地域によって特色が現れる「方言」。ある地方では特定の強い訛りや方言が話され、標準語と方言では意味が異なることが少なくありません。なかなか分かり合えないことや、会話が食い違い誤解を招くことも。全ての方言が辞書に載っている訳でもないので、調べることも困難ですよね。
これを読んでいる人の中にも同じような体験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。今回は、方言が日本にどれだけ種類があるのか?そもそもどうして方言は生まれたのか?
今まで方言と標準語の中で生まれた誤解など、方言について紹介していきます!
方言とは?
方言ってなに?
そもそも方言ってなに?そう聞かれると迷ってしまうかもしれません。方言は地域によって大きく違ってきますが、なぜ地域によって変わるのか。なぜ方言が生まれたのか。日本にはどのくらい方言の種類があるのか。そんな疑問をここで解決していきます。
方言と〇〇弁と訛り
言語は地域や話者の集団ごとに多様化する傾向があり、変化しやすいものとされています。多様化していくと発音・語彙・文法に相違が生じていくのです。
そして違いの程度が日本語からは外れず、違いはあるものの日本語と認められるもの・他の地域の言葉と部分的に異なった特徴を持つようになったものを、私たちは方言と呼んでいます。
方言
ある言語が地域によって別々に発達し、音韻・文法・語彙(ごい) などの上で分かれた、それぞれの地域の言語体系のこと。弁とは違い、単体の単語として使うのが一般的。共通語とは異なる言い回しがあり、地域によっては理解が難しいことも。
〇〇弁
大阪弁、博多弁、名古屋弁、岐阜弁。さまざまな〇〇弁がありますが、〇〇弁というのは方言ではありません。方言よりも種類が多く、地域や街単位と細かく分けられていることが特徴です。地域名+弁として使われるのが一般的。
訛り
「訛り」は標準語と異なるイントネーションや発声法、アクセントによる違いのこと。異なる言い回しなどではなく、方言の差があっても意思疎通ができる言葉です。
方言はどうやって生まれたの?
さまざまな種類の方言が話される地方の風景
方言は地方ごとに特徴が異なり、日本各地に存在します。しかし方言はどのようにして生まれたのでしょうか。方言が生まれたポイントは大きく分けて2つあると考えられています。
物理的な距離が方言を生み出していた?
物理的な距離によって生まれた方言
一つは、物理的な距離です。言語のような「音」や「語」といったものは、水に投げた石が水面に波紋を描くように文化中心地から周辺に広がっていくといわれています。
昔は現代のように交通が発達しておらず通信機器もないため、都で生まれた最先端の言語が地方に広がる頃には、都の言葉はすでに別種類のものへと変化。そのため都からの距離の差によって方言へ移り変わっていったということです。
方言は文化中心地から広がったという考えは「方言周圏論(ほうげんしゅうけんろん)」と呼ばれます。そして新しい言語が年間で浸透する距離は、なんと600mから1kmだけ。つまり都から300km離れていれば、浸透するのは300年後ということになります。そして伝わった頃には都で新しい言葉が生まれたことにより、方言ができたということです。
地域は国だった?国から生まれる方言
交通の便が悪いと文化や言語は閉鎖的になる
二つ目は、交通の便が悪いからこそ地域は国のような認識になり、方言が誕生したということ。
交通の便が悪いということは、遠くの地域に簡単に行くことはできないということ。そうなると同じ地域の人とばかり交流をすることになり、文化や言語は閉鎖的になっていきます。
その結果、独自の文化を発展させていた地域は日本という一つの国ではなく、日本中に多くの国が存在する状態に。もちろん閉鎖的な地域ごと、国ごとで独自の表現の仕方や名称が変わっていきます。
それが方言になり何種類にも増え、現在に多くの意味の違いや誤解を生み出すことになりました。
日本の方言は16種類!
