無数の竹が自生し、神秘的な雰囲気を醸し出す「報国寺」。神奈川県鎌倉市に位置し、インスタ映えスポットとして若い人からも愛されている寺院です。
日本の観光地を格付けする『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』では見事三つ星を獲得した報国寺。日本を代表する絶景スポットと評価されており、多くの外国人観光客が訪れます。
今回は自然豊かで美しい報国寺の見どころと歴史について紹介します。
報国寺ってどんなところ?
約700年もの歴史をもつ報国寺
神奈川県鎌倉市に位置する「報国寺」。1334年に建立された臨済宗建長寺派(りんざいしゅうけんちょうじは)の禅寺です。
ミシュランが日本の観光地を格付けした『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』では見事最高評価である三つ星(わざわざ旅行する価値がある)を獲得。世界からも評価されている魅力あふれるスポットです。
報国寺を象徴する美しい竹林
報国寺といえばなんといっても「竹林」。本堂の裏には約2,000本もの孟宗竹(もうそうちく)が生い茂っており、竹の隙間から光が降り注ぐ光景は言葉を失う美しさを放ちます。
また庭内にある茶店では、竹林を眺めながら本格的な抹茶と干菓子を楽しむことができます。
報国寺が歩んだ歴史
歴史の中で多くの著名人から愛された報国寺
報国寺は1334年、足利尊氏の祖父である足利家時が開基(資主のこと)、天岸慧広(てんがんえこう)が開山(開創の僧のこと)した臨済宗建長寺派の歴史ある寺院です。
足利家に加え、室町時代に勢力を持った上杉重兼(しげかね)も建設に関わっているとされ、足利家と上杉家の菩提寺(ぼだいじ)として繁栄しました。
川端康成も散歩した報国寺の小道
近年では小説家の川端康成が近隣に住んでおり、よく報国寺の敷地内を散歩していたそう。著名人にも愛された報国寺は、多くの人が訪れる人気の観光スポットとなっていきました。
報国寺にまつわる悲しい歴史
報国寺の悲しい歴史を表している足利氏の墓
報国寺の長い歴史の中には悲しい出来事もありました。
絶景の竹の庭を通り抜けた先に洞窟のような見た目の墓地が存在します。ここには開基である足利家時をはじめとする足利一族が眠っています。
かつて鎌倉公方(くぼう)を務めていた足利持氏(もちうじ)は室町幕府に反発し、永享の乱(えいきょうのらん)にて討ち滅ぼされました。その後、持氏の嫡子(ちゃくし)であったわずか10歳の義久が報国寺にて自刃。これにより関東の足利公方が滅んでしまったため、関東足利氏最後の地として墓地が作られたそう。
美しい紅葉と足利氏の墓
先が暗く、空洞の中がよく見えないため恐ろしい雰囲気が漂う墓地ですが、なぜこのような特殊な墓地となったのでしょうか。その原因は鎌倉の土地柄であるといわれています。鎌倉は土地が狭く、平地に墓を作るのが非常に困難。そのため、崖の斜面を切り抜いて作る横穴式墳墓と呼ばれる形式が採用されたそうです。
現在は崩壊の恐れがあるため、近づくことはできませんが、報国寺の歴史を語る上では欠かせないスポットとなっています。
報国寺の見どころはどこ?
鎌倉の中でも随一の人気を誇る「報国寺」。ここでは竹林をはじめとする報国寺の見どころを紹介します。
枯山水庭園
竹林への期待感を高めてくれる報国寺の枯山水
報国寺を訪れるとまず出迎えてくれるのが「枯山水庭園」。受付に向かう参道沿いに配置されており、竹の庭への期待感を増幅させてくれます。
苔蒸した岩や美しく整えられた緑が醸し出す静かながら重みのある雰囲気は、訪問した人の背筋を正してくれるよう。鐘楼(しょうろう)を見下ろすようにそびえる樹齢300年を超えるイチョウは自然の雄大さを感じさせます。
色づいた葉が落ちて華やかさが加わった報国寺の枯山水
秋になるとイチョウが黄色く染まり、庭園の緑と見事なコンビネーションを楽しむことができます。
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竹の庭
報国寺が誇る緑の絶景「竹の庭」。約2,000本の竹が生い茂る美しい日本庭園です。
報国寺の中で唯一の有料エリアである「竹の庭」。300円の拝観券を購入し、いざ中に入るとまるで別世界に迷いこんだような感覚に陥ります。
天高く伸びる竹に太陽は遮られ、吹き抜ける風が心地よさを与えます。静かな空間の中で響き渡るのが、笹がぶつかる乾いた音やサワサワと葉が擦れる音。まるで自然と会話しているような気分を味わうことができます。
竹の間から光がところどころ差し込むことで、庭園の美しさが際立ちます。散策路の途中には苔に覆われたお地蔵様もあり、庭園に趣深さを加えています。
インスタ映えスポットとしても人気を博している竹の庭。どこを切り取ってもまるで芸術作品のような美しさとなるため、若者からも熱い支持を受けています。
休耕庵
本格的な抹茶と干菓子を楽しむことができる報国寺の休耕庵
竹の庭の散策道を半分ほど進んだ位置にある「休耕庵」。本格的な抹茶と干菓子を楽しめるスポットです。
休耕庵で抹茶をいただくには竹の庭の拝観券を購入した際に600円の抹茶券を同時に購入しておく必要があります。購入したら、なくさないようにしっかり保管しておきましょう。
