【大阪の名物鍋】天下の台所発祥の鍋を知る
【大阪の名物鍋1】ハリハリ鍋
【大阪の名物鍋2】てっちり鍋
【大阪の名物鍋3】チリトリ鍋
【大阪の名物鍋4】うどんすき
大阪で食べられる鍋料理のお店16選!
キタ(梅田・北新地)おすすめの鍋料理提供店
ミナミ(難波・心斎橋)おすすめの鍋料理提供店
天王寺(天王寺・阿倍野)おすすめの鍋料理提供店
まとめ

大阪人は「鍋もん」が好き。「ハリハリ鍋」「てっちり」など数々の郷土鍋が誕生した大阪では、スーパーに並ぶ鍋の具材の豊富さにも驚かされます。

大阪は古くから「天下の台所」と呼ばれ、全国の物産が集まる場所でした。特に、北海道の上質な昆布が手に入ったことで「だし」の文化が育まれ、鍋料理が発展したのだとか。

「仲間と一緒に楽しく食べる」
「準備も片付けもラク!」

大阪人の気質にもマッチした鍋料理は、庶民のご馳走として進化し続けてきました。

この記事では、大阪の鍋料理の歴史について解説するとともに、大阪で名物鍋を食べられるお店をエリアごとに紹介します。

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【大阪の名物鍋】天下の台所発祥の鍋を知る

大阪で誕生し、全国的に広まった名物鍋料理がたくさんあります。ここからは、中でも代表的な4つの鍋について掘り下げていきます。

【大阪の名物鍋1】ハリハリ鍋

「ハリハリ鍋」とは、鯨(くじら)肉と水菜だけを使った大阪の郷土料理。「ハリハリ」とは水菜のシャキシャキとした食感を表しています。

独特のくせがある鯨肉は、たっぷりの水菜と一緒に食べることで肉のうま味が際立ちます。水菜のシャキシャキした歯ごたえを楽しみつつ、熟成された鯨肉を堪能しましょう。

鯨肉を使った伝統的なハリハリ鍋の材料

鯨肉を使った伝統的なハリハリ鍋の材料

今でこそ貴重な鯨肉ですが、かつては安価で、庶民にとっては身近な食材でした。捕鯨拠点の和歌山県太地が近いこともあり、大阪では多くの鯨肉が流通していました。

当時関西で多く栽培されていた水菜と組み合わせることで、身近な「鍋もん」として定着していったと考えられています。

ちなみに「ハリハリ鍋」と聞いて、豚バラ肉を使った鍋を想像した方もいるのでは?鯨肉が手に入りにくくなった現在では、豚バラ肉で代用されることも多いですが、本来は鯨肉と水菜を使った鍋のことを指します。

鯨肉の代わりに豚肉で食べるハリハリ鍋

鯨肉の代わりに豚肉で食べるハリハリ鍋

ハリハリ鍋は、1967(昭和42)年創業の大阪千日前にあった鯨料理店「徳屋」が発祥。食べると体がぽかぽか温まるため、特に冬に食べる鍋として人気があります。

【大阪の名物鍋2】てっちり鍋

食い倒れの街、大阪が愛してやまないフグ料理の代表格「てっちり」鍋。脂の乗ったフグと野菜を昆布だしで煮て、ポン酢で味わいます。ふわっとしたフグの食感とポン酢のさわやかさがたまりません。

大阪のフグの消費量は、全国の約60%を占め、ポン酢の消費量は関東の約2倍という説も。現在では高級魚の「フグ」ですが、30年前までは大阪湾でもたくさん獲れたそうです。

むっちりとした身が美味しそうなフグ

むっちりとした身が美味しそうなフグ

「てっちり」の原型は、1948(昭和23)年に登場した大阪・新世界「づぼらや」(2020年9月閉店)の人気メニュー、フグのアラでだしを取り豆腐と青ネギを入れた「フグ汁」といわれています。

大阪ではフグのことを「てっぽう(鉄砲)」、フグの刺し身を「てっさ」といい、「てっちり」とは「てっぽう」の「ちり鍋」の意味。「てっぽう=鉄砲」はフグの毒により命の危険があるという意味を含んでいます。

