サブスクリプションが主流になり、指ひとつで楽曲が手に入る時代。皆さんも日頃から「音楽」と寄り添って生活しているのではないでしょうか。
そんな音楽に欠かせない要素であるジャケット写真やミュージックビデオ。「このジャケットの背景きれいだな」、「このMVどこで撮っているのだろう」と感心をもつ人は少なくないはず。ジャケ写やPVのロケ地は、日本国内にも多く存在しています。
その中でも、気軽に足を運ぶことのできる撮影現場は限られてしまうもの。駅から何十分も歩かなければ辿り着けない場所や、車で数時間かかってしまう土地では、休日の思いつきではなかなか行けません。
そこで今回は、都会から秘境まで電車に揺られていくことのできるMVの舞台を紹介していきます。
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乃木坂46のMVに登場する駅
乃木坂駅(東京都)
乃木坂46のアルバムに起用された乃木坂駅ホーム
東京都港区にある千代田線「乃木坂駅」は、1stアルバム『透明な色』のジャケット写真と『ハルジオンが咲く頃』のミュージックビデオの舞台となっています。乃木坂駅のやや曲線になっているホームがまさに1stアルバム『透明な色』のジャケット写真のロケ地。さらに乃木坂駅の発車サイン音は、乃木坂46の『君の名は希望』。
ホームから1番出口へ進むと乃木神社の前に出てきます。その道がまさに『ハルジオンが咲く頃』のラストシーンの撮影現場。乃木坂駅に降りただけで乃木坂46の世界観を楽しむことができます。
乃木神社の狛犬と乃木坂駅出口
今では誰もが知る乃木坂ですが、かつては人がほとんど通らないことから幽霊坂と呼ばれていました。そんな中、明治時代に入ると、乃木希典(のぎまれすけ)という陸軍大将が誰もいない幽霊坂に邸宅を設けます。
乃木希典は日露戦争で指揮をとり、勝利を収めた大将です。しかし、日露戦争の犠牲者に対する自責の念と明治天皇の崩御による後追いのため、幽霊坂で自害。彼の栄光を讃えるために、乃木希典の名前をとって乃木坂と名付けられました。
もし乃木希典が幽霊坂に住むことを決断していなかったら、あのガールズユニットは乃木坂46ではなく、幽霊坂46になってしまっていたかも!?
谷村町駅(山梨県)
乃木坂46がMVで実際に踊った谷村町駅前
山梨県都留市(つるし)にある富士急行線「谷村町駅(やむらちょうえき)」は、『今、話したい誰かがいる』の聖地。このMV終盤のダンスシーンと別れのシーンで使われている、レトロでかわいい駅舎です。
プロモーションビデオは、ダンススクールの生徒たちが、聴覚障害を持つ一人の少女とダンスで心の交流をはかるストーリーになっています。谷村町のノスタルジックでのどかな風景がMVの優しく穏やかな雰囲気を演出しています。
駅の周りには古くから残る商店街や、老舗のお店が立ち並び、人のあたたかさをも感じられます。初めて来たのになぜか懐かしさを感じてしまうような風景は、乃木坂46のロケ地巡りのついでに都会の喧騒から離れて一息つくにはもってこい。
谷村町駅の待合室
駅舎は1929年の開業当時のまま使用されており、登録有形文化財に指定されています。サーモンピンクと緑を基調とした外装で、まるでおもちゃのようなかわいらしさ。
谷村町駅周辺は戦国時代から江戸時代にかけて、谷村城の城下町として栄えました。そのイメージを国内外に発信して観光客誘致による復興を目指すことと、町全体の活性化に繋げることを目標に、令和3年に「谷村城下町駅」という副駅名を導入しました。
欅坂46のMVに登場する駅
渋谷駅(東京都)
再開発が進む渋谷駅
「渋谷駅」は、欅坂46の1stシングル『サイレントマジョリティー』の聖地。利用者数世界第2位を誇る人の流れの激しい駅です。冒頭でメンバーがポーズを決めるシーンや足場の悪い濡れた場所を激しく踊る場面は、東急東横線のホーム跡地の工事現場で撮影されました。現在、その工事現場だった場所は大型商業施設渋谷ストリームとなっています。
曲のサビ部分で使用されたのは、山手線渋谷駅品川方面のホーム。渋谷駅は補修工事でどんどん近未来型に変わっていくため、山手線のホームもいずれは改修される予定です。しかし渋谷駅のリニューアルは、まるで欅坂46が新たに「櫻坂46」としてスタートしたことと同じ運命を辿っているようです。
その光景をもう二度と肉眼で見ることはできませんが、きれいになって跡形のないロケ地を巡るのも新たな聖地巡礼の楽しみ方かもしれません。
嵐のMVに登場する駅
上総鶴舞駅(千葉県)
嵐のMVと同じ角度で見た上総鶴舞駅
『青空の下、キミのとなり』は千葉県市原市にある小湊鉄道「上総鶴舞駅(かずさつるまいえき)」で撮影されました。「関東の駅100選」にも認定された無人駅で、木造、瓦葺き、木枠のガラス窓、板で塞がれていない駅事務室など、開業当時(1925年)の姿をそのままとどめています。
