海に囲まれた島国、日本。「恵みの海」と表現されることもありますが、海からもたらされる資源や海上交易などで発展してきた地域が国内には多くあります。
そうした背景から、7月17日の海の日やその前後に、海に感謝を捧げる神事や、地域住民が港に親しむための港まつりが多く開催されます。
そこでこの記事では、2023年に全国で開催される港まつりを紹介します。夏祭りを兼ねた港まつりも多く、花火大会などの催しや屋台出店も盛んなので、夏休みのおでかけ先としてもおすすめです。情報は随時更新していくので、お見逃しなく。
(北海道)もんべつ港まつり
北海道の右上、流氷で有名なオホーツク海沿岸のほぼ中央部にある紋別港の恵みに感謝する「もんべつ港まつり」。例年、旧駅前通り周辺には100以上の屋台が立ち並び、特設ステージや歩行者天国などではダンスや音楽系のイベントが盛んに開催され、にぎやかな雰囲気。3年ぶりの開催とあり、名物の「オホーツク花火の祭典」も、2023年は打ち上げ時間と総数を拡大するので、お見逃しなく。
もんべつ港まつりの目玉、約4500発の花火とレーザーの共演を体感して(写真:紋別観光振興公社)
江戸時代に開港されたといわれる紋別港は、その地形から「天然の良港」として地域の重要な漁業基地を担ってきました。現在は、港や海岸部を通じた地域活性化にも力を入れており、もんべつ港まつりをはじめ、周囲では流氷砕氷船の乗船体験や野生アザラシの観察などを楽しめます。
もんべつ港まつりで屋台巡りを楽しむ人々(写真:紋別観光振興公社)
【もんべつ港まつりの基本情報】
■開催場所:紋別港、ガリンコステーション、旧駅前通り、昭和街ほか
■開催日時:
2023年7月21日(金)17:00~19:00
2023年7月22日(土)10:00~19:00
2023年7月23日(日)10:00~17:00
※屋台営業は~21:00(店舗による)
※オホーツク花火の祭典
7月22日(土)20:00~20:30
※雨天中止時は23日へ順延
■公式サイト:もんべつ港まつり|紋別観光案内所
(北海道)むろらん港まつり
「むろらん港まつり」は、前身である「第1回復興港まつり」が1947(昭和22)年に開催されて以来、室蘭市の夏の風物詩として人々に親しまれてきました。名物の「納涼花火大会」は、例年800万人もの人出がある人気イベント。他にも、室蘭ばやしと北海盆唄に合わせ毎年約1000人が踊り歩く「総参加市民踊り」、各企業や町内会などがみこしや山車をかついで練り歩く「室蘭ねりこみ」なども実施され、祭りは見応え抜群です。
室蘭の夜景を美しく彩る、むろらん港まつりの納涼花火大会(写真:室蘭市)
「大露店街」と称され、出店ジャンルも多岐にわたる屋台をめぐるのも楽しそう。計3日間にわたり地域が活気にあふれる祭りの最後は、威勢良く迫力満点の「よさこいソーランin室蘭」で締めくくられます。北海道らしさ満載のむろらん港まつりに、ぜひ足を運んでみては?
【むろらん港まつりの基本情報】
■開催場所:入江臨海公園横特設会場(北海道室蘭市海岸町1丁目周辺)ほか
■開催日:2023年7月28日(金)~30日(日)
■公式サイト:むろらん港まつり
(青森)外ヶ浜町港まつり
津軽半島最北端の町、外ヶ浜町の蟹田エリアで開催される港まつり。注目したいのは、外ヶ浜町ならではのさまざまなアクティビティーを、無料で体験することができる点です。県内有数の養殖ホタテの産地であることから、ホタテ焼きやホタテの掴み取りが、なんと無料で楽しめます。他にも、パン生地を棒に巻きつけた青森のローカルフード「棒パン」を自分で焼けるなど、現地ならではの無料体験が魅力的です。
外ヶ浜町港まつりでホタテを釣り上げて楽しむ人々(写真:青森県)
ステージライブや地域の子どもたちによる「よさこい踊り」の披露、地元のお店が多岐にわたって集まる物販コーナーなど、もちろん無料体験以外にも見どころはたくさん。文豪・太宰治が「風の街」と呼んだ蟹田で、夏を過ごしてみませんか。
【外ヶ浜町港まつりの基本情報】
■開催場所:蟹田漁港(青森県東津軽郡外ヶ浜町蟹田中師宮本)
■開催日時:2023年7月16日(日)9:00~14:00
■公式サイト:外ヶ浜町港まつり2023|外ヶ浜町
(秋田)港まつり能代の花火
秋田県北部に位置する能代(のしろ)市では、花火が名物の港まつりを開催します。もともと戦争や大火からの復興記念行事として始まった「能代の花火」は、今では20万人以上が訪れるほどの一大イベントとなりました。幅広く一斉に打ち上げるワイドスターマインや、東北唯一の三尺玉をはじめ、約1万5000発の花火で彩られる能代の空は必見です。
世界自然遺産「白神山地」を背景に打ち上げられる、港まつり能代の花火
そんな能代の花火観覧席は、チケット制。訪れる人に楽しんでもらおうと、実行委員会が改良を重ねた観覧席は、花火が見やすい配置はもちろん、1人用椅子から複数人用テーブル席、車椅子用の席まで、幅広いニーズに対応しています。2023年7月14日時点の情報によれば、今年分の事前販売チケットは一部の席を除きほど完売してしまったよう。立ち見はできないので、訪れる際は当日券の購入(現金のみ)がおすすめです。
【港まつり能代の花火の基本情報】
■開催場所:能代港下浜ふ頭 特設会場(秋田県能代市能代町下浜)
■開催日時:2023年7月22日(土)19:30~21:00
■公式サイト:港まつり能代の花火
■チケット情報:第19回 港まつり能代の花火観覧席の発売状況|能代観光協会
(宮城)塩釜みなと祭
古くから港町として栄えてきた塩釜市で開催される、日本三大船祭りの一つ「塩釜みなと祭
」。周囲の島々と海が織りなす眺望が日本三景に数えられる松島の湾内を、神輿を載せた2隻の専用船「御座船」が巡幸する様は、まるで絵巻物のようとも表されます。見応え抜群の巡幸は、豪華な約100隻の供奉船をともない、およそ5時間にわたって行われます。
御座船の鳳凰丸。絢爛豪華な姿は、オーストラリアでたばこのデザインに使用されたことも
御座船の巡幸中、陸上では市民が塩釜甚句を踊ったり、ローカルソング「よしこの塩釜」に合わせパレードを行ったりと、周囲にはにぎやかな雰囲気があふれます。また、これら本祭開催前夜には花火大会も開催されるため、海も陸も活気に満ちた2日間を過ごせそうですね。
【塩釜みなと祭の基本情報】
■開催場所:
(前夜祭・花火)マリンゲート塩釜周辺
(本祭)塩釜市内各所
■開催日時:
(前夜祭・花火)2023年7月16日(日) 20:00~21:00
※荒天時は7月22日(土)に順延
(本祭)2023年7月17日(月祝) 10:30~19:00
■参考サイト:第76回塩竈みなと祭 '23.7.16(日)~17(月・祝)|宮城県観光連盟 宮城まるごと
*探訪
(名古屋)海の日名古屋みなと祭
1946(昭和21)年に戦後の復興祭として始まった祭りが、現在は「海の日名古屋みなと祭」として、夏の名古屋港を賑わせています。2023年も、水上で巧みに材木を操る名古屋市の無形民俗文化「筏師(いかだ)一本乗り」の技術を競う大会、和太鼓演奏、山車の運行など、さまざまなイベントの開催が予定されています。
ライトアップされた港とカラフルな花火
祭りを締めくくるのは、恒例の花火大会。スターマインのほか、事前募集したメッセージを読み上げながら打ち上げるメモリアル花火や、音楽に合わせて打ち上げるメロディー花火など、ちょっぴりユニークな花火は海の日名古屋みなと祭ならでは。花火を見上げながら、進級や結婚記念に寄せたメッセージを会場で耳にすれば、自分のことでなくても思わずほっこりしてしまうのでは。