てっちり鍋とてっさ。冬の味覚・フグをさまざまな形で楽しみたいですね

てっちり鍋とてっさ。冬の味覚・フグをさまざまな形で楽しみたいですね

危険を冒してまで食べずにはいられないほど人々を魅了するフグ料理。縄文時代にフグ中毒で死亡した家族の骨が、フグの骨とともに出土したこともあるそうですよ。

ちなみに、大阪府のフグの調理師資格は、2022(令和4)年からより厳格になり、筆記と実技ともに試験合格が必須。より安心して「てっちり」を楽しめるようになりました。

【大阪の名物鍋3】チリトリ鍋

「チリトリ鍋」とは、ホルモンと山盛り野菜を辛みそでグツグツ煮込んだ、見た目にも豪快な大阪の郷土鍋。名称の由来はその鍋の形状です。まるで「チリトリ」のような、四角くて浅い鍋が使われます。

鉄板のように薄く四角い鍋の上に、ホルモンや野菜が山盛り

鉄板のように薄く四角い鍋の上に、ホルモンや野菜が山盛り

牛や豚などの内臓を「ホルモン」と呼ぶのは、関西弁で「捨てるもの=ほるもん」だからという説があります。とにかく、本来なら精肉の段階で捨ててしまう内臓部分を使うため、チリトリ鍋の価格はリーズナブルなのです。

ホルモンでスタミナ補給もでき、かつ野菜たっぷりでヘルシー!欲張りな大阪人らしい鍋ですね。ビールとの相性も抜群です。

作り方は、タンやテッチャン(大腸)、ミノ(第一胃)、ハラミ(横隔膜)などの牛ホルモンにタレをもみ込み、大量の野菜とともに浅鍋に盛って加熱。野菜がくたっとして水分が出てきたら、ホルモンと絡めていただきましょう。水分が少なく濃いめの味付けのため、シメには「うどん」が定番です。

タレや肉のいい香りに食欲がわきます

タレや肉のいい香りに食欲がわきます

「チリトリ鍋」は特殊な鍋を使用するため、家庭料理というよりは専門店に行って食べることが多い料理。大阪市生野区にある鉄板焼屋「万才橋」というお店が発祥です。店主が経営していた鉄工所で作った浅型鍋を使用したのが始まりといわれています。

【大阪の名物鍋4】うどんすき

「うどん」が主役の「うんどんすき」は大阪の老舗日本料理店「美々卯」の登録商標です。

「うどんはお鍋のシメ。 最初から入れたらドロドロになるのでは?」と言われそうですが、心配ご無用。

「うどんすき」のうどんは煮込んでも崩れないように開発されたもの。鶏肉やアナゴ、海老、ハマグリなど14~15種類の具材に加え、旬の素材と煮込んだ贅沢な一品です。

見た目も美しい老舗のうどんすき

見た目も美しい老舗のうどんすき

美々卯では煮込んだ際のうどんの食感やのど越し・太さなどのバランスにとことんこだわっています。だしは北海道産利尻昆布や土佐清水産の宗田鰹節、枕崎産の本枯節を使用し、各店舗で毎朝2時間かけて抽出しているそう。

お店の前を通ると、いつも上品なだしの香りが漂っていて食欲をそそります。

大阪は堺に200余年続いた料亭が、麺専門店「美々卯」へ。店の看板メニューとして創作された「うどんすき」が人気を博し、後に大阪を代表する名物鍋になりました。

うどんすきの材料

うどんすきの材料

美々卯の「うどんすき」は、家族のお祝いや、職場の忘年会など、さまざまなシーンで一度は食べたことがある、関西人にとっておなじみの味です。

大阪で食べられる鍋料理のお店16選!

ここからは、大阪の名物鍋を食べられるお店を、キタ・ミナミ・天王寺エリアに分けて紹介していきます。アクセスも良い、とっておきのお店をピックアップしたので、ぜひ参考にしてくださいね。

さらにお店選びに役立つ、個室や飲み放題の有無も掲載しています。落ち着いて食事がしたい、複数人で盛り上がりたいなど、利用シーンに合わせたお店で、美味しく楽しく鍋料理をいただきましょう。

キタ(梅田・北新地)おすすめの鍋料理提供店

美々卯 梅田ルクア店
住所:大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクアイーレ10F
個室:なし(半個室あり)
飲み放題:なし
公式サイト:美々卯 梅田ルクア店


「うどんすき」コースは4000円台から、店員さんが調理を手伝ってくれるので贅沢な気分が味わえます。梅田ルクア店は大阪駅からすぐ、子連れで楽しめるのも魅力。
★こんな方におすすめ:大阪梅田で「うどんすき」を食べたい20〜70代の男女やファミリー。

新どおぞの
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-5-9 REXビル3F
個室:あり
飲み放題:なし
公式サイト:新どおぞの


食の激戦区、北新地にある鯨料理店「どおぞの」の姉妹店。本店よりカジュアルに極上の「ハリハリ鍋(鯨はりしゃぶ鍋)」が食べられると人気のお店です。
★こんな方におすすめ:大阪北新地で「ハリハリ鍋」を食べたい30〜60代男女。

たらふく 北新地総本店
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-11-7
個室:あり
飲み放題:あり
公式サイト:たらふく 北新地総本店


北新地にある創業50年の活フグ料理店。国産のトラフグのみを使用した、お店自慢の「てっちり」はぜひ秘伝の自家製ポン酢をかけて召し上がれ!「てっさ」「フグの唐揚げ」も絶品です。
★こんな方におすすめ:大阪北新地で「てっちり」フグ料理を食べたい30〜60代男女。

鍋KING 北新地店
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-5-10
個室:あり
飲み放題:あり
公式サイト:鍋KING 北新地店(なし)


北新地駅から徒歩1分、大阪名物「チリトリ鍋」が大人気の居酒屋。飲み放題付コースが3000~4000円台とコスパは最高。
★こんな方におすすめ:大阪北新地で「チリトリ鍋」が食べたい20〜50代男女。

ふぐ好 新地店
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-8 ぐらんぱれ壱番館B1
個室:あり
飲み放題:あり
公式サイト:ふぐ好 新地店


全席掘りごたつ式個室。新鮮な国産トラフグだけを使った活フグ料理店。北新地でリーズナブルにフグ料理が食べられると話題のお店です。
★こんな方におすすめ:大阪北新地で「てっちり」フグ料理を食べたい30〜60代男女。

永楽町スエヒロ 本店
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-11-11
個室:あり
飲み放題:なし
公式サイト:永楽町スエヒロ 本店


しゃぶしゃぶ発祥の店「永楽町スエヒロ 本店」は北新地で誕生しはや百余年。厳選された極上黒毛和牛と、門外不出の自家製胡麻酢のハーモニーは絶品です。
★こんな方におすすめ:大阪北新地で「しゃぶしゃぶ」が食べたい30〜60代男女。

紙なべ蘆月
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-7-10 ロゲツビル1F
個室:あり
飲み放題:なし
公式サイト:紙なべ蘆月


1927(昭和2)年創業「紙なべ」発祥の料亭「紙なべ蘆月(ろげつ)」。火にかけても燃えない特殊加工を施した和紙を鍋にしていただきます。味はもちろん、明かりを消してゆらめく光を堪能してみては?
★こんな方におすすめ:大阪北新地で「紙なべ」が食べたい30〜60代男女。

ミナミ(難波・心斎橋)おすすめの鍋料理提供店

玄品 法善寺 総本店
住所:大阪府大阪市中央区難波1-1-13
個室:あり
飲み放題:あり
公式サイト:玄品 法善寺 総本店


創業約40年、厳選したトラフグだけを使ったフグ料理専門店。法善寺の正面にあり、「てっちり」が比較的リーズナブルにいただけます。
★こんな方におすすめ:大阪難波で気軽に「てっちり」などフグ料理を食べたい20〜50代男女。

はり重 道頓堀店本店
住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-17
個室:あり
飲み放題:なし
公式サイト:はり重 道頓堀店本店


創業100年以上の黒毛和牛専門店。お店の看板メニューは肉のきめが細かい雌牛のみを使った「すき焼き」と「しゃぶしゃぶ」。日本のみならず世界の食通が足を運ぶ名店です。
★こんな方におすすめ:大阪道頓堀で「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」が食べたい30〜70代男女。

かに道楽 道頓堀本店
住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-6-18
個室:あり
飲み放題:なし
公式サイト:かに道楽 道頓堀本店


大阪のランドマーク、道頓堀にある「動く巨大なかに看板」が目印。かに料理一筋63年の老舗。かにを使った鍋料理が自慢です。
★こんな方におすすめ:大阪道頓堀で「かにすき」など、かに料理が食べたい20〜70代男女。

チリトリナベ まつりや
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-3-12 田毎プラザビル1F
個室:なし
飲み放題:なし
公式サイト:チリトリナベ まつりや


