日本の象徴ともいえる桜。春になれば日本各地で桜が見頃を迎えます。都内にある桜の名所の1つが「千鳥ヶ淵(ちどりがふち)」。桜が満開になる頃、千鳥ヶ淵は多くのお花見客で賑わいを見せます。
千鳥ヶ淵が位置するのは皇居の敷地内。元々は江戸城のお濠(ほり)だった場所に千鳥ヶ淵はあります。千鳥ヶ淵周辺での桜の楽しみ方は、お花見以外にもさまざま。
今回は、江戸時代からの歴史を持つ都内屈指の桜の名所、千鳥ヶ淵を紹介します。
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千鳥ヶ淵について
皇居内にある千鳥ヶ淵
「千鳥ヶ淵」は、皇居内にあるお濠(ほり)。形が「千鳥」に似ているというのが、千鳥ヶ淵の名前の由来とされています。緑豊かな「千鳥ヶ淵緑道」や皇居内のお濠で唯一ボートに乗れる「千鳥ヶ淵ボート場」があり、見る場所によって桜の表情が変わります。
千鳥ヶ淵が作られた理由は、貯水池として飲料水を確保するため。徳川家康が入府した頃の江戸は海に面した低湿地で、井戸水には大量の塩分が含まれていました。井戸水を飲料水として使えなかったので、飲料水を確保しようと近くの河川をせき止めて千鳥ヶ淵が作られました。
元々は田安門から半蔵門まで続いていた千鳥ヶ淵ですが、1900年の道路整備によって千鳥ヶ淵と半蔵濠(はんぞうほり)に分断され現在の形に。今では都内で有数の桜の名所として、毎年多くの人が千鳥ヶ淵を訪れています。
千鳥ヶ淵の桜
千鳥ヶ淵の桜の歴史
千鳥ヶ淵の桜はお花見客で賑わう
都内有数の桜の名所である千鳥ヶ淵。桜の季節ともなれば、例年お花見客で賑わいを見せます。千鳥ヶ淵の桜の大部分は「ソメイヨシノ」ですが、千鳥ヶ淵に植えられている桜は全部で4種類。その数実に1,000本以上の桜が、千鳥ヶ淵で咲き誇ります。
千鳥ヶ淵で最古の桜は、千鳥ヶ淵公園の向かいにある「英国大使館」の前に植えられたとされています。千鳥ヶ淵最古の桜が植えられたのは1881年なので、今から約150年前。1世紀以上も昔から、桜の名所の歴史は始まったんですね。
千鳥ヶ淵に現存する最古の桜は1955年頃に植えられたもので、樹齢は60年を超えています。この頃から数年に渡り、千鳥ヶ淵に植えられた多くの桜。1950年に開業した「千鳥ヶ淵ボート場」が殺風景だったというのが、千鳥ヶ淵に多くの桜を植えた理由だそうです。
千鳥ヶ淵の桜の見頃と開花状況
千鳥ヶ淵で零れ桜が水面を漂う
千鳥ヶ淵の桜は例年3月中旬に開花が始まり、3月下旬から4月上旬にかけて見頃を迎えます。また千鳥ヶ淵で満開を過ぎた頃に現れる零れ桜(こぼれざくら)は必見。千鳥ヶ淵で零れ桜を楽しめるのは見頃を過ぎてから1週間ほどです。
人の少ない咲き始めを狙うのか。満開の桜を見にいくのか。はたまた、散った後の美しさを堪能するのか。時期によって違う桜を楽しめる千鳥ヶ淵。あなたが訪れたいタイミングを見計らって、千鳥ヶ淵に足を運んでみてはいかがでしょうか。千鳥ヶ淵の桜の開花状況や千代田のさくらまつり情報は千代田区観光協会公式webサイトでチェックしましょう。
また千鳥ヶ淵の桜は、見る場所によっても異なる楽しみ方ができます。自分なりの視点から千鳥ヶ淵の桜を味わってみてはいかがでしょうか。
千鳥ヶ淵緑道の桜
千鳥ヶ淵緑道で空を見上げると桜のトンネルを目にできる
「千鳥ヶ淵緑道」は、千鳥ヶ淵沿いを南北に延びる全長約700mの遊歩道。約260本の桜が植えられ、皇居のお濠を淡いピンク色に染めます。桜が歩く人の頭上に咲く様子は、まさに桜のトンネル。1本ずつの桜の木がとても大きく、本数以上に桜の迫力を感じられます。
千鳥ヶ淵緑道の桜は満開の美しさもさることながら、満開を過ぎた頃もロマンティック。零れ桜(こぼれざくら)がお濠の水面を漂い、桜色のじゅうたんが姿を現します。満開の時期を含め、桜を2度味わえるのは嬉しいですね。
千鳥ヶ淵緑道にある遊歩道のコースは「南→北」と「北→南」の2つ。「南→北」のコースは道路側のコースなので、桜とお濠の水面のコントラストを楽しみたいという人は「北→南」のコースがオススメです。千鳥ヶ淵ボート場もあるので、水面から桜を見上げたい人は足を運んでみては。
【千鳥ヶ淵ボート場 基本情報】
アクセス:東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線九段下駅2番出口から徒歩約10分、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅5番出口から徒歩約10分
住所:東京都千代田区三番町2先
TEL:03-3234-1948
営業時間:11:00〜17:00
定休日:毎週月曜日 ※月曜日が祝日の場合、翌日以降の平日が休み
料金:30分500円/60分1,000円(観桜期は30分800円/60分1,600円)
公式サイト:千代田区役所
千鳥ヶ淵公園の桜
千鳥ヶ淵公園 桜と菜の花のコラボ
