古くから親しまれ、日本人なら誰もが好きであろう「温泉」。からだ全体がじんわりとほぐれ、ゆっくりと温まり癒されるあの感覚は、温泉でしか味わえないのではないでしょうか。
現在日本には約3,000カ所の温泉地が存在します。これだけ多い日本の温泉ですが、もちろん場所が変われば特徴や効能、香りなどもそれぞれ異なり、さまざまな個性を持っているんです。
今回は温泉によって異なる、特徴や効能について詳しくご紹介します。あなた好みの温泉が見つかるかも?
日本の温泉とは?
日本の温泉とは?
日本は温泉大国と言われるだけあり、名湯と呼ばれる効能や環境が優れた有名な温泉がたくさんあります。その中でも温泉にまつわる昔からの言い伝えや、種類をご紹介します。
日本三名泉
日本三名泉とは?
日本三名泉とは、「有馬温泉(兵庫県)」「草津温泉(群馬県)」「下呂温泉(岐阜県)」の3つの温泉を指します。この名前は室町時代に由来し、初めに記されたのは室町時代の京都五山相国寺の詩僧・万里集九の詩文集「梅花無尽蔵」です。
その後江戸時代になり、儒学者の林羅山が詩文集の中で「天下の三名泉」と記したことがこの「日本三名泉」という名前の由来となりました。
日本三古湯(日本三古泉)
日本三古湯とは?
「日本三古湯」とは、日本で古くから愛されている歴史ある温泉のこと。日本三古湯には2つの説があります。
一つは日本書紀、風土記などに登場することに基づいた「道後温泉(愛媛県)」「有馬温泉(兵庫県)」「白浜温泉(和歌山県)」の3つの温泉を指すという説。もう一つは延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)の記述に基づいた「道後温泉(愛媛県)」「有馬温泉(兵庫県)」「いわき湯本温泉(福島県)」の3つの温泉を指すという説です。
日本三古湯のひとつの白浜温泉の記事についての記事はこちら!
日本三古湯のひとつ【白浜温泉】南紀白浜で絶景と温泉を満喫!
名湯百選
名湯百選とは?
名湯百選とは、NPO法人「健康と温泉フォーラム」が「温泉療法医がすすめる温泉」として選定した温泉のことです。ただし現在、実際に紹介されている温泉は79選で、百選ではないそう...。
日本では昔から「温泉療法」として、多くの病を直す治療法が知られてきました。医学的にも温泉による効能は裏付けされているのだとか。長寿の秘訣として温泉に入っている人も多いですよね。
日本三代薬湯
日本三大薬湯とは?
温泉は上記でも書いたように、温泉療法としてとても体に良いものだとして古くから親しまれてきました。中でも日本三大薬湯と呼ばれているのが「草津温泉(群馬県)」「松之山温泉(新潟県)」「有馬温泉(兵庫県)」です。
(群馬県)草津温泉
草津温泉の湯畑の様子
草津温泉の源泉はなんと50〜90℃ととても高温で、実はそのままでは入れないんです。そのため草津温泉のシンボルである「湯畑」で外気にふれさせ、冷やしながら各宿へ運びます。
草津温泉の特徴
草津温泉の特徴
草津温泉の湯あたりはぬるっとしていて、肌がピリピリとするのが特徴。温泉に浸かってから10分も経てば皮膚表面が滅菌されるため、クレンジング効果の高い温泉として知られています。
また草津温泉の最大の見どころは「湯もみ」。上記でも書いたように、草津温泉の源泉は高温でそのままでは入れません。そのために湯もみをして冷ましてから入ります。
草津温泉は湯もみをして高温の温泉を冷ます(写真提供 Instagram: siro0150rima様)
この湯もみは今や人気パフォーマンスとして知られ、草津へこれを見るために訪れる人も多いのだとか。湯もみショーは昭和35年から始まり、長い間人気が衰えることなく続いている伝統ショー。一度は見てみたいですね。
草津温泉の伝統的湯もみショー(写真提供 Instagram: siro0150rima様)
草津温泉の湯もみに関する記事はこちら!
【草津温泉】日本三名泉の一つで湯もみを体験!
