弘前市に位置する「岩木山」は、山岳信仰の場所として親しまれてきた青森県の最高峰です。現在はトレッキングコースも整備されており、行楽日和には多くの人で賑わいます。
今回は、津軽富士とも称される岩木山の魅力と登山コース、観光情報をご案内していきます。
岩木山のある風景を楽しむ
岩木山の絶景を望むことができる、ビュースポットをいくつか紹介します。ぜひその風景をカメラに収めてみてください。
廻堰大溜池(津軽富士見湖)
夕暮れ時の廻堰大溜池(津軽富士見湖)に架かる三連太鼓橋(鶴の舞橋)
廻堰大溜池(まわりぜきおおためいけ)は、弘前藩4代藩主・津軽信政が新田開発のために作らせた貯水湖。農事用人造湖で、西津軽の土地を潤す貴重な水源になっています。池の周囲は11kmで、特に堤(水をせきと止めている土手)の長さは延長4.2kmと日本一の長さを誇ります。
また廻堰大溜池は岩木山の姿を湖面に映し出すことから、津軽富士見湖と呼ばれ多くの方に愛されています。
廻堰大溜池で一際目立つのが、日本一長い木造の三連太鼓橋(鶴の舞橋)。全長300mもの長さのアーチ状の橋で、長生き(長い木)の橋の語呂合わせで、長寿のパワースポットしても人気です。
廻堰大溜池の周辺は青森県の廻堰鳥獣保護区に指定されており、白鳥やガン・カモ類が飛来する他、湖畔にある丹頂鶴自然公園ではタンチョウが飼育されていて、多様な野鳥たちと一緒に景色を楽しむことが可能となっています。
いつでも美しい景色ですが、オススメの時間帯は夕方。オレンジ色の太陽のグラデーションと岩木山、野鳥、そして鶴の舞橋とのコラボレーションは写真に収めたくなる絶景です。
補修工事により、令和5年(2023年)9月1日〜令和6年(2024年)まで鶴の舞橋は通行止めになる予定です。最新情報は鶴の舞橋大規模改修特設サイトをご覧ください。
【基本情報】
住所:青森県鶴田町廻堰大沢81-50
営業時間:
8:00〜18:30(4月〜10月)
9:00〜16:00(11月〜3月)
駐車場:あり
料金:無料
アクセス:JR【陸奥鶴田駅】からタクシーで10分
公式サイト:メデタイツルタ/富士見湖ルートマップ・パークマップ
志賀坊森林公園展望台
志賀坊森林公園展望台から見る岩木山
標高350mにある公園で、岩木山と津軽平野を一望できる場所が志賀坊森林公園展望台です。
岩木山のビュースポットとして知られており、特に夕方の岩木山のシルエットと街に灯る光の景色は一見の価値あり。
むつ市の釜臥山・青森市のホテルヴィラシティ雲谷と並ぶ青森県有数の夜景スポットとしても有名で、デートスポットにも最適です。勾配のなだらかな遊歩道で展望台まで散策できるほか、展望台まで車で行くことも可能。車窓から雄大な景色を見ることもできます。
【基本情報】
住所:青森県平川市広船嘉瀬沢47-1
営業時間:年中無休
駐車場:あり
料金:無料
アクセス:【平賀駅】からタクシーで20分
公式サイト:平川市
弘前市りんご公園
弘前リンゴ公園と岩木山
約9.7haの敷地に80種、約2300本のリンゴが植えられている広前市リンゴ公園。公園内にある「すり鉢山展望台」からは緑豊かなリンゴ園と岩木山のほか、北に津軽山地などの山々を望むことが出来ます。
弘前市リンゴ公園では、8月上旬から11月上旬までリンゴ狩り体験が可能です。時期によっては花摘み・摘み取り・収穫、と体験内容が異なるので、必ず公式サイトをチェックして下さい。
公園内の「りんごの家」では、りんごにこだわった商品のほか、季節に応じた旬のリンゴを販売。軽食・喫茶コーナーではリンゴカレー、りんごサンデーなどを味わうことができ、青森の名産品であるリンゴを贅沢に楽しめます。
「シードル工房 kimori」ではりんごの発泡酒であるシードルの試飲(要予約)がいただけるほか、ふれあい広場やピクニック広場もあり、子どもから大人まで楽しめる施設です。
【基本情報】
住所:弘前市清水富田字寺沢125
営業時間:9:00~17:00
※時間外でも園内を散策可
駐車場:あり
料金:無料
アクセス:
路線バス【弘前バスターミナル7番乗り場】→【常盤坂入口】下車→徒歩(7分)
ためのぶ号【JR弘前駅中央口4番乗り場】(4月〜11月限定)→【りんご公園】
公式サイト:弘前りんご公園
岩木山からの景色を楽しむ
岩木山から望める景色を楽しむには、ドライブと登山、ふたつの選択肢があります。
ドライブで登山を楽しむ「津軽岩木スカイライン」
津軽岩木スカイライン
ドライブをしながら気軽に山からの景色を楽しみたい!そんな人にオススメしたいのが「津軽岩木スカイライン」という有料ドライブコースです。69ものカーブがあるこの道は約10km続き、岩木山の8合目まで登ることができます。
※冬期は閉鎖
岩木山リフト
9合目へと上る岩木山リフトからの景色
8合目の駐車場に停めた後、9合目へはすぐ近くのリフトで行くことができます。リフト営業日はシーズンごとに異なるので、岩木山スカイラインのホームページを必ずチェックして下さい。9合目から山頂までは自動車道もリフトも整備されていないので、登山になります。手をつくほどの険しい山道のアップダウンがあるため、登山靴や運動できる格好を準備しましょう。
【岩木山リフト基本情報】
住所:青森県弘前市百沢東岩木山
営業時間:9:00〜16:30
※上り最終:16:00 下り最終:16:20
休業日:毎週水曜日と第2、第4火曜日、冬期
駐車場:あり
リフト料金:450円〜1000円
公式サイト:津軽岩木スカイライン
岩木山山登りコースは初心者でも挑戦できる
岩木山からの眺め
麓から山頂まではおおよそ4〜5時間かかる岩木山。ですが、初心者の方でもチャレンジできるように5つのコースが用意されているのも嬉しいポイントです。いずれのコースも、麓の入山届けポストに登山計画書を入れるようにしましょう。
※参考:岩木山登山マップ(岩木山環境保全協議会発行)
1.百沢登山道(片道5時間)
「百沢登山道」はゴツゴツとした岩が連なる道を登る必要があり、中・上級者向けのコースとなっています。勾配のきつい場所もありますが、岩木山神社の登拝道であることから、最も歴史のある人気のコースです。神社のほかにも、桜林やスキー場、泉などを通り、約4時間で山頂に到着します。
2.嶽登山道(片道4時間)
約4時間で山頂まで登ることができるコースです。道もゆるやかなため、初心者の方でも挑戦できるでしょう。鳳鳴ヒュッテで百沢登山道と合流し、山頂に向かいます。
3.赤倉登山道(片道4時間30分)
山岳信仰としての岩木山の魅力を存分に味わいたい方におすすめのコースが「赤倉登山道」です。参道にはいくつもの石仏があり、「信仰の道」として知られています。途中、急な登りが続く箇所があります。
4.弥生登山道(片道5時間)
標高120m地点からスタートする、5つの中では比較的距離の長いコースとなっています。リンゴ畑や特に見晴らしの良い大長峰などを通り、頂上までは5時間近くかかります。腰を下ろして休憩できる場所が少なく、また高低差も大きいため、少しタフなコースです。道中、水汲み場がないのでご注意を。
5.長平登山道(片道4時間30分)
