- 【山形】日本と世界の滝百選から
- (米沢市)ダイナミックな水しぶき「滑川大滝」
- (鶴岡市)七つの滝が織りなす「七ツ滝」
- (戸沢村)絹糸のような繊細な流れ「白糸の滝」
- (小国町)秘境にひっそりと佇む「梅花皮の滝」
- 【山形】見逃せない絶景滝はほかにも
- (酒田市)ライトアップで幻想的に「玉簾の滝」
- (酒田市)開運出世&運気アップ「不動の滝」
- (酒田市)ダイナミックな景観「十二滝」
- (遊佐町)二つの滝が重なり合う「二ノ滝」
- (遊佐町)鳥海山の伏流水が湧く「胴腹滝」
- (南陽市)自然が巨岩をくり抜いた「くぐり滝」
- 【山形】滝と温泉、食事を満喫!贅沢な旅
- (米沢市)岩肌を流れ落ちる「火焔滝」
- (尾花沢市)銀山温泉の奥に佇む「白銀の滝」
- (東根市)迫力満点の「関山大滝」
- さいごに
山形は国内で最も滝が多い地域。大自然のなかに力強く静かに佇む滝は、絶景あるいは避暑地を求める人々を引きつけています。
自然が時間をかけて作り上げた形状や流れは、滝ごとに異なります。四季それぞれの風情も楽しめ、特に緑芽吹く春と紅葉が美しい秋の景色は見事。
この記事では、「日本の滝百選」にも選ばれ、特に美しいと評される山形の滝とその周辺スポットを紹介します。山形を訪れ、滝の力強さと美しさをぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
※掲載情報は2024年3月末時点のものです。荒天や災害によって、山道が通行止めや立ち入り禁止になることもあるため、訪れる際には必ずご自身で目的地周辺の最新情報をご確認ください
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【山形】日本と世界の滝百選から
山形は美しい滝の宝庫として知られています。全国の都道府県のなかで最も滝が多く、その数はなんと230。
「日本の滝百選」にも選ばれている滝も多くあります。まずはその一部を紹介していきますね。
記事の中で「瀑(ばく)」という用語で滝の形状を表現しています。あまり聞き慣れないかもしれませんが滝の形状用語です。
豆知識:「瀑(ばく)形状の種類
●直瀑(ちょくばく)
一直線に落下し、大きな落差がダイナミックな滝。
●段瀑(だんばく)
階層をつくって落下する滝。
●分岐瀑(ぶんきばく)
途中でいくつかの流れに別れて落下する滝。
●渓流瀑(けいりゅうばく)
段差のある川床を泡立つように流れる滝。
●潜流瀑(せんりゅうばく)
伏流水などが、崖の中腹などから湧き出ている滝。
●滑瀑(かつばく)
岩肌を滑るように流れ落ちる滝。
(米沢市)ダイナミックな水しぶき「滑川大滝」
力強く流れ落ちるダイナミックな水柱(写真:佐藤 直記)
滑川大滝(なめがわおおたき)は、東北地方を流れる阿武隈川の支流、松川の上流にかかる分岐瀑の滝です。
標高約860mの位置にある滑川大滝。落差80m、滝幅40mを誇り、東北地方でも最大級で日本の滝百選にも選ばれています。
人気テレビ番組「マツコの知らない世界」では、滝マニアに「おすすめの滝」として紹介されました。
周辺には「滑川温泉郷」があります。滝巡りの後は、温泉でゆっくり疲れを癒してください。
【滑川大滝】
●住所:山形県米沢市
●サイト:滑川大滝
●アクセス:
(登山道入り口まで)JR[米沢駅]より車で約1時間
(鶴岡市)七つの滝が織りなす「七ツ滝」
江戸時代に庄内藩主の参勤交代にも使用されていた「六十里越街道」沿いにあります(写真:山形県)
日本の滝百選の一つ、七ツ滝(ななつたき)。七つの流れが途中で一つになって流れ落ちる段瀑の滝です。
滝の落差は90mで見応え抜群。「七ツ滝公園」がおすすめのビューポイント。整備された遊歩道周辺で散策を楽しみながら、ミストのような水しぶきでリフレッシュできます。
七ツ滝近くの「田麦俣集落」は、江戸時代に参詣道として栄え宿場として発展しました。三つの層を持つ「かやぶき屋根」が今も2棟残っています。古民家好きの方はぜひお見逃しなく。
【七ツ滝】
●住所:山形県鶴岡市田麦俣
●サイト:七ツ滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)湯殿山ICより約10分