16種類の方言
日本に存在する方言は約16種類。実際にはさらに多くの方言があるという諸説もありますが、現在最もよく知られている「方言区画論」では16タイプに分けられます。
方言区画論は方言を地域区分で分け、方言区画にした方言の区分論を指します。方言研究者である「東条操(とうじょうみさお)」が発表し、今までで最も参照されていますが、発表する学者によっても分けられる方言が違います。
分け方として、まずは大きく本土と琉球の方言に分けられました。その本土方言はさらに東部と西部、九州方言に分けられ更に東部の方言は北海道方言・東北方言(北奥方言、南奥方言)・関東方言(東関東方言、西関東方言)・東海・東山方言に。
このような分け方を続けていくと最終的に16種類になるのです。
誤解しやすい方言【北海道・東北編】
北海道・東北地方の方言【すぐだまる】
全体的に独特な訛りが強く、口をあまり開かないように発音することが特徴的な北海道・東北の方言。寒さのため、あまり口を開けないことからこの形になったといわれています。
実際にある方言誤解集【北海道・東北編】
なげる
北海道・東北地方の方言【なげる】
「なげる」。これは「捨てる」の意味にあたります。この言葉を聞くと、標準語の人はどうしても物を投げる、という言葉に捉えてしまいます。以下のような誤解が起きることもしばしば。
・例
「それはなげておいて〜」
「投げるの!?」
「なげないの?!」
だから
この「だから」は「そう思う・わかる」という意味で使われています。
標準語に慣れている人が「だから」、「だからー」と聞くと、話のオチを強要されていたり、だから何?と言われているのか、何か話を続けるのかな?と思ってしまうことも。
東北の中でも一部は「分からない」の意味で使われることもあり幅広い意味の言葉に。一歩間違えるとかなり気まずい空気になるので気をつけていきたい方言になります。
・例
「昨日の仕事大変だったよね、ほんと倒れちゃうかと思うぐらい忙しかったね。」
「だから。」
「えっと…」
「昨日は冬とは思えないくらい暖かかったよねー」
「だからー。」
「うん?」
「え?」
きかない
ここで言う「きかない」は「やんちゃ・わんぱく・強情」という意味。主に北海道で使われることが多い方言です。
きかない、と言われてしまうと音や音楽、言うことをきかないといった意味を連想してしまうもの。「きかない子」と言われたら「やんちゃな子」という意味になります。
・例
「この子きかない子なのね〜。」
「言うこと聞いてくれないといつも大変よね。」
「ん?そ、そうね。」
すぐだまる
北海道・東北地方の方言【すぐだまる】
「すぐだまる」は「うずくまる・縮こまる」を意味するのです。「すぐだまる」と言われ、どうしても繋がりやすいのは「すぐ黙る」。宮城の方で使われている方言です。
・例
「実家の犬、人が来るとしょっちゅうすぐだまるのよー。」
「へえー。すぐ黙るんだ?いつもは賑やかな子なの?」
【番外編】難解な北海道・東北方言
北海道・東北地方の方言を使う人しか理解できない呪文のような言葉もあるのです。
ね
「ねねね」
「ねね!」
なんと「ね」のたった一文字で「〜が無い」と言う意味があるのです。更に「ねね」と続けば「〜が無いじゃないか・寝ない」の意味に早変わり。
そして「ねねね」、これは「寝ないじゃないか・もう寝なさい」という意味に変わります。これを会話の途中で使われると難解です。主に秋田県で使用されています。
上記の例の文章であれば「ねねね(もう寝なさい)」「ねね!(寝ない)」と言う会話になるのです。誤解が起きるどころか何を会話していたのか意味がわからない方言に。
どさ・えさ
「どさ」
「えさ〜」
一見この言葉だけではなんの話をしているのかさっぱり分からない人も多いと思います。実はこれ「どさ」の「ど」は「どこへ」、「さ」は「方向」の意味。つまり「どさ」というのは「どこに行くの」という意味になるのです。
