秩父三大氷柱はどこにある?見頃は?
三十槌の氷柱(みそつちのつらら)
あしがくぼの氷柱(ひょうちゅう)
尾ノ内氷柱(おのうちひょうちゅう)
氷柱が美しい埼玉・秩父地方はどんなところ?
都心から秩父へのアクセス
秩父の周辺情報
【豆知識】氷柱はどうやってできる?語源は?
まとめ

冬の寒い朝、家の軒先などで見られる「氷柱(つらら)」。氷柱以外にも雪や雹(ひょう)など、氷の呼び名は実にバリエーション豊かです。

氷柱といえば、普通は数10cm程度のものを想像しますが、埼玉県秩父市では10mになることも。都心から日帰りで行ける秘境・秩父にある3カ所の氷柱の名所、「三十槌の氷柱(みそつちのつらら)」「あしがくぼの氷柱(ひょうちゅう)」「尾ノ内氷柱(おのうちひょうちゅう)」は総称して「秩父三大氷柱」と呼ばれています。

この記事では、秩父三大氷柱の絶景と、秩父の観光情報、氷柱の豆知識をお届けします。

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夜景・イルミネーション

秩父三大氷柱はどこにある?見頃は?

秩父三大氷柱マップ(地図:地理院地図

秩父三大氷柱(ちちぶさんだいひょうちゅう)は、「三十槌の氷柱(みそつちのつらら)」、「あしがくぼの氷柱(ひょうちゅう)」、「尾ノ内氷柱(おのうちひょうちゅう)」の3つの総称。例年、1月中旬から2月中旬にかけて見頃を迎えます。

秩父三大氷柱は、寒い秩父エリアの冬の観光資源であり、冬の風物詩。3つの内、天然の氷柱は三十槌の氷柱のみで尾ノ内氷柱とあしがくぼの氷柱はともに人工の氷柱ですが、地形をうまく利用した立派な氷柱は迫力満点です。

厳寒の秩父の地形が織りなす神秘の世界は、寒さが厳しいほど幻想的な光景に。気候に左右されるため、その年、その日によって姿や表情が変化するのも魅力的です。

三十槌の氷柱(みそつちのつらら)

ライトアップされた天然の三十槌の氷柱

ライトアップされた天然の三十槌の氷柱

秩父三大氷柱の中で、唯一天然の氷柱である「三十槌の氷柱」。秩父市大滝の荒川上流に位置する氷柱です。実は三十槌の氷柱には、天然の氷柱だけでなく人工の氷柱もあります。

「三十槌の氷柱」という名前は、無数の槌(つち)のような氷柱が群れ集まった様子を表現して名付けられたそう。渓谷に対面すると、断崖の東西に2カ所の氷柱が目に飛び込んできます。

東側に位置するのが天然の氷柱。岩壁から湧き出す水が荒川へ滴り落ちることで氷柱が形作られます。荒川の水量によっては、氷柱全体が水面に写りこむ姿を目にできるかも。三十槌の氷柱は高さが約10m、幅は約30mとかなり横長。氷柱を中心とした、自然が生み出す神秘的な光景です。

人工の三十槌の氷柱

人工の三十槌の氷柱

一方で、西側には秩父観光協会が手がけた人工の氷柱が存在します。天然の氷柱と同じように、渓谷のゴツゴツした岩壁に沿って水を上から滴らせることで、氷柱を形成しているのです。

人工の氷柱のサイズは、天然の氷柱のなんと約2倍。圧倒的なスケールで、天然の氷柱とはまた違った楽しみ方ができます。

三十槌の氷柱が見頃となる厳寒の時期は、大掛かりなライトアップも見逃せません。「三十槌の氷柱まつり」と銘打たれる中、透き通った青や黄色、赤などの鮮やかな光が氷柱を照らし、日中の氷柱よりもさらに幻想的。真冬の秩父観光の目玉イベントです。

三十槌の氷柱の基本情報

住所:埼玉県秩父市大滝4066
期間:2024年1月6日(土)〜 2月25日(日)
時間:8:30〜17:00
料金:大人200円 / 子ども100円
公式サイト:三十槌の氷柱
      三十槌の氷柱パンフレット
アクセス:西武秩父線「西武秩父」駅または西武秩父線「三峰口」駅から西武観光バス・三峯神社線に乗車。「三十場(みそば)」バス停にて下車、徒歩約15分
駐車場:つちうちキャンプ場 
    ウッドルーフ奥秩父オートキャンプ場
※いずれも有料

