箱根最古の湯「湯本温泉」
四季の絶景を望む「塔之沢温泉」
44℃のお湯が特徴「大平台温泉」
渓流の底に湧く秘湯「堂ヶ島温泉」
懐かしい情景を持つ「宮ノ下温泉」
名だたる武将が虜に「底倉温泉」
美術館も楽しめる「二ノ平温泉」
柔らかな単純温泉「小涌谷温泉」
江戸の将軍が好む名湯「木賀温泉」
泉質の豊富さが魅力「強羅温泉」
山麓ののどかな温泉「宮城野温泉」
観光名所が集う「仙石原温泉」
眼病に効く温泉「姥子温泉」
17番目の幻の湯「蛸川温泉」
富士山も望める「芦ノ湖温泉」
箱根で唯一の泉質「芦之湯温泉」
湯の花が由来「湯ノ花沢温泉」
3つの温泉を足して「箱根二十湯」とも
大涌谷温泉
湖尻温泉
早雲山温泉
まとめ

神奈川県の西部に位置する「箱根」は、全国第5位温泉湧出量を誇る国内屈指の温泉地です。

箱根には、17つの温泉「箱根十七湯」が存在します。江戸時代から存在していた「箱根七湯」に、明治から昭和にかけての温泉開発により湧き出た10つの温泉を加え、「箱根十七湯」が誕生。山の多い箱根エリアは温泉が湧き出る地域が多く、豊かな泉質の数は20種類にも及びます。泉質もさることながら、各温泉だけが持つ歴史や景色、温泉街の雰囲気も注目ポイント。

今回は、そんな魅力溢れる「箱根十七湯」の情報をご紹介。温泉専門家でAll Aboutガイドの植竹深雪さんに、箱根十七湯の各温泉の特徴についてコメントをいただきました。

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温泉・スパ・銭湯

箱根十七湯 1,200年の歴史を持つ箱根最古の湯「湯本温泉」

湯坂山の麓、標高100mに広がる湯本温泉。721年から748年の間に発見されたとされる箱根で最も由緒正しい温泉地です。

湯坂山は「温泉の出る急坂の山」という意味を持つ、まさに温泉の山。その山の麓に位置する湯本温泉には、早川と須雲川沿いを中心に老舗の旅館を始めとする60軒ほどの湯宿が立ち並んでいます。

新宿からの電車が乗り入れる箱根湯本駅やバスのターミナルがあることからアクセスも良好。
湯本温泉

箱根十七湯 良質な温泉と、四季折々の絶景が自慢の「塔之沢温泉」

湯坂山と塔の峰の間の峡谷、標高130mに位置する塔之沢温泉。温泉を廻るように早川が流れ、温泉はもちろん、青く瑞々しい新緑や大火のように真っ赤に染まる紅葉も楽しめる温泉地です。

肌当たりがとても優しく美人の湯として知られる湯に浸かながら四季折々の絶景を眺めれば、思わずうっとり。日帰り温泉もあるため、気軽に訪れることができますよ。
塔之沢温泉

箱根十七湯 44℃の熱めのお湯が楽しめる「大平台温泉」

標高330mに位置する大平台温泉は、比較的新しい温泉地。

高い保湿効果を持つ湯は、冷え性の改善や美肌効果に期待できます。お湯の温度は、43℃から44℃と熱めなのが特徴。温泉街には、まるでひと昔前にタイムスリップしたような雰囲気漂う宿が多く立ち並んでいます。

大平台から湧く「姫の水」も魅力の一つ。皇后様や名だたる名将に愛された湧き水を、ぜひ一度ご賞味あれ。
大平台温泉

箱根十七湯 渓流の底に湧き出る秘湯「堂ヶ島温泉」

芦ノ湖を水源とする早川渓流に囲まれた堂ヶ島温泉は、深い谷の底にあるため都会の喧騒から離れるにはぴったりの場所。

鎌倉時代末から南北朝時代にかけて活躍した臨済宗の高僧である夢窓国師(むそうこくし)が開いたといわれています。松本清張の長編推理小説『蒼い描点』の舞台になったことでも知られています。