(最寄り駐車場まで)月山ICより約40分
(戸沢村)絹糸のような繊細な流れ「白糸の滝」
最上川に流れ落ちる水が白糸のように見えることから「白糸の滝」と名付けられました(写真:山形県)
日本の滝百選の一つ「白糸の滝」は最上川の渓谷にあります。落差120mもあり「最上四十八滝」のなかで最も大きい段瀑の滝です。
繊細な水流が作り出す白銀のカーテンは自然が創り出した芸術作品。江戸時代には俳人の松尾芭蕉も訪れ「白糸の滝」という俳句を残しています。
周辺には「白糸の滝ドライブイン」や「パーラー白糸の滝」があり、滝を眺めながら食事を楽しむことができます。地元の食材を使用した手打ちそばはぜひご賞味あれ。
滝巡りで疲れた後は甘いデザートが食べたいですよね。同じ敷地内にある「パーラー白糸の滝」ではプリンアラモード、フルーツパフェ、クリームソーダなどレトロな喫茶店メニューを提供。美しい風景を眺めながら、ゆっくりと食事を楽しめます。
【白糸の滝】
●住所:山形県戸沢村
●サイト:白糸の滝
●アクセス:
※対岸の駐車場から見学となります
(最寄り駐車場まで)JR陸羽西線高屋駅から車で5分
(最寄り駐車場まで)東北中央自動車道新庄ICから車で約35分
(小国町)秘境にひっそりと佇む「梅花皮の滝」
海外国内を問わず、登山家の間で有名な「幻の滝」
雪渓に囲まれ秘境にひっそりと佇む梅花皮(かいらぎ)の段瀑の滝。世界の滝百選にも選ばれた神秘的なスポットです。
7段の滝で構成されたその総長はなんと270m。雪渓が多い年は、5月下旬〜6月上旬にかけて滝下へアプローチが可能です。
梅花皮の滝に至る雪渓を登る人々
滝周辺への到達には、沢登りやクライミングの技術が求められ、登山の専門家でさえも躊躇するほどの険しさ。
山形県内の多くの公式サイトでは、危険性が高いため登山に不慣れな方の訪問はおすすめしていません。なかなか気軽に見られる滝ではないため、「幻の滝」とも呼ばれています。
【梅花皮の滝】
●住所:山形県米沢市小国町(飯豊連峰石転び沢付近)
●サイト:梅花皮の滝
●アクセス:
(登山道まで)JR[小国駅]より車で約50分
(滝見場まで)飯豊山荘より梶川尾根登山道を徒歩180分
【山形】見逃せない絶景滝はほかにも
山形県には、「日本の滝百選」以外にも見逃せない滝が数多く存在します。これらの滝は県内各地に散在し、それぞれが独自の魅力を放っています。
特に印象的な絶景滝をいくつかご紹介します。
(酒田市)ライトアップで幻想的に「玉簾の滝」
約1200年前、弘法大師が玉すだれのように見えたため命名したと伝えられています
玉簾の滝(たますだれのたき)は飽海(庄内)三名瀑の一つ。断崖絶壁から落ちる迫力満点の直瀑。絶壁から落差63m、幅5mで豪快に流れ落ちる光景は壮観。
毎年ゴールデンウィーク(4月26日〜5月6日)と夏休み期間(8月9日〜18日)に実施される夜間ライトアップや、冬の美しい氷瀑は、多くの人を惹きつけます。
ライトアップされた玉簾の滝
滝までは駐車場から歩いて10分。途中に御嶽神社があります。ここは玉簾の滝を御神体として信仰され、かつて多くの修験僧が修行に訪れました。
推定樹齢800年の杉の巨木が歴史の深さを感じさせてくれます。
【玉簾の滝】
●住所:山形県酒田市升田字大森
●サイト:玉簾の滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR[酒田駅]より車で約40分
(最寄り駐車場まで)日本海東北自動車道[酒田みなとIC]より車で約30分
(酒田市)開運出世&運気アップ「不動の滝」
幾筋もの豪快な流れが特徴です
不動の滝(ふどうのたき)は、岩肌を分岐しながら流れる分岐瀑の滝。豊富な流量で一年中流れが絶えることはありません。
地層は、約60万年前の「鳥海火山」の噴火で出たものが積み重なった火砕岩でできています。よく見ると火山の大きな石、小石が見えるかもしれません。
「開運出世の滝」の愛称でも知られている「不動の滝」は、パワースポットとしても大人気。
滝の近くには不動尊があり参拝することで開運や出世のご利益が。「開運出世の滝」として親しまれ、多くの参拝客が訪れます。
【不動の滝】
●住所:山形県酒田市下黒川
