日本で特に人気の観光地「京都」。海外からの観光客も多く、行楽シーズンには多くの人が足を運びます。そんな京都の世界遺産の1つとして有名なスポットが「仁和寺(にんなじ)」。兼好法師の「徒然草」にも登場するため、名前を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
仁和寺のシンボルとして親しまれているのが「御室桜(おむろざくら)」。遅咲きの桜として有名で、仁和寺は京都でも有数の桜の名所です。1年の中で、最後のお花見場所として仁和寺を選ぶ人も多いのだとか。
今回は、仁和寺の歴史や見どころを紹介します。
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仁和寺の歴史
仁和寺の起源は平安時代
仁和寺の歴史を紐解くと平安時代まで遡る
仁和寺の歴史が始まったとされているのは平安時代。光孝天皇(こうこうてんのう)によって、886年に「西山御願寺」と称した寺院の建立が決定したことがきっかけです。翌年に光孝天皇が崩御し、宇多天皇が即位。光孝天皇の意志を引き継ぎ、888年に西山御願寺が完成しました。
後に名前を仁和寺へと変更。なぜ仁和寺と名付けられたかというと、仁和寺が創建された当時の年号が「仁和」であったからです。897年に退位した宇多天皇はその後出家し、仁和寺で最初の法皇が誕生しました。
宇多法皇は仁和寺に「御室(おむろ)」を造営し移住。このことから、仁和寺は「御室御所」とも呼ばれています。
仁和寺は繁栄と衰退を経験
仁和寺は繁栄も衰退も経験した
宇多法皇が誕生してからは皇室出身者が仁和寺の住職を務め、仁和寺は鎌倉時代まで門跡寺院(もんぜきじいん)として最高の格式を保っていました。門跡寺院とは、皇室もしくは公家出身者が住職を務める寺院のことです。
格式高い寺院として栄えた仁和寺ですが、応仁の乱によってそのほとんどが焼失。幸いなことに御本尊の阿弥陀三尊(あみださんぞん)などは被害を免れ、現在まで受け継がれています。
世界遺産に登録された仁和寺は桜の名所としても人気
世界遺産である仁和寺は桜の名所としても人気
応仁の乱から約160年経った1634年。長い間再興されていなかった仁和寺は、ようやく再興の機会を得ます。江戸幕府第3代将軍の徳川家光が、再興の申し入れを承諾。紫宸殿(現在の金堂)や清涼殿(現在の御影堂)といった多くの建造物が建てられました。
1646年に伽藍の再建が完了。長い年月をかけ、仁和寺は創建当時の姿を取り戻しました。1867年に純仁法親王(すみひとほうしんのう)が僧侶を辞めたことで、宮門跡(みやもんぜき)としての歴史が終わります。
明治時代の1887年に御殿が焼失したものの大正時代に再建。昭和時代に入ると、仁和寺は真言宗御室派の総本山となりました。1994年には「古都京都の文化財」として世界遺産に登録された仁和寺。現在は京都でも有数の桜の名所となっています。
仁和寺の見どころ
平安時代からの歴史を持つ仁和寺。境内には数多くの見どころが存在します。多くの文化財を所蔵し、中には国宝に指定されているものも。ここでは仁和寺の見どころを紹介します。
御室桜
仁和寺の御室桜は背が低いという特徴がある
毎年春になると、仁和寺の境内で競って咲き誇る桜。中でも中門内の西側で咲くのが「御室桜(おむろざくら)」です。
江戸時代の頃から庶民の桜として親しまれた御室桜は、遅咲きの桜として有名。桜の名所が数多く存在する京都の中でも、人気の桜名所として多くの人が足を運びます。1924年、御室桜は国の名勝に指定されました。
仁王門
仁和寺の仁王門は京都三大門の1つ
仁和寺の正門である「仁王門」。正面の左右に阿吽の仁王像、後面には唐獅子像が安置されています。知恩院の三門、南禅寺の三門とともに選ばれた「京都三大門」の1つ。平安時代の伝統を引き継ぐ和様の門で、重要文化財に指定されています。