堂ヶ島温泉へたどり着く手段は、ケーブルカーとゴンドラだけ。車や電車、バスでは行くことができない、まさに秘湯です。
堂ヶ島温泉

箱根十七湯 ノスタルジックな光景が温泉街を包む「宮ノ下温泉」

箱根山の中腹、標高約420mに位置する宮ノ下温泉。

室町時代に発見され、江戸時代には湯治場として賑わっていました。その後、横浜港開港をきっかけに発展。当時、外国人が日本を自由に旅行することは禁じられていましたが、箱根への旅行は許可されていたため、多くの外国人が箱根を訪れました。

温泉街には、外国人専用のホテルだった藤屋(現在の富士屋ホテル)を中心に、当時の面影を残す建物が立ち並んでいます。ぜひ異国情緒あふれる中で、温泉を楽しんでみてはいかがでしょうか。
宮ノ下温泉

箱根十七湯 名だたる武将に愛された「底倉温泉」

標高440m、早川と蛇骨川が合流する渓谷の上に位置する底倉温泉。美肌、美容に高い効果があるほか、慢性婦人病、やけど・切り傷にも効果が期待できる温泉地です。

かつて豊臣秀吉が小田原城を攻める際に、秀吉軍が底倉温泉で疲れを癒したといわれています。川原にはその際に掘らせた太閤石風呂(たいこうのいわぶろ)の跡が。石風呂近くを流れ落ちる滝は、「太閤の滝」と呼ばれます。
底倉温泉

箱根十七湯 温泉で体を、美術館で心をフレッシュに「二ノ平温泉」

標高550m、彫刻の森美術館の近くに位置する二ノ平温泉。浅間山に住んでいた大蛇の伝説で誕生したとされる二ノ平の台地に湧く温泉地です。

かつてはこの地には箱根登山鉄道の「二ノ平駅」がありましたが、彫刻の森美術館が開館したことで「彫刻の森駅」に変更。そのため、現在の最寄り駅は「彫刻の森駅」となっています。

近くにある彫刻の森美術館は、箱根で人気の観光スポット。ぜひあわせて訪れてみてください。
二ノ平温泉

箱根十七湯 温泉あり!遊びあり!花の絶景あり!「小涌谷温泉」

小涌谷温泉は標高610mに位置し、湯けむりが立ち込める温泉地。

1959年に建てられた「箱根ホテル小涌園」は箱根初の大型ホテルともいわれ、小涌谷の発展の先駆けとなりました。2018年に閉館したものの、小涌谷温泉には現在、多くの温泉施設はもちろん、温泉のテーマパークが営業し賑わいを見せています。

泉質は単純温泉・アルカリ性単純温泉・ナトリウム-塩化物泉。筋肉痛・きりきず・やけどなどに効果があるとされています。周辺には、春に咲く30,000株にも及ぶツツジ・サツキが花開き、秋には目の前いっぱいに紅葉が広がる「蓬莱園(ほうらいえん)」があります。
小涌谷温泉

箱根十七湯 江戸の将軍が欲した名湯「木賀温泉」

標高440mに位置し、箱根で二番目に古い木賀温泉。かつて源頼朝の身内である木賀善司吉成が病気にかかった時、木賀温泉に浸かったところ七日で全快したという説が伝えられています。

単純泉で無色透明、肌触りの良い木賀温泉の湯は、子宝の湯として注目されていました。現在では源泉がほとんど枯れてしまったため、木賀温泉に浸かれる旅館はありません。
木賀温泉

