日本人にとって身近な和菓子のひとつ「たい焼き」。甘いあんこがたっぷり詰まったたい焼きは、日本人だけでなく訪日観光客からの評価も高い人気のスイーツです。
そんなたい焼きを、自分の好きな具材で作ることができるお店があるってご存知ですか?オリジナルたい焼き作りの体験ができるお店があるのは、東京都屈指の観光名所でもある「浅草」。
今回は、浅草のたい焼き専門店「浅草たい焼き工房 求楽」で、「これまでにない新しいたい焼き」を見つけるべく、たい焼き作り体験に参加してきました。基本のスイーツ系から、一風変わった具材まで、さまざまなオリジナルたい焼き作りに挑戦!たい焼き作りの特徴や楽しさ、お店の情報と一緒にその様子を紹介していきます。
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和菓子「たい焼き」のキホン
早速オリジナルのたい焼き作り…の前に、周りに教えたくなるたい焼きのキホンを紹介。
大人気のたい焼き!なんで鯛なの?
全国各地、さまざまなところで購入できる「たい焼き」。その名の通り、鯛(タイ)の見た目をしていますが、実はこの鯛の形になったことには理由があるとご存知でしょうか?
日本人になじみ深い和菓子「たい焼き」
そもそも「たい焼き」の誕生は、1909年創業の甘味処「浪花家総本店」の初代である神戸清次郎によるとされています(諸説あり)。『たべもの起源事典』(著:岡田哲 / 出版:東京堂出版)には、「今川焼きを始めたが一向に売れず、亀の形の亀焼きも失敗する。ところが"めでたい" タイの姿にしたところ、飛ぶように売れたという」との記述が。
※今川焼きとは、あんこやカスタードクリームを小麦粉と卵を混ぜた皮で包んで焼いた和菓子のこと。こちらもたい焼き同様、全国さまざまな場所で食べられる日本のスイーツです。
鯛は「めで”タイ”」なんていう語呂合わせもあり、日本では昔から縁起物として知られていました。七福神の恵比寿さまが抱えているのも鯛ですね。高級魚の鯛は、庶民にとってはなかなか手の届かない存在。それでは、そのめでたい鯛を模して気軽に食べられる和菓子にしてみてはどうか…そんな考えから、たい焼きは鯛の形になったといわれています。
あなたは天然派?養殖派?
実は、たい焼きの焼き方は2種類あり、それぞれ呼び方があるんです。
1匹ずつ型で焼かれるたい焼きを「天然」と呼ぶのに対し、複数のたい焼きを大きな鉄板で一度に焼く焼き方を「養殖」と呼ぶそう。もともとは、1匹ずつ焼くやり方「天然」が基本でした。ですが、たい焼きの普及と効率を考え、次第に「養殖」の型が主流に。それぞれの味わいの違いについても見ていきましょう。
養殖
一気にたくさんのたい焼きを作る「養殖」
養殖の焼き方では、一度に6匹~10匹以上を焼き上げることができます。生地を焼き型に流し入れて焼き、片側にあんこをのせて、最後に鉄板の両側を閉じて仕上げていきます。天然に比べて皮が分厚く、もちもちの皮の食感を楽しめるのが特徴です。
天然
1匹ずつたい焼きを焼く「天然」
天然の焼き方では、一丁焼きの鋳型で手焼きしながらたい焼きを作ります(2匹焼きを含む場合も)。型の片側に生地を流し、具材を乗せ、その上から生地をかけて、反対の型でプレス。すると、養殖の作り方よりも、薄皮でサクサクの仕上がりになります。一つ一つ焼き加減を気にしながら仕上げていくため、ひとつのたい焼きを作るのに手間がかかるのも天然の特徴です。
たい焼き作りに挑戦!「浅草たい焼き工房 求楽」へ
たい焼きが好きで、これまでさまざまなお店のたい焼きを食べてきた筆者ですが、自分でたい焼きを作るのはもちろん初めて。せっかくなら、どんな具材がたい焼きの皮にマッチするのか、自分で調べてみようと思い立ちました。
今回、オリジナルのたい焼きが作れると聞いて伺ったのは、浅草に位置する「浅草たい焼き工房 求楽」。たい焼き作り体験ができるスポットはありますが、自分で具材を持ち込めるのは珍しく、都内ではここだけだそう。
日本人だけでなく外国人観光客にも人気のようで、この日は平日だったものの飛び込みで来店し参加する人の姿も見られました。
「浅草たい焼き工房 求楽」
エプロンなども用意してあるため、手ぶらでの参加もOK。念のため汚れても問題ない服装で参加するのがベターです。
「浅草たい焼き工房 求楽」では、たい焼き作り体験だけでなく、お店のたい焼きの購入や、夏季にはアイスクリーム、かき氷などのメニューも販売。浅草観光の休憩スポットとして訪れるのにもぴったりですね。また、台東区へのたい焼きのデリバリーも行っているそう。
