新潟県十日町市にある、新潟を代表する景勝地「星峠の棚田」。山の斜面に大小200もの美しい棚田が広がり、「にほんの里100選」にも選ばれています。
長野県の「姨捨の棚田」や石川県の「白米千枚田」などど同様、全国的に有名な棚田でテレビや雑誌などでもよく取り上げられる名所です。この記事では「星峠の棚田」の四季の魅力、訪れる際の注意点、駐車場情報などをご紹介します。
星峠の棚田の絶景|雲海と水鏡
雲海
雲海とオレンジ色の空と星峠の棚田
6月下旬と9月の早朝には、運が良ければ雲海の中に浮かぶ星峠の棚田を見ることができます。雲海が山間に広がり、棚田が朝日を浴びて輝く姿はまさに絶景です。このシーズンは全国から多くのカメラマンが星峠の棚田を訪れ、日の出前からスタンバイしているほど。
早起きをして、ここでしか見ることができない、神々しい景色を楽しんでくださいね。
水鏡
静かな水面に空の青が映ります
星峠の棚田では春と秋に棚田に水が張られるので、水面に周辺の景色が映りこむ「水鏡」が見られるようになります。春は雪解け後から6月、秋は10月後半から雪が降り始めるまでが、水鏡がもっとも美しい季節です。
田植えが終わった直後なら、まだ小さな苗が水面からぴょこぴょこと頭を出している景色を見ることができます。
季節によりかわる表情
新緑と青空(晩春〜初夏)
新緑を映し出す夏の星峠の棚田
星峠の棚田は、季節によって様々な景色を楽しむことができるのも魅力です。春には桜の木と、夏にはみずみずしい新緑と星峠の棚田のコントラストを楽しめます。
黄金に輝く稲穂(晩夏〜秋)
稲刈りをひかえる棚田
夏になると稲は穂をつけ、早ければ8月の終わり頃から黄金色に変わりはじめます。稲刈りを待つ間、一面が黄金色に染まる棚田は圧巻です。
雪化粧した棚田(冬)
冬の星峠の棚田の水鏡
冬は雪が積もり、星峠の棚田の景色は一変。畔(あぜ)が白く染まり冬ならではの幻想的な景色に。なお、星峠の棚田のある新潟県十日町市は日本有数の豪雪地帯。例年12月頃から道路が雪で埋まり、通行できなくなるので厳冬期の棚田見学はできません。
見頃はいつ?
水鏡の景色が見られる4月下旬〜6月中旬、10月下旬〜11月中旬ごろがおすすめの時期です。
星峠の棚田は訪れる季節や時間帯によって風景が異なりますが、水面に緑豊かな木々と青い空が反射する頃は、里山の風情が色濃く現れる季節。
美しい景色をカメラに収めようと多くの人が訪れますが、駐車できる車の数は限られているので、早朝や平日に訪れるなどの対策をとるのがおすすめです。
星峠の棚田の鑑賞ルール
星峠の棚田と農家の方々
十日町市の棚田は、観光用地ではありません。農家の人々が守りながら、今でも農家の方々がそれぞれに稲作をしている大切な場所です。星峠の棚田を訪れる際はきちんとマナーを守って鑑賞してくださいね。
棚田の中には入らない
外から来た人がむやみに棚田の中に入ると、お米の生育に悪影響が出てしまいます。棚田の中にはむやみに入らず、展望台などから眺めるようにしましょう。もちろん、三脚を立てて撮影するといった行為も農家の方の迷惑になるので控えましょう。
ゴミは持ち帰る
星峠の棚田は、地元の方が大切に守ってきた場所です。観光地ではないので、当然ゴミ箱などはありません。ゴミが出た場合は、必ず持ち帰りましょう。
山菜や草花は採らない
星峠の棚田に生えるつくし
自然豊かな棚田の周りに山菜やキノコ、草花などが生えていますが、採ったり持ち帰ったりはしないようにしましょう。目に焼き付けた風景だけを持ち帰ってくださいね。
人物の撮影は禁止
星峠の棚田の中のトラクター
棚田で作業をしている方たちは一般の農家の方々です。無断で撮影をしないようにしましょう。
また、車で行く際は農耕車の邪魔にならない場所に車を停めましょう。あくまでも、私有地である棚田にお邪魔させてもらっているという意識を持てるといいですね。
