Ⅰ. 箱根フリーパスはお得?【4つのポイント】
有効期間・金額は?
1日(日帰り)で箱根フリーパスを使い倒すと?【料金比較】
Ⅱ. 箱根フリーパスはスマホで購入可能!予約不要だから当日購入もOK
Ⅲ.【ルポ】箱根フリーパスで日帰り箱根旅へ出かけてみた
AM7:38 ロマンスカーに乗って箱根へ
AM10:30 寄木細工の町で秘密箱を作る
AM12:00 箱根神社で開運祈願
PM1:00 元箱根港の目の前「成川美術館」へ
PM2:50 海賊船で富士山と箱根神社を望む
PM3:30 黒たまごを求めロープウェイで大涌谷へ
PM5:00 ケーブルカーと登山電車で元箱根駅へ
PM6:30「箱根湯寮」でゆったり温泉につかる
実際の日帰り利用では1500円以上お得だった!
まとめ

国内有数の人気観光地である箱根。神奈川県の東部に位置するこのエリアには、1年でおよそ2000万人の観光客が訪れます(※)。

箱根旅行への交通手段、箱根での交通手段といえば、ロマンスカーや箱根登山鉄道、箱根登山ケーブルカーなどさまざま。

この記事では、小田急が発行している「箱根フリーパス」を使った、箱根日帰り旅の賢い巡り方をご紹介。箱根フリーパスで楽しく快適な箱根旅行をお得に楽しんでみませんか?

*修正中*
※箱根町ホームページ「入込観光客数」より
※掲載の情報は2023年7月時点のものです。諸事情により変更となる場合があります。また、ルポ以下は2019年2月時点の取材を元にした内容です。最新の状況と異なっている場合がありますことをご了承ください。

Ⅰ. 箱根フリーパスはお得?【4つのポイント】

箱根フリーパスとロマンスカー特急券

箱根フリーパスとロマンスカー特急券

ポイント①:8つの乗り物が乗り降り自由!

「箱根フリーパス」で乗れる乗り物は、電車やバスをはじめ8つ。電車やバスのほかにも、ロープウェイや海賊船など、エンタメ要素の強い乗り物が含まれているのも嬉しいですよね。

バスでの移動は「いい便がある心配」という方もいるかもしれません。しかし箱根は観光地としてしっかり整備されていて、年間を通じて観光客が多いため、バスや登山電車、ケーブルカー、ロープウェイに至るまで、十分な本数が運行されています。

〜箱根フリーパスで乗れる乗り物〜
●箱根登山電車
●箱根登山バス(指定区間)
●箱根登山ケーブルカー
●箱根ロープウェイ
●箱根海賊船
●小田急ハイウェイバス
●東海バス(指定区間)
●観光施設めぐりバス(箱根登山バス)

ポイント②:使用可能なエリアが広範囲!

箱根フリーパス利用エリア

箱根フリーパス利用エリア一覧

箱根フリーパスは、小田原駅から静岡県の御殿場駅・三島駅までを網羅した、広いエリアで使えるパスです。

利用期間は2日間有効のものと、3日間有効のものがあるので、1日目は箱根・芦ノ湖周辺を観光、2日目は御殿場方面でショッピングまたは小田原を観光、というようなプランでも、箱根フリーパスは力を発揮してくれます。

なお指定区間外でのご乗車・乗り越しは、その分の運賃の支払いが必要になります。

ポイント③:小田原駅までの小田急線往復乗車券付き

出発駅〜小田原駅までの往復で小田急線を利用する場合、箱根フリーパスを乗車券として扱うことができます。小田原駅から先は、箱根フリーパスを利用して電車やバスに乗ればOKなので、かなりお得感があります。

ただし、この特典が使えるのは往路・復路それぞれ1回のみ。たとえば新宿駅発の場合、小田原駅までの途中で下車して改札を抜けてしまうと、そこから先は別途乗車券が必要になってしまうので要注意です。