受付で券を渡し、抹茶を受け取ったら竹林を観賞しながら抹茶と干菓子をいただきましょう。落ち着いた雰囲気の中で、時間の流れをゆったりと感じるようなひとときを楽しむことができます。
御朱印
報国寺では拝観受付横にて御朱印を拝受することができます。中央に書かれている「大悲殿」とは観音様がいる場所を意味する言葉。
報国寺の神聖な雰囲気を閉じ込めたような素敵な御朱印です。
報国寺の美しい四季
報国寺では四季折々の絶景を楽しむことができます。季節ごとの特徴を知り、自分が一番見たい絶景を見に訪れてみましょう。
春
社殿と桜が美しい情景を作り出す春の報国寺
春の報国寺といえば桜。境内の桜が咲いているエリアは拝観料なしで楽しめるところにあります。報国寺の豊かな緑に美しい桜のピンクが映える絶景です。
春のやわらかい陽気を感じながら竹の庭を散策すると、忙しい現実から離れてリフレッシュできること間違いなし。
初夏
色鮮やかなあじさいが咲き乱れる初夏の報国寺
梅雨から初夏にかけて報国寺の境内にはあじさいが咲き乱れています。青や紫の大きな花があちらこちらで緑を彩り、雨に濡れることで幻想的な雰囲気を醸し出します。
雨上がりで水滴がキラキラと輝く竹林は息を呑むほどの美しさ。少し特別な報国寺を堪能したい人にぴったりの季節です。
夏
夏の強い日差しを浴びてより美しく輝く報国寺の竹林
夏の報国寺はなんといっても青々とした豊かな自然。夏の力強い日差しが照りつけ、報国寺の自然も元気よく葉を伸ばします。
中でも竹林を見るには絶好の季節。気温が高い日に、直射日光を浴びながら参道を散策し、竹の庭に一歩足を踏み入れた瞬間の涼しさはとても心地よく、特別な場所という印象を受けます。
暑い夏にゆっくりできるプチ避暑地としての報国寺を楽しんでみてはいかがでしょうか。
秋
竹林の緑と紅葉の赤が美しい秋の報国寺
秋の報国寺は真っ赤に染まった紅葉が見頃。境内の至る所で美しい紅葉を見ることができ、緑と赤のコントラストが印象的な季節です。
紅葉は日本庭園も美しく飾ります。枯山水に赤い葉が散りばめられた様子は非常に趣深く、秋ならではの絶景といえます。
鎌倉屈指の紅葉穴場スポットである秋の報国寺は、静かに紅葉や竹林を楽しみたい人におすすめの名所です。
報国寺の基本情報
アクセス:JR鎌倉駅より市営バス 浄明寺下車 徒歩3分
住所:〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺2丁目7番4号
電話番号:0467-22-0762
営業時間:9:00〜16:00
抹茶の受付は15:30まで
12/29〜1/3は拝観不可
拝観料:300円 (抹茶:600円)
公式サイト:功臣山 報国寺
報国寺の周辺スポット
鶴岡八幡宮
真っ赤な社殿が印象的な鶴岡八幡宮
神奈川県鎌倉市に位置する真っ赤な社殿が目を引く「鶴岡八幡宮」。1063年に建立された鎌倉幕府の初代将軍である源頼朝にゆかりがある神社です。
鶴岡八幡宮に祀られている「八幡伸」は勝負運や仕事運を司っており、多くの人が参拝に訪れる人気のスポット。由比ヶ浜から続く参道は春になると桜のトンネルになります。「日本の桜名所100選」にも選ばれた桜は、見た人を圧倒する迫力を持っています。
鎌倉高校前駅
スラムダンクの聖地として知られる鎌倉高校前駅の踏切
神奈川県鎌倉市に位置する聖地巡礼でお馴染みである「鎌倉高校前1号踏切」。アニメ『SLUM DUNK』のオープニングに登場するスポットです。
すぐ近くにある江ノ島電鉄「鎌倉高校前駅」は海が非常に近い駅として知られており、ホームからは湘南の海を見渡すことができます。「関東の駅百選」にも選ばれた絶景を楽しむことができる駅です。
外国人観光客も多く、アニメと同じポーズで写真を撮る人が流行っていたそう。原作ファンなら一度は訪れたいスポットです。
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江ノ島
美しい海に囲まれた橋が架かる江ノ島
神奈川県藤沢市に位置する「江ノ島」。神奈川県を代表する観光地であり、デートスポットとしても人気を博している小島です。
江ノ島の冬といえば宝石箱のようなイルミネーション
夏は海水浴、冬はイルミネーションと各季節の魅力が詰まったスポットである江ノ島。特にイルミネーションは「関東三大イルミネーション」にも選出されるなど規模・人気ともにトップクラスのイベントです。
近くには「新江ノ島水族館」があり、2万匹を超える海洋生物を見ることができます。県外からも多くの人が足を運んでおり、常に賑わいを見せています。
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別世界のような美しさの竹林に飛び込もう
今回は「竹の寺」として知られる報国寺を紹介しました。関東足利氏滅亡の地として悲しい歴史を歩みながらも多くの著名人に愛されてきた報国寺。現代では竹の庭の絶景を求めて世界中から観光客が訪れるように。若年層にも高い人気を誇り、老若男女が楽しめる寺院となりました。
春の桜、夏の涼しさ、秋の紅葉と何度も訪れて季節ごとの報国寺を楽しんでみてはいかがでしょうか。