春の行事「イースター」とはイエス・キリストが十字架に架けられて亡くなった後、3日後に復活したことを祝うお祭りのこと。毎年イースターの時期になると、店頭にはカラフルに彩られた卵やかわいらしいうさぎが並び、春の訪れを告げてくれます。
キリスト教圏の国ではハロウィンやクリスマスと同じくらい大事なイベントであるイースター。今回はイースターの由来や意味、イースターに用いる卵やうさぎへの疑問など、日本ではあまり知られていないイースターの豆知識を解き明かします。
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「イースター」とは?
「イースター」とはイエス・キリストの復活を祝うキリスト教の宗教行事のこと。欧米ではクリスマスやハロウィンと同じくらい大イベントなのです。今回は意外と知らないイースターの謎に迫ります。
イースターの起源
イエス・キリストの復活を祝う「イースター」
イースターとはイエス・キリストの復活を祝うお祭りで、いわゆる「復活祭」のこと。イエス・キリストはローマ帝国への反逆罪で十字架にかけられて亡くなった後、3日後に復活したといわれています。この復活を祝ったのがイースターの起源なのです。
キリスト教ではクリスマスよりも大事な意味を持つイースター。そのため、キリスト教圏の国ではイースター休暇があったり、学校でイースター祭りをしたりするところもあるのだとか。
イースターの意味や由来
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みんなでイースターを祝おう「Happy Easter」!
「イエス・キリストの復活を祝う日をなぜイースターと名づけたの?」「イースターとはどこから来た言葉?どんな意味があるの?」という疑問を抱いた人もいるのではないでしょうか。
イースターは英語で「Easter」。イースターという名前の由来にはさまざまな説があり、長年にわたって議論され続けています。
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うさぎの耳をつけたイースターエッグ
一説として、Easter(イースター)は古代ゲルマン神話に登場する春の女神「Eoster(エオストレ)」から捩られたといわれています。キリストの復活と、春を象徴する女神のイメージが共通するとされ、イースターには春の訪れを祝うという意味が含まれているのだとか。
またかつてゲルマン人は、春の名月を「Eostremonat(エオストレモナト)」と名づけ、春の到来を祝賀するお祭りを行っていました。この名前が語源となったという見方もあるのだそう。
イースターはイースター島とどんな関係があるの?
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巨大なモアイ像が立ち並ぶ「イースター島」
真っ白で巨大な顔のモアイ像が多く建てられていることで有名な「イースター島」。島の名前にはイースターという言葉が入っていますが、イエス・キリストの復活を祝うイースターとどんな関係があるのか知っていますか?
実はイースター島は1722年のイースターの日(当時4月5日)にオランダ海軍によって発見された島。発見日にちなんでイースター島と名付けられたそうです。
2024年のイースターはいつ?
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毎年日付が異なるイースター。今年の日付は?
2024年のイースターは3月31日の日曜日。イースターは春分の日以降の最初の満月の次の日曜日と定められているため、毎年日付が変わることを知ってましたか?
イースターの日は春分の日の後にやってくる、最初の満月の次の日曜日。これはイエス・キリストの復活が日曜日だったことに由来します。毎年12月25日に行われるクリスマスのように日にちが定まっておらず、毎年変動するのがイースターなのです。
なお、キリスト教の宗派によってもイースターの日が異なります。カトリックやプロテスタントなどの西方教会が定めるイースターは2023年が4月9日、2024年が3月31日。一方、正教会などの東方教会は2023年が4月16日、2024年が5月5日となっています。
なぜ「卵」と「うさぎ」がイースターのシンボルなの?