草津温泉の泉質
酸性・含硫黄 アルミニウム 硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)(酸性低張性高温泉)
草津温泉の効能
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節の強張り、打ち身、挫き、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、動脈硬化症、切り傷、火傷、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病・高血圧症など
(岐阜県)下呂温泉
下呂温泉の街並み
1,000年以上の歴史を持つと言われている「下呂温泉」。この歴史ある温泉のお湯が突然止まりました。しかし現在の源泉地である飛騨川の河原に、再び湧出しているところを傷ついた一羽の白鷺が皆に伝えたという「白鷺伝説」が、今でも言い伝えられています。
下呂温泉の特徴
下呂温泉のシンボル 噴泉池(写真提供 Instagram: shimizu01様)
下呂温泉のシンボルとも言える「噴泉池(ふんせんち)」。飛騨川をバックに一切の囲いが無く、下呂温泉の源泉を贅沢に堪能できます。温泉街の中心部にあり、毎日多くの人が下呂温泉を楽しみに訪れているのだとか。
美人の湯と言われる下呂温泉(写真提供 Instagram: suimeikan様)
有馬・草津に続く「日本三名泉」の一つです。pH9.2(水道水はpH6.5)で天然の石鹸効果があるツルツルすべすべとした肌触りから、別名「美人の湯」とも呼ばれています。
下呂温泉の泉質
単純温泉(アルカリ性単純温泉)
下呂温泉の効能
リウマチ、運動機能障害、神経症、神経麻痺、病後回復、疲労回復
(兵庫県)有馬温泉
有馬温泉の様子
有馬温泉は環境省が療養泉として指定している単純性温泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、硫黄泉、放射能泉の7つの主成分が含まれている温泉です。
温泉療養や健康、美容のために各地から多くのファンが訪れるそう。
有馬温泉の特徴
有馬温泉の特徴(写真提供 Instagram: __aaaa912様)
一般的に有馬温泉は「金泉」と「銀泉」があります。鉄分を含む含鉄強塩泉はもともとの色は無色透明ですが、空気に触れると酸化し独特の赤茶色に変化するため、「金泉」と呼ばれるようになりました。
一方で空気に触れても変化しない二酸化炭素泉などを金泉と対比させ、「銀泉」と呼んでいます。
有馬温泉といえば金泉(写真提供 Instagram: yamamoto_masato_abc様)
有馬温泉といえば金泉と言われるほど有名。海水よりはるかに塩分濃度が高いため、舐めるとかなりしょっぱいのだとか。しかしその塩分が肌に薄い膜を張り、体を芯から温めてくれるので湯冷めしにくいのが有馬温泉の特徴です。
また殺菌作用が高いため、皮膚疾患にも効果的。ただし、あがり湯を浴びず、そのまま体に成分がついたままの状態は注意!白いタオルも洋服も赤く染まってしまいます。
有馬温泉の泉質
金泉:含鉄、ナトリウム、塩化物泉
銀泉:二酸化炭素泉、放射能泉
有馬温泉の効能
金泉:やけど、切り傷、リウマチ、冷え性、慢性皮膚病、慢性婦人病
銀泉:神経痛、慢性消化器病、高血圧症、動脈硬化症、痛風、胆石症、慢性皮膚病、慢性婦人病
(鹿児島県)指宿温泉
指宿温泉の砂むし風呂
本州最南端のリゾート温泉地である「指宿(いぶすき)温泉」。西郷隆盛が愛した地としても有名です。指宿市内には約1,000ヶ所の泉源があり、人気温泉地として多くの人が訪れます。
指宿温泉の特徴
指宿温泉の特徴(写真提供 Instagram: healthyland_yamagawa様)
指宿温泉に訪れたらぜひ体験したいのが「砂むし温泉」。海岸に向かって地下を流れ出る温泉で温められた砂を使った、天然砂むし温泉は観光客のみならず、地元の人にも愛されています。
指宿温泉名物の砂むし温泉(写真提供 Instagram: ibusuki_tourism様)
指宿温泉の泉質
塩化物泉
指宿温泉の効能
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関 節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
指宿の砂むし温泉に関する記事はこちら!
