山形花笠まつりはどんなまつり?
紅花畑が広がる光景を表現
約1.2kmにおよぶパレードコース
60年ほどの歴史があるイベント
山形の夏に欠かせない存在
パレード観覧席について
「花笠音頭」とは?|起源と歌詞
「花笠踊り」とは?|起源
山形花笠まつりの楽しみ方
楽しみ方①:踊りを見る
楽しみ方②:花笠を見る
楽しみ方③:ゲストを見る
楽しみ方④:踊りに参加する
楽しみ方⑤:グッズを買う
こんなに違う! 花笠踊りの種類
正調花笠踊り~薫風最上川〜
正調花笠踊り~蔵王暁光〜
笠回し系花笠踊り
創作花笠踊り
2024年開催概要
おわりに

東北を代表する夏祭りのひとつ「山形花笠まつり」。艶やかな衣装に身を包んだ踊り手たちの圧巻の踊りを見られる日が今年もやってきます。

この記事では、山形花笠まつりの概説や見どころ、由来・歴史、楽しみ方などについてご紹介していきます。

協力:山形県花笠協議会
TOP画像:山形花笠踊りのパレード/正調花笠踊り~薫風最上川〜(写真提供:[公社]山形県観光物産協会)
※掲載の状況は2023年7月時点の情報です。諸事情により変更となる可能性があります
※2024年7月、一部情報を更新しました

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山形花笠まつりはどんなまつり?

艶やかな衣装と花飾りのついた笠で踊る花笠踊り

艶やかな衣装と花飾りのついた笠で踊る花笠踊り(写真提供:山形県花笠協議会)

「花笠まつり」とは「花笠音頭」に合わせて踊る「花笠踊り」のおまつり。

尾花沢市など山形県内の各地で開催されますが、もっとも参加者が多いのが山形市の「山形花笠まつり」で、東北四大まつりのひとつに数えられます。

2024年で第62回目の開催となる山形花笠まつりは、8月5日(月)から7日(水)までの3日間で開催。開催時間は18:00から21:45頃まで。1万人の踊り手が会場を練り歩きます。

同期間の昼間には、花笠踊りを見て学んで体験できる参加無料のイベント「昼も楽しく!花笠まつり」も開催されますよ。

紅花畑が広がる光景を表現

花畑のように華やかな花笠踊りのパレード

花畑のように華やかな花笠踊りのパレード(写真提供:山形県花笠協議会)

リズムを刻む太鼓と賑やかな花笠音頭、「ヤッショ、マカショ」の掛け声、「シャン、シャン、シャン」の鈴の音。祭りの3日間は暑さに負けない威勢のいい音が、街に響き渡ります。

沿道を埋め尽くす大勢の観客の中、艶やかな衣装の大集団が一斉に踊ると、花笠がダイナミックにうねります。踊り手が練り歩くさまは一面の紅花畑が広がる光景を表現しています。

約1.2kmにおよぶパレードコース

JR山形市街地のマップ

JR山形市街地のマップ。赤い道が山形花笠まつりのパレードコース(画像提供:山形県花笠協議会)

山形花笠まつりは、山形市中心街を通る国道112号の一部を会場に、踊り手によるパレードが約3時間半にわたって行われます。

山形花笠まつりのパレードコースは、ライトアップされた山形市の十日町・本町・七日町通り(国道112号線)から文翔館前までの1.2㎞。

会場のマップは公式サイト内ダウンロードのページから確認できますよ。

60年ほどの歴史があるイベント

山形花笠まつりは60年ほどの歴史があるイベント。もともと1963(昭和38)年に「花笠音頭大パレード」という名前で、蔵王夏まつりのプログラムとして始まりました。

1965(昭和40)年から、単独のイベント「山形花笠まつり」となり、現在の形に。単独のイベントとなってからは、「東北四大まつり」のひとつとして認知されています。

1963(昭和38)年の第1回花笠音頭大パレードのようす

1963(昭和38)年の第1回花笠音頭大パレードのようす(写真提供:山形県花笠協議会)