御殿
仁和寺の御殿には国指定の名勝庭園がある
仁王門をくぐってすぐ左手に見える「御殿」。儀式などに使われる「宸殿(しんでん)」や茶室の「飛濤亭(ひとうてい)」を含む7つの建造物と、北庭及び南庭によって構成されています。
御殿内にある仁和寺の庭園は、趣深い景観であることが評価され2021年3月26日に国名勝庭園に指定。これを記念して、2021年6月19日より特別拝観が実施されています。
金堂
金堂は仁和寺唯一の国宝
仁和寺が保有する唯一の国宝「金堂(こんどう)」。仁和寺の本尊である阿弥陀三尊を安置する御堂です。寛永年間(1624〜1643年)に移築されたもので、現存する最古の紫宸殿(ししんでん)。堂内には四天王像なども安置され、壁面には極彩色の観音図などが描かれています。
五重塔
仁和寺の五重塔は桜だけでなく紅葉との共演も堪能できる
徳川家光の寄進によって建てられたとされる「五重塔」。総高約36mで、重要文化財に指定されています。東寺の五重塔と同様に、各層の大きさがほぼ同じである江戸時代の五重塔の特徴を色濃く表現。仁和寺の境内で特に高い建造物であるため、春の桜や秋の紅葉との共演を楽しめます。
仁和寺の基本情報
交通アクセス:京福電鉄【御室仁和寺駅】から徒歩約3分
住所:〒616-8092 京都府京都市右京区御室大内33
電話番号:075-461-1155
拝観時間:9:00〜17:00(12月1日~2月末日は9:00〜16:00)
拝観料:大人:500円 高校生以下:無料 (特別拝観期間は大人:800円)
仁和寺写経会:参加費1,000円(写経用紙各種一枚につき) ※開催日未定
公式サイト:仁和寺
仁和寺周辺のおすすめスポット
世界遺産、そして桜の名所として人気の仁和寺。周辺には併せて訪れたいスポットが存在します。
金閣寺
舎利殿が眩しく輝く金閣寺
舎利殿が金色に輝く「金閣寺」。龍安寺と同様に、古都京都の文化財として世界遺産に登録されています。室町幕府第3代将軍の足利義満によって建立された寺院で、正式名称は「鹿苑寺(ろくおんじ)」。京都を訪れた際には見逃すことのできない、日本を代表する観光名所です。
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龍安寺
龍安寺にある枯山水の石庭は不完全さを表現している
枯山水(かれさんすい)の石庭が有名な「龍安寺(りょうあんじ)」。仁和寺や金閣寺とともに世界遺産に登録されています。
石庭には全部で15個の石が配置されているものの、どの角度から見ても必ず14個しか石が見えないという不思議な造り。東洋の世界で完璧を表す15という数字から1つ少なくすることで、不完全さを表現しているそうです。
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妙心寺
雲龍図が描かれている妙心寺の法堂
日本最大の禅寺である「妙心寺(みょうしんじ)」。日本にある全部で約6,000もの臨済宗寺院のうち、およそ3,400の寺院を束ねる格式高い寺院です。
妙心寺で特に見逃せないのが、重要文化財である「法堂(はっとう)」の鏡天井に描かれた「雲龍図」。どこから見ても龍が睨んでいるように見えることから「八方にらみ」とも呼ばれ、人気を集めています。
仁和寺には宿泊もできる
今回は、遅咲きの御室桜が有名な仁和寺を紹介しました。仁和寺の境内に存在する宿坊の「御室会館」には、実は宿泊することも可能。仁和寺に宿泊して、世界遺産の魅力を間近に感じることができます。
なお、現在はオンラインショップでのお守りや御朱印帳の購入も可能。仁和寺は昔ながらの魅力と現代の良さを兼ね備えています。
桜の時期はもちろん、紅葉の美しさも堪能できることが仁和寺の人気が高い理由。何度も仁和寺を訪れ、季節による移り変わりを楽しんでみてはいかがでしょうか。