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イースターのシンボル「卵」と「うさぎ」
イースターのシンボルといえば「卵」と「うさぎ」。イースターのイベントでは可愛らしいデザインの卵やうさぎがあらゆる場所に溢れます。では、なぜイースターではこの2つがシンボルとされているのでしょうか。詳しく解説していきます。
「卵」がイースターのシンボルである理由
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従来のイースターエッグをアレンジした卵型容器の中のケーキ
イースターのイベントやデコレーションで絶対に欠かせないカラフルな卵たちが「イースターエッグ」。最近は卵型に形どられたチョコレートや、プラスティックなどで代用されたものも広まっています。クリスマスといえばサンタクロース、ハロウィンといえばカボチャ、そしてイースターといえばイースターエッグなのです。
それでは、なぜイースターで卵がシンボルとされているのでしょうか。その理由は、いたってシンプル。キリスト教では卵が生命の始まりの象徴とされているからです。イエス・キリストの復活を卵の殻から新しい生命が生まれる様子に例えられたことで、イースターのシンボルとして用いられています。
「うさぎ」がイースターのシンボルである理由
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イースターエッグを運ぶとされる「イースターバニー」
卵以外にもイースターのモチーフとして用いられるのが「うさぎ」。イースターで登場するうさぎは「イースターバニー」と呼ばれています。子供をたくさん産むうさぎは豊穣や繁栄の象徴。イースターバニーは子供たちにイースターエッグを運ぶとされ、親しまれてきました。
イースターでうさぎがモチーフとなった理由として関係があると考えられているのが、イースターの由来とされる女神「エオストレ」の存在。エオストレはゲルマン神話に登場する女神ですが、地上での姿はうさぎでいつも野うさぎを従えていたことが起源といわれています。
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イースターのモチーフであるうさぎ
また別の一説ではドイツ発祥のルーテル教会から広まった伝承が起源とされています。それはイースターの時期になると、裁判官役の野うさぎが子供たちが良い子にしていたか悪い子だったかを厳しく判定するというもの。
家の前にバスケットを置いておくと、良い子のお家にはイースターバニーがイースターエッグやおもちゃなどを届けてくれるのだそう。まるでクリスマスの日、良い子にしていた子供たちにプレゼントを運ぶサンタクロースのようですね。
イースターエッグの色や絵柄の意味
イースターエッグには色とりどりなイラストが描かれていますが、一つ一つの色にも意味があるのをご存知でしょうか。エッグペイントの意味を知ることで、よりイースターを楽しめるはず。さっそく見ていきましょう。
赤
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キリストの血を表す赤色の「イースターエッグ」
イースターエッグに用いられる「赤」はキリストの血を表す色。キリストの血によって世界や人類が救われるという意味が込められています。また赤色のイースターエッグには神々しく輝く太陽や幸福、情熱などの意味も兼ねているのだとか。イースターでは赤色に塗った卵を友人に贈るという風習があるそうです。
白
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誕生と清浄を表す白色の「イースターエッグ」
イースターエッグに用いられる「白」は誕生と清浄を表す色。白は白紙に戻す、つまり再スタートと考えられ、イエス・キリストの復活を意味します。イースターの時期にはイースター・リリーと呼ばれる白ユリを飾ったり、贈ったりする習慣があるのだそう。
青
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空と健康を表す水色の「イースターエッグ」
イースターエッグに用いられる「青」は空と健康を表す色。パステルカラーのような明るい水色を使われることが多く、平和と調和を意味するのだそう。
紫
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信頼や忍耐を表す紫色の「イースターエッグ」
イースターエッグに用いられる「紫」はイースターを待つ40日の期間である「レント」と結びつきがある色。レントの間、キリスト教徒は信仰心を試すために何かしらの事を我慢することから、紫色には信頼や忍耐、神への忠誠心を意味します。
緑
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再生や永遠の命を表す緑色の「イースターエッグ」
イースターエッグに用いられる「緑」は再生や永遠の命を約束することを表す色。イエス・キリストの復活を象徴する色でもあり、豊穣や子孫繁栄を示唆することもあります。キリスト教会では、イースターが終わると司祭服の色が緑色に変わるのだそう。
ゴールド・黄色
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栄光や勝利を表す黄色の「イースターエッグ」
イースターエッグに用いられる「ゴールド」や「黄色」は栄光や勝利を表す色。イエス・キリストが復活したことに対する勝利を示唆し、それに伴い喜びや幸福を意味します。
イースターエッグの絵柄
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さまざまなデザインが描かれたイースターエッグ
イースターエッグの模様はキリスト教の中でも宗派や国、地域によって違いがあり、意味も異なります。モチーフは春の花や動物など多種多彩ですが、中でも幾何学模様の卵が最も古いとされています。
例えば「星柄」はイエス・キリストや魔除け・厄除けを、「太陽」は生命・情熱・富を、「木」は繁栄を、「麦」は豊穣を意味します。また「へび」は厄除けや永続性、「魚」はキリスト教のシンボル、「カエル」は恵み・美しさ・若さ、「波」は富や永遠を意味します。
イースターエッグの作り方
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イースターエッグの作り方
春の訪れを祝うイースター。イースターエッグの作り方は子供にもできるほど簡単で、大人から子供まで楽しめる制作遊びです。
まず卵とボウル、フォークなど卵に小さな穴を開けられる道具、サインペンやリボンなど卵に飾り付けたい道具を用意しましょう。
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卵の殻に自分の好きなデザインを描いたらイースターエッグの完成!