山形の夏に欠かせない存在

山形花笠まつりの近年の傾向として、学年行事の一環として参加する小中学生が増えていたり、山形市内の大学・専門学校の学生さんたちの参加もあるそう。

小さい頃に親しんできた花笠踊りを大人になってまた踊りたいという人や、女踊りの艶やかな衣装に憧れて踊ってみたくなった人など、新たに花笠踊りを習い始める人もいるのだとか。

60年ほど前に始まった「山形花笠まつり」は、いまや山形市の夏に欠かせないまつりとなっています。

パレード観覧席について

道路脇の歩道スペースで花笠踊りを鑑賞する人たち

道路脇の歩道スペースで観覧できます。当日は熱中症対策をお忘れなく!(写真提供:山形県花笠協議会)

有料観覧席

2024年はパレードを観覧するための一般向け有料観覧席が設けられました。ただし数量限定です。詳しくはこちらのページをご確認ください。

バリアフリー席

車いすの方は、バリアフリー席が用意されているので、そちらからパレードを楽しむことができます。時間割は①18:00〜19:40 ②19:50〜21:30の2回。募集人数は各15名(団体の場合は5名まで)。席が埋まり次第受付終了です。ボランティアの案内人がいますが、付き添い人が必要です。

有料観覧席、バリアフリー席を利用しない人は、パレードコース沿いの歩道で自由に観覧できます。

「花笠音頭」とは?|起源と歌詞

尾花沢が発祥の地?

花笠音頭が響くパレード

花笠音頭が響くパレード(写真提供:山形県花笠協議会)

花笠音頭の「ヤッショ、マカショ」の掛け声は、山形で育った人、山形で暮らした人、山形が好きな人の耳に馴染んだ合言葉です。

そんな花笠音頭の起源は諸説ありますが、尾花沢スイカや尾花沢牛の産地として有名な尾花沢市が発祥とされています。

花笠音頭の元唄は、明治・大正の頃に山形県村山地方で歌われていた「土突き唄(どんつきうた)」。いわゆる労働歌です。

労働の中で生まれた歌

1919(大正8)年頃、ため池工事のため全国から作業の担い手が集められました。彼らによって山形に伝えられた「船方節」や「八木節」、県内の歌が土突き唄に混ざり、アレンジされていきました。こうして新しく歌われるようになった土突き唄が「花笠音頭」とされています。

このとき作られたため池が、尾花沢市の徳良湖(とくらこ)。花笠音頭はため池造成中に、作業員らが重労働の辛さを忘れるため、そして作業の息を合わせるために歌われていた歌だったのです。

あの「ヤッショ、マカショ」の囃子言葉も、土木作業の掛け声からきたものだったのですね。同じ囃子言葉が、最上川河口の港町・酒田市の民謡「酒田船方節」にもあり、それを取り入れたのではないかともいわれています。

尾花沢市・徳良湖

尾花沢市・徳良湖。湖畔には尾花沢牛がいただける「レストラン徳良湖」もあります

花笠音頭の歌詞について

山形花笠まつりで歌われている花笠音頭の歌詞は、従来からあった2つの歌詞に加え、県内外から公募した13歌詞を加えた15歌詞で構成されています。

歌詞には最上川の流れに沿った各地の名所名物が登場します。1番は蔵王、2番は最上川源流域の吾妻十湯、3番からは南陽、長井、村山と花の名所を巡り、湯のまち上山、寒河江、山形、天童、尾花沢を通り、酒田港へ。出羽三山から、最後は蔵王に戻ります。

「花笠踊り」とは?|起源

やはり労働の中で生まれた

花笠音頭は徳良湖の造成工事の中で生まれましたが、やがて踊りも工事の作業の中で生まれました。徳良湖完成の祝賀の際にも披露されたそうです。

踊りに華やかさを添えたのが花笠。日除けや雨除けとして作業に欠かせなかった菅笠(すげがさ)に、紅花で染めた紙製の花を飾りつけたものです。振ったり回したりして踊ったのが、花笠踊りの原型といわれています。

