秋の楽しみのひとつといえば紅葉。日本にはさまざまな紅葉名所がありますが、京都はその筆頭。
京都の紅葉名所の中でも、とりわけ美しいといわれる寺院が「瑠璃光院」です。書院から見る紅葉は息を飲むほど。
瑠璃光院の2024年(令和6年)秋の特別拝観は、10月1日(火)〜12月15日(日)まで開催の予定。期間中特に紅葉が見頃となる11月9日(土)〜12月1日(日)は、事前予約拝観期間になります。
予約拝観期間が導入される以前は最大4時間待ちになることもあった瑠璃光院の紅葉。その魅力をご紹介します。
※2024年10月8日、一部情報を更新しました
瑠璃光院はどんな場所?
瑠璃光院の入り口
古くから愛されたやすらぎの郷
瑠璃光院は、浄土真宗のお寺「無量寿山光明寺」の別院。もともとは別荘として使われていた場所だそうで、「お寺」というよりは「お屋敷」といった風情です。
瑠璃光院があるのは比叡山麓の八瀬(やせ)と呼ばれるエリア。飛鳥時代に「壬申の乱(じんしんのらん)」が起きたとき、背中に傷を負った大海人皇子(※)が「八瀬の釜風呂」で傷を癒したと伝えられています。八瀬は古くから貴族や武士に「やすらぎ」の郷として愛されてきた場所なのです。
※大海人皇子:おおあまのおうじ。後の天武天皇
3種の庭と数寄屋造りの書院
瑠璃光院の境内は1万2000坪の広さがあり、3種の庭園が整えられています。そのうちの一つ「瑠璃の庭」は一面をコケで覆われていて、瑠璃光院の名の由来にもなっています。
3種の庭に囲まれるように建つ瑠璃光院の現在の建物(書院)は、昭和初期に建てられたもの。「数寄屋造り(すきやづくり)」という茶室の意匠を取り入れた建築様式が特徴的です。
瑠璃光院にある瑠璃の庭
瑠璃光院の特別拝観について
瑠璃光院の一般公開は年に3回だけ
瑠璃光院は、文化財の保護のために通常非公開とされていましたが、2015年より季節限定で一般公開されるようになりました。その後SNSの投稿をきっかけに人気を集め、今では有名観光スポットに。特別拝観期間は春、夏、秋の3回が設けられています。
・春の特別拝観(4月中旬〜6月中旬頃)
・夏の特別拝観(7月中旬〜8月中旬頃)
・秋の特別拝観(10月上旬〜12月上旬頃)
春は新緑、夏は青もみじ、秋は紅葉が美しく庭を彩ります。
2024年秋の特別拝観 開催情報
瑠璃光院では2024年も秋の特別拝観が実施されます。予約なしで拝観できる期間と、事前予約が必要な期間に分かれていますので、訪れる際は予約が必要か不要かご確認ください。
《瑠璃光院 2024年秋の特別拝観 概要》
●住所:京都府京都市左京区上高野東山55
●拝観期間:10月1日(火)〜12月15日(日)
●事前予約拝観期間:11月9日(土)〜12月1日(日)
●拝観時間:10:00~17:00(最終受付16:30)
●拝観料:1人2000円
●駐車場:なし
●公式サイト:無量寿山光明寺 京都本院 瑠璃光院
《予約方法》
11月9日(土)〜12月1日(日)は拝観にあたり事前予約が必要です。
予約はスマートフォンまたはパソコンからどうぞ。瑠璃光院公式サイトに10月21日(月)以降、予約フォームへのリンクが設置されますので、記載事項に沿って予約手続きを進めてください。
ライトアップが見られる夜間拝観(JR東海ツアーズ主催)
瑠璃光院では、通常、夜間の拝観はできません。しかし夏や秋は期間限定で夜間特別拝観を実施しています。夜間特別拝観ではライトアップに照らされた美しい庭を見ることができます。事前予約制で人数を制限しているため、ゆっくりと楽しむことができますよ。
2024年秋もJR東海ツアーズ主催で夜間特別拝観を実施。夜間特別拝観料、叡山電車1日乗車券代、叡山ケーブル往復乗車券代、かわらけ引換券がセットになったプランを販売しています。
《瑠璃光院 2024年秋の夜間特別拝観 概要》
●日程:
①2024年11月9日(土)
②2024年11月10日(日)
③2024年11月15日(金)~11月24日(日)
④2024年11月27日(水)~12月1日(日)
●時間:18:15~20:00(受付終了19:30)
●料金:7000円
