金のしゃちほこで有名な「名古屋城」。愛知県名古屋市の名古屋駅から車で10分の場所に位置し、日本100名城にも選定され、国の特別史跡に指定されています。
1609年、徳川家康が天下統一のために建て、以来徳川御三家の一つに数えられる「名古屋城」。大天守閣では、重要文化財の障壁画や歴史資料が展示されるだけでなく、実物大の金シャチ模型や、石引き体験など、楽しみながら名古屋城の歴史を学ぶことができます。
名古屋城周辺のグルメ施設「金シャチ横丁」では、「名古屋コーチン丼」、「ひつまぶし名古屋備長」など、代表的な名古屋めしを楽しむこともできます。
この記事では一日かけて散策してほしい名古屋城の見どころと知られざるその歴史、周辺のグルメをご紹介します。
名古屋城の歴史
紅葉と名古屋城
名古屋城の歴史が始まったのは室町時代。織田信長も関わったことがあるお城で、歴史があるお城なんです。
名古屋城の歴史について詳しく解説していきます。
【室町時代〜】織田信長が実は名古屋城の城主?
名古屋城にもゆかりがある織田信長
現在の名古屋城が立っている場所には那古野城(なごやじょう)と呼ばれる城がありました。室町時代からあったお城で。最初の城主は今川氏の一族。1521年〜1524年に那古野城が築かれたとされています。
そののちの1538年頃、織田信秀が那古野城を奪取。1546年ごろに信秀が古渡城へと移ると、息子の信長に那古野城を譲りました。1555年に尾張に築かれた清須城に信長が移った後、信長の叔父にあたる信光が那古野城の新たな城主となります。
信光のあとは重臣であった林秀貞(はやしさだひで)の居城となりますが、1582年那古野城は廃城となりました。その同じ年に、織田信長も本能寺の変で明智光秀に暗殺されました。
【安土桃山時代〜】徳川家康が名古屋城を再建
城主である徳川義直
信長亡き後、天下統一を目指す流れは豊臣秀吉に引き継がれ、見事にそれを達成します。
しかしその彼の死後、天下の情勢は豊臣家か徳川家の両家に分けられることになりました。
1600年、石田三成率いる西軍と徳川家康率いる東軍が、のちに天下分け目の大合戦と呼ばれる「関ヶ原の戦い」に、徳川家康が勝利を収め、勝利した徳川家康は江戸幕府を開きます。
しかし西の大阪には、依然として豊臣家が拠点を構えています。家康は東海道の要として、尾張地方の守備を重視。大坂と江戸を結ぶ東海道の中間点として、防衛と大名への抑止効果を持たせるために名古屋城を築城を命じました。
そんな名古屋城を守ってきたのは総勢16人。約260年に渡って、徳川家の居城となりました。
以前、尾張一帯を任されていたのが松平忠吉ですが若いうちに亡くなってしまいます。その後、徳川義直が後を引き継ぐことになりそこから16人の藩主によって名古屋城と尾張一帯は治められることになりました。
【明治時代〜】災害や焼失を乗り越え再建
明治期に入ると、名古屋城は陸軍の管轄下に入り天守閣や本丸御殿などが軍の施設として利用されることになりました。新たな施設が作られると同時に、二之丸御殿などが撤去されていきます。
この動きに対して、名古屋城は姫路城などと共に歴史・伝統ある城として永久保存する方針が政府によって決定。その後、地震や戦争での消失という苦難を乗り越え名古屋のシンボルとして名古屋城は再建されました。
名古屋城の見どころを解説
1610年に始まった名古屋城の築城は、近世城郭築城技術の完成期に行われ、当時の最先端の技術が取り入れられました。
近世城郭(きんせいじょうかく)とは、安土桃山時代の安土城〜江戸時代にかけて築城された天守が建つお城で、多くは石で作られています。
五層五階の天守は史上最大級で、狩野派の絵師が描いた障壁画や豪華な装飾が施された本丸御殿は武家風書院造の代表作です。大きな隅櫓、美しい二之丸庭園、高い石垣、深い堀、そして緻密な縄張りを持つ名古屋城は、近世城郭の究極の形を持つものでした。
そんな伝統を感じさせる名古屋城の見どころを解説していきます。
本丸御殿
名古屋城の本丸御殿
本丸御殿とは、城主が生活をする場や役人が集まる政庁として役割を発揮した建物。近世城郭御殿の最高傑作と言われ、国宝に指定されていました。しかし、空襲により焼失、建物は失われてしまいましたが、天井板絵などは焼失を免れました。