徳良湖の湖畔には「花笠踊り 発祥の碑」が立っています。

徳良湖畔の「花笠踊り 発祥の地」の碑

徳良湖畔の「花笠踊り 発祥の地」の碑(写真提供:山形県)

山形花笠まつりの楽しみ方

山形花笠まつりではパレードを見るほかにも、花笠踊りに参加する、公式グッズをゲットするといった楽しみ方があります。パレードには豪華ゲストも登場しますよ。

楽しみ方①:踊りを見る

あたりが暗くなりいっそう盛り上がりを見せる山形花笠まつり

辺りが暗くなりいっそう盛り上がりを見せる山形花笠まつり(写真提供:山形県)

山形花笠まつりは、グループごとに統一された衣装・紅花をあしらった花笠が見どころ。以前は一糸乱れぬ集団美が山形花笠踊りの醍醐味でしたが、現在は踊りの多彩さに驚かされます。踊りの種類は後述します。

楽しみ方②:花笠を見る

左:花笠(普通)右:男花笠

左:花笠(普通) 右:男花笠(写真提供:山形県花笠協議会)

「花笠」は名前の通り、山形県の「県の花」でもある紅花(べにばな)を模した飾りをあしらった笠のこと。山形花笠踊りの第1回目では、花笠はプラスチックのざるに鈴と紅花を付けたものを使用。しかし、第2回からは菅笠(中津川笠)に鈴と紅花をイメージした造花を付けたものを使用しています。

山形花笠まつりで使われる花笠も、踊りや衣装と同様、団体によってさまざま。黄色い花がついた「男花笠」や、おおぶりの花がついた「尾花沢花笠」などがあります。ぜひ団体ごとの花笠のデザインを見比べてみては。

楽しみ方③:ゲストを見る

花笠踊りパレードで登場する山車

花笠踊りパレードでは山車も登場(写真提供:[公社]山形県観光物産協会)

例年ゲスト出演がある山形花笠まつり。2024年も出演者が決まりました。当日はゲストが山車に乗り、観衆に手を振ります。

●8月5日
大塚文雄さん、渡辺えりさん、テツandトモの2人

●8月6日
大塚文雄さん、橋本マナミさん、三浦昌朗さん(ロケット団)

●8月7日
大塚文雄さん、朝倉さやさん、ソラシドの2人

楽しみ方④:踊りに参加する

山形花笠まつりには、観客も花笠踊りに参加できる「自由参加コーナー」があります。いずれも無料・予約不要です。

花笠踊りへの参加方法A|昼も楽しく!花笠まつり

まずは、「昼も楽しく!花笠まつり」。山形花笠まつり開催期間中の日中に、やまがたクリエイティブシティセンターQ1で、花笠音頭に合わせて踊る催しです。

13:30〜と15:00〜のステージイベントは、パレードでは見ることのできない花笠舞踊団による正調花笠のステージ踊りをご覧いただけます。

観覧後は指導員から踊り方を教わり、花笠踊りを実体験できますよ。踊り方を覚えて、夜の花笠まつりをさらに楽しんでください。

花笠踊りへの参加方法B|オープニング花笠輪踊り

「オープニング花笠輪踊り」は山形花笠まつりのパレードスタート直後の18:10から18:30まで、山形市役所前で行われるイベント。

参加者には簡易花笠が配られ、踊りの先生に合わせて身振り手振りを真似ながら、楽しく参加できます。

花笠踊りへの参加方法C|飛び入りコーナー

「まつりの飛び入り」もできます。20:30頃にスタートするパレード最後尾に、ミス花笠が手に持つ「飛び入りコーナー」のプラカードを見つけたら、ぜひ踊りの輪の中にお入りください。

楽しみ方⑤:グッズを買う

花笠(要申し込み)や浴衣、花笠うちわなど、山形花笠まつりの公式グッズが2024年も販売されます。山形商工会議所1階エントランスに販売コーナーが設けられるほか、電話・FAX・メールからの申し込みで自宅配送もできます。

