日本のアニメーション映画を代表する「スタジオジブリ」。ジブリ作品にしかない世界観が人々を魅了し、その人気は世界に知れ渡るほどです。そんなジブリ作品の聖地と考えられている場所は世界中に存在します。
今回は、『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』、『となりのトトロ』をはじめ、ジブリの世界観が体感できる日本全国のスポット情報をジブリ作品ごとに紹介していきます。
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千と千尋の神隠し(2001)
10歳の少女・千尋が不思議な世界に迷い込んでしまう物語の『千と千尋の神隠し』。そのジブリ独特の世界観を体験できる場所は日本国内に多数あるんです。
千と千尋の神隠しの舞台、四万温泉・積善館(群馬県)

千と千尋の神隠しの舞台といわれる積善館本館(写真提供:ググッとぐんま写真館)
「四万の病に効く名湯」として古くから愛されてきた「四万温泉」。その温泉街にある旅館の一つ「積善館」が、千と千尋の神隠しに登場する「油屋」にそっくりなのです。

四万温泉にある積善館の夜の様子
宮崎駿監督もこの積善館がモデルの一つだと明言しており、千と千尋の神隠しの世界観を彷彿とさせるような、温泉宿へと続く赤い橋、そして木造建築の湯宿はまさに映画のワンシーン。千と千尋の神隠しが好きな方は、その世界観に浸り、つい橋を渡るときに息を止めてしまうのではないでしょうか。
積善館は1691年に建てられた日本最古の木造建築の湯宿でもあり、「湯治スタイル」と呼ばれる珍しい宿泊スタイルも楽しめます。
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千と千尋の神隠しの舞台、下灘駅(愛媛県)

千と千尋の神隠しの舞台といわれる下灘駅
日本一海に近い駅ともいわれていた、JR四国予讃線の「下灘駅」。小さなホームと、その先に広がる伊予灘の海が絶景だと話題を呼び、無人駅にもかかわらず多くの観光客が訪れています。
そんな下灘駅から歩いて15分。しもなだ運動公園横の青石海岸に、『千と千尋の神隠し』作中に出てくる「海に続く線路」に似たスポットがあります。

千と千尋の神隠し作中の世界観を彷彿とさせるような海へと続く線路
映画では、千尋が電車に乗るときに登場する水中の線路ですが、愛媛の線路は、船を点検修理するために海から引き揚げるためのものです。海水の透明度が高いので、橋の上から見下ろすと、より映画の世界観や雰囲気を感じられますよ。
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となりのトトロ(1988)
サツキとメイ、二人の姉妹と不思議な生き物・トトロとの交流を描いた作品『となりのトトロ』。1988年の公開ながら、ジブリ作品の中でも今もなお人気のある作品です。
狭山丘陵(埼玉県)

となりのトトロの舞台といわれるトトロの森
埼玉県と東京都にまたがり、面積約3,500haを誇る「狭山丘陵」。多くの動植物が息づいているこの場所がとなりのトトロのモデルの一つだといわれ、「トトロの森」の愛称でも親しまれています。
狭山丘陵を散策していると、トトロの世界観を彷彿とさせるような里山の風景が広がっています。散策路の途中、狭山湖の湖畔からは富士山が見えることも。
そんな狭山丘陵散策の起点となるのが所沢市に位置する「クロスケの家」です。築100年を超える古民家は、サツキとメイが引っ越してきた家のような世界観。中にはトトロの置物も置かれています。オリジナルのトトログッズも販売しているので、お土産はクロスケの家で購入しましょう。
サツキとメイの家(愛知県)

となりのトトロ、サツキとメイの家
2005年に開催された愛知万博の会場跡地に開設された「愛・地球博記念公園」。通称モリコロパークの名でも親しまれる公園内に、サツキたちが引っ越してきた家の世界観を忠実に再現した「サツキとメイの家」があります。

サツキとメイの家にある書斎
外観だけでなく、サツキとメイが洗濯していた井戸小屋、お父さんが仕事をしていた書斎、メイが小さなトトロを探していた床下など、細かいところまでリアルに作られているのも特徴。子供も大人も、トトロの世界に入り込んだような気分が味わえます。
現地で当日券を購入することもできますが、とても人気の施設のため、事前に購入しておくことをオススメします。
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戸外炉峠のネコバス(北海道)

戸外炉峠のネコバス(写真提供:@ukiyoshi0222)
北海道深川市に位置する「戸外炉(ととろ)峠」。深川の街を見下ろせる展望スポットとして知られていますが、その丘の上にポツンと置かれた「ネコバス」があります。
もともと農作業の休憩所としてバスが使われていましたが、1998年に地元の方々によってネコバスに塗装されたものです。映画で登場するネコバスとは異なりますが、それでもトトロファンには人気のスポット。
映画では限られた人にしか見えないネコバスですが、戸外炉峠のねこバスは誰でも見ることができ、トトロの世界観に浸ることができるのでご安心を。
もののけ姫(1997)
資源のために森を破壊する人間と、それに怒りを覚える森の住人たちの対立を描いた『もののけ姫』。映画の世界観を彷彿とさせるような、豊かな自然のモデルとなったのではないかといわれている場所があります。
屋久島・白谷雲水峡(鹿児島県)