千鳥ヶ淵と英国大使館に挟まれた「千鳥ヶ淵公園」。南北約450m、東西約20mの細長い緑地です。千鳥ヶ淵公園は、お花見客だけでなく仕事帰りのオフィスワーカーも訪れる人気のスポット。約170本の桜が植えられており、桜の名所になっています。
千鳥ヶ淵公園の桜で見逃せないのが、菜の花とのコラボレーション。桜のピンクと菜の花の黄色がお互いを引き立て、絶妙なコントラストを作り上げます。桜とともに菜の花も見頃を迎える春ならではの光景は、瞬きを忘れるほど。春をより一層味わえるスポットです。
千鳥ヶ淵の夜桜
水面に映る千鳥ヶ淵の夜桜
例年、開花時期に合わせて「千代田のさくらまつり」と題し、ライトアップされる千鳥ヶ淵の桜。暗闇に浮かぶ夜桜が、千鳥ヶ淵を幻想的な空間に変えます。桜がライトアップされる期間は、千鳥ヶ淵ボート場が特別に夜間も営業。夜も水上から花見を楽しむことができます。
風が弱い日に水面に夜桜が映し出された様子は、鏡の世界に足を踏み入れたよう。カメラを片手に、絶好のシャッターチャンスを待ってみるのもワクワクしそうですね。
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千鳥ヶ淵周辺で桜を楽しめるスポット
桜の名所である千鳥ヶ淵。「千鳥ヶ淵緑道」や「千鳥ヶ淵公園」以外にも、千鳥ヶ淵周辺には桜が美しいスポットが存在します。千鳥ヶ淵を訪れた際に足を運びたい、桜を楽しめるスポットを紹介します。
北の丸公園
北の丸公園からみた千鳥ヶ淵の桜
江戸時代に「江戸城北の丸」があった地とされている「北の丸公園」。昭和天皇の還暦を記念し、1969年に整備されました。園内にはソメイヨシノや八重桜など、約300本の桜が植えられています。
北の丸公園からお濠を挟んで見えるのは千鳥ヶ淵緑道の桜。千鳥ヶ淵緑道を歩きながら見た桜を、違った角度から眺めてみてはいかがでしょうか。
【北の丸公園の基本情報】
アクセス:東京メトロ「九段下駅」から徒歩約5分 / 東京メトロ「竹橋駅」から徒歩約10分
住所:〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園1-1
電話番号:03-3211-7878
公式サイト:北の丸公園(環境省HP)
外濠公園(そとぼりこうえん)
外濠公園の桜
江戸城外濠の土手や濠の跡を利用して作られた「外濠公園」。北はJR・飯田橋駅から、南は四ツ谷駅まで約2kmに渡って細長く続く公園です。この約2kmの公園内では、約240本の桜が桜並木を作り上げます。
千鳥ヶ淵緑道は混み合うため、ゆっくり撮影できなかったという人におすすめのスポット。千鳥ヶ淵からは少し離れますが、公園の中が車道よりも一段高い遊歩道になっているので、車を気にせず撮影できます。
外濠公園内では営業行為や騒音が禁止されているので、静かに桜を愛でることもできます。訪れる際は他の人にも配慮して、ルールを守って桜に目を向けましょう。
【外濠公園の基本情報】
アクセス:JR「飯田橋駅」、「市ヶ谷駅」、「四ツ谷駅」からそれぞれ徒歩約5分
住所:〒102-0076 東京都千代田区五番町4丁目
電話番号:03-5211-4243(千代田区役所道路公園課)
公式サイト:外濠公園(新宿観光振興協会HP)
皇居東御苑
皇居東御苑の桜
旧江戸城の本丸と二の丸を中心とした庭園である「皇居東御苑」。その名の通り皇居の東側にあり、千鳥ヶ淵からは皇居を挟んで反対側に位置します。約21万㎡の敷地内に、ソメイヨシノやヤマザクラなど200本以上の桜が咲き誇ります。
河津桜やカンヒザクラなどの早咲きの桜もあるので、早ければ3月上旬に見頃を迎えます。千鳥ヶ淵より一足先に訪れてみるのも良さそうですね。皇居東御苑は入園が無料ながらスポーツと飲酒が禁止されているので、純粋に桜を見て楽しみたいという人にススメ。撮影することもできますが、場所によっては撮影禁止の場所もあるのでご注意ください。
【皇居東御苑の基本情報】
アクセス:東京メトロ「大手町駅」から徒歩約5分
住所:〒100-8111 東京都千代田区千代田1-1
電話番号:03-3213-1111
営業時間:毎週月曜・金曜定休(ただし、天皇誕生日以外の国民の祝日等の休日は公開)
料金:無料
公式サイト:皇居東御苑(宮内庁HP)
2024年「千代田のさくらまつり」開催概要
開催概要
●名称:千代田のさくらまつり
●期間:2024年3月22日(金)〜4月2日(火)
●場所:千鳥ヶ淵公園(東京都千代田区麹町1-2)
●公式サイト:千代田のさくらまつり
アクセス
①地下鉄「九段下駅」2番出口より徒歩5分
②地下鉄「半蔵門駅」5番出口からより徒歩5分
桜を長い期間楽しめる千鳥ヶ淵
今回は、皇居内にある桜の名所「千鳥ヶ淵」を紹介しました。江戸時代からの歴史を持つ千鳥ヶ淵。桜が見頃を迎える春には、千鳥ヶ淵が鮮やかなピンク色に染まり、訪れる人々の気分を華やかに彩ります。満開の時期だけでなく、散ってからも桜の美しさを味わえる千鳥ヶ淵に、ぜひ足を運んでみてはいかかでしょうか。