お手洗いは事前に済ませる
星峠の棚田付近には、トイレは男女各一ヶ所のみと少ないので、事前にトイレを済ませてからの訪問がオススメです。道の駅「松代ふるさと会館」が近くにあるので、そこで少し休憩してから棚田巡りをするのもいいですね。
星峠の棚田の基本情報(観覧期間・アクセスなど)
観覧期間
観覧期間:5月上旬〜11月上旬頃まで
※上記以外の期間(11月中旬〜4月下旬)は雪の影響のため車での侵入ができません。
星峠の棚田へのアクセス
電車でのアクセス
最寄り駅:ほくほく線 まつだい駅タクシー(約20分)
車でのアクセス
関越自動車道:六日町ICより、国道253号線経由で約1時間
北陸自動車道:上越ICより、国道253号線経由で約1時間
星峠の棚田の駐車場
普通車:20台
大型車:1台
※Googleマップで検索するときは「星峠の棚田乗用車駐車場」と検索
棚田について
星峠の棚田
棚田の歴史
棚田がいつごろから見られるようになったかは正確には分かっていませんが、6世紀~7世紀前半とされる古墳時代には出現していたと考えられています。その当時は、緩い傾斜のある狭い谷の、谷底にひらけた場所のことを「棚田」と呼んでいました。
「棚田」という言葉が文書で見られるようになるのは室町時代前期で、1406年の真言宗・高野山金剛峯寺(こんごうぶじ)に伝わる文書である、「高野山文書(こうやさんもんじょ)」の一つに記載されていたのが最初だといわれています。
現在の棚田
田植えをする人々
現在でいう棚田とは、山の斜面や谷間の傾斜地に階段状に作られた水田のことで、日本の山岳地帯でよく見られます。日本にある約250万haの水田のうち約22万ha、約8%が棚田とされています。
一枚一枚の面積が小さく傾斜地で労力がかかるので、山間地域の過疎化や高齢化にともなって、1970年代頃から耕作が放棄されている状況です。現在では40%以上の棚田が消えているそうです。
日本の農業の歴史的遺産である棚田を救うため、環境保全や国土保全と農村文化を考えていこうと、1995年に全国棚田(千枚田)連絡協議会が設立されました。
全国棚田(千枚田)連絡協議会によって1995年に高知県で開催された「第1回全国棚田(千枚田)サミット」や、1999年に選定された「日本の棚田百選」などがきっかけとなり、棚田は「農民労働の記念碑」、「日本のピラミッド」とも称され、歴史的文化遺産としての評価が高まります。
それ以降、日本の原風景を守ろうと、全国的に保全活動が行われるようになっています。
日本の原風景ともいえる星峠の棚田
いかがでしたか。日本の原風景でもある棚田。時期によって違った美しさを見せる十日町の星峠の棚田は、一見の価値ありの絶景です。自然豊かな新潟県で星峠の棚田の美しさに心を癒されに行ってみてはいかがですか。
星峠の棚田の周辺情報
まつだい「農舞台」
里山の中にアートを散りばめたプロジェクト「大地の芸術祭」の拠点のひとつ。「大地の芸術祭」自体は3年に一度の開催されるアートの祭典ですが、「農舞台」は開催年に関係なく毎年春〜秋にかけて公開されています。
●公式サイト:まつだい「農舞台」フィールドミュージアム
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美人林
新潟県の南部、十日町市に位置するブナの林です。すっと伸びる木立のようすから、「美人林」の名前がつきました。初夏は新緑、秋は紅葉が美しく、また雨がふっても風情のあるブナ林です。
●参考サイト:美しすぎるブナ林 美人林|My trip TOKAMACHI
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