詳しくは公式サイト内公式グッズのご紹介ページをご確認ください。

左:花笠 右:DVD「正調花笠踊り-踊り方解説-」

左:花笠 右:DVD「正調花笠踊り-踊り方解説-」(写真提供:山形県花笠協議会)

こんなに違う! 花笠踊りの種類

花笠踊りはもともと、笠をかぶっての手踊りや、笠を手に持って回して踊るものなど10種類あまりのさまざまな踊りがありましたが、1963(昭和38)年、誰でも手軽に踊れるよう改良されました。市民参加型のまつりとなった山形花笠まつりでは、次第にさまざまな踊りが登場します。

華麗な正調女踊り「薫風最上川(くんぷうもがみがわ)」に加えて、勇壮な正調男踊り「蔵王暁光(ざおうぎょうこう)」。

そして花笠踊り発祥の地である尾花沢地方のダイナミックな「笠回し」や、各団体による「創作花笠踊り」。ここではそれぞれの特徴をご紹介します。

正調花笠踊り~薫風最上川(くんぷうもがみがわ)〜

通称・女踊り。山形県の「母なる川」最上川を渡る、さわやかな風と稲穂の揺れをイメージした優雅で華麗な花笠踊りです。第1回の1963(昭和38)年から踊られています。県内を旅するような歌詞と踊りやすさから、多くの人に親しまれています。
正調花笠踊り・薫風最上川

正調花笠踊り~薫風最上川(くんぷうもがみがわ)〜(写真提供:[公社]山形県観光物産協会)

正調花笠踊り~蔵王暁光(ざおうぎょうこう)〜

通称・男踊り。蔵王連峰の夜明けに、大地をしっかり踏みしめ、自然の恵みへの感謝をイメージした勇壮な正調花笠踊り。1998(平成10)年に誕生しました。
正調花笠踊り・蔵王暁光

正調花笠踊り~蔵王暁光(ざおうぎょうこう)~(写真提供:山形県花笠協議会)

笠回し系花笠踊り

花笠踊り発祥の地・尾花沢系の豪快に花笠を回すダイナミックな踊りです。
笠回し系花笠踊り

笠回し系花笠踊り(写真:山形県)

創作花笠踊り

各団体・グループが独自に趣向を凝らした演舞が人気です。

踊りに合わせて衣装の色・柄も団体ごとにさまざま。踊りの違いと一緒に衣装も楽しんでみてください。

2024年開催概要

開催概要(山形花笠まつり)

●名称:第62回(2024年) 山形花笠まつり
●日時:2023年8月5日(月)〜8月7日(火)
●場所:山形市中心街地メインストリート
   (山形県山形市十日町・本町・七日町)
●時間:18:00〜21:45頃
●アクセス:JR山形駅から徒歩約10分
●公式サイト:山形花笠まつり
●コースマップ:花笠パレードコースガイド[PDF形式]

開催概要(昼も楽しく!花笠まつり)

●名称:昼も楽しく!花笠まつり
●日時:2024年8月5日(月)〜8月7日(水)
●場所:やまがたクリエイティブシティセンターQ1
   (山形県山形市本町1-5-19)
●時間:ステージ1 13:30〜
    ステージ2 15:00〜
●アクセス:JR山形駅から徒歩約15分
●パンフレット:昼も楽しく!花笠まつり

おわりに

山形花笠まつりの2022(令和4)年の観客数は、3日間でのべ56万人でした。2023年はそれを上回る80万人の観客が訪れたそうです。

山形花笠まつりには前述の通り、「自由参加コーナー」があり、まつりの踊り手でなくとも踊りを楽しめるおまつりです。毎年まつり見物に訪れる人はもちろん、この記事を読んで興味を持たれた方はぜひ、当日、会場に足を運んではいかがでしょうか。

Text:purotool/Eeika Nagumo
Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA

参考:山形花笠まつり花笠まつり|山形県/各種パンフレット

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