日本は温泉大国として知られていますが、その温泉に入るのは人間だけではありません。長野県北部、志賀高原に位置する「地獄谷野猿公苑」には、野生のニホンザルが暮らしていますが、ここでは猿も温泉を楽しんでいるのです。
野生のサルが温泉に入っているのは、世界でここだけ。冬のシーズンは、雪をかぶりながら温泉に入る姿を見られることから「スノーモンキーパーク」の名でも親しまれています。
今回は、世界で唯一の野生のサルが温泉に入っている姿が見られる地獄谷野猿公苑の見どころを紹介します。
地獄谷野猿公苑とは
地獄谷野猿公苑入り口の看板
長野県下高井郡にある横湯川の渓谷に位置する地獄谷野猿公苑。標高850mのこの場所は、古くから温泉が湧き出し、絶えず噴煙を上げていることから地獄谷と呼ばれています。
地獄谷野猿公苑は1964年の開苑ですが、その以前は森林伐採などにより、住処をなくしたサルたちが農園を荒らしていました。そこで、当時の地獄谷野猿公苑の苑長さんが農園から離れた場所で餌付けをすると、農家の被害が徐々に減っていくと同時に、サルの群れを手なずけ、地獄谷野猿公苑開苑へと至ります。
【地獄谷野猿公苑 基本情報】
住所：〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町大字平穏6845
TEL：0269-33-4379
営業時間：4月〜10月 8:30 - 17:00 11月〜3月 9:00 - 16:00
入苑料金：大人 800円 子供 400円
公式サイト：地獄谷野猿公苑
地獄谷野猿公苑の温泉に入るニホンザル
地獄谷野猿公苑の温泉に浸かるニホンザル
地獄谷野猿公苑の最大の見どころは、野生のニホンザルが温泉に入る姿です。人間に慣れているサルたちは、周りの目も気にせずのんびりと温泉を楽しんでいます。
では、なぜサルたちが温泉に入っているのか。その理由はまだわかっていませんが、私たち人間と同じ気持ちで、温泉を堪能しているのだと考えられています。
1964年の地獄谷野猿公苑開苑当時、1匹の子ザルが地獄谷野猿公苑近くにある「後楽館」の露天風呂に入浴していました。すると、大人のサルたちも真似て露天風呂に入りはじめ、露天風呂はサルたちでいっぱいとなります。
その後、人間がサルと同じ温泉に入るのは問題があるため、サル専用の露天風呂が設けられ、世界で唯一、温泉に入る野生のサルを見られる場所となりました。
地獄谷野猿公苑は外国人にも大人気
温泉に浸かるニホンザルの写真を撮る観光客
地獄谷野猿公苑のニホンザルが温泉に入るという、この珍しい光景は外国の方にも人気があります。そのきっかけにもなったのが、1970年に、アメリカの雑誌『LIFE』の表紙に地獄谷野猿公苑のサルが「Snow Monkey」として掲載されたことです。
その姿で一躍注目を集め、現在では地獄谷野猿公苑に訪れる観光客の半分以上は外国人となっています。
寒さをしのぐスノーモンキー
雪が降る中、温泉に浸かるニホンザル
地獄谷野猿公苑では、季節に関係なくニホンザルが温泉に入る姿を見ることができますが、より多くのサルたちが入浴しているのは冬です。地獄谷野猿公苑の温泉がある場所は豪雪地帯でもあり、1mを超える雪に覆われます。
そんな寒い時に温泉に入りたくなるのは、サルたちも同じ。頭に雪をのせながら、温泉で体を温めています。まさに「スノーモンキー」の姿が見られるのも冬ならではです。
地獄谷野猿公苑ではサルと混浴できるかも
自然豊かな地獄谷野猿公苑に隣接する後楽館
地獄谷野猿公苑に隣接する「後楽館」。150年の歴史を持つ老舗旅館です。ここの温泉は地獄谷温泉の中でも秘湯として知られ、日帰りでも入浴することができます。
さらに、運が良ければ野生のサルを見かけることもあり、サルが湯船に入ってくることも。サルと混浴なんて滅多にできない経験です。近づきすぎると危険な場合もあるので注意しましょう。
渋の地獄谷噴泉
渋の地獄谷噴泉
地獄谷野猿公苑のすぐ横に、「渋の地獄谷噴泉」という勢い良く噴き出す熱泉があります。国の天然記念物に指定されており、高さ20mまで噴き出す熱泉は迫力満点です。
地獄谷野猿公苑の注意事項
地獄谷野猿公苑の注意事項
地獄谷野猿公苑にいるニホンザルは、すべて野生の猿です。なので、安全に観察するためのルールがいくつかあります。
サルに食べ物を与えない、見せない
一度、人間から食べ物をもらうことを覚えると、食べ物を求めて近づいたり、手荷物を襲ったりするなどの危険が生じます。絶対にサルの近くで飲食することや、食べ物を与えたりするのはやめましょう。
サルに触らない・近づきすぎない
野生のサルは、触られたりすると身の危険を感じて、威嚇したり噛み付いてきたりします。また、サルの目をジッと見つめることや、大きく口をあけることは敵意を示します。そのまま襲ってくる場合もあるので、近づきすぎず、程よい距離を保って観察しましょう。
ペット禁止
サルは、自分たち以外の動物を嫌います。犬や猫を連れて行ってしまうと、サルが嫌がるので、ペットの持ち込みは禁止です。
セルフィースティック禁止
サルと一緒に写真を撮りたい気持ちはわかりますが、サルにストレスや恐怖感を与えてしまいます。トラブルの元にもあるので禁止です。
地獄谷野猿公苑へのアクセス
最寄駅：上林温泉（バス停）
長野駅からのアクセス
【長野駅】ー 長野電鉄 / 湯田中方面
→【湯田中駅】ー 長電バス / 上林温泉行き
→【上林温泉バス停】→ 徒歩（約30分）
東京駅からのアクセス
【東京駅】ー 北陸新幹線 / 金沢方面
→【長野駅】ー 長野電鉄 / 湯田中方面
→【湯田中駅】ー 長電バス / 上林温泉行き
→【上林温泉バス停】→ 徒歩（約30分）
車でのアクセス
最寄りIC：上信越自動車道 信州中野IC
地獄谷野猿公苑周辺の駐車場：上林温泉駐車場（無料） 地獄谷駐車場
人気の地獄谷野猿公苑
野生のニホンザルが間近で観察できると人気の地獄谷野猿公苑。季節関係なくサルたちはいますが、稀に姿を見せないこともあります。餌を探しにどこかへ行ってしまったり、休んでいて出てこなかったりと、絶対見られるとは限りませんので注意しましょう。
また、地獄谷野猿公苑周辺には、渋温泉や湯田中温泉という観光スポットも多数点在しています。
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