カステラは和菓子だった!長崎に誕生した由来は?
外せない!定番の「長崎三大カステラ」(カステラ御三家)
1. 福砂屋
2. 文明堂総本店
3. 松翁軒
知る人ぞ知る長崎限定カステラ
1. 岩永梅寿軒の「幻のカステラ」
2. 奇跡のカステラ(大浦天主堂・キリシタン博物館)
【番外編】長崎ならではの「桃カステラ」
まとめ

歴史深く、異国情緒豊かな雰囲気をもつ長崎には、おいしい食べ物や長崎ならではの名物、特産品もたくさんあります。なかでも知名度が高く、観光土産や贈答品用の定番として人気を誇るのが「長崎カステラ」ではないでしょうか。あの甘い香りと底に残るジャリジャリのザラメ糖、しっとりとした食感だけでなく、きれいに包装された詰め合わせも、見ているだけで幸せな気分にさせてくれます。

実はこの長崎カステラ、日本の歴史や文化が深く関係し誕生したものなんです。

今回は知られざるカステラの歴史を紹介するだけでなく、長崎観光の際にお気に入りカステラを見つけられるよう、老舗カステラ店から長崎限定カステラ店まで、地元民おすすめのカステラのお店をご案内します。

※営業時間、価格、送料等の情報は一時的に変更になっている可能性があります。必ず事前にご確認ください。

カステラは和菓子だった!長崎に誕生した由来は?

カステライメージ

長崎生まれの和菓子「カステラ」

長崎発祥のカステラといえば、子どもからお年寄りまで幅広い年代に親しまれている、日本人にとって身近なお菓子です。

「カステラ」とカタカナで記されることやその原材料から「ケーキの仲間」と思われがちですが、洋菓子ではなく実は「和菓子」に分類されるということをご存知でしたか?

長崎は16世紀に港を開き、ポルトガルとの貿易を始めました。その頃、ポルトガルから伝来した「カスティーリャ王国(今のスペインにあった当時の王国)のお菓子」が、カステラのルーツと言われており、カステラの語源もこのカスティーリャ王国に由来していると伝えられています。

カステラの起源はスペインの焼き菓子「ビスコチョ」やポルトガルの焼き菓子「パン・デ・ロー」だという説があります。

ポルトガルの焼き菓子

ポルトガルの焼き菓子「パン・デ・ロー」

ポルトガル人から伝えられた南蛮菓子にヒントを得た長崎の菓子職人が、「日本人の舌に合う菓子を作りたい」と誕生したのが、「長崎カステラ」。長崎カステラは和菓子にも関わらずヨーロッパにルーツをもつという、他に例を見ないスイーツです。

「砂糖の輸入」がカステラを生み出す

200年以上続いた鎖国の間も、長崎はオランダと中国と貿易を続けました。当時は日本で唯一、世界に開かれた場所だったのです。

長崎港

長崎港

日本・西洋・中国の文化が融合した長崎独特の文化を表す「和華蘭(わからん)」という言葉が長崎にはあります。今でも異国情緒あふれる、他にはないユニークな街並みが残っています。

出島の街並み

出島の街並み

カステラの主原料は小麦粉・卵・砂糖ですが、オランダ、中国との貿易で日本に輸入されていた「砂糖」が、カステラの発展において重要な役割を担いました。

長崎に輸入された砂糖は京都・大阪・江戸へと運ばれ、全国的に広がっていったものの、当時、砂糖は大変貴重なものでした。しかし長崎には砂糖が豊富にあり、そのおかげもあって砂糖を使用した甘い味わいのカステラが作られるようになったと言われています。

長崎をはじめ、九州は他の地域にくらべて料理の味付けが甘いのですが、その理由も砂糖の輸入に関係があるようです。

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文化史跡・遺跡

外せない!定番の「長崎三大カステラ」(カステラ御三家)

カステラ絶品カステラをお土産に

長崎には現在、たくさんのカステラメーカーやブランドがあります。「どのカステラを選べばよいのかわからない。迷ってしまう……」という人のために、地元民おすすめのカステラを紹介していきます。

まず紹介するのは、「長崎三大カステラ」または「カステラ御三家」とも呼ばれている3つの老舗カステラ屋。それが「福砂屋」「文明堂」「松翁軒」です。この3社は歴史があり、伝統の製法を用いたカステラの名店です。

1. 福砂屋

1624年(江戸時代初期)創業の福砂屋は、400年もの歴史を持つ老舗中の老舗。『カステラ本家』という登録商標を持ち、最も古い歴史のあるカステラの名店です。

福砂屋外観

福砂屋本店外観(写真提供:©︎福砂屋)

日本全国に多くの店舗を構える福砂屋ですが、本店の建物は明治初期に造られた立派な日本建築。伝統と歴史を感じさせます。本店は長崎の船大工町(ふなだいくまち)にあり、繁華街である「思案橋(しあんばし)」や江戸時代には遊郭で栄えた丸山などの近くにあります。

明治時代以降採用されている福砂屋の商標は「コウモリ」です。中国では桃と並び、コウモリが慶事・幸運の印。長崎にある中国寺の一つ、崇福寺(そうふくじ)から商標として授けられたと言われています。

福砂屋のカステラは「一人一貫主義」と呼ばれる伝統的な製法で作られており、一人の職人が最初から最後まで手作業で仕上げるというこだわりよう。ポルトガル人から直伝を受けたとされるこの製法を、400年のあいだ、今日まで守り続けているのです。