「えさ」の「え」は「家」のことを指しており、「さ」は「どさ」の「さ」と同じ。つまり「家に行くのさ〜」という意味合いになるのです。
一体東北地方の方言はなぜこんなにも短く読み取りにくいのか?その理由は東北地方は寒さや雪の被害が大きいことにあります。
昔の人は吹雪の中知人と会ってもしばらく話すどころか、挨拶すら困難な状態。そんな生活の中で人々が工夫し、あまり口を開けずに済むようにと短縮されたことで、今のような方言になったといわれています。
誤解しやすい方言【関東・中部編】
関東・中部地方の方言【きのどくな】
東京や栃木や群馬、愛知や岐阜、長野などを含めた関東・中部地方。関東地方に方言はなく、標準語に最も近いと思う方が多いのではないでしょうか。実際は東京にも方言は存在し、癖の強い方言を話す県もあります。
実際にある方言誤解集【関東・中部編】
しょっぱな
「しょっぱな」。これは「最初から」という意味。この言葉は使う方も多いのではないでしょうか?実は、しょっぱなは主に東京で使われている方言なのです。しょっぱなは認知度も高く、言えば伝わる方言ですが東京方言と知っている人は少ない模様。
・例
「しょっぱなからハイペースで仕事をするね。」
「…?最初から頑張らないと終わりませんから!」
きのどくな
「きのどくな」。これは「申し訳ない・すみません」という意味で使われます。きのどくな、と聞くと標準語の人は気の毒に、かわいそうにというニュアンスで捉えてしまいます。
主に富山や金沢の方で使われることが多いですが、「きのどくな」を使う地方は他にも多々ある模様。
金沢弁では「ありがとう」という意味合いで使うこともあります。そのため会話で誤解が生じてしまうことがあります。
・例
「この前の旅行のお土産だよ。」
「そんな気を遣ってもらってきのどくなね。」
「き、気の毒?」
コケ
関東・中部地方の方言【コケ】
「コケ」。これは「きのこ」と同じ意味を持つのです。標準語であれば、石の周りなどに生える植物という認識しかありませんが、実は石川県を中心とした北陸地方の人の間で主に使用。
苔がきのこと呼ばれている理由としては、庭の苔と同じ地面から生えてきたため。山の恵みを大事にする心から、同じように呼んだという話もあります。
・例
「この前さーコケ食べたんだけどさあ」
「苔食べたの!?」
「そんな驚くこと?」
机をつる
関東・中部地方の方言【机をつる】
主に愛知県で使用されている方言に「机をつる」という言葉があります。実はこの言葉、「机をつりあげて運ぶ」という意味。
机をつると言われても机は釣り上げられない!と思うかもしれません。方言は語尾につくものもあるので、実際は何を言っているか分かる部分も多くあります。
しかし文脈で違う意味になるもの、共通している言葉にも関わらず意味が違う方言を突然言われれば誤解すること間違いなし。
・例
「そっちの机つって!」
「机を…釣るの?」
「ほらー早くして」
【番外編】難解な関東・中部方言
関東近辺が標準語というわけではありません。そして関東に近い中部地方でも他の地方に負けないくらい濃い方言があるのです。中には耳を疑ってしまうような方言も。
ちんちこちん
関東・中部地方の方言【ちんちこちん】
「でらァそれちんちこちんになっとるで〜きいつけやあよ。」
「でらあちんちこちんや!」
「だぎゃ〜言うたがや」
「ちんちこちん」なんて言葉を標準語の人が聞く機会はほぼありません。さらに字面だけではどんな意味を持つか推測することも困難。主に愛知県で使われる方言であり「ちんちこちん」というのは「最上級の熱さ」という意味になります。
さらに「でら」は「とても・めっちゃ」というニュアンス。「だぎゃ」は「だから」、そして語尾に「がや・だがや」とつくこともあります。
上記の例の文章は「めっっちゃ熱いから気をつけてな。」「めっっっちゃ熱い!」「だから言ったでしょ」という意味合いに。また、別の言い方で「ちんちん」とも言うので誤解が起きることも?