また、ロマンスカーに乗車する場合は、箱根フリーパスとは別に特急券が必要になります。特急券は駅の窓口や、Webでの予約・購入サービスe-ロマンスカーEMotなどで購入できますよ。

ポイント④:温泉や美術館など70の施設で割引優待あり

箱根フリーパスを持っていれば、乗り物以外でも温泉や美術館、観光施設など、70の施設で優待や割引が受けられます。使える施設は「箱根小涌園ユネッサン」や「箱根湿生花園」、「彫刻の森美術館」、「ポーラ美術館」など。
さらに小田原エリア・御殿場エリアでも「小田原城天守閣」や「御殿場プレミアムアウトレット」で優待があります。

有効期間・金額は?

有効期間は、2日間または3日間
金額は出発駅によって異なります。たとえば新宿駅・新百合ヶ丘駅・小田原駅では次のとおり。(2023年7月時点)

●新宿駅出発の場合
2日間有効:大人6100円 子ども1100円
3日間有効:大人6500円 子ども1350円

●新百合ヶ丘駅出発の場合
2日間有効:大人5890円 子ども1100円
3日間有効:大人6290円 子ども1350円

●小田原駅出発の場合
2日間有効:大人5000円 子ども1000円
3日間有効:大人5400円 子ども1250円

出発駅は小田急小田原線・小田急江ノ島線・小田急多摩線の各駅を設定できますよ。2日間と3日間では、それほど大きな金額の差はなく、乗り物をひとつでも乗れが元が取れてしまうくらいの金額です。

箱根フリーパスには1日のみ有効なプランはありませんが、使い方によっては、箱根フリーパスなしで日帰り旅行をするより、箱根フリーパス2日間有効チケットを使って日帰り旅行するほうがお得になります。

1日(日帰り)で箱根フリーパスを使い倒すと?【料金比較】

日帰り旅行の場合、箱根フリーパスを使うのと使わないのとでは、どのくらい金額に差が出るのでしょう?
結論から言うと、箱根フリーパスを使ったほうが3102円お得になります。

新宿駅発着の箱根日帰り旅行のプランを組んで、箱根フリーパスあり・なしで料金を比較してみました。
以下で詳細なプランと金額を紹介します。

※日帰り旅行プランは2023年7月時点の時刻表をもとに旅程を組んでいます。

箱根の日帰り旅行プラン

8:11
[新宿駅]でロマンスカーに乗車。[箱根湯本駅]で箱根登山電車に乗り換え

10:46
[彫刻の森駅]で下車。彫刻の森美術館
*滞在時間:2時間程度

13:01
[彫刻の森駅]からふたたび箱根登山電車に乗車。[強羅駅]で箱根登山ケーブルカーに乗り換え

13:19
[早雲山駅]着。箱根ロープウェイに乗る
*待ち時間:40分程度

14:15
[大涌谷駅]着。黒たまごを食べる
*滞在時間:1時間程度

15:20
[大涌谷駅]からふたたび箱根ロープウェイに乗り[桃源台駅]へ

15:50
[桃源台港]から箱根海賊船に乗船。芦ノ湖クルーズへ

16:15
[元箱根港]で下船。箱根登山バスに乗車

16:52
[ユネッサン前バス停]で下車。「箱根小湧園 元湯森の湯」で温泉につかる
*滞在時間:1時間50分程度

18:57
[ユネッサン前バス停]からふたたび箱根登山バスに乗車

19:15
[箱根湯本駅]着。ロマンスカーで新宿方面へ

21:26
[新宿駅]着

金額

上記の日帰りプランで箱根を巡ったときの金額を、フリーパスあり・なしで算出してみました。
※大人1名で算出
※2023年7月時点の金額

●箱根フリーパスを使わない場合
①新宿駅〜箱根湯本駅 ロマンスカー往復運賃
②箱根湯本駅〜彫刻の森駅 片道運賃
③「彫刻の森美術館」入館料
④彫刻の森駅〜強羅駅〜早雲山駅〜大涌谷駅〜桃源台駅 片道運賃
⑤桃源台港〜元箱根港 片道運賃
⑥元箱根港バス停〜ユネッサン前バス停 片道運賃
⑦「箱根小湧園 元湯森の湯」料金
⑧ユネッサン前バス停〜箱根湯湯本駅バス停 片道運賃

①4922円+②460円+③1600円+④2090円+⑤1200円+⑥580円+⑦1500円+⑧650円
【合計:1万3002円】

●箱根フリーパスを使った場合
①箱根フリーパス(2日間有効)新宿駅発料金 
②新宿駅~箱根湯本駅 ロマンスカー往復運賃
③箱根湯本駅〜彫刻の森駅 片道運賃
④「彫刻の森美術館」入館料
⑤彫刻の森駅~強羅駅~早雲山駅~大涌谷駅~桃源台駅片道運賃
⑥桃源台港~元箱根港 片道運賃
⑦元箱根港バス停~ユネッサン前バス停片道運賃
⑧「箱根小湧園 元湯森の湯」料金
⑨ユネッサン前バス停~箱根湯湯本駅バス停 片道運賃

①6100円+②1200円+③0円+④1400円+⑤0円+⑥0円+⑦0円+⑧1200円+⑨0円
【合計:9900円】

Ⅱ. 箱根フリーパスはスマホで購入可能!予約不要だから当日購入もOK

小田急電鉄券売機

小田急電鉄券売機 ※画像は2019年2月27日撮影のもの

さまざまな方法で購入できる箱根フリーパス

箱根フリーパスの購入方法はさまざま。スマホでの購入、券売機での購入、窓口での購入すべてに対応しています。また、予約して受け取ることも、予約なしですぐ購入することも可能。事前にばっちり準備を整えたい派も、弾丸で箱根旅を楽しみたい派も安心です。

①スマホから買う(アプリ)
●EMotアプリ
「EMot」とは、小田急公式のチケット購入&経路検索サービス。スマホとWebサービスがあります。その場で箱根フリーパスが購入でき、発券の必要なくスマホをデジタルパスと使えるので、購入から利用までがとってもスムーズ。切符をなくす心配もありません。
詳しくはこちら:EMot/デジタル箱根フリーパス

②スマホから買う(ブラウザ)
●EMot Webサービス
EMotのアプリをダウンロードするのが手間な人は、Webブラウザからも利用できます。購入サイトはスマホ専用サイトになっており、PCからの購入ができないので要注意。
詳しくはこちら:詳しくはこちら:EMot/デジタル箱根フリーパス

●セブンチケット
セブンチケット
に無料登録後に購入可能。オンライン上で日付と枚数を指定し、セブンイレブンのレジで支払いを済ませればチケット購入が完了。駅に行って発券する必要がないので、小田急沿線から遠い人にも便利。当日〜翌月分まで日付をして購入できるため、グループ分をまとめて購入して分配する場合などにも便利。

③駅で買う
●小田急線の各駅
小田急線の各駅にある券売機なら、予約なしでその日から使える箱根フリーパスを購入できます。出発駅により金額が異なるのでご注意ください。窓口からでも購入できます。
自動券売機では「フリーパス」と表示されているボタンに触れると購入画面に進めます。

●箱根登山鉄道のおもな駅
箱根登山鉄道のおもな駅でも箱根フリーパスを購入できます。

④その他各種窓口・案内所で買う
●箱根登山バス案内所
箱根登山バスの営業所のうち、お客さま窓口のある場所で購入できます。
営業所はこちら:箱根ナビ/箱根登山バス/営業所のご案内

●「小田急旅行センター」の案内窓口
東京都内、神奈川県内にある「小田急旅行センター」で購入できます。
案内窓口はこちら:小田急旅行センター(ご案内窓口)

●箱根周辺の観光案内所(御殿場・三島)
御殿場駅を出てすぐの「富士山御殿場・はこね案内所」、三島駅南口にある「三島市観光協会案内所」、「東海バス案内所」で購入できます。

●一部旅行代理店
近畿日本ツーリスト、日本旅行、東武トップツアーズでは、箱根フリーパスがついた各種プランが販売されています。

Ⅲ. 【ルポ】箱根フリーパスで日帰り箱根旅へ出かけてみた

次からは箱根フリーパスを使って、実際に箱根の日帰り旅をした時のようすをお届け。スケジュール感や金額感の参考にしてみてください。

※以下は2019年2月時点の取材をもとにした内容です。最新の時刻表・料金・施設の状況等とは異なる場合があります。

AM7:38 新宿駅からロマンスカーに乗って箱根へ

小田急電鉄「特急ロマンスカー」

小田急電鉄「ロマンスカー」(写真提供:小田急電鉄)
旅のスタートは新宿駅から。旅のテーマは「箱根満喫よくばりプラン」。箱根の名物グルメや温泉、工芸品も全部堪能したうえで、海賊船やロープウェイまで乗ってしまおうという詰め込みプランです。

たっぷり箱根を堪能するため、朝の7時に小田急新宿駅に到着。さっそく券売機で箱根フリーパスとロマンスカーの特急券を購入します。

新宿駅南口「小田急外国人旅行センター」

新宿駅南口「小田急外国人旅行センター」(写真提供:小田急電鉄)

ちなみに、小田急の南口、西口改札前には「小田急外国人旅行センター」という訪日観光客向けの有人の券売所が設けられています。小田急を使った箱根旅をサポートしてくれるスポットとして、毎日多くの外国人観光客が訪れているそう。

無事に箱根フリーパスと特急券をそれぞれ購入し、ロマンスカーに乗り込みます。箱根フリーパスが乗車券の代わりになるため、ロマンスカーは特急券のみの購入でOK。

ゆったりと広いロマンスカーの座席に腰掛け、車内販売でカフェラテを購入し、箱根湯本駅へとのんびり向かいます。

AM10:30 寄木細工の町で秘密箱を作る

箱根寄木細工の秘密箱

箱根寄木細工の秘密箱

列車に乗ること約90分。箱根の玄関口・箱根湯本駅に到着です。

日帰りなので、帰りはまた箱根湯本駅に戻ってきます。大きな荷物はロッカーに預けることにしました。身軽になったら箱根登山バスのH路線に乗り込みます。箱根登山バスへの乗車は、降車時にバスの運転手さんに箱根フリーパスを見せるだけでOK。切符はいりません。

箱根登山バス

やってきた箱根登山バス

最初に目指すのは「箱根関所」。

箱根関所は江戸時代、江戸と京を結ぶ「東海道」の通行人を検査するために設けられた監視施設です。現在は門などが復元され、敷地内には資料館があります。

「箱根関所跡」バス停を降り、お邪魔したのは「箱根丸山物産」。江戸時代末に誕生した箱根の伝統工芸「寄木細工」の商品を購入したり、体験ができるスポットです。

筆者が挑戦したのは、寄木細工の人気商品「秘密箱」の作成。「からくり箱」とも呼ばれる秘密箱は、決まった方向に箱を動かしていくことで開く、パズルのような箱です。

職人さんから寄木細工についての話を伺い、理解を深めます。秘密箱は、ネジなどは使わずに組み木の技術を用いて作っているそう。日本人の手仕事って本当に繊細ですごい。

秘密箱作りに挑戦

箱根寄木細工の秘密箱作りに挑戦

秘密箱作りは小サイズと大サイズから選べます。筆者は小サイズをチョイス。6つの木板を組み立て、寄木細工の柄のシールを貼り、やすりでなめらかにし、ロウで光沢をつけていきます。箱がしっかりからくり仕掛けで開くよう、組み立てから経験できるのは、「箱根丸山物産」ならでは。

完成した秘密箱

完成した秘密箱

完成した手のひらサイズの小さな宝箱は、からくりを知っている人でなければ開けることができません。自分専用の宝箱を手に入れて、大満足です。

●公式サイト
寄木細工専門店 箱根丸山物産

●箱根丸山物産へのルート
【箱根湯本駅】- 箱根登山バス/H路線(箱根町路線)
→【箱根関所跡】バス停 → 徒歩(約1分)

●関連記事
【箱根寄木細工】体験スポット3選!伝統工芸の職人技を体感!

