1. 国民の祝日「春分の日」はどんな日?
春分の日はどうやって決められている?
いつから春分の日は祝日になった?
2. 天文学的な「春分日」とは?
「春分日」とは
春分日は必ず3月20日というわけではない
3. 二十四節気の「春分」とは?
二十四節気とは?
「春分」はさらにこまかく分けられる-七十二候の話
4. 春分の頃には何をする? 何を食べる?
何をする?-彼岸のお墓参り、お花見、衣替えなど
何を食べる?-お彼岸の食べ物や旬のもの
まとめ:「春分の日」の由来・意味とは

国民の祝日「春分の日」はいつのことなのか、どのように決められるのか、二十節気とは何かを解説します。あわせて、春分の頃の行事や、季節の花々、旬の食べ物についてもご紹介。

「春分の日」と聞くと、すっかり春なのだなと感じますね。寒い冬も終わり、暖かな明るい春を思います。桜も咲き始めるころですし、新しい年度が近付いてくるころでもあります。なんとなく、華やかなイメージを持ちますね。

そんな「春分の日」とはどんな日なのか、探っていきましょう。

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1. 国民の祝日「春分の日」はどんな日?

国民の祝日一覧

国民の祝日一覧。「春分の日」は決まった日にちではなく〝春分日〟に設定されます(画像:編集部)

春分の日はどうやって決められている?

祝日としての「春分の日」は、毎年2月1日に発行される官報で翌年分が決まります。つまり、2024年の「春分の日」は2023年2月に発行された官報で発表されたわけです。

後でご紹介しますが、「春分」という日が天文学的にあり、その日を「春分の日」と定めています。「秋分の日」も同じです。

いつから春分の日は祝日になった?

祝日としては、1878年(明治11年)の「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」から続いており、宮中祭祀が由来です。1948年(昭和23年)まではこの名称でした。

その後は「春分の日」と名前を変えて祝日として続いています。ハッピーマンデー法(※)に影響されず、天文学的な「春分」の日を「春分の日」としています。

内閣府によれば、「春分の日」は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされています。気候もいいころですので、自然に触れるのもいいでしょう。ヒガンザクラ、ミツマタ、ボタンなどの花が見頃の季節です。

※ハッピーマンデー……1998(平成10)年の祝日法改正により導入された制度の通称。土日と祝日をつなげることで3連休とし、余暇活動の充実・ゆとりある国民生活を実現させることが目的でした

2. 天文学的な「春分日」とは?

太陽の動き

春分と秋分、夏至、冬至の頃の太陽の動き。春分・秋分の日は昼と夜の長さ同じになります

「春分日」とは

太陽の通り道を「黄道」といいます。そして、地球の赤道を天にまで延長したものを「天の赤道」といいます。

黄道と天の赤道は、お互い傾いているので2点で交わります。その交点のうちの一方を「春分点」、もう一方を「秋分点」と呼びます。太陽が春分点、秋分点の上を通過する時を「春分」「秋分」といい、「春分」「秋分」を含む日のことを、それぞれ「春分日」「秋分日」と呼びます。

赤道と黄道の関係

黄道と赤道の関係のイメージ。赤道は、自転軸と垂直になるよう地球を切断できる線のこと(画像:編集部)

春分日は必ず3月20日というわけではない

春分の日は必ず3月20日とは限りません。3月21日の時もあります。実は地球が必ず365日ぴったりで太陽の周りを1周するわけではなく、365日と6時間ほどなので、日にちが少しずれるのです。2050年までは3月20日か、21日が春分の日となります。

3. 二十四節気(にじゅうしせっき)の「春分」とは?

二十四節気とは?