三十槌の氷柱のライトアップ情報

期間:2024年1月13(土)〜2月25日(日)
時間:【平日】17:00〜19:00【土日祝】17:00〜20:00

※天候等により期間や時間が変更になる場合があります。

あしがくぼの氷柱(ひょうちゅう)

あしがくぼの氷柱

あしがくぼの氷柱

秩父三大氷柱で最もアクセスしやすいのが「あしがくぼの氷柱」。秩父郡横瀬町(よこぜちょう)に位置しています。西武秩父線の「芦ケ久保(あしがくぼ)駅」から徒歩約10分ほどで辿り着くので、氷柱初心者にもおすすめ。幾重にも重なる氷柱に包まれ、ダイナミックな空間が演出されています。

あしがくぼの氷柱は、12月ごろから散水を始め、秩父の自然の寒さでじっくりと凍らせて造り上げられます。斜面に造られた幅約200m、高さ約30mの氷柱は、まるで巨大なオブジェ。氷が地面から噴き出したように折り重なる様子は、氷のシャンデリアを思わせます。

どのように凍らせたら美しくなるかを考え抜いて造られた絶景は、まさに自然と人間の合作アート。氷柱の青が白く澄み切った空とコントラストを成し、モノクロの冬景色に色を注ぎ込んでくれます。

あしがくぼの氷柱の奥を走る西武鉄道

あしがくぼの氷柱の奥を走る西武鉄道

あしがくぼの氷柱は、2014年から始まりました。きっかけは2013年の西武鉄道の廃線危機。鉄道の利用客が減少する1〜2月に観光客を誘致する一案として、横瀬町の地元住民らの提案で開始しました。

氷柱の公開期間中は西武鉄道も協力し、特急の一部列車が速度を落とすなどして氷柱をさらに映えさせます。時間によっては氷柱と電車のコラボを見られることも。鉄道好きにはたまりませんね。

あしがくぼの氷柱のライトアップは、金・土・日・祝日の17時から20時の間だけ実施されます。また2024年は、ライトアップの観覧は予約が必須なので、公式サイトをチェックしてください。

あしがくぼの氷柱 基本情報

住所:埼玉県秩父郡横瀬町大字芦ヶ久保140-1
期間:2024年1月13日(土)~2月25日(日)
時間:9:00〜16:00
ライトアップ:金〜日曜日・祝日の17:00〜20:00
※昼と夜の入替制
※要予約
公式サイト:横瀬町観光WEBサイト
アクセス:西武秩父線「芦ヶ久保」駅から徒歩約10分

※天候等により期間や時間が変更になる場合があります。

尾ノ内氷柱(おのうちひょうちゅう)

尾ノ内氷柱と吊り橋

尾ノ内氷柱と吊り橋

秩父三大氷柱の中で、最も大きい「尾ノ内氷柱」。その規模はなんと、周囲約250m、高さ約60mにも及びます。両神山(りょうかみさん)を源流とした尾ノ内沢から、約500mもの長さのパイプを引いて造り上げます。

尾ノ内氷柱があるのは秩父郡小鹿野町(おがのまち)。秩父市内から少し離れていますが、秘境ならではの氷柱鑑賞ができる、小鹿野町を代表する冬の観光スポットです。一番の見どころは、吊り橋からの氷柱。吊り橋からは「一番滝」が見え、夏の清涼感溢れる様子とは異なり、冬には神々しい輝きを放ちます。

ライトアップされた尾ノ内氷柱

ライトアップされた尾ノ内氷柱

尾ノ内氷柱の楽しみのクライマックスは、色鮮やかに輝くライトアップ。シンボルの吊り橋が「虹の架け橋」に変わり、幻想的な空間が幕を開けます。

ライトアップ中は吊り橋を渡れないので、人影がなく写真を撮るにはぴったり。まるで冬に生まれた異世界に迷い込んだように、声も出ないほどの感動を覚えます。ライトアップは期間中の土日しか行われないので、お見逃しなく。

尾ノ内氷柱 基本情報

住所:埼玉県秩父郡小鹿野町河原沢996-1
期間:2024年1月7日(日)〜2月25日(日) 
時間:8:00〜16:00
公式サイト:西秩父商工会
      尾ノ内氷柱パンフレット
アクセス:西武秩父線「西武秩父」駅から西武観光バス・小鹿野車庫行きに乗車
     「小鹿野」バス停にて西武観光バス・坂本行きに乗車
     「尾ノ内渓谷入口」バス停にて下車、徒歩約20分(所要約1時間34分)

尾ノ内氷柱ライトアップ情報

期間:2024年1月27日(土)〜2月12日(月・祝)の間
※土日祝のみ開催
時間:日没〜20:00

※天候等により期間や時間が変更になる場合があります。

氷柱が美しい埼玉・秩父地方はどんなところ?