作り方はとてもシンプル。フォークなど先の尖ったものを卵に刺し、穴を開けます。この時、あまり力を入れすぎず、少しずつ開けるのがコツ。楊枝などで黄身を潰した後、卵からボウルに中身を取り出します。その後水できれいにすすぎ乾くまで待ちます。
乾いたら待ちに待ったエッグペイント。サインペンで自分の好きなイラストを描いたり、色を塗ったり、リボンやビーズなどを使って飾り付けてみたりしましょう。自分だけのイースターエッグができあがれば、気分もウキウキ。
キリスト教の国で行われるイースターの行事
エッグハント
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イースターエッグを探し出す遊び「エッグハント」
「エッグハント」とは、庭や公園などに隠されているイースターエッグを探し出す遊びのこと。欧米では町全体でイースターを祝うため、町の職員や大人たちが協力して町中のいたるところに隠し、それを子どもたちや家族みんなで探しに行くのです。
エッグハントで見つけることのできたイースターエッグの中には、チョコなどのお菓子が入っています。大人も子どもも町全体が笑顔に包まれる、大人気のイベントです。
エッグ・アンド・スプーン・レース
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スプーンなどに卵を乗せて速さを競う「エッグ・アンド・スプーン・レース」
エッグ・アンド・スプーン・レースとはスプーンなどに卵を乗せて運ぶ速さを競う遊び。生卵を使うと割れてしまう可能性があるので、ゆで卵やおもちゃの卵を使うのが一般的です。子どもと大人でハンデをつけて楽しむのもおすすめ。
各国のイースター行事
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イースターバニーを抱える女の子
イースターの遊びは国によっても多種多様なのが魅力的。例えば、アメリカではホワイトハウスで行われるイースターエッグを地面で転がして遊ぶ「イースターエッグロール」が毎年恒例のイースター行事です。
イギリスで500年以上も続くイベントといえば「パンケーキレース」。子供も大人も三角巾とエプロンを身に付けて、焼いたパンケーキを乗せたフライパンを手に速さを競います。
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イースターを祝うスペインの行事「セマナ・サンタ」で先の長い帽子を被る人たち
他にもノルウェーの「トナカイレース世界選手権」、フランスの「巨大オムレツ作り」、スペインの「セマナ・サンタ」など、キリスト教圏の国ではユニークな楽しみ方でイースターを祝います。
日本ではまだ数少ないですが、東京ディズニーリゾートやハウステンボス、USJなどのテーマパークで例年イースターイベントを開催しているので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
イースターの日に食べる料理は?
イースターの日、テーブルに並ぶ料理
クリスマス同様、イースターの日には家族でテーブルを囲んでイエス・キリストの復活を祝います。肉や卵を使った料理を振舞うのが定番。宗派や地域によってはイースター前に断食や節食をし、イースター当日に肉や卵を解禁することもあるそうです。
メインメニューにはラム肉を使った食べ物「ローストラム」が一般的。イエス・キリストの復活を表す仔羊は平和や純潔を意味し、聖書にも登場するほどキリスト教と深い関係があるため、イースターにも取り入れられています。
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ゆで卵を可愛くアレンジした「デビルエッグ」
また欧米ではゆで卵をかわいくアレンジした「デビルエッグ」や、イギリスの伝統料理であるレーズンなどのドライフルーツやシナモンなどのスパイスを入れたふわふわ食感が印象的な菓子パン「ホットクロスバンズ」などを食べるのだそうです。
家族で一緒にイースターのモチーフであるうさぎや卵の型をしたクッキーやケーキ、ブラウニーなど、お菓子作りを楽しむ家庭も。いつもとは違う特別な時間を子供も大人も揃って一緒に過ごせるでしょう。
まとめ
今回はイースターの由来や意味、卵やうさぎがイースターにモチーフとして使われる理由、イースターのイベントで行う行事や遊び、料理など、日本人には馴染みの薄いイースターの謎を紹介しました。
キリスト教圏の国ではクリスマスやハロウィンと同じくらいイエス・キリストの復活を盛大に祝い、日本でも少しずつ浸透しつつあるキリスト教文化「イースター」。イースター料理や遊びを堪能しながら、普段とは違う特別なおうち時間を家族で一緒に過ごしてみてはいかがでしょうか。