勝ナイトリバークルージングは、夜の静寂の中、帯広川をボートに乗って下るアクティビティ。
豊かな自然の中でぜひ楽しんでもらいたいのは、音と風。目から入る情報が限られる夜闇の中では、昼間よりも音や風が鮮明に感じられるはず。
水音、動物たちの声、草のにおいが混ざった風。1時間のクルージングがあっという間に感じられるほどの癒しのひとときが過ごせます。晴れた日には満点の星空や月も必見。クルージングのあとは、地元の厳選スイーツのお土産もありますよ。
「十勝ナイトリバークルージング」は環境省が実施するエコツーリズム大賞の第15回で特別賞を受賞したほか、大手アワードを複数受賞しています。予約は公式サイトからどうぞ。
●集合場所:北海道帯広市東15条南4-1-73地先(エールセンター十勝)
●公式サイト(予約):十勝ナイトリバークルージング
Ⅲ. 一度食べたら忘れられない帯広グルメ 5選
Ⅲ-1. ジンギスカン白樺 帯広本店
「ジンギスカン白樺」ではお肉のカット、部位のブレンドにもこだわりあり(写真提供:ジンギスカン白樺)
北海道グルメとして全国的に有名なジンギスカン。道内各地に名店の多い北海道ですが、帯広でジンギスカンを楽しむなら「ジンギスカン白樺 帯広本店」がおすすめです。
1957年に帯広で創業した老舗で、2022年にはオーストラリアの肉牛・羊の生産者団体・MLA主催の「味付ジンギスカングランプリ 2022」で、最高賞のグランプリを受賞しています。
肉の食感が感じられるカット方法、ロース・モモなどバランスのいい肉のブレンド、肉の旨味を引き出す特製のタレとすべての工程にこだわっています。
美味しい食べ方を公式サイトとYoutubeで動画を使い紹介しているので、訪問前にはぜひ一度視聴してみてください。
●住所:北海道帯広市清川町西2-126
●公式サイト:ジンギスカン白樺
Ⅲ-2. 満寿屋 麦音(ますや むぎおと)
麦音の人気メニューのひとつ「とかち牛カレーパン」(写真提供:満寿屋)
十勝産小麦100%で作るパンが人気のご当地パンチェーン「満寿屋」。小麦以外にも十勝産にこだわった食材をふんだんに使用したパンが店頭に並びます。
帯広周辺にはいくつかの店舗がありますが、観光で訪れるのであれば、帯広市稲田町にあるフラッグシップ店「麦音」がおすすめ。ベーカリー単独では日本一の敷地面積を誇り、常時100種類以上のパンが並びます。
イートインスペースや、テラス席もあるため購入したパンをその場でいただくこともできます。週末にはイベントが開催され、多くの人で賑わうスポットです。
●住所:北海道帯広市稲田町南8線西16-43
●公式サイト:満寿屋商店
Ⅲ-3. 柳月(りゅうげつ)トスカチーナ
左:エビとホタテの豆乳トマトクリームパスタ 右:三方六と生クリームパフェ(写真提供:柳月)
銘菓「三方六」や「あんバタサン」など個性豊かなお菓子・スイーツを多数製造するお菓子メーカーの「柳月」が運営するカフェレストランが「柳月トスカチーナ」です。
ショップでは、さまざまなお菓子・スイーツを販売。カフェレストランでは十勝産の食材を使った美味しいグルメを提供しています。
メニューはパスタやピザなどイタリアンメニューが中心で、季節限定メニューもあります。デザートメニューには柳月で販売されている三方六をアレンジした「三方六と生クリームパフェ」などオリジナルメニューが並びます。
●住所:北海道帯広市西18条南5-45-2
●公式サイト:トスカチーナ(柳月)
Ⅲ-4. 六花亭(ろっかてい) 帯広本店
左:マルセイアイスサンド 右:サクサクパイ(写真提供:六花亭)
北海道を代表する銘菓「マルセイバターサンド」でお馴染みのお菓子メーカー・六花亭。六花亭の帯広本店は、JR帯広駅から徒歩7分の場所に位置しています。
六花亭 帯広本店では、マルセイバターサンドなどのお土産が購入できるのはもちろん、お店に足を運ばなければ食べることのできないスイーツを味わうこともできます。
人気の限定スイーツは「マルセイアイスサンド」。アイスクリームにホワイトチョコレートとレーズンを加え、ビスケットでサンドをした商品で、説明だけでは単純に聞こえますが、奥深い味わいが人気を集めています。道内でも3カ所の六花亭でしか購入できません。
もうひとつの人気スイーツが「サクサクパイ」。サクサク食感と中のクリームのハーモニーが絶妙です。時間が経つとサクサク食感が損なわれてしまうので、賞味期限は3時間。お土産では食べられないレア商品です。
●住所:北海道帯広市西2条南9-6
●公式サイト:六花亭
Ⅲ-5. ぶた丼のとん田
ぶた丼を食べに帯広に来る人もいるくらい、豚丼の名店が集まるのが帯広。その中でもおすすめなのが「ぶた丼のとん田」です。
厳選した豚肉を使用し、特製のタレをかけて焼き上げたその味はリピート必至の美味しさ。豚肉の3つの部位、ロース・バラ・ヒレを使った「ロースぶた丼」「バラぶた丼」「ヒレぶた丼」の3種が定番メニューです。部位により旨味が変わるため、3回は足を運んでみてください。
初めて訪れる方には、2種類のお肉が楽しめるロース・バラ盛り合わせ丼がおすすめです。
●住所:北海道帯広市東10条南17-2
●公式サイト:ぶた丼のとん田
【車なしの帯広観光に便利!】 レンタサイクル「とかっちゃ」
帯広市内を気軽に移動するのにおすすめなのが、レンタサイクル。帯広駅バスターミナルで借りることができ、1〜3時間の利用で300円からレンタルが可能です。
シティサイクルやスポーツタイプ、電動自転車など複数のタイプから選べるのも魅力。少し離れた観光地へ足を運ぶ予定があれば、電動自転車がおすすめです。
受付時間は9:30~17:30。貸出し期間は2023年は4月29日〜11月30日。子ども用の自転車も用意されているため、親子でのツーリングにもおすすめです。
●貸出場所:北海道帯広市西1条南12丁目(帯広駅バスターミナル「おびくる」内 エコバスセンターりくる)
●2023年貸出期間:4月29日~11月30日(予定)
●公式サイト:レンタサイクル「とかっちゃ」のご案内
まとめ
ばんえい競馬や、大自然・農場を活かした体験ツアー&アクティビティ、北海道ならではの食など、帯広にはユニークな魅力がたっぷり。まだまだ帯広の魅力は語り尽くせませんが、また別の記事でご紹介できればと思います。
夜のアクティビティがあったり、飲み屋街があったりと、夜の時間が楽しめるのも帯広観光の魅力。ぜひ家族や友人と、または一人でも、帯広の旅をゆっくりと楽しんでみてくださいね。
Text:サブワーク太郎/Erika Nagumo
Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA/写真AC