秩父の雲海

秩父の雲海

秩父地方は、埼玉県の西部に位置する水と森林に恵まれた自然豊かな場所。秩父地方は周りを山に囲まれているため、冬は寒く夏は暑いという気候が特徴的です。

秩父地方とは、「秩父市」と秩父郡の四つの町である「小鹿野町(おがのまち)」、「横瀬町(よこぜまち)」、「長瀞町(ながとろまち)」、「皆野町(みなのまち)」を合わせた地域を指します。

秩父の地質は秩父古生層(ちちぶこせいそう)といい、地震に強い土地といわれています。その昔秩父地方は海の底にあり、隆起して現在の姿になったため、化石も多く産出されるとか。

秩父のシンボル「武甲山(ぶこうざん)」の石灰岩を形成するのも、古代生物の死骸などが堆積したもの。秩父を訪れた際は、地質に注目してみるのも楽しいかもしれませんね。

秩父のシンボル・武甲山と田園風景(写真:hiroshi/PIXTA)

秩父の歴史は古く、日本武尊(やまとたけるのみこと)伝説や、日本最初の通貨とされる和同開珎(わどうかいちん)が発掘された遺跡も残ります。

長い歴史を持つ秩父はお祭りも有名で、一年を通して多くのお祭りが開催されています。東京から近距離にあるにも関わらず、独自の文化が発展している秩父。自然とお祭りの宝庫である秩父は、都会の喧騒を忘れるのに最高の場所です。

都心から秩父へのアクセス

秩父と都心をつなぐ特急ラビュー

秩父と都心をつなぐ特急列車「特急ラビュー」

①西武池袋線「池袋」駅から特急ラビューに乗車、「西武秩父」駅で下車(約1時間20分)
②JR「東京駅」からJR高崎線「熊谷駅」で乗り換え、秩父鉄道「秩父駅」(約2時間30分)

秩父の周辺情報

都会にほど近い秘境・秩父。秩父三大氷柱以外にも、見どころがたくさんあります。秩父に行った際にぜひ訪れたい、秩父の見どころを紹介します。

三峯神社

秩父 三峯神社の御神木

秩父・三峯神社の拝殿と御神木

秩父市内にあり、関東屈指のパワースポットとして有名な「三峯神社(みつみねじんじゃ)」。「秩父神社」、「宝登山神社(ほどさんじんじゃ)」とともに、秩父三社と呼ばれています。秩父三社の中では秩父神社に次ぐ歴史を持っており、標高は約1,100mと秩父三社の中で最も高いところに位置している神社です。

三峯神社・奥宮遥拝殿からの眺め

三峯神社の神の使い手はオオカミであることから、鳥居の前に座るのは狛犬ではなくオオカミ。三峯神社の御朱印やお守りにも、オオカミが描かれています。

拝殿の脇を固めるのは、樹齢800年と言われる御神木(ごしんぼく)。鎌倉時代の武将「畠山重忠(はたけやましげただ)」が奉献したとされるため、別名は「重忠杉」とも呼ばれています。「神木より発する『氣』は活力そのもの」と立て札に示されるように、御神木に宿る「氣」をここで授かります。

他にも夫婦円満や家内安全など、多くのご利益がある三峯神社。秩父探索とともに、関東屈指のパワーを受け取ってみてはいかがでしょうか。

【三峯神社 基本情報】
アクセス:西武秩父線「西武秩父駅」から西武観光バス 三峯神社線 / 「三峯神社」(約1時間15分)
住所:埼玉県秩父市三峰298-1
祈祷受付:9:00~16:00
公式サイト:光峯神社

羊山公園

秩父・羊山公園の芝桜の丘

秩父・羊山公園の芝桜の丘

秩父市と秩父郡横瀬町との間に広がる「羊山公園」。秩父市の中心市街地の東側、秩父のシンボル「武甲山」の麓(ふもと)にあります。中でも見どころなのが、羊山公園の南部分にある「芝桜の丘」。9種類、40万株以上の芝桜が植えられ、毎年4月中旬から5月上旬に見頃を迎えます。

羊山公園には起伏があり、中央の谷部分が遊歩道になっていて、左右のなだらかな斜面に芝桜が咲き誇ります。高い所から全体を見下ろしたり、低い所から見上げたりと、楽しみ方は十人十色。