【海の日名古屋みなと祭の基本情報】
■開催場所:名古屋港駅〜ガーデンふ頭岸壁周辺
■開催日:2023年7月17日(月祝)
■公式サイト:海の日名古屋みなと祭公式サイト
(神戸)Kobe Love Port・みなとまつり
瀬戸内海に隣接する神戸は、物資の海上輸送により発展してきた都市です。そんな神戸の街を支えてきた海や港に感謝しようと始まったのが、市民参加型の夏祭り「Kobe Love Port・みなとまつり」でした。期間中は、飲食物を扱う屋台の出店はもちろん、水かけ祭りやマリンカーニバルなど、海や水を身近に感じられるイベントが多く開催されます。
夕暮れのメリケンパーク(写真:一般財団法人神戸観光局)
さらに、両日朝10:00〜開催のイベント「マリンカーニバル」では、魚や船にまつわる子ども向けワークショップや、小型ボートへの体験乗船など、家族で楽しめる企画が盛りだくさん。夏休みの思い出作りに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。
【Kobe Love Port・みなとまつりの基本情報】
■開催場所:メリケンパーク(兵庫県神戸市中央区波止場町2-2)
■開催日:2023年7月16日(日)〜17日(月祝)
■公式サイト:Kobe Love Port・みなとまつり公式サイト
(徳島)小松島港まつり
四国と関西を結ぶ旅客船などの発着により、かつては「四国の東門」と呼ばれ、現在でも10万トン級のクルーズ船などが停泊する、四国を代表する港「小松島港」。祭りの会場である小松島市は、そんな小松島港を中心に栄えてきた港町です。現地では、四国最大級の大玉花火連発数を誇る打ち上げ花火や、本場の阿波おどりを、海風を感じながら見物することができます。
【小松島港まつりの基本情報】
■開催場所:小松島市、小松島町新港地区一帯
■開催日:2023年7月15日(土)~16日(日)
■公式サイト:小松島港まつり|阿波ナビ
(宮崎)油津港まつり2023花火大会
県内最大級の規模で行われる花火大会。約1万発の花火が生み出す迫力ある音と光で、港周辺のメイン会場は大きな盛り上がりを見せます。会場内には無料観覧席の用意もあるほか、テーブル付きの有料観覧席チケットも販売中(2023年7月14日時点)。キッチンカーや屋台店舗では飲食物を販売するので、ぜひお腹を空かせて遊びに行ってみましょう。
見応え抜群の油津港まつりの花火大会
会場となる油津港は、耐久性に優れながらも加工しやすい飫肥杉(おびすぎ)の積出港として、江戸時代から栄えてきた歴史ある港です。現在も、5万トン級の大型船が入港するなど、県南地域の海の玄関口として機能しています。当日は、朝9:00〜と昼13:00〜の2回、海上自衛隊の艦艇「掃海艇683つのしま」を見学することができるので、興味がある方は時間までに油津港第7・8号岸壁へ向かいましょう。
【油津港まつり2023花火大会の基本情報】
■開催場所:日南市油津港周辺
■開催日時:2023年7月15日(土)20:00~
■公式サイト:油津港まつり2023花火大会のお知らせ|観光にちなんの旅
まとめ
Text:Sakura Takahashi
Photo:PIXTA(特記ないもの)
参考:
もんべつ港まつり|紋別観光案内所/PHOTO GALLERY|紋別観光案内所/紋別港|国土交通省北海道開発局/オホーツク・ガリンコタワー株式会社/紋別港|紋別市/むろらん港まつり/フォトギャラリー|室蘭市/むろらん港まつり|室蘭の観光情報サイト おっと!むろらん/外ヶ浜町/フォトギャラリー|青森県観光情報サイト/青森で「棒パンサミット」 大勢がソウルフードの焼き体験(2023年7月4日閲覧)|青森経済新聞/港まつり能代の花火/特定非営利観光法人 能代観光協会ウェルカムのしろ.com/塩竈市観光物産協会/第76回塩竈みなと祭 '23.7.16(日)~17(月・祝)|宮城県観光連盟 宮城まるごと
*探訪/愛知県の公式観光ガイド/名古屋港筏(いかだ)師一本乗り|名古屋市/海の日名古屋みなと祭公式サイト/Kobe Love Port・みなとまつり公式サイト/第22回Kobe Love Port・みなとまつり|神戸最大級の夏祭り|神戸市広報誌ONLINE KOBE/Feel Photo/マリンカーニバル神戸|BOTING JAPAN/小松島市/小松島ナビ/小松島港まつり|阿波ナビ/油津港|宮崎県/飫肥杉とは|TAKAMINE WOOD/油津港まつり2023花火大会のお知らせ|観光にちなんの旅