女の子の幸せや、健やかな成長を願って飾られるひな人形。衣装や道具は繊細で美しく、整った顔立ちのひな人形は見ているだけで気持ちが華やぎますね。
近年では、飾る場所がないといった理由から、お内裏様(おだいりさま)とおひな様のみの飾りも増えているそう。
三人官女(さんにんかんじょ)や五人囃子(ごにんばやし)の存在を知らないお子様もいるのではないでしょうか。ひな人形を飾るイベントに足を運び、大きなひな飾りを鑑賞してみませんか。
※本記事に掲載の情報は2024年2月時点のものです。諸事情により変更となる場合がありますので、お出かけの際は各公式サイト等で最新情報をご確認ください
TOP画像:[かつうらビッグひな祭り]
【埼玉県鴻巣市】鴻巣びっくりひな祭り
エルミこうのすショッピングモールのピラミッドひな壇
鴻巣市は全国的にも有名なひな人形の生産地で、約400年の歴史があるといわれています。なかでも「鴻巣びっくりひな祭り」は、「ひな人形のふるさと~鴻巣~」を広く宣伝し、市外からたくさんの観光客を招き、まちを明るく元気にする目的で続けられてきました。
鴻巣びっくりひな祭り・文化センタークレアこうのす会場
有名なピラミッドひな壇は、31段(高さ7m)のひな壇に華やかなひな人形がずらり。2023年は1526体も並んだそう。お内裏様とおひな様はもちろん、三人官女や五人囃子、随身(※1)、仕丁(※2)なども勢揃い。とっても賑やかですよ。
※1 随身(ずいじん):弓矢を持った護衛役の従者
※2 仕丁(しちょう):熊手や竹ぼうきなどを持った雑用役の従者
鴻巣びっくりひな祭り
●名称:鴻巣びっくりひな祭り2024
●日程:2024年2月16日(金)〜3月9日(土)
※会場により異なる
●時間:10:00〜21:00(エルミこうのすショッピングモール)
※会場により異なる
●場所:
エルミこうのす(埼玉県鴻巣市本町1-1-2)
花と音楽の館かわさと「花久の里」(埼玉県鴻巣市関心伝343)
ほか複数会場あり
●公式サイト:鴻巣びっくりひな祭り
【徳島県勝浦町】阿波勝浦 元祖ビッグひな祭り
阿波勝浦ビッグひな祭り・百段のひな壇(写真:阿波かつうらより)
1988(昭和63)年に始まったビッグひな祭りは、その名の通りビッグな「百段のひな壇」が見どころです。高さはなんと約8m。会場には約3万体のひな人形が飾られており、華やかで雅な空間を楽しめます。
大きさや顔立ち、衣装などは人形によりさまざま(写真:阿波かつうらより)
こちらで飾られているのは、もともとは家庭で飾られなくなったひな人形たち。全国から集められ、供養されたのちに展示されています。たくさんの人に愛でてもらえたら、ひな人形たちも本望でしょう。
阿波勝浦 元祖ビッグひな祭り
●名称:第36回 阿波勝浦 元祖ビッグひな祭り
●日程:2024年2月24日(土)~4月7日(日)
●時間:9:00~16:00
●場所:人形文化交流館(徳島県勝浦町生名月ノ瀬35-1)
●公式サイト:ビッグひな祭り|阿波勝浦|四国徳島
※近隣の「ふれあいの里さかもと(徳島県勝浦町坂本宮平1-5)」では「さかもとおひな巡り」を同時開催
【千葉県勝浦市】かつうらビッグひな祭り
かつうらビッグひな祭り・遠見岬神社の石段
勝浦市の春の風物詩といえば、かつうらビッグひな祭り。随所に大きなひな壇が設置され、市内を美しく彩ります。遠見岬(とみさき)神社の石段には約1800体、覚翁寺(かくおうじ)には約600体と、どこもたくさんのひな人形か飾られます。場所ごとの飾り方の違いを見比べるのも楽しそう。
かつうらビッグひな祭り・墨名(とな)交差点会場
また、作られた時代によってひな飾りにどのような違いがあるか見比べたり、貴重なひな人形が見られるチャンスでもあります。夕方からはライトアップも行われるので、幻想的な光景を楽しんで。
かつうらビッグひな祭り
●名称:かつうらビッグひな祭り