しんでもえーよ
「この仕事やってほしいな」
「今少し忙しいからちょっと待ってて」
「しんでもえーよ」
ここだけを聞いてしまうと「死んでもいーよ」と、とんでもない文に感じてしまいます。「しんでもいーよ」というのは主に新潟で使われている方言。しかし意味合いとしては「しなくてもいいよ。」というものになるのです。
「やーけ、しんでもいいよ。」と言われれば「嫌だったらしなくてもいいよ」と柔らかい意味合いになりますが、初めて聞くひとは驚くこと間違いなしな種類の方言。
標準語で受け取る意味合いと、方言の意味が全く違うので、誤解をするとかなり冷たい文章に早変わりします。
誤解しやすい方言【四国・中国・近畿編】
四国・中国・近畿地方の方言【えらい】
大阪や広島、岡山などを含む四国・中国・近畿地方。京都や大阪、広島の方言は聞いたことがあり、案外わかりやすいと思う方もいるかもしれません。しかし、誤解を生みそうな方言も多くあります。
実際にある方言誤解集【四国・中国・近畿編】
えらい
四国・中国・近畿地方の方言【えらい】
「えらい」は「疲れた・しんどい」という意味合い。
「えらい」と聞くと私たちは無意識的に「偉い」を思い浮かべます。何かをした、達成した、成果をあげ偉い。しかし広島を中心にえらいは真逆の意味で使われているのです。
・例
「お前、走るスピード下がってきているな。えらいんか?えらいんか?」
「え、偉くないです!!!」
「えらくないんならもうスピード上げような!」
ようこそなあ
四国・中国・近畿地方の方言【ようこそなあ】
鳥取中心の方言として、「ようこそ・ようこそなあ」は「ありがとうございます」と感謝の意味に早変わり。
「ようこそ」は旅行などの際に耳にする、私たちを歓迎する言葉です。ホテルや旅館、飛行機などに乗っても「ようこそ」と言われます。歓迎の認識が強いため、鳥取などで言われたら少し混乱してしまうかも。
・例
「これ、つまらないものですがよかったらどうぞ。」
「ようこそなあ。」
「ようこそ…?はい、ありがとうございます。」
ぶさいく
「ぶさいく」は「不器用」という意味で使われている方言。面と向かって「ぶさいく」と言われると驚いてしまいますが、実は島根の方言なのです。
「あなた不器用ね」と伝えたつもりが、標準語の意味で相手に伝わってしまったら非常にまずいことに。「ぶさいく」は「不器用」の意味があることを必ず覚えておいてください。もしこの言葉を言ってきた人がいたら、島根出身かもしれません。
・例
「今刺繍してたんだけど見てくれる?」
「わあ〜あんたぶさいくやんね」
「ええ急に!?」
あつい
四国・中国・近畿地方の方言【あつい】
「あつい」。これは「痛い」という意味に。標準語の人が聞いても「暑い・熱い」が真っ先に思い浮かぶ人が多いと思います。
「あつい」という言葉は「暑い・熱い」の意味も「痛い」の意味も出現頻度は高めなので文脈で判断するしかありません。そのため誤解が発生することも。
・例
「この前久々に転んで怪我してさあ、あつかったわ。」
「え?熱いの?」
【番外編】難解な四国・中国・近畿方言
大阪弁や広島弁を筆頭に、なんとなく意味は理解できるだろうと思っていた四国・中国・近畿の方言。それでも予想もつかないような方言が飛んでくることもあるのです。
いちびり
「あんたほんまにいちびるんやない!」
「いちびっとらん。」