箱根十七湯 箱根有数の泉質の豊富さを誇る「強羅温泉」

箱根最高峰の「神山」の斜面に位置する強羅(ごうら)温泉は、色合い、効能が異なる5種の泉質を持つ温泉地。

パステルカラー温泉とも呼ばれ、その名の通り淡い色の温泉が湧き、関節痛や高血圧症、慢性婦人疾患、痛風などの様々な効能が期待できます。

箱根登山鉄道の終着駅、箱根登山ケーブルカーの始発駅、「箱根施設めぐりバス」が交わるターミナル駅が揃っていることから、アクセスも便利。箱根観光の拠点として多くの人が訪れます。
強羅温泉

箱根十七湯 山麓に湧くのどかな温泉地「宮城野温泉」

古代の箱根・足柄越えの主要ルートである碓氷(うすい)道の道中に位置する宮城野温泉。1965年に開湯され、現在では「宮城野温泉会館」をはじめとする温泉施設が建ち並んでいます。

明星ヶ岳、明神ケ岳の登山口があり、ハイキングコースも整備。ハイキングで自然を満喫した後、宮城野温泉で汗を流してはいかがでしょうか。また、早川沿いにある桜並木は見事。川に覆い被されるように枝垂れる婉美な桜が訪れる人を魅了します。
宮城野温泉

箱根十七湯 観光名所が集う温泉地「仙石原温泉」

標高700mに位置し、火打石岳や金時山、長尾峠の山麓にまたがる仙石原温泉。「元湯場」「俵石」「仙石」「下湯」「上湯」の5つの湯の総称した温泉地です。大涌谷からの引き湯によって始まり、湯治場として発展。現在はホテルやペンションが立ち並ぶ、まさに高原のリゾートとなっています。

仙石原温泉のお湯は、白濁のにごり湯。優しいお湯がお肌を包み込み、入浴後はスベスベになると評判です。
仙石原温泉

箱根十七湯 大正時代から続く温泉宿で伝説の湯を「姥子温泉」

箱根最高峰「神山」の北西、標高885mに位置する姥子(うばこ)温泉は、岩場の湧く湯を利用した温泉地。かつては、神山をご神体山として祀っていた箱根山岳信仰の温泉霊場でした。現在も石祠や薬師堂など当時の名残が見られます。

姥子温泉は眼病に効く温泉として知られ、夏目漱石の小説『我輩は猫である』にも登場しています。泉質は単純温泉・アルカリ性単純温泉。眼病の他にも、神経痛や関節痛、冷え性への効果を望む人が訪れます。
姥子温泉

箱根十七湯 17番目に誕生した幻の湯「蛸川温泉」

駒ケ岳の西麓、標高725mから900mに位置する蛸川(たこがわ)温泉。戦前からこの地に温泉は湧かないとされてきましたが、1987年に温泉が噴出し、1993年に箱根十七湯に仲間入りしました。

「龍宮殿本館」では、温泉につかりながら芦ノ湖と富士山を同時に眺められます。蛸川温泉に隣接するのは、複合リゾート施設「箱根園」。敷地内には、箱根園水族館や芦ノ湖遊覧船が運航され、箱根の伝統工芸「箱根寄木細工」の販売や作業工程の展示を行うコーナーが設置。駒ケ岳を結ぶ「駒ケ岳ロープウェイ」も通っています。
蛸川温泉

箱根十七湯 芦ノ湖から富士山までを望める絶景温泉「芦ノ湖温泉」

標高725m、芦ノ湖畔に位置する芦ノ湖温泉。この地域は、東海道53宿の宿場町として古くから栄えていましたが、温泉として利用され始めたのは1966年のこと。引き湯によって開湯し、2006年には地下1,000mから温泉が湧き出ました。