AM12:00 箱根神社で開運祈願

寄木細工体験の後は、箱根屈指のパワースポットである箱根神社に向かいます。
【箱根関所跡】バス停から箱根登山バスのH路線にふたたび乗車。約10分バスに揺られ【元箱根港】バス停で降車します。

箱根神社本殿

箱根神社社殿

バスを降りて15分ほど歩けば、箱根神社に到着。箱根神社の境内には九頭龍神社の新宮も設けられており、両神社へのお参りが一度でできるようになっています。

箱根神社の御神徳は、必勝、安産、金運、開運など。九頭龍神社は金運、心願成就に加え、縁結びの御神徳があるとされています。良縁と金運に恵まれるようにお参りをし、杉の木に囲まれた清々しい空気をたっぷりに味わいました。

●公式サイト
箱根神社

●箱根神社へのルート
【箱根関所跡】バス停 - 箱根登山バス/H路線(箱根町路線)
→【元箱根港】バス停 → 徒歩(約15分)

●関連記事
箱根神社・九頭龍神社本宮を巡る両社参りのススメ

PM1:00 元箱根港のすぐ目の前「成川美術館」へ

成川美術館展望室

成川美術館の展望ラウンジ(写真提供:成川美術館)

箱根といえば、様々な美術館が点在していることで知られます。富士伊豆箱根国立公園に指定されている箱根エリアには、大自然の景観を楽しみながらアートを堪能できるスポットがたくさんあるのです。

成川美術館は日本画を中心にコレクションしている美術館。芦ノ湖と箱根神社の鳥居、さらには富士山まで一望できるラウンジがあり、観光客に人気です。

成川美術館は、箱根フリーパスを使えば入館料が200円引き(小・中学生は100円引き)に。箱根神社から【元箱根港】バス停方面に戻り、成川神社に向かいます。

成川美術館展示室

成川美術館展示室(写真提供:成川美術館)

展示室では花鳥風月を中心に、たおやかなタッチの美しい作品が展示されています。

日本画はチューブの絵の具ではなく、「岩絵具」と呼ばれる顔料を使用して描かれるそうですが、成川美術館では岩絵具の顔料を見せていただきました。

岩絵具の顔料

岩絵具の顔料

元々は天然の岩や石を削り、作っていた顔料。岩や石の微妙な色味の違いがそのまま顔料となるため、色の種類は100以上とされています。実際に絵の具として使うためには、顔料を溶かし、さらにニカワを混ぜて粘着力を高めるなど手間がかかるのだとか。

帰りがけに絶景のパノラマビューが楽しめる展望ラウンジに立ち寄り。訪れた日はあいにくの曇り空で富士山を見ることは叶いませんでしたが、天気の良い日には四季折々の箱根山と富士山の姿が望めます。

●公式サイト
箱根 芦ノ湖 成川美術館

●成川美術館へのルート
箱根神社 → 徒歩(約18分)

●関連記事
【箱根のアート旅】隠れたおすすめ美術館を巡ろう!

PM2:50 海賊船で富士山と箱根神社を望む

箱根海賊船バーサ

箱根海賊船「バーサ」(※「海賊船バーサ」は2019年7月のファイナルクルーズを持って引退しました)

成川美術館を後にして、次は箱根ならではの乗り物「箱根海賊船」に乗船するため、みたび元箱根港へ。芦ノ湖でのクルーズを楽しめる箱根海賊船は「ロワイヤルⅡ」、「ビクトリー」、「バーサ」の3つの船が運行しています。(※海賊船「バーサ」は2019年7月に引退し、代わって「クイーン芦ノ湖」が就航しました)

箱根フリーパスがあれば、海賊船も乗り放題。乗船券を個別で購入すれば、元箱根港から桃源台港まで1000円以上がかかるので、箱根フリーパスのお得感を実感できます。

乗船したのは、エメラルドグリーンが美しい海賊船「バーサ」。金色の装飾が、豪快な海賊のイメージを引き立てています。

乗船したのは2月の平日でしたが、多くの観光客が順番待ちをしていました。着岸したバーサに乗り込み、いざ出航。大きなエンジン音とともに、ゆっくりと海賊船が動き出します。

甲板に立つ船長の人形像

甲板に立つ船長の人形

甲板に上がってみると、船長の人形が中央に立ち、見張り台には船員の人形が。自分も海賊になったようなワクワク感があふれます。

元箱根港から桃源台港までは、およそ20分。その道のりでは、箱根神社の湖上に立つ鳥居を含む絶景を望むことができます。風の冷たい日だったにもかかわらず、景色を求めてデッキに出る人も多数。

雲がかかり富士山まで見ることはできませんでしたが、想像していたよりもずっと広い芦ノ湖の景観を楽しめました。

芦ノ湖に浮かぶ平和の鳥居

芦ノ湖に浮かぶ平和の鳥居

●公式サイト
箱根ナビ/箱根海賊船

●箱根海賊船(元箱根港)へのルート
成川美術館 → 徒歩(約3分)

●関連記事
【箱根海賊船】で箱根旅!周辺スポット・お得な切符情報も!

PM3:30 黒たまごを求めロープウェイで大涌谷へ

箱根ロープウェイで空中散歩

箱根ロープウェイで空中散歩

桃源台港で海賊船を降りたら、館内のレストランで遅めのランチ。その後は、箱根ロープウェイで空中散歩を楽しみながら大涌谷へ向かうことにしました。お目当ては、大涌谷の荒々しい絶景と、名物「黒たまご」です。

箱根ロープウェイは、約1分間隔で運行しています。乗るときは箱根フリーパスを見せるだけでOK。桃源台駅から約15分で大涌谷駅に到着です。

大涌谷に立ち込める白煙

大涌谷に立ち昇る白煙

ロープウェイを降りた途端、硫黄の香りを強く感じます。駅を出ると、眼前に白煙が立ち荒々しい岩肌が広がっていました。

大涌谷は現在、人気観光スポットとして整備されていますが、かつては「地獄谷」と呼ばれていた噴火口跡。その歴史は約3000年前まで遡るそうです。箱根火山の中でもとりわけ規模の大きい大涌谷は、現在でも高温の水蒸気と硫気を吹き出しています。

その大涌谷の温泉池で作られているのが「黒たまご」。温泉池の成分である鉄分が卵の殻に付着し化学反応を起こし、白い殻が黒く変貌するのだそう。

黒たまごが買えるのは、大涌谷駅からすぐの「くろたまご館」。箱根のお土産品各種も販売しています。購入したのは、5個入りの黒たまご。

黒たまご(5個入り500円)

黒たまご(5個入り)

黒たまごは、ひとつ食べると7年寿命が延びる、といわれている箱根の名物グルメ。ロープウェイで登った先にある大涌谷でしか作りたてを購入できません。

ほかほかの温かい黒たまごに、お好みで塩をつけていただきます。黒い殻からは硫黄の香りがほんのり漂い、卵は中までしっかりと火が通っていて黄身はホクホク。ひとりで3つをぺろりと食べてしまいました。

●公式サイト
大涌谷黒たまご館

●大涌谷くろたまご館へのルート
【桃源台港】- 箱根ロープウェイ
→【大涌谷駅】→ 徒歩すぐ

ケーブルカーと登山電車で元箱根駅へ

目当ての黒たまごを味わったら、大涌谷駅から早雲山駅へと向かいます。この日はちょうど、大涌谷駅〜早雲山駅でロープウェイの定期点検を行っている日だったため、ロープウェイの代替として無料送迎バスが運行していたためそちらを利用。早雲山駅から、元箱根駅を目指します。