●サイト:不動の滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR[酒田駅]よりバス約40分
(不動の滝まで)産直どんでん畑より徒歩で約3分
(酒田市)ダイナミックな景観「十二滝」
十二の滝の一つ
酒田市北俣の美しい相沢川にある十二滝(じゅうにたき)は、段瀑の滝で飽海(庄内)三名瀑の一つ。その名の通り周囲には12の滝があります。
十二滝周辺の地形は、火山から流れ出た溶岩が冷え固まることでできたもの。滝巡りを通して、約1000万年前〜600万年前の海底火山の動きを感じられるかもしれません。
さまざまな岩石が、その特徴を生かして滝の力強さを引き立て、形や色、水の流れと一緒に美しい風景を作ります。
特に、真っ赤なつり橋から見る景色は格別。つり橋、滝、岩石、緑に彩られた風景は、まるで絵画のようです。
【十二滝】
●住所:山形県酒田市北俣奥山地内
●サイト:十二滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR[酒田駅]より車で約45分
(最寄り駐車場まで)日本海東北自動車道[酒田中央IC]より車で約25分
(遊佐町)二つの滝が重なり合う「二ノ滝」
上流には間ノ滝、三ノ滝もあります。1カ所でさまざまな滝が見られるのも魅力
たくさんの水が激しく流れ落ちる二ノ滝(にのたき)は飽海(庄内)三名瀑の一つ。鳥海山の近くにあり約10万年前の火山の噴火でできた滝。「鳥海山の水と溶岩が作った二つの滝」と言われています。
駐車場から遊歩道を下りると一ノ滝に到着。遊歩道では渓流沿いを歩きながら山野草を楽しむことができます。
さらに奥に30分ほど歩くと落差25mの二ノ滝に到着。ここでは二つに分かれた滝を楽しむことができ、雪解け時は迫力満点。
周辺には遊歩道が完備され、初心者でも気軽に楽しめるハイキングコースがあります。鳥海山の豊かな清流と滝を眺めながら、トレッキングやハイキングはいかがでしょうか。
【二ノ滝】
●住所:山形県遊佐町吉出
●サイト:ニノ滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR[遊佐駅]より車で約15分
(最寄り駐車場まで)山形自動車道[酒田みなとIC]より車で約25分
(遊佐町)鳥海山の伏流水が湧く「胴腹滝」
山の奥深くにあり、冬でも水が凍らない胴腹滝
岩場から出てくる珍しい潜流瀑の滝、胴腹滝(どうはらのたき)。渓流が滝になっているのではなく標高230mの山腹の中から湧き出ています。
その特徴から「どうっぱら」(身体の中心部から水が流れ出るという意味)というユニークな滝名に。
左右から流れ出る水は味が違うのも特徴。古くから飲用水として重宝されていますが、殺菌されていない生水のため、味見の際はお腹を壊さないようご注意ください。
【胴腹滝】
●住所:山形県遊佐町吉出
●サイト:胴腹滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR[遊佐駅]より車で約10分
(最寄り駐車場まで日本海東北自動車道[酒田みなとIC]より車で約20分
(南陽市)自然が巨岩をくり抜いた「くぐり滝」
近くには「熊野神社」と「明神の祠」があります
南陽市の小滝地区にある「くぐり滝」は、高さ5m、幅4.6mの岩の穴から14m落ちる直瀑と段瀑の滝。
周囲はミズバショウと天然ブナ林に囲まれ、春は緑、秋には紅葉が美しく、野鳥の声をBGMに滝巡りが楽しめます。
江戸時代に米沢上杉藩は、滝の奥地を特別な森とし「水林」地区を作りました。大きな木と川の水で滝を作り、宮内熊野大社の修験者は、この滝で身を清めてから白鷹山に向かったと伝えられています。
【くぐり滝】
●住所:山形県南陽市小滝
●サイト:くぐり滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR[赤湯駅]より車で約30分
(最寄り駐車場まで)東北中央自動車道[山形中央IC]より約35分
(くぐり滝まで)駐車場から徒歩3分
【山形】滝と温泉、食事を満喫!贅沢な旅
山形県の滝周辺には、郷土料理を提供する温泉宿や食事処が多数あります。ここからは、温泉や山形グルメが堪能できる滝スポットを紹介します。