日本画史上最大の画派、狩野派によって描かれた「竹林豹虎図」は重要文化財として指定されており、1,047面にも連なった障壁画は現在も大切に保管されています。
その後、史料をもとに150億円をかけて復元工事が開始。約10年の時を経て2018年に完成し、一般公開をしています。
表書院(おもてしょいん)
表書院
大広間と呼ばれており、格式の高い間として用いられていた「表書院」。藩主にお目にかかる際に使われていました。
障壁画には松や桜など華やかな絵が描かれており、訪れた人を魅了します。表書院にある上段之間は藩主の徳川義直が座る部屋です。
湯殿書院
湯殿書院
将軍専用の浴室。当時はお風呂とは言いつつも、一般的な浴槽はなく、湯気で内部を暖かくするサウナ式風呂だったようです。
二之丸庭園
二之丸庭園
名古屋城の中で最も広大な敷地を有する二之丸。かつて藩主の住まいであり、政治の拠点でもあった二之丸御殿が建っていました。二之丸御殿はもともと藩主の住まい、政庁として利用されていましたが、1873年に陸軍の拠点として取り払われてしまうことに。
その二之丸御殿の北側に造られた庭園が「二之丸庭園」。御殿の庭園として日本一の規模を誇ります。
全国でも6例しかない滝の上部に橋をかける「玉澗流」の特徴を持っており、1953年に、北御庭と前庭が愛知県で初の名称に指定されました。
その後の調査により、大名庭園として価値のある遺構が地下に残っていると分かり、2018年にほぼ全域が名勝として指定されました。
天守閣
名古屋城の天守閣
最大級の延床面積(建物の階の床の総面積)を誇った天守閣。金色のしゃちほこが天高く登っている天守閣は、1612年に完成しました。
しかし戦争の影響により1945年に焼失しますが、再び燃えて無くならないように鉄筋コンクリートとして1959年に外観が復元されました。
そんな名古屋城のシンボルでもある天守閣ですが、復元されてから半世紀以上経ち、設備の老朽化や耐震性の問題が浮上。2023年9月現在も天守閣は閉館とされています。
当初は木造造りで復元すると話題を呼びましたが、車椅子の方のためのエレベータ設置をどうするか、建築法や石垣の調査などの影響によりスケジュールが予定より大幅に遅れているようです。
ニュースによると、天守閣の復元は2032年度になると言われています。安心・安全かつ立派に復元された天守閣を早くみたいですね。
名古屋城内部
名古屋城の金シャチの模型
名古屋城の内部は歴史をテーマとしたアミューズメント施設となっています。記念撮影のスポットでは、屋根の鯱と同じ大きさで作られた金シャチの模型にまたがった写真を撮影できます。
また、名古屋城の石垣を作る場面を再現し、石引きを実際に体験できるコーナーもあります。
歴史テーマパーク名古屋城の石引き場面の再現
記念撮影スポットや石引き体験以外にも、実際に使用されていた鎧や刀の展示スペースも設けられており、城内を回るだけであっという間に時間がすぎてしまいそうです。
入場料はどこから必要? 正門と東門
名古屋城の入場料は大人500円、中学生以下は無料となっています(その他割引料金あり)。料金を支払う場所は、名古屋城の正門と東門。こちらで入場料を払うことで、天守閣や二之丸庭園などを散策することが可能です。
実はこの正門、元々は旧江戸城にあった蓮池御門なんです。創建当初の門は地震によって大破。その後、旧江戸城から蓮池御門を移築し「名古屋城正門」として、再建されました。
【名古屋城 基本情報】
住所:〒460-0031 愛知県名古屋市中区本丸1-1
TEL:052-231-1700
開園時間:9:00〜16:30
休園日:12月29日~1月1日
料金:大人 500円 中学生以下 無料
公式HP:特別史跡 名古屋城
全体マップ:見どころマップ
金のしゃちほこ豆知識
名古屋城天守の金のしゃちほこ
金のしゃちほこに貼られた金の量は、慶長大判にして1,940枚と言われており、現代の感覚でいうと10〜20億円の規模だそうです。天守は地元商店街の尽力や寄付をうけて1959年に再建され、復元された金鯱とともに名古屋市のシンボルとなっています。
徳川家の権力・財力を誇るものの象徴として創設されたのが十分すぎるほど伝わってきますね
金シャチ横丁
名古屋名物が食べられる金シャチ横丁