もののけ姫の世界観を彷彿とさせる白谷雲水峡
鹿児島県の南側海上に位置する世界遺産の島「屋久島」。樹齢3,000年を超える縄文杉など、太古の森が広がっています。そんな屋久島にある「白谷雲水峡」は、まさにジブリの世界。もののけ姫を制作した宮崎駿監督が何度も訪れてイメージを膨らませた場所です。
一面を苔に覆われ、「日本の貴重なコケの森」に制定されるほどの苔スポット。そんな幻想的な光景が白谷雲水峡には広がっています。
また、白谷雲水峡には三つのトレッキングコースがあり、様々な角度から屋久島の大自然を楽しめます。どこかに、森の精霊「こだま」が隠れているかもしれませんよ。
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天空の城ラピュタ(1986)
空に浮かぶ幻の島にあるラピュタ王国を目指して、パズーとシータが繰り広げる冒険ストーリーの『天空の城ラピュタ』。そんなラピュタ王国の世界観にそっくりだといわれている場所が日本にあります。
友ヶ島・沖ノ島(和歌山県)

天空の城ラピュタの世界感、友ヶ島
和歌山県にある無人島「友ヶ島」は、地ノ島・虎島・神島・沖ノ島の総称です。その中の一つ、沖ノ島には戦争時に使われていた要塞跡が廃墟として残されており、まるでラピュタの映画に出てきそうな世界観だということで人気を集めています。

第三砲台跡
島内はハイキングコースが設けられているので、それに沿って要塞跡を巡るのがオススメ。中でも第3砲台跡にある弾薬庫は、古びたレンガとそれを囲う緑が、よりラピュタの世界観を感じさせます。
1日あれば沖ノ島の見どころは回りきれるので、朝のフェリーで行き、夕方のフェリーで戻るのがベストですよ。
崖の上のポニョ(2008)
5歳の少年宗介と魚の女の子ポニョが主人公の『崖の上のポニョ』。映画の舞台となるのは港町ですが、その港町と似た雰囲気や世界観を持つ場所があります。
鞆の浦(広島県)

崖の上のポニョの舞台といわれる鞆の浦の港町
広島県福山市に位置する「鞆の浦」。江戸時代中期から変わらぬ街並みが今も残る港町です。宮崎駿監督が崖の上のポニョを制作する際、鞆の浦に滞在して構想を練ったとされ、モデルになったのではないかといわれています。
たくさんの船が浮かぶ船着場や多くの古民家が映画を彷彿とさせます。また、映画の終盤で人々が避難する「前山公園」という場所があるのですが、鞆の浦には「後山公園」があり、見た目もそっくりです。

鞆の浦の風景
高台にある医王寺の太子殿からは鞆の浦の街並みを一望できます。
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コクリコ坂から(2011)
昭和の時代を生きる高校生たちの青春を描いた『コクリコ坂から』。映画は横浜を舞台に繰り広げられており、スタジオジブリから映画のモデル地として公認されている場所もあります。
港の見える丘公園(神奈川県)

横浜港を一望できる港の見える丘公園
横浜港を一望できるスポットとして知られる「港の見える丘公園」。ここは『コクリコ坂から』に登場するコクリコ荘が建っていた場所で、スタジオジブリがモデル地として公認しています。

コクリコ坂に登場する国際信号旗
映画の主人公・海が毎朝、「安全な航海を祈る」という意味を表す国際信号旗「U・W旗」を揚げるシーンがありますが、それと同じものが港の見える丘公園にも設置されています。横浜の絶景を眺めながら、ぜひコクリコ坂からの世界観を味わってみてください。
山下公園(神奈川県)

山下公園
横浜を象徴する公園の「山下公園」。港の美しい景色を眺めながら過ごせるスポットとして多くの観光客が訪れています。そんな山下公園は、作中では主人公の海と俊が一緒に歩いた公園です。

横浜マリンタワー
映画では山下公園を端から端まで歩いて、氷川丸(現在は日本郵船氷川丸)や横浜マリンタワーなども登場しますが、それらは今も変わらず残っており、海沿いを歩けば海と俊になりきったような気分が味わえますよ。
借りぐらしのアリエッティ(2010)
『借りぐらしのアリエッティ』の主人公となるのは、小人族のアリエッティと病弱な少年の翔。両者の物語が繰り広げられる屋敷のモデルとなった場所があります。
盛美園(青森県)

盛美園
青森県平川市に位置する「盛美園(せいびえん)」。津軽地方で盛んであった武学流を象徴する日本庭園で、明治時代三名園の一つにも数えられています。そんな盛美園が、借りぐらしのアリエッティに登場する古い屋敷や庭のモデルとなりました。
庭園を散策していると、映画を連想させる風景がいたるところにあり、小人になったつもりで低い位置から庭園を見るのも面白いですよ。また、庭園を鑑賞するために建てられた「盛美館」には床下があり、小人たちが隠れていないかと覗く人が続出しています。
ジブリの世界観全てを楽しめるスポット
これまで紹介してきたのは、ジブリ映画それぞれの世界観を体感できるスポットですが、東京にジブリの世界観を一気に楽しめる場所があります。
三鷹の森ジブリ美術館(東京都)

ジブリの世界観全てを楽しめる三鷹の森ジブリ美術館
東京都三鷹市に位置する「三鷹の森ジブリ美術館」。数々の名作を残してきたスタジオジブリの制作工程や、ジブリ作品の世界を体験出来るアニメーション美術館です。まず入り口ではトトロがお出迎え。

三鷹の森ジブリ美術館にいるトトロ
館内に入ると目の前にはジブリの世界が広がります。ステンドグラスにはトトロやポニョなどのキャラクターが描かれているほか、屋上にはラピュタに登場するロボット兵や飛行石の石碑などもあり、子供も大人もジブリの世界観を楽しめる美術館です。
チケットは日時指定の予約制となっています。1カ月ごとの販売で、毎月10日からローチケで購入できます。
ジブリの聖地を存分に楽しんで
以上がジブリの世界観が楽しめる12のスポットでした。ジブリ作品のモデルとなった場所に、その作品に登場するキャラクターのグッズを持って訪れると、より楽しい思い出となりますよ。