大正レトロな雰囲気漂う駅舎を見ると、まるで過去にタイムスリップしたような気分に。平成29年に国と登録有形文化財に指定されたためテレビドラマや映画、MVのロケ地として使われるようになりました。
実際の上総鶴舞駅は、人の流れが少ない秘境駅として自然の中にぽつんと佇んでいるそうです。『青空の下、キミのとなり』の穏やかなフレーズによく合う、自然と調和したスポットです。
米津玄師のMVに登場する駅
犬吠駅(千葉県)
ポルトガルの宮殿風建築である犬吠駅
米津玄師の『カムパネルラ』は、千葉県銚子市にある銚子電気鉄道線「犬吠駅(いぬぼうえき)」に停車した大正ロマン電車で撮影されました。客席は大正ロマンを象徴するワインレッドで、照明は大正時代と同じ電球を再現した色、中吊り広告は大正から昭和にかけて制作されたポスターを貼っています。
この大正ロマン薫る雰囲気が、米津玄師の織りなす独創性豊かな世界観にぴったり。
米津玄師のMVで使われた大正ロマン列車
犬吠駅は大正初期に日本で大流行したポルトガルの宮殿風建築で、日本の大正ロマンを感じさせます。実は犬吠埼はポルトガルのロカ岬という地域と友好関係にあるため、それにちなんだデザインになったのだとか。
大正時代へタイムスリップしたような気分になれる風景を一度堪能してみてください。
ヨルシカのMVに登場する駅
雨晴駅(富山県)
ヨルシカのMVの舞台となった雨晴駅
『ただ君に晴れ』のミュージックビデオの聖地は、富山県高岡市にあるJR氷見線雨晴駅(あまはらしえき)。電車を降りると目の前には海岸が広がっています。屋根の少ない開放的なホームから見える雨晴海岸は「日本の白砂青松100選」の一つ。
夏は海面に揺らめく陽炎が目の前に現れ、夏模様を一望できます。また冬になると富山湾の対岸に、真っ白く雪化粧した立山連峰を見渡すことができます。季節とともに周囲の雰囲気が移り変わるので、何度も足を運びたくなるスポットです。
雨晴駅のホームから望む雨晴海岸(写真提供 Instagram: 旅好きな乗り鉄。様)
遡ること1187年、鎌倉時代に源義経が奥州へ逃げる際、現在の雨晴駅がある土地を通ったとされています。その周辺で突然にわか雨が降り始めたので、義経の相棒・弁慶が岩を持ち上げてその岩下で雨が上がるのを待ったのだとか。
さらに、その時期に「雨過天晴(うかてんせい)」という四字熟語と、雨上がりの空のような青い磁器が中国から日本へ伝来しました。この二つの「雨」と「晴」という言葉から雨晴という名前になったそうです。
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下灘駅(愛媛県)
ヨルシカのPVで登場した下灘駅
愛媛県伊予市にあるJR予讃線「下灘駅」は、『だから僕は音楽を辞めた』の聖地。日本一海に近い駅として知られていて、駅のプラットホームから真っ青な瀬戸内海が一望できます。
夕やけの下灘駅
天気の良い日に足を運ぶと、見渡せるのは青空がよく似合う青く美しい海。夕日を見るのであれば真夏から初秋がおすすめです。夏場は夕日が駅舎の目の前を沈みゆくので、茜色の夕日を映す紫めいた海と雲がロマンチックな雰囲気を醸し出します。
また下灘駅は、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』の「海に続く線路」に似たスポットとしても注目されるほど幻想的。秘境に佇む古びた駅とそれを彩る自然のコラボレーションは是非一度は見てみたい絶景です。
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星野源のMVに登場する駅
湘南台駅(神奈川県)
星野源のMVで使われた湘南台駅(写真提供 Instagram: シュンチャン様)
神奈川県藤沢市にある「湘南台駅」は、『時よ』のミュージックビデオの舞台。湘南台駅は湘南エリアに新たな住宅地を開発するために1966年に新設された小田急電鉄・相模鉄道・横浜市営地下鉄の駅です。湘南を展望できる新しい町にふさわしい名前として湘南台と命名されました。
湘南台駅は東京と横浜に直結しており、アクセスが便利なベッドタウンです。そのため、湘南台エリアを半径1kmで囲むと、必ず小中高大が揃うほど子育てしやすい地域となっています。
星野源の『時よ』は人間の感情と意味なく流れる時間を歌にしており、まさにこのベッドタウンで起こる日常を描写しています。
湘南台駅前にある自然豊かな公園
実は、湘南台駅の周りには公園や田園が多く位置しています。自然豊かでペットと散歩できる公園も多いので、レジャーやピクニックにもおすすめのスポットになっています。
いつもの音楽を肌で感じよう
以上がミュージックビデオに登場する駅8選でした。なんでもない休日にふらっと電車に乗って、ミュージックビデオの「あの場所」を訪れてみてはいかがでしょうか。