「いちびる」。この言葉に聞き覚えがある人は少ないと思います。いちびるは大阪を中心に使われている種類の方言です。いちびり、この単語だけでは意味を推測するのは難しく本場の人でないと理解が難しい方言になっています。
「いちびり」は「ふざける・図に乗る」という意味になり、上記の例の文章では「あなた本当にふざけてんじゃないよ」「ふざけてない」という会話に。
いちびるの語源は「市振る」。市振るというのは市場などのせりで騒がしくする人であり、そこから少し変わり「いちびり」という方言に落ち着きました。
たわん
四国・中国・近畿地方の方言【たわん】
「どうしたの」
「もうあれたわんのよ〜たわんたわん、こがいなことじゃどーなろーにゃ。」
「たわん」、「どーなろーに」。この方言は広島を中心に話されています。たわんもどーなろーにも全く予想が付かず、会話を聞いても意味が分からないものも多くあります。何となく分かるんじゃないか、という思いを打ち壊す難解種類の方言です。
たわんは、「届かない」ということ。どーなろーにというのは「お手上げ・どうしようもない」ということを指します。つまり上記の例の文章は「もうあれに届かないの〜はあ届かない届かない。もうどうしようもないわ。」ということになるのです。
誤解しやすい方言【九州・沖縄編】
九州・沖縄地方の方言【なおす】
標準語を話す地域から距離が離れた九州・沖縄。博多弁や長崎弁は人気も高く可愛らしい印象がありますが、九州の方言は可愛さだけではありません。しっかり誤解が生じます。
実際にある方言誤解集【九州・沖縄編】
なおす
九州・沖縄地方の方言【なおす】
「なおす」。これは「ものを片付ける」という意味で使われています。なおすと言われると「何かを修理するのかな?」とつい思いがち。
福岡や鹿児島など中心に咄嗟に言われると迷ってしまうような種類の方言になります。
・例
「これそっちでなおしといてー」
「直すの?どこを?」
「ええ?」
来る
「来る」というのは「行く」という意味合いになるのです。主に九州地方で使われる方言。標準語の「来る」と何と真逆の意味に。
「来る」は一般的に「〜が来る」など何かがこちらに向かう際に「来る」と言います。しかし、ここでの「来る」来る、というのが強く固定の意味があるので、急に真逆になると慣れるのは難しく、会話が噛み合わないことも。
・例
「今日お前んち来るけん」
「え、誰が来んの?」
「俺が来るけん!」
「ああ、ええとお前がうちに来るの?」
「そういっとったと!」
つ
「つ」。九州特に佐世保の方では「つ」は瘡蓋(カサブタ)という意味になります。
日本語の中でも、一文字で意味を持ちそれを使いこなすのは珍しいこと。この「つ」は想像出来るほどの情報もなく、初手ではわかりません。
また使い方としては「つぅできた・つのできた」というようになっています。そのため「つのできた!」というとほとんどの人には通じません。
・例
「あー、つのできた。」
「角?!」
さばける
九州・沖縄地方の方言【さばく】
九州地方の方言で「さばける」は「手際が良い」という意味になります。
「さばける」と聞くと、魚などを捌ける人かな?と感じる人も多くいると思います。若干わかりやすい方言のような気もしますが、急に「さばけるね。」と言われたら「何を?」となってしまうかも。
・例
「あんたさばけるとね」
「何を…?」
【番外編】難解な九州・沖縄方言
沖縄の方言は特に難解です。本州と離れていることもあり、本州と沖縄の方言には大きく違いが出ています。沖縄の方言は呪文のように聞こえるかも?