●日程:2024年2月23日(金・祝)~3月3日(日)
●時間:9:00~19:00
●場所:遠見岬神社周辺(千葉県勝浦市浜勝浦1番地)
覚翁寺周辺(千葉県勝浦市出水1297)ほか
●関連サイト:「2024 かつうらビッグひな祭り」開催決定!|勝浦市
【神奈川県開成町】開成町瀬戸屋敷ひなまつり
瀬戸屋敷に飾られたひな飾り。2月24日(土)と3月2日(土)にはライトアップが行われる「ひなまつりナイトミュージアム」を開催
「開成町瀬戸屋敷ひなまつり」は、古民家の趣ある雰囲気とともにひな人形を愛でる催しです。会場となる瀬戸屋敷は江戸時代の古民家で、築300年ほど。同じころに作られた「享保雛(きょうほうびな)」も飾られ、タイムスリップした気分も味わえそう。
可愛らしい飾りをそこかしこに見ることができます
婦人会の方が18年かけて手作りしたつるしびなが8000個以上並んだり、高さ約2.4mの「大つるし雛」が飾られたりと、見応えも十分です。
開成町瀬戸屋敷ひなまつり
●名称:開成町瀬戸屋敷ひなまつり
●日程:2024年2月17日(土)~3月3日(日)
●時間:10:00〜17:00(最終入園16:00)
●場所:あしがり郷「瀬戸屋敷」(神奈川県開成町金井島1336)
●公式サイト:開成町瀬戸屋敷ひなまつり
【長野県須坂市】三十段飾り千体お雛祭り
「世界の民俗人形博物館」の三十段飾り(写真提供:一般社団法人 信州須坂観光協会)
アートの街として有名な須坂市では「須坂市アートパーク」にある「世界の民俗人形博物館」と「須坂版画美術館」で、約6000体のひな人形が展示されます。30段の巨大ひな段は大きさだけでなく、ハート型の演出にも注目。というのも、雛祭りが行われる「須坂市アートパーク」は「恋人の聖地」として認定を受けている場所。ハート型に並んだ愛らしいひな人形は、カップルで見に行くのもいいですね。
ハートの中央にはお雛様とお内裏様が飾られています(写真提供:一般社団法人信州須坂観光協会)
衣装の貸し出しも行われていて、お雛様やお内裏様になりきって記念撮影もできますよ。
三十段飾り千体お雛祭り
●名称:三十段飾り千体お雛祭り
●日程:2024年2月3日(土)~4月14日(日)
●時間:9:00〜17:00(最終入館16:30)
●場所:
世界の民俗人形博物館(長野県須坂市野辺1367-1)
須坂版画美術館(長野県須坂市野辺1386-8)ほか
●関連サイト:三十段飾り千体お雛祭り|長野県須坂市
【静岡県東伊豆町】雛のつるし飾りまつり
つるし飾りがあると、ひな人形もいっそう華やかです(写真提供:静岡県観光協会)
「雛のつるし飾り」は、ひな人形の両脇に人形を飾る風習です。江戸時代から伝わり、子どもの幸せや健やかな健康を願ってつるし飾りを飾ります。モチーフは花やうさぎ、桃など、可愛らしいものばかり。
素盞嗚神社の雛段飾り
つるし飾り発祥の地といわれる稲取では、毎年あちこちでつるし飾りが展示されます。また、素盞鳴(すさのお)神社では118段の石段にひな人形が飾られる「素盞鳴神社 雛段飾り」を開催。歴史を感じる石段が華やかに彩られる様子は必見です。
雛のつるし飾りまつり
●名称:第27回 雛のつるし飾りまつり
●日程:2024年1月20日(土)~3月31日(日)
※素盞鳴神社 雛段飾りは2024年2月17日(土)〜3月10日(日)
●時間:9:00〜17:00(最終受付16:30)
※素盞鳴神社 雛段飾りは10:00〜15:00(雨天中止)
●場所:
文化公園 雛の館(静岡県東伊豆町稲取1729)
素盞鳴神社(静岡県東伊豆町稲取15)
ほか複数会場あり
●公式サイト:雛のつるし飾り|稲取温泉旅館協同組合
【大分県日田市】天領日田おひなまつり
草野本家に飾られた「御殿雛」。42体の人形と御殿がセットです(写真提供:[公社]ツーリズムおおいた)