福砂屋の商品には、伝統的なカステラの他、福砂屋が起源と言われる砂糖と卵が多めの高級な「特製五三焼(ごさんやき)」、ココア・胡桃・レーズンの入った「オランダケーキ」、2切れのカステラが入ったかわいくおしゃれな「フクサヤキューブ」などもあります。

【福砂屋 長崎本店 基本情報】
住所:長崎県長崎市船大工町3-1
電話:095-821-2938
営業時間:9:00〜18:00
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2. 文明堂総本店

1900年(明治33年)創業の文明堂総本店。三大カステラの中では一番新しいカステラ屋ですが、それでも100年以上の歴史を持つ老舗です。世代によってはCMに流れていた「カステラ1番、電話は2番~」というフレーズをご存知の方も多いのではないでしょうか。

文明堂総本店外観

文明堂総本店 外観

「文明堂」は分社化して全国展開されており、福砂屋と共に高い知名度を誇っています。全国に店舗がありますが、発祥・本家は長崎の文明堂総本店です。

本店は長崎の路面電車の大波止(おおはと)停留所からほど近くにあり、古き良き日本家屋で趣があります。外から見えるショーウィンドウのディスプレイもとっても素敵。商品にはカステラの他、カステラを三笠山(どら焼き)で巻いた「カステラ巻」や、木箱に入った「特製カステラ」もあります。

【文明堂総本店 基本情報】
住所:長崎県長崎市江戸町1-1
電話:095-824-0002
営業時間:8:30〜19:30
商品一覧URLはこちら 

3. 松翁軒

創業1681年の松翁軒(しょうおうけん)は、カステラを一枚一枚職人が焼き上げています。

松翁軒外観

松翁軒本店 外観

松翁軒は長崎と福岡にしか店舗がなく、カステラ御三家の中では最も希少価値が高いカステラの名店です。本店は路面電車通り沿い、眼鏡橋からもほど近い、市民会館の電停そばにあります。1階は物販、2階はカフェになっているので、イートインも可能です。

「チョコラーテ」というカステラは、松翁軒が作ったチョコレート味のカステラの元祖。その他にも「抹茶カステラ」などがあります。1990年代には、カステラのルーツであるポルトガルから来た菓子職人を受け入れ、長崎のカステラの製法を伝えるというおもしろい取り組みもしています。

【松翁軒本店 基本情報】
住所:長崎県長崎市魚の町3-19
電話:095-822-0410
営業時間:9:00〜19:30
商品一覧URLはこちら

知る人ぞ知る長崎限定カステラ

カステラは日本各地で販売されていますが、せっかく長崎に来るならば、長崎でしか手に入らない希少なカステラはいかがですか? 地元民にも愛される、長崎でしか買えないカステラ店をご紹介します。

1. 岩永梅寿軒の「幻のカステラ」

「中通り」という商店街にある岩永梅寿軒(いわながばいじゅけん)は天保元年、1830年創業の老舗和菓子店です。日本伝統建築の店舗外観は「都市景観賞」を受賞するほど、立派で風情があります。

梅寿軒

岩永梅寿軒 外観

ここで作られるカステラは受注生産が基本で、予約は長い時で半年待ちという人気ぶりです。店頭販売も数に限りがあり、すぐに売り切れてしまうことから、「幻のカステラ」とも言われています。

【岩永梅寿軒 基本情報】
住所:長崎県長崎市諏訪町7-1
電話:095-822-0977
営業時間:10:00~19:00
商品一覧URLはこちら

2. 奇跡のカステラ(大浦天主堂・キリシタン博物館)

2018年に世界文化遺産に登録された大浦天主堂。天主堂に隣接するキリシタン博物館の中にミュージアムショップがあり、そこで「奇跡のカステラ」が販売されています。

大浦天主堂

大浦天主堂 外観

ラファエロの絵画『ベルヴェデーレの聖母』がプリントされたパッケージが美しく、お土産にもぴったりです。

奇跡のカステラ

パッケージも素敵な「奇跡のカステラ」

カステラ自体も濃い黄色で美しく、素材や焼き方にもこだわって作られたとあって、大変おいしいと評判です。

【キリシタン博物館 基本情報】
住所:長崎県長崎市南山手町5-3
電話:095-801-0707
営業時間:8:00〜18:00

【番外編】長崎ならではの「桃カステラ」

桃カステラ

長崎に来たら味わってほしい!「桃カステラ」

長崎ならではの郷土菓子に「桃カステラ」があります。中国で桃は古くから長寿の縁起物。ポルトガルから伝えられたカステラ生地の上に、砂糖でコーティングして桃に見立てたお菓子が「桃カステラ」です。

桃の節句であるひな祭りに食べる縁起物として、長崎に根付いてきました。ポルトガルと中国、そして日本の文化が混ざった、ユニークでかわいいお菓子です。

長崎では春ごろに店頭に出回りますが、場所によっては通年販売しているところもあります。ひな祭りのシーズンであれば、長崎のさまざまな場所で購入できますので、ぜひ食べてみてくださいね。

長崎に来たらカステラの食べ比べを!

東西文化の出会いからもたらされ、独自の進化を遂げた長崎の銘菓、長崎カステラ。ものにもよりますが、しっとりとした食感のカステラの賞味期限は10日ほどです。ほか、喫茶店でもカステラを楽しめますので、長崎旅でのおやつにかすてらを選んでみてはいかがでしょうか。

ユニークな歴史や文化を持ち、海外とご縁の深い長崎県。観光の際は、歴史を感じながらさまざまなカステラを食べ比べてみてください!