やっさー
九州・沖縄地方の方言【やっさー】
「〇〇さんって素敵な人よね」
「やさ、やさ!でーじ、ちゅらかーぎー!」
この会話を理解できたでしょうか?実はこの会話は「そうそう!超美人だよね!」という内容になるのです。
「やっさー」というのは「そうだね」の同意の意味。特に強く共感する場合は「やさ、やさ」となることも。また、「でーじ」は「とても・超」となり、「ちゅらかーぎー」は「美人」を意味します。
沖縄の方言はそもそも本州と基盤が違うこともあり、まるで日本語ではないような発音のものなども多く、沖縄の方言の人と話しても、何一つ理解できないということもあるかもしれません。
とっとっと
九州・沖縄地方の方言【とっとっと】
「それ、とっとっと?」
「え…?」
「とっとっと?」だけを見たところでヒントは少なく、九州地方以外の人に話すとなかなか理解されない種類の方言です。長崎を中心に使われる「とっとっと?」。
元々長崎では「〜してるの?」を「〜しとっと?」と言います。つまりこの「とっとっと?」の元の意味は「取ってるの?」。案外仕組みは簡単ですが、これが連続するとそうは言ってられません。この方言では有名な例文があります。
「おっとっとばとっとってていっとったとになんでとっとってくれんかったとていっとっと」
これが読めれば九州の方言も分かるかもしれません。
上記の文を標準語に戻すと「おっとっとを取っといてって言ったのに、何で取っといてくれなかったのって言ってるの」に。
あなたはなんて呼ぶ?【物の呼び方相違編】
同じ物だとしても地方によって呼び方が違う物、同じ呼び方だとしても物が違うもの、改めてみるとさまざまな物が出てくると思います。今回はその実例をいくつか紹介していきます。
スコップ?シャベル?
方言【スコップ?シャベル?】
雪や土などを処理する際に欠かせない「シャベル」と「スコップ」。小さい手持ちサイズのものと大きなサイズのものがありますが、その名称に認識のズレがあるのです。
東日本では足をかけるような大きいものを「スコップ」、園芸などで使う手持ちサイズのものを「シャベル」と言いますが、実は西日本では真逆なのです。
東日本と西日本でスコップとシャベルの認識が逆なだけかと思えば、そうではありません。なんと地方によっては、スコップやシャベルの違いは先端の形が尖っているか尖っていないかによって決まるところもあるようです。
元々スコップはオランダ語、シャベルは英語で同じ意味合いでしたが、大きさの区別をつけるために、地方独自の呼び方で定着してしまったということになります。
いまだにハッキリとした区別はないようです。
絆創膏?バンドエイド?
方言【絆創膏?バンドエイド?】
これも昔から呼び方について論争が絶えません。主流というものも決まっておらず、全国で呼び方が分散しているの種類の方言です。
関東近辺や中部はバンドエイド、北海道地方ではサビオ、東北や四国、一部の九州ではカットバン。そして関東と中部の一部で絆創膏。九州の大部分はリバテープと言い、さらにごく一部でキズバンとも。多くの呼び方で呼ばれている絆創膏。この呼び方で相手の出身がわかるかもしれません。
カタツムリ?デンデンムシ?
方言【カタツムリ?デンデンムシ?】
雨季に現れ殻にこもりながら生活するカタツムリ。生き物の呼び方も全国で違いが出ているのです。
一般的な呼び方はカタツムリですが、長崎や青森の一部では「デンデンムシ」とも呼ばれています。広島や一部千葉は「マイマイ」。そして岐阜では「ツムリ」と短縮して呼ぶことも。また熊本では「ナメクジ」とも呼ばれ別の生き物として扱われることもあるようです。
方言は文化の象徴
地方ごとの歴史や文化が積み重なり、今の形へと変化してきた方言。地方ごとの誤解しやすい方言や、難解な方言なども紹介してきました。
厳しい寒さを乗り越えるために発展した東北や、本州の人間が多く移住したため標準語と比較的近い北海道、本州と関わりが少なかったことにより大きく分岐した沖縄地方。それぞれの背景には、その地で生きる人々の暮らしの工夫や文化があったのです。
少しでも方言について知ることで誤解を生むことなく、より良いコミュニケーションを図ることができるのではないでしょうか。