弥生登山道と同じく、山の中腹、560mのところからスタートする「長平登山道」。最初に紹介した「百沢登山道」は麓から登り始めるためかなり距離がありますが、こちらの登山道は途中まで車で行くことができるので、初心者の方におすすめです。「石神神社」を通過し、スキー場や西方寺森を抜け頂上を目指します。
※それぞれのコースでスタート地点、入口が異なりますのでご注意ください
岩木山観光協会サイトでは、シーズン情報や登山コースのマップがダウンロードできます。ぜひ、ご利用ください。
冬の岩木山でスノーアクティビティを楽しむ
「津軽富士」とも呼ばれる岩木山。冬には雪が降り積もり、スキーやノルディック・ウォークといったスノーアクティビティを存分に楽しむことができます。
百沢スキー場
百沢スキー場のリフトとゲレンデからの眺め
「百沢スキー場」には初心者から上級者までレベルに合わせて楽しめるコースが揃っています。毎年12月から翌年3月までオープン。多くのスキーヤーで賑わいます。
公式サイト:岩木山百沢スキー場
ノルディック・ウォーク
岩木山周辺の冬シーズン 雪に囲まれた岩木山神社
特別な靴を履いて雪の中を歩いて楽しむノルディック・ウォーク。春や夏に挑戦する爽やかなハイキングも良いですが、雪化粧した大自然の幻想的な岩木山も魅力的ですよ。
参考サイト:公益財団法人 弘前市スポーツ協会
温泉で癒しのひとときを
岩木山近くにある嶽温泉の嶽温泉郷
岩木山周辺には10の源泉があり、温泉を楽しめる施設が数多く存在します。山登りはもちろん、スキーなど大自然の中体を動かした後は、近くの温泉スポットまで足を伸ばしてみるのも良いかもしれません。
公式サイト:嶽温泉旅館組合
湯めぐり手形
冬のシーズンの嶽温泉(縄文人の宿)
「湯めぐり手形」は岩木山周辺で使えるお得な温泉チケットです。岩木山観光協会に登録された温泉の中から3つを自由に選べます。料金は1000円で、岩木山観光協会の施設であればどこでも購入可能。各施設で営業時間などが違うため、ご注意ください。
岩木山観光協会公式サイトでは宿泊施設や温泉施設をまとめいてます。ぜひ、ご利用ください。
岩木山の豆知識
津軽富士とも呼ばれる岩木山
岩木山は青森県の南西部、弘前市にあります。豪雪地帯で有名な八甲田山と共に本州最北の活火山として認定されていますが、最後の噴火は1800年代とかなり昔。岩木山の標高は1,625mと青森県随一の高さを誇ります。山頂部分の冠雪が特徴的で、その美しさから「津軽富士」という愛称がついているほどです。
【関連記事】
日本百名山の一つ八甲田山の歴史と魅力の記事はこちら↓↓
【八甲田山】豪雪の悲劇の歴史に隠れた魅力を徹底解説
岩木山の山岳信仰
津軽平野から望む岩木山はこの地方のシンボルであり、どの時代でも人々の心の拠り所となってきたとされています。また、古くより「信仰の山」として親しまれてきた歴史もあります(そのきっかけや明確な時期は定かになっていません)。山岳信仰の歴史から「お岩木様」とも呼ばれ、家内安全や豊作を願う「お山参詣」と呼ばれる行事が始まりました。現在でも毎年9月に行われています。
岩木山神社の参道
岩木山の麓にある「岩木山神社」の歴史は1,200年を超えるといわれており、今でも400年近く前の建造物が残っています。神社には岩木山大神が祀られていて、歴史を感じる鳥居から本殿までまっすぐ続く参道は静けさに包まれ、荘厳な雰囲気を感じることができるでしょう。壮麗な絵様彫刻を有する社殿は日光の東照宮に似ていることから、「奥日光」とも呼ばれています。
また、岩木山の山頂には神社の奥宮(複数の意味がありますが、ここでは山奥など、本殿から離れた場所にある社殿のこと)があるので、頂上まで行かれた方はぜひ訪れてみては。