佐賀県の東部、神埼市に位置する「九年庵(くねんあん)」は、紅葉の名所として知られる観光スポット。毎年、春の新緑と秋の紅葉の季節にのみ一般公開され、貴重な絶景を楽しめる場所として人気を集めています。
今回は、九年庵の特別な紅葉の景色を存分に楽しめる方法をご案内します。
九年庵の歴史
九年庵と紅葉
九年庵庭園は旧伊丹氏別邸ともいう佐賀県の神埼市にある庭園。1995年に国から名勝に指定された由緒ある庭園です。
名勝とは記念物の一種のひとつです。記念物とは
・貝塚
・古墳
・城跡
・庭園
・峡谷
・動物
・植物
などの文化財の総称であり、これらを「史跡」や「名勝」、「天然記念物」に分類して、保護をしています。特に重要なものは「特別〜〜」という名称がつけられます。
明確な時期は明らかにされていませんが、九年庵を作ったのは昭和時代の実業家でのちに貴族院の議員にもなった佐賀県の名実業家「伊丹弥太郎」。九州の電力会社や鉄道会社に大きな功績を残した人物です。
この伊丹弥太郎が別荘や庭園、茶室を建築したという歴史があることから、旧伊丹氏別邸と呼ばれています。
庭園と茶室を建築する際に、約9年の歳月をかけたことから「九年庵」と名付けられました。
その後は佐賀県に譲られ、維持管理を県が行なっています。
約6700平方メートル(サッカーコートと同程度)もの敷地を誇る九年庵には、茶室と書院を備えた「数寄屋造り」と呼ばれる純和風の建築様式の建物や、杉皮の土壁に竹格子の小窓、茅葺き屋根という、材料と材質にこだわった建物が点在。
その周りを取り囲むのは、色とりどりの豊かな自然。紅葉やつつじなどたくさんの種類の樹木が植えられており、季節によって異なる表情を見せてくれます。秋の時期には真っ赤な紅葉と日本家屋の、美しい景色を見られることで有名です。
豊かな自然と純和風の建築様式との調和が美しい自然美を映し出し、ひと目見ようと毎年多くの人々が訪れています。
九年庵の一般公開時期は?紅葉の見ごろはいつ?
九年庵の一般公開時期は春と夏にしか行われていません。
日程はそれぞれ、
春:5月3日〜5月5日
秋:11月15日〜11月23日
で固定されており、2023年も以上の日程で開催予定です。
一般公開の期間は非常に短く、春のシーズンは3日間のみ。秋シーズンは9日間の一般公開時期です。非常に短い公開期間なので、興味がある方は事前にスケジュールを調整しておきましょう。
一般公開時期を確認したい方は神埼市観光協会をご覧ください。
九年庵の紅葉見ごろ時期はいつ?
紅葉の見ごろ時期は、例年11月の中旬と言われています。
そのため、秋の一般公開のタイミングと大まかに重なるので、高い確率で紅葉を見ることができるでしょう。「絶対に紅葉を見たい」という方は事前に施設に連絡をとっておくと安心です。
九年庵の紅葉の楽しみ方
1年のうち数日間しか見られない、九年庵の貴重な秋の紅葉を存分に楽しむためのコツをお伝えします。
まずは整理券を取得
一般公開期間中は、全国各地から多くの人が訪れるので、入園には整理券が必要です。午前8時ごろから本部テント(もみじの湯駐車場)で整理券が配布されます。入場制限がかかってしまうこともあるので、できるだけ早めに来園して、早い組の整理券を手に入れましょう。
本部から山道を登っていくと九年庵の受付があり、門から入園します。見学ルートに沿って九年庵を楽しんでくださいね。
混雑を避けるポイント
観光客で賑わう秋の九年庵
秋には紅葉の時期に関係なく、9日間の決まった期間しか公開されないため、公開期間は例年非常に混み合います。少しでも混雑を避けて九年庵をゆったりと楽しむため、混雑回避のポイントをご紹介します。
公開期間中の土・日曜と祝日は混雑が予想される為、平日に行くことがおすすめ。また、午前8時半開園なので、8時頃までに着けば待ち時間なくゆったりと楽しむことができるでしょう。
待ち時間が長くなりそうであれば、出店でご飯を食べたり、九年庵の隣に位置する仁比山神社を散策するのもいいですね。
例年、紅葉のピークは期間の最後に来ることが多いので、平日の最終日に訪れるのがおすすめです。
春の九年庵
春の九年庵
新緑が美しい春の九年庵。毎年ゴールデンウィークの数日間のみ一般公開されます。風の音や木々の香りに癒されて、鮮やかな新緑を楽しんでみてはいかがですか。公開期間は神埼市観光協会で確認できます。
九年庵周辺の紅葉情報
九年庵を訪れた際には、ぜひ周辺のスポットにも立ち寄ってみてください。秋の紅葉を楽しめるスポットや、佐賀県の歴史を感じられるスポットが九年庵の近くにありますよ。
仁比山神社
仁比山神社
九年庵に隣接した「仁比山神社」も人気の紅葉スポット。山の神、農業の神を祀り、地元の人からは「山王さん」と呼ばれ親しまれている神社です。
神社内にはモミジの古木が多くあり、春の新緑と秋の紅葉の時期は多くの人で賑わいます。
吉野ヶ里歴史公園
吉野ヶ里歴史公園
九年庵の一般公開の期間中は、「吉野ヶ里歴史公園」から無料シャトルバスが運行されます。日本最大級の弥生時代の集落の吉野ヶ里遺跡にぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
九年庵で大自然を楽しんだ後、吉野ヶ里歴史公園で日本の歴史を感じ、佐賀県を堪能してくださいね。
九年庵の基本情報まとめ
住所:佐賀県神埼市神埼町的1696
電話番号:0957-37-0107(神埼市商工観光課)
入園料(美化協力金):500円
営業時間:8時半〜16時
注意点:
ペットは、抱っこをしての入園は可能。
ベビーカーや三脚などは入り口で預けましょう。
飛石と階段が多いため、車椅子はご利用いただけません。
公式サイト:神埼市観光協会
九年庵の周辺駐車場
九年庵に駐車場はありません。
お車でお越しの方は、徒歩約10分程度のところにある仁比山公園駐車場をご利用ください。
【仁比山公園の基本情報】
住所:佐賀県神埼市神埼町城原
営業時間:6時〜22時
アクセス:長崎自動車道東脊振ICから約10分
駐車場:約100台(九年庵一般公開中は有料)
博多駅からのアクセス
【博多駅】- 福岡市直鉄空港線 / 福岡空港方面
→【福岡空港】- 連絡バス・西鉄バス / 佐賀第二合同庁舎方面
→【高速神埼駅】→ 徒歩約15分
福岡空港からのアクセス
【福岡空港】- 連絡バス・西鉄バス / 佐賀大に合同庁舎方面
→【高速神埼駅】→ 徒歩約15分
佐賀空港からのアクセス
【佐賀空港】- 連絡バス・佐賀市営バス / 佐賀駅BC方面
→【佐賀駅BC】- リムジンバス福岡空港線 / 福岡空港国際線方面
→【高速神埼駅】→ 徒歩約15分
特別な紅葉の景色を見に九年庵へ
公開時期が短く混み合う九年庵ですが、事前に準備しておくことで、紅葉の景色をゆっくりと楽しむことができます。一年のうち数日間しか見ることができない九年庵の貴重な絶景。今年の秋はぜひ訪れてみてくださいね。
Text:Fujita/Kaoru Maki Edit:Kaoru Maki