天候に恵まれると、秩父のシンボル武甲山をバックに、ピンクのじゅうたんを見ることができます。公園内には芝桜のみならず桜の木もあり、羊山公園は秩父地方の桜スポットの一つです。

【羊山公園 基本情報】
アクセス:西武秩父線「横瀬駅」から徒歩(約20分) もしくは秩父鉄道「御花畑(芝桜)駅」から徒歩(約20分)
住所:埼玉県秩父市三峰大宮6360
時間:入園自由
関連サイト:羊山公園(秩父観光なび)

長瀞渓谷(ながとろけいこく)

秩父郡 長瀞渓谷のライン下り

秩父郡 長瀞渓谷のライン下り

秩父郡長瀞町にある「長瀞渓谷」。「ライン下り」や「岩畳(いわだたみ)」が有名で、秩父鉄道・秩父本線の「長瀞駅」から徒歩約5分で辿り着きます。秩父渓谷の中でも、都心部からのアクセスが抜群。秩父の豊かな緑と岩畳、清流が、長瀞の清らかな景観を作り上げています。

「岩畳」とは、川の水の侵食によってできた奇岩のこと。別名は「地球の窓」です。1924年には国の天然記念物に指定されました。荒川に沿って、幅約50m、長さ約600m続きます。川では岩畳を眺めらがら川下りができる「荒川ライン下り」が人気。ゆっくりと、時にはスリル満点に岩畳と荒川の景観を楽しめます。春は桜を見ながら、夏は涼しさを求めて、秋は紅葉を楽しみ、冬はこたつ船で温まりながら。季節ごとの楽しみがあります。

【長瀞渓谷 基本情報】
住所:埼玉県秩父郡長瀞町
アクセス:秩父鉄道「長瀞駅」から徒歩約5分
関連サイト:岩畳と秩父赤壁(ジオパーク秩父)

【豆知識】氷柱はどうやってできる?語源は?

氷柱ができやすい地域は……

でき始めの氷柱

でき始めの氷柱

氷柱とは、水が滴る(したたる)時に冷やされて再び凍結したもの。家で氷柱ができる場合、屋根に積もった雪が溶け、垂れた水が凍ることで氷柱になります。多くの氷柱は真っ直ぐ伸びますが、風が強い時や屋根の雪に押されることで斜めや横に伸びる氷柱もあります。

氷柱は寒さが厳しい豪雪地帯にできやすいイメージがありますが、氷柱ができやすいのは、寒いだけでなくある程度の寒暖差がある地域。雪が溶けるくらいの暖かさと、外気が氷点下になる寒さの両方が必要だからです。

氷柱の大きさが異なる訳

氷柱の大きさは様々

氷柱の大きさは様々

氷柱には、太くて短い氷柱と細くて長い氷柱があります。寒い期間にできやすいのは短い氷柱。既にできている氷柱に沿って水滴が垂れる際に、その途中で凍ってしまうため、太くて短い氷柱ができあがります。

反対に、比較的暖かい期間にできやすいのが長い氷柱。暖かい期間は溶け出す水の量が多く、氷柱の先端まで水が垂れ下がってから凍るので、細くて長い氷柱になります。

また、氷柱の表面には波模様があるのをご存知ですか?氷柱が太くなる時に水の流れる量や気温が変化することで、氷柱の表面にわずかにできる凹凸。その凸部分は、よく冷やされるうえに熱が逃げやすいのでより大きくなります。その結果、氷柱の縞模様がはっきりと浮かび上がるのです。氷柱を見かけた際は、氷柱の表面まで観察してみては。

各地の氷柱の呼び方

連なる氷柱

連なる氷柱

「氷柱」という言葉は元々、氷が下に向かって垂れる様子から「垂氷(たるひ)」と呼ばれていました。そこから、連なって並んでいるということから「連連(つらつら)」に転じ「氷柱(つらら)」になった、というのが氷柱の語源といわれています。

岩手県花巻市では、「たるひ」がなまった「たらし」という呼び名が現在も使われているとのこと。地域ごとに呼び名が変わるのも、氷柱の面白いところですね。ちなみに英語では「Icicle」と言います。

氷柱とともに秩父を満喫しよう

今回は、自然と人の手が作り上げる芸術「秩父三大氷柱」、そして秩父の見どころと、氷柱の豆知識を紹介しました。

秩父の自然と大きく成長した氷柱が織りなす景観は、まさに氷のアート。都心からもアクセスしやすい秩父に訪れて、幻想的な世界を楽しんでみてはいかかでしょうか。

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