天領日田(ひた)は、江戸時代に幕府直轄の領地(=天領)となり、九州随一といわれるほど繫栄を極めた地です。そのため、日田の旧家には豪華絢爛なひな人形やひな道具の数々が今も残されています。おひなまつりの期間中は、贅を尽くした豪華な飾りのほか、長寿のお祝いに作られた「百歳雛(ももとせびな)」といった珍しい飾りも展示されますよ。
また、「豆田流しびな」「天領日田おひなまつり花展」といったイベントも開催されます。イベントによって開催日や会場が異なるので、公式ホームページでチェックしましょう。
天領日田おひなまつり
●名称:第41回 天領日田おひなまつり
●日程:2024年2月15日(木)~3月31日(日)
●時間:会場により異なる
●場所:
草野本家(大分県日田市豆田町11-4)
日本丸館(大分県日田市豆田町4-15)
ほか多数会場あり
●関連サイト:第41回 天領日田おひなまつり
【滋賀県日野町】日野ひなまつり紀行
屋内に飾られたひな人形(写真提供:[公社]びわこビジターズビューロー)
城下町・近江商人の町として栄えた日野は、今でも当時の面影を残す場所。春になれば、150軒ほどの民家や商家にひな人形が飾られ、散策しながら愛らしい姿を眺めることができます。
桟敷窓から顔を覗かせるひな人形(写真提供:[公社]びわこビジターズビューロー)
ひな人形が顔をのぞかせるのは、日野特有の文化建築意匠である桟敷窓(さじきまど)。以前は日野祭の日にだけ開けられ、前栽(せんざい)と呼ばれる前庭に桟敷祭りを見物するための席を組み、緋毛氈(ひもうせん ※3)や御簾(みす)をかけて華やかに演出していました。
現在では「桟敷窓アート」「日野ひなまつり紀行」といったイベントでも桟敷窓が開けられるようになり、日野ならではの光景を演出しています。
※3 緋毛氈(ひもうせん):赤く鮮やかな布
日野ひなまつり紀行
●名称:日野ひなまつり紀行
●日程:2024年2月11日(日)~3月10日(日)
●時間:会場により異なる
●場所:
近江日野商人館(滋賀県日野町大窪1011)
日野まちかど感応館(滋賀県日野町村井1284)
ほか大久保から馬見岡綿向神社までの街並一帯
●関連サイト:日野ひなまつり紀行|日野観光協会
【愛知県豊田市】中馬(ちゅうま)のおひなさん
町を散策しながら人形を見て回ることができます
歴史を感じさせる足助町の街並みが、ひな人形で華やぐのが「中馬のおひなさん」です。昔から伝わるひな飾りや土びなを玄関先や店内に飾り、町並み散策を楽しんでもらおうと始まったイベント。期間中は太鼓の演奏などさまざまな催しが行われます。
長年にわたり大事にされてきた古い人形もあります
土びなの絵付け体験にも参加できます。土びなとは陶器の人形で、高価なひな飾りを買えなかった庶民の間で流行ったといわれています。体験する際はひな人形ではなく、動物などの形から選ぶのだそう。いい記念になりますね。
中馬のおひなさん
●名称:第26回(2024年)中馬のおひなさん in足助
●日程:2024年2月10日(土)~3月10日(日)
●時間:10:00~16:00
●場所:
足助観光協会(愛知県豊田市足助町宮平34-1)
足助中馬館(愛知県豊田市足助町田町11)
ほか足助重伝建の町並一体と香嵐渓
●公式サイト:第26回(2024年)中馬のおひなさん in足助|豊田市足助観光協会
おわりに
ひな人形といっても、作られた場所や時代によって特徴が異なります。全国からひな飾りが集まるイベントなら、それぞれの違いを見比べる楽しみもありますね。少しずつ顔立ちも違うので、家族や友人に似たひな人形を探すのも楽しいですよ。
日常から離れ、華やかでゆったりとした時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Text:Akiko Kobayashi Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA