青森県田舎館村(いなかだてむら)では、毎年「田んぼアート」と呼ばれるイベントが注目を集めています。。今でこそ日本各地で行われている田んぼアートですが、始まりは田舎館村。
2023年度の田舎館村の田んぼアートは、5月29日(月)〜10月9日(月)【第一田んぼアート】、6月10日(土)〜10月9日(月)【第二田んぼアート】の日程で開催予定。
今回は季節によって表情を変える田んぼアートの見どころ、田舎館村の見学スポットを紹介します。
田んぼアートとは?

青森県田舎館村の田んぼアート
田んぼアートとは、田んぼ全体をキャンパスに見立て、色の違う稲を植えることで絵を描き出す作品のこと。
北海道や鹿児島県など日本各地で行われており、埼玉県行田市にある「古代蓮の里(こだいはすのさと)」の田んぼアートは、世界最大の田んぼアートとしてギネス世界記録にも認定されています。
田んぼアートが始まった理由

2011年の青森県田舎館村の田んぼアート
日本で初めて田んぼアートが行われた青森県田舎館村ですが、始まりのきっかけはなんだったのでしょうか。
田舎館村の観光職員へのインタビューによると、元々田舎館村では稲作文化への理解を深めるために、色が異なる稲を学校の授業で育てていたそうです。ほどなくして村の職員から、植えるだけでなく色の違う稲で簡単な絵を描いたら面白いのではないか、という提案により1993年に田んぼアートが村おこしの一環として始まったとされています。今や日本全国で作品が作られるようになり、海外にもその魅力は広まっています。
1993年以来、田んぼアートの魅力を毎年発信し続け、ついには年間20万人の観光客が訪れるようになりました。2023年は田んぼアート30周年の節目の年です。
田んぼアートの見頃時期はいつ?

2011年の青森県田舎館村の田んぼアート
田んぼアートの見頃は例年7月中旬から8月中旬。まず苗を植えるのが6月上旬ごろ。その苗が育ち、色の違いがはっきりと現れるのが7月中旬から8月中旬なのです。
また、9月から10月の収穫前の時期には、少し色あせて黄色がかった綺麗な田んぼアートが見られます。季節によって異なる風情が楽しめます。
【2023年】今年の青森県田舎館村の田んぼアート

2010年の青森県田舎館村の田んぼアート
田舎館村の田んぼアートの見どころ
青森県田舎館村の田んぼアートで使われている稲の品種は7色10種類。色数が多く複雑な絵も描くことができます。村役場に隣接する第一田んぼアートのほか、2012年からは「道の駅いなかだて」に第二田んぼアートが設けられ、2カ所で田んぼアートを楽しむことができるようになりました。毎年、異なるテーマでアートが描かれます。
2023年の見どころ
2023年は田んぼアート30周年を記念し、第一田んぼアートでは世界的名画と日本の名画、そして第二田んぼアートでは日本を代表する世界で有名な漫画をテーマに描かれます。さらに、2015年から始まった4色の小石で描く「石アート」は名画を手掛けた版画家・ 棟方志功(むなかた しこう)が題材となる予定です。

2019年の田んぼアートと石アート
第一田んぼアートと第二田んぼアートの会場はそれぞれ約3kmほど離れていますが、田んぼアート期間中は無料シャトルワゴン(定員9名)が運行されます。両方のアートを楽しみましょう。
青森県田舎館村の田んぼアートの歴代作品
1993年に田んぼアートが始まって以降、毎年違うデザインを採用しており訪れる人を楽しませています。
日本神話から武士や浮世絵、世界的に有名なSF映画やアニメキャラクターなど、そのテーマの幅は多種多様。
歴代のアートが気になる方は、田舎館村が27年分のアート作品をまとめている動画をご覧ください。
田んぼアートのビュースポット
【第一田んぼアート】田舎館村役場

青森県田舎館村役場
外観が日本のお城のような青森県田舎館村役場に隣接する第一会場は、1993年から田んぼアートが描かれている水田です。
第一会場の田んぼアートが見られる場所は、村役場の4階と6階に設けられたデッキ。高い位置から見下ろす田んぼアートは、全体を見渡せ絵柄の迫力が感じられます。
村役場内には、田んぼアートの歴史や過去の作品のパネル展示があり、年々進化を続ける田んぼアートの歴史の過程を確認できます。
第一会場がある田舎館村役場の最寄駅は、4月から11月の期間の日中のみ利用できる「田んぼアート駅」です。しかし、田舎館村役場へは駅から徒歩30分ほどかかるので、第二田んぼアートがある道の駅 いなかだてから期間中に運行しているシャトルワゴンを利用するのが便利です。

2014年の青森県田舎館村の田んぼアート
第一田んぼアートへのアクセス
【田舎館村役場 基本情報】
住所:青森県田舎館村田舎舘中辻123-1
展望デッキへの料金:大人 300円 小学生 100円 幼児 無料
駐車場:田舎館村役場駐車場(第一田んぼアート)
公式サイト:田舎館村 田んぼアートオフィシャルサイト、田んぼアートシャトルワゴンの時刻表
青森駅からのアクセス:
【青森駅】— JR奥羽本線 / 弘前方面
→【弘前駅】— 弘南鉄道弘南線 / 黒石方面
→【田んぼアート駅】
→【第二田んぼアート】ーシャトルワゴン
→【田舎館村役場】
青森空港からのアクセス:
【青森空港】— 高速バス / 弘前バスターミナル行き
→【弘前駅】— 弘南鉄道弘南線 / 黒石方面
→【田んぼアート駅】
→【道の駅 いなかだて】ーシャトルワゴン
→【田舎館村役場】
【第二田んぼアート】道の駅いなかだて

2012年の田んぼアート
田んぼアート駅に近い、道の駅いなかだての敷地内にある第二田んぼアートの会場。水田の横にある弥生の里展望所より田んぼアートを見学することができます。
2012年より田んぼアートが行われるようになり、第一会場と比べて横に長いのが特徴。写真に収まりきらないぐらい大きな田んぼアートを見ることができます。
道の駅いなかだてには田んぼアート以外にも、ゴーカートやミニ電車、パターゴルフ場などの遊具施設があり、子どもも大人も楽しめるスポットです。
もう一つの会場である田舎館村役場へ訪れる際は、徒歩だと約30分ほどかかるので会場から期間中に運行しているシャトルワゴンを利用するとよいでしょう。
第二田んぼアートへのアクセス

期間限定で利用できる田んぼアート駅
【道の駅いなかだて「弥生の里」 基本情報】
住所:青森県田舎館村大字高樋字八幡10
TEL:0172-58-2111
展望デッキへの料金:大人 300円 小学生 100円 幼児 無料
駐車場:いなかだて駐車場
公式サイト:道の駅 いなかだて、田んぼアートシャトルワゴンの時刻表
青森駅からのアクセス:
【青森駅】— JR奥羽本線 / 弘前方面
→【弘前駅】— 弘南鉄道弘南線 / 黒石方面
→【田んぼアート駅】ー徒歩
→【道の駅 いなかだて】
青森空港からのアクセス:
【青森空港】— 高速バス / 弘前バスターミナル行き
→【弘前駅】— 弘南鉄道弘南線 / 黒石方面
→【田んぼアート駅】ー徒歩
→【道の駅 いなかだて】
田植え体験ツアー&稲刈り体験ツアー

田んぼアートを手がける地元の人々
青森県田舎館村の田んぼアートの創作は、田植えから稲刈りまで、すべて手作業で行われており、予約することで実際に田んぼアートの制作に参加することもできます。
田植えと稲刈り、どちらのイベントも人気があり、すぐに予約が埋まってしまうそう。農業の面白さと、田んぼアートを自分の手で描く体験の貴重さが人気の理由。
参加したい場合は、ボランティアの募集が始まる5月初旬頃にHPをこまめにチェックすると良いでしょう。
青森県以外の田んぼアートが楽しめる地域
青森県以外にも日本全国で見ることができる田んぼアート。実際に展示されている地域を4箇所ほど紹介いたします。あなたのお住まいから近いところで開催されているかも。
見ごろを迎えた田んぼアートをぜひご覧ください。
秋田内陸縦貫鉄道沿い

内陸縦貫鉄道から見られる田んぼアート
秋田県の内陸縦貫鉄道の線路沿いで、地元の方達が作り上げた田んぼアートを見ることができます。
2022年度は鷹巣駅〜角館駅間で全5種類もの田んぼアートが展示されました。
電車内から見る田んぼアートは、平地とはまた違った景色になりそうですね。
公式サイト:秋田内陸縦貫鉄道
埼玉県行田市

埼玉県行田市 大パノラマで見る田んぼアート
世界最大の田んぼアートとしてギネス世界記録に認定されている埼玉県の行田市の田んぼアート。都心からのアクセスも良く、大迫力の田んぼアートを楽しむことができます。
今までに描かれたのはゲームキャラクターや人気ドラマ、日本代表選手など、扱うテーマが多彩。
大パノラマで自然のアートを楽しむことができる、埼玉県の行田市もオススメです。
公式サイト:埼玉県 行田市
静岡県菊川市
2008年から続いている静岡県菊川市の田んぼアート。近くのやぐらから大きな田んぼに描かれたアートを楽しめます。
7月には鑑賞会の他に地域の特産品が行われる大鑑賞会や、キャンドルライトと月明かりに照らされたライトアップ鑑賞会で、幻想的な田んぼアートを見ることが可能です。
公式サイト:静岡県 行田市
愛知県名古屋市(南陽)

名古屋市の南陽地区で見られる田んぼアート
2011年からから実施している愛知県名古屋市の田んぼアート。地元の方の協力により、美しい田んぼアートを毎年実施しています。
会場には観察台が設けられ、誰も無料でアートを観覧することが可能になります。2023年は龍神様と名古屋めしが描かれる予定です。
公式サイト:愛知県 名古屋市
年々進化を続ける田んぼアート
1993年に始まって以降、年々田んぼアートのクオリティが高まっています。毎年、違うデザインを採用しているため、訪れるたびに新しい田んぼアートに出会えるのも魅力です。
何回訪れても楽しめる、青森県田舎館村の田んぼアートに足を運んでみてはいかがでしょうか。
Edit:Kaoru Maki