17時を過ぎ日が沈み始めた箱根は、手先が震える寒さに。そろそろ温泉につかって温まりたい頃です。

箱根登山ケーブルカー

箱根登山ケーブルカー

早雲山駅から箱根湯本駅に行くには、箱根登山ケーブルカーと、箱根登山電車を乗り継いで行きます。
早雲山駅から強羅駅までは、箱根登山ケーブルカーに乗車。

2車両のかわいらしいケーブルカーで、急勾配の斜面を下っていきます。美術館や強羅公園などを見送り、やがて強羅駅に到着。

強羅駅ホーム

強羅駅ホーム

強羅駅でケーブルカーを降りたら、箱根登山電車に乗り換えです。ちなみに箱根登山電車は別名「あじさい電車」とも呼ばれ、美しいアジサイたちを見物できることで有名。例年6月中旬からアジサイが見頃を迎えます。

●大涌谷駅〜箱根湯本駅へのルート
【大涌谷駅】- 箱根ロープウェイ(今回は定期点検のため無料代行バスに乗車)
→【早雲山駅】- 箱根登山ケーブルカー/強羅駅行
→【強羅駅】-(乗り換え)- 箱根登山電車/箱根湯本駅行
→【箱根湯本駅】

PM6:30「箱根湯寮」でゆったり温泉につかる

箱根湯本駅に到着したら、コインロッカーに預けていた荷物をピックアップして、この旅最後のスポットへ。日帰り温泉施設「箱根湯寮」に向かいます。

箱根湯寮エントランス

箱根湯寮エントランス(写真提供:箱根湯寮)

箱根湯本駅から箱根湯寮までは無料の送迎バスを利用。箱根湯寮は、古民家のような風情ある造りになっていて、館内に入ると安心感に包まれます。

ここでも箱根フリーパスが活躍。受付で提示すれば、入館料が割引になります。

受付でタオルを購入し、囲炉裏のある食事処の脇を通り大浴場へ。小さな庭園のような露天湯は、間接照明の柔らかな光で照らされていました。

箱根湯寮の大浴場

箱根湯寮の大浴場(写真提供:箱根湯寮)

箱根湯寮の温泉は、アルカリ性単純温泉。刺激の少ない柔らかな泉質で、「美肌の湯」とも呼ばれています。

里山をイメージさせる大浴場で内湯だけでなく、岩風呂や見晴湯も存分に堪能したら、サウナでロウリュウサービスを受けてたっぷり汗をかき、心身ともにリフレッシュできました。

大浴場のほか、全19室の貸切個室露天風呂も用意している同施設。事前予約で申し込めば、自分たちだけの空間で箱根温泉を満喫できますよ。

●公式サイト
箱根湯寮

●箱根湯寮へのルート
【箱根湯本駅】 → 無料送迎バス(約3分)

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実際の日帰り利用では1500円以上お得だった!

箱根湯寮で旅の疲れを癒したら、箱根湯本駅から新宿駅までロマンスカーでゆったりと帰ります。

寄木細工を体験して、アートを楽しんで、海賊船やロープウェイにも乗って、黒たまごを食べて、そして温泉にも入って…これだけ満喫したのに、今回の箱根旅行、箱根フリーパスを使ったことで合計1540円もお得に巡れちゃいました。

日帰りでこれだけお得に巡れるのだから、1泊2日で箱根フリーパスを使ったらもっと賢く使えるはず。

のんびり乗り物に揺られながら巡る箱根旅

箱根フリーパスを使えば、切符を車掌さんに見せるだけで箱根エリアの乗り物が乗り放題。車窓から自然を眺めたり、気になったお店近くのバス停で降りてふらりと立ち寄ったりと、自由気ままにのんびりと旅を楽しめちゃいます。

都度支払いをするよりも、最初にまとまった金額を支払うことで、予算の管理も楽々。

箱根の旅行を計画している人は、ぜひ箱根フリーパスの利用を検討してみてくださいね。

Text:編集部 Edit:Erika Nagumo
Photo:編集部 PIXTA