山形の自然の食材を活かした郷土料理は絶品。大自然の景色を眺めながらの露天風呂も最高です。
(米沢市)岩肌を流れ落ちる「火焔滝」
滝は中段から広がり、険しい岩盤を伝う独特な流れが特徴の分岐瀑
火焔滝(ひのほえのたき)は最上川の上流部、佐原沢にある落差40mの滝。夜になるとライトアップされた幻想的な姿が美しいことで有名です。
秋の夕日が滝を炎のように見せることから、火焔滝と名付けられました。近くの「大平温泉滝見屋」には、上杉藩の殿様が滝を見て湯浴みに訪れたという記録も残っています。
天然温泉かけ流しの秘湯に浸かり、滝の音に耳を傾ければ、心身ともにリフレッシュできることうけあいです。
【火焔滝】
●住所:山形県米沢市大字李山
●サイト:火焔滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR米坂線[米沢駅]より車で約1時間
(火焔滝まで)徒歩35分
(尾花沢市)銀山温泉の奥に佇む「白銀の滝」
滝壺まで歩くことができ、対岸の展望台からは水しぶきを感じられます
銀山温泉から車で約30分の場所にある「白銀の滝(しろがねのたき)」。直瀑は通常2本ですが、水量によっては3本出現します。
周辺には、隠れ家的存在の銀山温泉の天然名湯「銀山温泉瀧見館」や、代々受け継がれる「そば処瀧見亭」があり、滝を眺めながらの食事も楽しめますよ。
【白銀の滝】
●住所:山形県尾花沢市
●サイト:白銀の滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)東北自動車道[古川IC]より車で約75分
(白銀の滝まで)JR[大石田駅]より銀山温泉行きバス乗車、下車後、徒歩約10分
(白銀の滝まで)銀山温泉共同駐車場から徒歩15分
(東根市)迫力満点の「関山大滝」
夏には川遊びができる遊水場として人気を集めます(写真:山形県)
関山大滝(せきやまおおたき)は、約15mの落差と豊富な水量で、エメラルドグリーンの滝壺が美しい直瀑の滝。仙台と山形を結ぶ国道48号線沿いに位置します。
関山大滝は心地よいマイナスイオンを気軽に感じられる穴場スポット。流れが緩やかな浅瀬があるため、天然のプールのような滝壺で川遊びを楽しむ人も。
秋は紅葉の渓谷と県の自然記念物「大カツラ」が見られ、冬は雪景色の滝も楽しめます。
周辺には大滝ドライブイン「泉や」があり滝を眺めながら食事や休憩ができます。山形名物の玉こんにゃくや川魚のイワナ定食がおすすめです。
【関根大滝】
●住所:山形県東根市関山大滝
●サイト:関根大滝
●アクセス:
(最寄り駐車場まで)JR山形新幹線[さくらんぼ東根駅]よりタクシーで約25分
(最寄り駐車場まで)東北中央自動車道[東根IC]より車で約35分
(最寄り駐車場まで)JR山形新幹線[さくらんぼ東根駅]より車で約25分
さいごに
迫力ある佇まいや爽やかな水音で人気を集める滝。美しい景観や自然の雄大さを肌で感じられる、まさに天然のパワースポットといえるのではないでしょうか。
滝巡りの際は、目的地の周辺環境が自然災害の影響を受けやすいことに注意しましょう。
せっかく訪れたのに「通行止め」や「橋が壊れている」などの事態を避けるためにも、事前に交通や天候などの最新情報のチェックをお忘れなく。歩きやすい服装と靴、虫除けスプレーも携帯しましょう。
滝の周辺には温泉旅館やキャンプ場など宿泊施設も豊富です。きちんと準備をすれば、滝めぐりの旅は楽しく思い出に残るものになるはず。
ぜひ滝を見に、山形を訪れてみてくださいね。
Text:みこ
秋田県在住。東京から秋田にUターンし、現在はフリーライターとして活動中。趣味はカメラ旅。多くの人にまだ知られていない山や海の美しい風景など、隠れた名所を見つけるのが好き。旅先の文化、歴史、風土を反映した独自の視点から旅の魅力を伝えることが得意で、自分の書いた文章が誰かの心に触れ、新たな旅のきっかけになることが喜び。自身のブログ「暮らしのオト」では、旅先での過ごし方、推しグルメなど穴場スポットと共に旅に関するコラムを発信。Xは@mikomiko_1713。
Edit:Sakura Takahashi
Photo:PIXTA(特記ないもの)
参考:各市町村公式サイト