創業50年を超える「チリトリ鍋」発祥の店「万才橋」の姉妹店。毎日仕入れる新鮮な肉と、元祖秘伝のタレを受け継いだ裏路地の名店です。
★こんな方におすすめ:大阪心斎橋で「チリトリ鍋」が食べたい20〜50代男女。

宮がみ屋 本店
住所:大阪府大阪市中央区南船場4-10-21 大阪屋エコービル1F
個室:なし
飲み放題:あり
公式サイト:宮がみ屋 本店


南船場にある「カレー鍋」発祥の店。つるつるシコシコした手打ちうどんにお店自慢の贅沢和風ベースのだし、スパイスの辛さがくせになります。コスパも最高!
★こんな方におすすめ:大阪南船場で「カレー鍋」「カレーうどん」が食べたい20〜50代男女。

やわらか 法善寺店
住所:大阪府大阪市中央区難波1-6-6
個室:あり
飲み放題:あり
公式サイト:やわらか 法善寺店


法善寺エリアにある和牛専門店。和牛のA3・B4クラスの和牛を使いながらも、価格を抑えた美味しい鍋料理が人気です。全席、間仕切りまたは半個室。
★こんな方におすすめ:大阪難波で「すき焼き」「もつ鍋」「チリトリ鍋」が食べたい20〜50代男女。

天王寺(天王寺・阿倍野)おすすめの鍋料理提供店

戴天フグ左右海
住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-2-20
個室:あり
飲み放題:あり
公式サイト:戴天フグ左右海


大阪阿部野橋駅から徒歩5分、1年中「てっちり」が楽しめるフグ料理のお店「戴天フグ左右海(たいてんふぐそうかい)」。「てっちり」「てっさ」を気軽に楽しめる飲み放題付のコースが人気。
★こんな方におすすめ:大阪阿倍野で気軽に「てっちり」など、フグ料理を食べたい20〜50代男女。

鉄板鍋ショウ
住所:大阪府大阪市天王寺区寺田町2-4-11
個室:なし(半個室あり)
飲み放題:あり
公式サイト:鉄板鍋ショウ


天王寺にある「鉄板鍋」の店。黒毛和牛のモモスライスとMOA自然農法の野菜をたっぷり使った韓国風のお鍋は、白ご飯との相性抜群。リーズナブルな価格も魅力。
★こんな方におすすめ:大阪天王寺で「鉄板鍋」が食べたい20〜50代男女。

吾作どん 天王寺公園前店
住所:大阪府大阪市天王寺区堀越町13-14
個室:あり
飲み放題:あり
公式サイト:吾作どん 天王寺公園前店


天王寺公園前にある「海鮮鍋」が有名な炉端居酒屋。宴会にぴったりの飲み放題付コースがお得!「特製てっちり」がおすすめ。
★こんな方におすすめ:大阪天王寺で「海鮮鍋」「てっちり」が食べたい20〜60代男女。

まとめ 

かつて「天下の台所」と呼ばれ、全国の物流拠点だった大阪。その恵まれた立地から、「ハリハリ鍋」「てっちり」「チリトリ鍋」「うどんすき」など個性豊かな鍋料理がこの地で誕生し、庶民の味「鍋もん」として発展していきました。

今回は大阪の郷土鍋の歴史を解説するとともに、大阪キタ・ミナミ・天王寺エリアのおすすめ鍋料理のお店をご紹介しました。

そろそろ鍋が恋しい季節、気になるお鍋を食べに大阪を訪れてみるのもいいですね。



Text:酒徳 留美(さかとく・るみ)

大阪在住、神戸生まれのおでかけ情報ライター。「美味しい&楽しい!」を求め大阪・京都・神戸に出没。趣味はカフェ巡りと愛犬とたわむれること、そしてフラ(ダンス)。最近は、関西のカフェ取材・愛犬とのおでかけスポット紹介・ハワイ文化を紹介するコラムの執筆など、好きなことが仕事につながる幸せを感じている。


Text:Rumi Sakatoku Edit:Sakura Takahashi
Photo(特記ないもの):PIXTA/写真AC
参考:鯨のハリハリ鍋 大阪府「てっぽう」に魅せられて てっちり 伝え続けた庶民の味|産経新聞(2023年10月4日閲覧)/ちりとり鍋|郷土料理物語冷凍めんコラム|株式会社キンレイふぐ店「づぼらや」閉店 ちょうちんで有名、大阪|日本経済新聞(2023年10月4日閲覧)/ふぐの取扱いについて|大阪府/各店公式サイトほか