和を感じられる「浅草たい焼き工房 求楽」の店内
オリジナルたい焼き作り体験レポート
それでは、早速たい焼き作りの体験に挑戦していきましょう!今回担当してくださったのは、店主のJoh(ジョー)さん。温かな笑顔で、たい焼き作り初心者の私たちにも丁寧に作り方を教えてくれました。
まずはお座敷で15分ほどのビデオを観ながら、たい焼き作りの工程や歴史を勉強します。工程の説明もわかりやすく、初めての参加でも安心です。海外からの旅行者のために翻訳字幕が用意されているので、海外からのゲストを連れて一緒に学ぶこともできます。
まずはビデオでたい焼きの歴史や作り方を学ぶ
1. 具材の準備
ビデオ鑑賞が終わったら、具材の準備から始めていきます。
今回、「これまでにないたい焼きを作る!」という思いを胸に、さまざまなたい焼きの具材を考案してきました。たい焼きは1人6つ制作可能。養殖の焼き型で、一気にオリジナルたい焼きを焼き上げていきます。
自分で作れる6つのたい焼きのうち4つは、「日本一ヘルシーなたい焼き」というテーマで厳選した具材を使用。
小麦粉やあんこがたっぷり入ったたい焼きや和菓子というだけあってちょっとカロリーが気になるところ…ですが、厳選した具材は女性やベジタリアンでも気軽に食べられるものばかり。定番和菓子のたい焼きを、お腹にしっかりたまるヘルシーフードに仕上げていきます!
①トマト・モッツァレラのカプレーゼ風
モッツァレラチーズ風の豆腐・トマト・オリーブオイル・バジルソース
②ワカモレサラダ風
アボカド・市販のスパイス
③納豆キムチ
キムチ(お店提供)・納豆
④ナムル
ナムル・コチュジャン
残りの2つはデザート系。あんこを使ったたい焼きと、タピオカを入れたたい焼きに。
⑤あんこチーズ
具材:高級あんこ(お店提供)・チーズ
⑥抹茶黒糖タピオカ
具材:抹茶餡&抹茶ペースト(お店提供)・黒糖タピオカ
それぞれどんな味に仕上がるのでしょうか?その結果を見ていきましょう!
ちなみに、具材の一部はたい焼き工房求楽で事前に用意されていたものを使用。持ち込みをせずとも、最高級の小豆を使ったお店こだわりのあんこのほかキムチや抹茶ペーストといった具材がそろっているため、異なる味わいのたい焼き作りを体験することができますよ。
※今回は撮影のためその場で具材を準備させていただきましたが、本来体験は1時間。時間が足らなくなるため、具材は事前に準備し、すぐに生地に乗せられる状態で持っていきましょう。
2. 生地作り
具材を混ぜ合わるなどして準備が完了したら、次は生地作り。泡立たせないように注意しながら、ミックス粉と水を混ぜていきます。
ミックス粉と水を合わせて生地作り
混ぜ合わせた生地を型に流し込むための道具「チャッキリ」に移し、鉄板を温め、たい焼きを焼く準備をします。
3. 準備万端。実際に焼いてみましょう!
焦げないよう上手にたい焼きを仕上げるためには、手際の良さが大切。ジョーさんに改めて手順を確認し、鉄板の温度がちょうど良くなったタイミングで、生地を流し込んでいきます。
生地を流し込んでいく
チャッキリを使い生地を鉄板に落とすと、「それじゃあ足りないよ」とジョーさん。流し込むと同時に生地が固まり始めるため、スピードを意識しつつ一定量を型に流し込んでいきます。流し込む生地の量は、気持ち少し多めに。流し込み終えたらスプーンなどを使い、生地をまんべんなく伸ばしていきます。
スプーンなどで生地を型に広げていく
6つのたい焼きの焼き加減に差が出ないよう、手早くリズミカルに作業することがコツだそうです。
次は具材を生地の上に乗せていきます。
たい焼き生地の上に具材を乗せていく
糸引く納豆やこぼれ落ちるタピオカにも負けず、なんとか具材を乗せ終えました。
具材を乗せ終えたら、反対側の型にも生地を流し込みます。生地と具材を乗せ終えた鉄板は、かなりの重量。ハンドルを少し持ち上げるだけでもずっしりと重たく、毎日たい焼きを焼く職人さんの大変さを感じました。
具材と生地を乗せた鉄板は相当な重さ
最後は鉄板を閉じ型を重ね合わせ、2分程度かけてしっかり焼いていきます。徐々に生地が焼けていき、甘く香ばしい匂いが漂い鼻腔をくすぐります。
鉄板を閉じて焼いていく
セットしたタイマーが鳴ったら、鉄板から板の上にたい焼きを移します。焼き加減もばっちり。できたてのオリジナルたい焼きが完成しました!
オリジナルたい焼き作りの完成したたい焼き
おすすめ具材は?オリジナルたい焼き<ベスト3>
それでは、冷めないうちに実食していきます。全部で6種のオリジナルたい焼のうち、特に美味しいと感じた3つの具材はこれでした!
■3位:抹茶黒糖タピオカ
抹茶黒糖タピオカのたい焼き
第3位には、デザート系のたい焼きがランクイン。
お店で用意されていた「抹茶あん&抹茶ペースト」と市販の「黒糖タピオカ」を合わせた抹茶黒糖タピオカ風。
タピオカのモチモチ食感は、たい焼きの中でも健在!なめらかな抹茶あんとモチモチのタピオカ、ふんわり生地がマッチし、食感を楽しめる新感覚のたい焼きでした。抹茶がたい焼き全体の甘さを抑えてくれているのも高ポイント。
■2位:ワカモレサラダ風(アボカドのディップソース)
ワカモレサラダ風のたい焼き
メキシコ料理のサルサの1種「ワカモレ」。チップスのディップソースとしても人気ですよね。
まろやかなアボカドに辛めのスパイス、たい焼きの生地の甘みの相性が抜群とアシスタントも大絶賛!スパイシー好きにはたまらない逸品のようで、堂々の2位にランクインです。
■1位:トマトとモッツァレラのカプレーゼ風
カプレーゼ風のたい焼き
1位は、モッツァレラチーズのような食感の、ヘルシーな豆腐を使用したイタリアサラダ風のたい焼き。
たい焼きの上からかけたバジルソースとトマトの酸味、まろやかな豆腐の食感が絶妙にマッチし、大満足の仕上がり。バジルの風味がほんのり甘いたい焼きの生地ともよく合っています。トマトの酸味か、後味がすっきりとしているため、何個でもいただけちゃいそうです。
今回ベスト3にランクインした具材は、いずれもしっかりとした味付けのものたち。厚めのたい焼きの生地に負けないような、味にしっかりと特徴があるものが好相性でした。また、具材の量も、結果を大きく左右することに。具材の量が少なく、味の特徴が薄れてしまったものもありました。
具材はたくさん乗せるのがおすすめ
6つも食べきれるかと心配でしたが、どれも異なる味わいで飽きることなく完食。新しいおいしいたい焼きにも出会え、オリジナルたい焼き作り体験は無事成功です!
※たい焼きが残った場合はお土産ボックスに入れて持ち帰りもできます
お店の具材を使った多彩なアレンジも
お店には上記で使ったほか、「あずき」や「カスタード」など多彩な具材が用意されています。調味料は、胡椒・チョコレートソース・キャラメルソース・はちみつ・いろいろな果実系ソースとこちらもさまざま。
せっかくなので、今回は店長がおすすめする具材を使ったたい焼きも試食してみました。
■さつまいも
さつまいもたい焼き
京都の完全無農薬のサツマイモを使用したたい焼きは、優しい甘さとホクホクのおイモが絶品。とにかく中の具材がたっぷり!厚みがあり、食べ応えもばっちりです。
■カレー
カレーたい焼き
パンチのあるキーマカレーを使用したたい焼き。スパイシーな辛さに生地のやさしい甘さが口の中で混ざり合い、絶妙にマッチします。
お店で用意されている食材たちも、かなりユニークなものばかり。わざわざ具材を持ってこなくても、新しいお気に入りのたい焼きの味に出会えそうです。
【「浅草たい焼き工房 求楽」たい焼き作り体験 基本情報】
料金:大人 3,500円 / 子ども(小学生以上高校生以下) 2,500円 / 未就学児 無料
※価格はいずれも税抜
※未就学児は大人1名以上の参加必須
※テイクアウト用のパッケージあり
体験時間:約1時間
営業時間:11:00 〜 18:00
定休日:不定休
住所:〒111-0035 東京都台東区西浅草2-3-2
アクセス:東京メトロ銀座線 田原町駅 西浅草一丁目出口より 徒歩(約4分)
つくばエクスプレス 浅草駅A1-2出口より 徒歩(約4分)
都営浅草線 浅草駅1番出口より 徒歩(約8分)
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【東京/浅草/たい焼き作り】オリジナルたい焼き作りを体験!浅草たい焼き工房 求楽
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「これまでにないたい焼きを作る!」と意気込んで挑戦した、初めてのたい焼き作り体験。生地の甘さを考慮しながらたい焼きに合う具材を選ぶのが案外難しかったです。手際よくたい焼きの生地を流し込み具材を乗せていく工程は、本当にたい焼き職人になったかのような気分を味わえました。
海外からの参加者は、自国のユニークな具材をわざわざ店舗に持って来るという挑戦者もいるそう。ぜひ作るだけでなく、具材を選ぶ楽しさも体験してみてください。
たい焼き作り体験は、グループで楽しめるため、家族での挑戦はもちろん、友達グループやカップルにもおすすめ。浅草に訪れた際には、お店に立ち寄ってみてはいかがでしょう。