●公式サイト:秋の特別拝観プラン|そうだ 京都、行こう。
瑠璃光院の夜間ライトアップ(秋)
秋の瑠璃光院の見どころ・楽しみ方
鏡のように映る「幻の紅葉」
SNSがきっかけで人気の紅葉名所となった瑠璃光院ですが、その絶景があるのは書院2階。窓いっぱいに広がる紅葉と、その紅葉が机に反射する光景は神秘的です。ほかではそうそう見ることのできない光景のため「幻の紅葉」とも呼ばれています。
また、輝きを放つほどきれいに磨かれている瑠璃光院の漆塗りの廊下も、紅葉が映し出されます。「床もみじ」と呼ばれるこちらも必見です。床や机にカメラを置いて撮影すると、うまく撮れますよ。
瑠璃光院の机に反射する紅葉
心を整える写経体験
瑠璃光院書院の2階には写経スペースが設けられています。写経とは仏教の経文を書き写すことで、瑠璃光院ではどなたでも体験できます。
準備等は必要なく、入場の際に写経セットも渡されるので、そちらを使いましょう。紅葉の景色を見た後にぜひ写経で心を落ち着かせてみてはいかがでしょうか。
瑠璃光院の写経体験
庭を眺め抹茶をいただく
瑠璃光院には、「瑠璃の庭」、「臥龍の庭」、「山露路の庭」といった趣の異なる3つの名庭があります。
中でも美しいのが、瑠璃光院の名の由来にもなったとされる瑠璃の庭。一面を苔に覆われ、苔の間を一条のせせらぎが清らかに流れています。その瑠璃の庭が見える1階のお茶席でお抹茶をいただくことができます。
お抹茶を注文した人だけが座れる特等席で瑠璃の庭を眺めることができ、さらに美味しいお抹茶をいただけるなんて、贅沢な時間です。
瑠璃の庭の目の前にあるお抹茶席
お抹茶
瑠璃光院の紅葉の見頃
紅葉の見頃は年によって変わりますが、例年は11月下旬~12月初旬ごろ。見頃となる11月9日(土)〜12月1日(日)の間は、事前予約拝観期間となります。
瑠璃光院へのアクセス
車で
駐車場がないので、電車かバスで訪れるのがおすすめです。
電車で|最寄駅は八瀬比叡山口駅
叡山電鉄本線[八瀬比叡山口駅]から徒歩約12分
バスで|最寄駅は八瀬駅前バス停
京都バス[八瀬駅前バス停]から徒歩約10分
瑠璃光院の周辺情報|紅葉が美しい社寺
貴船神社
京都市北部・鴨川の水源に位置し、水の神様を祀る「貴船神社」。全国に約450社ある貴船神社の総本山です。1000年以上の歴史を持ち、平安時代に女流歌人の和泉式部が夫との復縁を願って参詣したことから、縁結びの神様としても人気を集めています。
●住所:京都市左京区鞍馬貴船町180
●公式サイト:貴布禰総本宮 貴船神社
鞍馬寺
京都市北部に位置し、平安末期の武将・源義経が天狗から武術を学んだという伝説が残る鞍馬寺。1200年あまりの歴史を持つ、鞍馬弘教の総本山です。ふもとの仁王門から標高約400メートルの地点にある本殿金堂までは、九十九折参道(つづらおりさんどう)と呼ばれる急な坂道を約30分の道のり。敷地内を走るケーブルカーを利用することもできます。
●住所:京都府京都市左京区鞍馬本町1074
●公式サイト:総本山 鞍馬寺
下鴨神社
京都市北部に位置し、京都で最も古い神社のひとつとして知られる「下鴨神社(しもがもじんじゃ)」。正式には賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)と呼ばれ、古代氏族・賀茂氏の式神を祀っています。1994年には「古都京都の文化財」として世界文化遺産に登録されました。縁結び、無病息災のご利益があるとされているほか、大切な契約を成功に導く契約の神としても崇められています。
●住所:京都府京都市左京区下鴨泉川町59
●公式サイト:下鴨神社
圓光寺
約400年前に徳川家康によって建てられ、学校の役割も果たした「圓光寺(えんこうじ)」。もともとは京都市南部の伏見にありましたが、現在の一乗寺小谷町(京都市北部)に移転しました。
日本最古の活字本のひとつ『伏見版』の印刷事業が行われた地として知られ、孔子の言行や逸話を集録した『孔子家語』など、多数刊行されました。こちらも紅葉が美しいお寺です。
●住所:京都府京都市左京区一乗寺小谷町13
●公式サイト:瑞巌山 圓光寺