鹿児島県【砂むし温泉】に「特急 指宿のたまて箱」で行こう
(新潟県)月岡温泉
月岡温泉街の様子
月岡温泉は弱アルカリ性低張性高温泉で、美肌の湯として日本トップクラスの泉質です。体の芯から温まり、また長時間体内に残ることから、「美肌の湯」、「不老長寿の湯」としてとても有名です。
月岡温泉の特徴
エメラルドグリーンの月岡温泉(写真提供 Instagram: mairo220様)
月岡温泉の最大の特徴は色!月岡温泉の水の色には7つの顔があると言われています。普段は入浴剤と勘違いされるほど鮮やかなエメラルドグリーンですが、突然乳白色に変わったりと、季節や気温によって変化するのだそう。
7つの色を持つ月岡温泉(写真提供 Instagram: kobayashiyoujie様)
また月岡温泉には角質を溶かす作用がありお肌がツルツルに。他にも漂白・殺菌作用があり美肌になると言われています。まさに美容に欠かせない温泉ですね。
月岡温泉の泉質
含硫黄―ナトリウム―塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
月岡温泉の効能
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、美肌
(大分県)由布院温泉
由布院温泉 金鱗湖の様子
湧出量が全国2位の「由布院温泉」。泉質はほとんどが単純温泉又はアルカリ性単純温泉に分類され、無色透明の透き通った温泉です。
由布院温泉の特徴
無色透明の単純温泉の由布院温泉(写真提供 Instagram: h_k_kentarou821様)
アルカリ成分の働きから湯ざわりはなめらかで、保湿効果があるとされるメタケイ酸も豊富なことから「美肌の湯」として女性から人気です。
美肌の湯として有名な由布院温泉(写真提供 Instagram: cocohana68様)
由布院温泉の泉質
単純温泉
由布院温泉の効能
自律神経不安定症、不眠症、うつ状態、筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関 節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
湯布院に関する記事はこちら!
【湯布院】ご当地グルメを堪能!絶対に外せないスポットをご紹介
(愛媛県)道後温泉
道後温泉本館
古事記にも登場する日本最古の温泉と言われている「道後温泉」。お肌に優しい泉質はアルカリ性単純泉で、ピリピリすることもなく滑らかな湯ざわりです。加温・加水をしていない源泉かけ流しの温泉ということで、温泉そのままを楽しめます。
源泉掛け流しの道後温泉(写真提供 Instagram: sayonara_teenager様)
道後温泉の泉質
単純温泉
道後温泉の効能
自律神経不安定症、不眠症、うつ状態、筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関 節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
(山形県)蔵王温泉
山形蔵王の樹氷の様子
冬の樹氷やウィンタースポーツで知られる蔵王。土を掘って湧き出る温泉ではなく、自然湧出の温泉ということでとても人気です。源泉郡が5つあり、またそこから分かれた47の源泉から1日約8,700トンもの豊富な湯量を誇ります。
蔵王温泉の大露天風呂(写真提供 Instagram: zao_onsen_dairotenburo様)
冬の積雪量が多い地域だからこそ味わえるのが、「雪見風呂」。寒い外気に触れながら熱い温泉に浸かるあの瞬間は最高です。
冬の醍醐味 雪見風呂(写真提供 Instagram: tochan316様)
蔵王温泉の泉質
酸性泉
蔵王温泉の効能
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、耐糖能異常(糖尿病)、筋肉、関節の慢性的痛み、こわばり、軽い喘息・肺気腫、痔の痛み、運動麻痺による筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下、軽症高血圧、自律神経不安定症やストレスによる諸症状、耐糖能異常、軽い高コレステロール血症、病後回復期、疲労回復、健康増進
お気に入りの温泉を見つけよう!
今回は色々な温泉の特徴や泉質、効能についてご紹介してきました。
温泉大国である日本にいるのなら、それぞれの種類や特徴を知らないともったいない!色々な温泉に入って自分のお気に入り温泉を見つけてみても楽しいかもしれませんね。
その時にはぜひこちらの記事を参考にしてみてください♪