2018年3月にオープンした、国内外からの来訪者に名古屋の魅力を発信するために建設された商業施設「金シャチ横丁」。豊富な種類のレストランが立ち並び、正門側の"義直ゾーン"と東門側の"宗春ゾーン"の二つに分けられています。
今回は、正門側にある"義直ゾーン"を中心に、名古屋に行ったら絶対に食べて欲しい名古屋メシをご紹介します。
名古屋とうふ 河口(とうふ田楽)
とうふ田楽
1934年の創業以来、厳選された素材の大豆や癖のない井戸水を使用し、豆腐の変わらないおいしさを守り続けている「名古屋とうふ 河口」。この厳選された豆腐と、名古屋の食文化の一つである味噌を掛け合わせた「とうふ田楽」は絶品です。
その他の人気メニューが豆腐を使ったスイーツ「豆腐ソフトクリーム」が人気です。甘さが程よく、豆乳のような後味が楽しめます。金箔が贅沢に乗っかった「金箔ソフトクリーム」は、SNSに思わずあげたくなるメニューです。
名古屋とうふ 河口基本情報
住所:愛知県名古屋市中区三の丸1-2-3
営業時間:10時半〜17時半
定休日:年末年始
※事前にご確認ください。
ひつまぶし名古屋 備長(ひつまぶし)
上ひつまぶし
備長炭と呼ばれる本格的な炭を使ってうなぎを焼くのが特徴の「ひつまぶし名古屋 備長」。備長炭で調理することでうなぎにじっくりと温度が伝わり、味がじんわりと染み込むのがおいしさの秘訣です。
金シャチ横丁では、ひつまぶし以外にもお持ち帰りメニューの「鰻いなり」を購入することもできます。
ひつまぶし名古屋 備長の基本情報
住所:愛知県名古屋市中区三の丸1丁目2番5号
営業時間:
【平日】
10:30~17:30
【土日祝】
10:30~15:30
16:30~19:00
定休日:
月曜日(祝日の場合は翌日火曜)
鳥開総本家(名古屋コーチン親子丼)
親子丼
全国丼グランプリで4年連続金賞を受賞した「名古屋コーチン親子丼」が有名な「鳥開総本店」。地元愛知で作られた食材を積極的に取り入れた鶏料理専門のお店です。卵の黄味が濃く、ふんわり、プリプリとした食感が特徴で、絶妙な火加減によって調理された絶品親子丼を味わってみてください。
鳥開総本家基本情報
住所:名古屋市中区三の丸1丁目2番5号 正門エリア
営業時間:10:30-17:30(ラストオーダー 17:00)
定休日:不定休
名古屋城のイベント
3月〜5月「名古屋城春祭り」
名古屋城と桜
シダレザクラやソメイヨシノを中心に、7種類約1,000本の桜が咲き誇る「名古屋城」の桜の美しさは別格です。また、様々な種類のビールが味わえるイベントやこども縁日、大道芸人のパフォーマンスなども開催されます。
さらに全国の武将隊ブームのさきがけともなった「名古屋おもてなし武将隊」が、毎日おもてなし演武や記念撮影を行うなど、イベントも満載。
8月「名古屋城夏祭り」
名古屋城夏祭り
8月初旬〜中旬にかけて行われる「名古屋城夏祭り」。祭り期間中は春のお祭りと同様に、たくさんのイベントが開催されます。
祭りの目玉は期間中毎日行われる「大盆踊り大会」。2023年は11日連続で行われました。(うち2日は台風で中止)「盆踊り櫓」を囲んで、名古屋の盆踊り曲の元祖「名古屋ばやし」や「ダンシング・ヒーロー」や「ガッツ!!」など、伝統曲からアップテンポな曲で盆踊りを楽しむことができます。
その他には、お祭りの屋台の雰囲気を楽しめる「金鯱座」や名古屋オリジナルクラフトビール「HOPPING SHACHI」などをはじめ、地元グルメをいただくことができる「鯱食堂」などのブースも完備。
祭りを盛り上げるコンサートや、伝統芸能が披露されるイベントステージも行われ、どの時間帯でも楽しむことができるお祭りです。
名古屋城の観光のついで、にぜひ参加したいお祭りですね。
名古屋城へのアクセス
最寄駅 : 名城公園前駅
名古屋駅からのアクセス
名古屋市営東山線 / 藤が丘方面
→【栄駅】
名古屋市営名城線右回り / 市役所方面
→【名城公園駅】→徒歩(約10分)
中部国際空港からのアクセス
名鉄空港線特急 / 名鉄岐阜方面
→【金山駅】
名古屋市営名城線右回り /栄方面
→【名城公園駅】→徒歩(約10分)
Edit:Kaoru Maki
参考:名古屋城公式ウェブサイト/名古屋城振興協会/刀剣ワールド 城/ほか