芦ノ湖温泉の自家源泉を楽しめるのは「山のホテル」だけ。ホテルでは温泉にゆったりと浸かりながら芦ノ湖、富士山までを一望できます。

温泉の周辺には、箱根神社などの箱根の歴史を語るには外せないスポットも点在しています。
芦ノ湖温泉

箱根十七湯 箱根で唯一の温泉が湧く「芦之湯温泉」

標高870m、駒ヶ岳の南山麓に位置する芦之湯温泉。硫黄温泉としては珍しい弱アルカリ性温泉が湧き出る温泉です。このことから「その効験は比泉を最す」といわれ、様々な病を治す湯治場として文人や明治維新の志士をはじめ多くの人が訪れました。獅子文六著『箱根山』や新井恵美子著『箱根山のドイツ兵』などの有名著書にも登場します。

豊富な史跡も見どころの一つ。江戸時代に文人墨客が集まった文化サロン「東光庵熊野権現旧跡」や中世の地蔵信仰を物語る「石仏群」などが残っています。
芦之湯温泉

箱根十七湯 自然湧泉によって生じる湯の花が由来「湯ノ花沢温泉」

温泉が湧き出ることにより発生する温泉の沈殿物「湯の花」に由来する湯ノ花沢温泉。この地では、かつて湯の花が広がる沢があり、日本で初めて湯の花の採取・販売が行われました。

湯ノ花沢温泉が位置するのは、箱根十七湯で最も高い場所。箱根外輪山などの絶景が広がり、晴れた日には三浦半島まで望めます。湧き出る温泉は、箱根でも珍しいにごり湯の硫黄泉。発汗作用があり湯冷めしにくく、お肌がスベスベになる美人の湯として知られています。
湯ノ花沢温泉

近頃は3つの温泉を足して「箱根二十湯」とも呼ばれる

江戸時代には箱根七湯として栄え、現在では箱根十七湯が存在する箱根。しかし近年では、さらに3つの温泉を加えて「箱根二十湯」と呼ばれることもあるそう。個性豊かな箱根十七湯に仲間入りしたその3つの温泉には、どんな特徴があるのか見てみましょう。

箱根二十湯 箱根各所にお湯を届ける泉源地「大涌谷温泉」

箱根で最大規模の噴気地帯である大涌谷の南東部に位置する大涌谷温泉は、温泉供給施設。そのため入浴施設はありません。高低差350m、総延長2600mの鋼管を設置し、強羅や仙谷原をはじめとする箱根各地に温泉を届けています。

きりきずや冷え性、疲労回復に効果があるとされる酸性-カルシウム-硫酸塩温泉の泉質が自慢です。

箱根二十湯 ハイキングと一緒に「湖尻温泉」

標高730mから850mに位置し、芦ノ湖畔に広がる湖尻温泉。1966年から温泉の開発が始まり、現在は5つの源泉が確認されています。泉質は、塩素の少ないカルシウム-硫酸塩泉、カルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉です。

ハイキングが盛んで、芦ノ湖の南に抜けるコースや、大涌谷まで至るコースが整備されています。ハイキングを楽しんだ後に、ゆっくりと温泉で体を癒してみてはいかがでしょうか。

箱根二十湯 地獄の蒸気によってできている「早雲山温泉」

標高1,000m、箱根登山ケーブルカーと箱根ロープウェイの発着駅である早雲山駅近くに位置する早雲山温泉。噴気活動を続けている早雲地獄の蒸気を利用し造成された温泉地です。1955年頃に、強羅の引き湯として利用され、1958年から本格的な温泉開発が始まりました。現在、温泉のほとんどは強羅方面に届けられています。

早雲山温泉の湯は、単純温泉。アクセスも便利なため、ぜひ足を運んでみてくださいね。

とっておきの一湯を探しに、箱根へ。

美人の湯や秘湯が豊富な箱根の温泉。

旅行で訪れるスポットの位置に合わせて温泉を選ぶもよし、見たい絶景で選ぶもよし、泉質で選ぶもよし。個性豊かな17つの温泉、箱根十七湯からお気に入りの一湯を見つけに、箱根に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
(メイン写真提供:箱根湯の花プリンスホテル)

監修者紹介

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