二十四節気とは2500年以上前に古代中国で作られ、6世紀ごろ日本に伝わった暦です。1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分け季節をあらわす名前をつけたものです。2024年の二十四節気の「春分」は3月20日から4月3日までとなります。

二十四節気は日本の暦として現在も生活の中で耳にすることもあるはず。例えば、「立春」「啓蟄(けいちつ)」「夏至」「大寒」などがそうです。今でもこの節気には何をする、といったようなイベントも残っていますね。

二十四節気一覧

二十四節気一覧

「春分」はさらにこまかく分けられる-七十二候(しちじゅうにこう)の話

二十四節気の各一気(約15日)を約5日ごとに初候、二候、三候と3つに分け、1年を72分割に分けたものを「七十二候」といいます。そして72に分けられた期間それぞれに名前があります。

春分は「雀始巣(すずめはじめてすくう)」「桜始開(さくらはじめてひらく)」「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」の3つに分けられています。まさに季節にぴったりなのではないでしょうか。農業に従事する方などはこの二十四節気七十二候で作業を決めることが今でもあるそうです。

七十二候・春分の頃

春分と、その前後の啓蟄(けいちつ)、清明(せいめい)期間中の七十二候(画像:編集部)

4. 春分の頃には何をする? 何を食べる?

何をする?-彼岸のお墓参り、お花見、衣替えなど

春分には仏教界では「彼岸会(ひがんえ)」を行います。昼と夜の長さが同じになるということは、太陽が真東から昇り真西に沈むということ。西は極楽浄土のある方角です。なので仏教ではあの世(彼岸)とこの世(此岸)がもっとも近づくと時期とされています。

そこから春分の日の中日として前後3日間、合計7日間を「春のお彼岸」として、お墓参りに行くことが風習として残っています。ちなみにほかの仏教国にこの風習はなく、日本独自の風習です。

またちょうど桜が咲き始めるころでもありますので、お花見の時期にもなります。最近は気候変動のせいか、桜が咲く時期も早くなっているので、まさに春分の頃はお花見に最適ではないでしょうか。

学校も春休みです。新学期の準備をする時期でもあります。また春分の日からは日が長くなっていきますので、夏に近づいていきます。衣替えの時期でもありますね。

春分の頃にすること

春分の頃は、春彼岸のお墓参り、お花見、衣替えなどをする季節

何を食べる?-お彼岸の食べ物や旬のもの

春分の日は、春のお彼岸の中日にあたります。春のお彼岸にはぼたもちをお供えするのが定番です。元々はお供え物でしたが、現在では食べるのが一般的です。

ぼたもちが食べられる理由としては、あずきに魔除けや、邪気を払う力があるとされているからと言われています。精進料理、お赤飯などもよくお彼岸に食べられます。

そのほか彼岸そば・彼岸うどんもよく食べられます。これは、季節の変わり目は胃腸が弱ることがあるので、そばやうどん、といった消化のいいものを食べるとよい、ということのようです。

また、3月中旬〜下旬はつくし、はっさく、鯛、ふきのとう、菜の花なども出回る時期。ちょうど旬のものを食べて、季節を感じたいですね。

春分の頃に食べるもの

お彼岸の食べ物・春分の頃に旬を迎える食べ物

まとめ:「春分の日」の由来・意味とは

「春分の日」はちょうど昼と夜の長さが同じ日で、この日は天文学的に日にちが割り出されています。

明治時代から祝日となっており、現在まで「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」として祝日とされています。

また仏教的な思想から真西に太陽が沈む春分・秋分は、浄土が一番近い日と考えられ、お墓参りに行く風習が今でも根付いています。春分の日がちょうどお彼岸の中日にあたります。

Text:Hougaku Omori Edit:Erika Nagumo
Illustration(特記ないもの):PIXTA

参考文献:
『1年まるごと きょうはなんの日? 国民の祝日』(文研出版)
井上象英『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)
福田アジオ・菊池健策・山崎祐子・常光 徹・福原敏男『知っておきたい 日本の年中行事事典』(吉川弘文館)
石原幸男『暦はエレガントな科学-二十四節気と日本人』(PHP研究所)
根本 浩 著・小林絵里子 絵『はじめてふれる 日本の二十四節気・七十二候 一. 春 桃始めて笑う』(汐文社)
坂東眞理子 監修『絵本ごよみ 二十四節気と七十二候 春〜はるかぜがこおりをといて』(教育画劇)

参考ページ:
「国民の祝日」について|内閣府
2024年の祝日は?知ってそうで知らない「国民の祝日」とその趣旨や経緯
こよみ用語解説|国立天文台
何年後かの春分の日・秋分の日はわかるの?|国立天文台
コトバンク