東寺の歴史
東寺の見どころ
東寺へのアクセス
東寺周辺のおすすめスポット
まとめ

言わずと知れた日本の観光名所「京都」。平安時代に都が置かれていたこの場所は、古き良き日本の文化を今に伝えています。そんな京都の中で、平安京からの歴史を持つのが「東寺(とうじ)」。日本一高い木造建築物である「五重塔」を有し、多くの観光客で賑わいを見せます。

世界遺産に登録されている東寺は、海外からも人気のスポット。今回は、東寺の歴史や見どころを紹介します。

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神社・寺

東寺の歴史

東寺は平安時代に創建された

平安京遷都から約30年経ってから東寺は空海に委託された

平安京遷都から約30年経ってから東寺は空海に委託された

794年、桓武天皇が奈良の平城京から京都の平安京へ遷都。当時の平安京は、時代の最先端を行く都市でした。都の正門である羅城門(らじょうもん)から北へと朱雀大路が真っ直ぐ伸び、その先に荘厳な大内裏が存在。796年には、羅城門を挟んだ両翼に東寺と西寺が建立されました。ここから東寺の歴史が始まります。

平安京遷都から約30年が経過した823年、嵯峨天皇が弘法大師の「空海」に東寺を委託。東寺が真言密教の根本道場、そして真言宗総本山となりました。空海は密教の中心伽藍となる「講堂」の建立に着手。講堂が建立された翌年には、五重塔の工事が始まったと言われています。

空海へ託された際、東寺は名前を変更。「教王護国寺」という名称になりました。東寺の寺紋として使用されているのは、雲を題材にした「東寺雲」。かつて雲を用いて占いが行われていたことから、多くの寺院で雲の寺紋が見られます。

東寺は唯一残る平安京の遺構

東寺は唯一現存する平安京の遺構

東寺は唯一現存する平安京の遺構

源氏と平家の合戦が始まったことで平安時代も終わりを迎えます。正門の羅城門は崩れ落ち、東寺と西寺はともに衰退。しかし鎌倉時代に入ると、東寺に復興の兆しが見えます。

「運慶」が東寺にある諸像の修復を開始し、1233年には運慶の子「康勝(こうしょう)」によって空海の坐像が完成。さらに後白河法皇の皇女「宣陽門院(せんようもんいん)」が財政の基盤を作り、東寺は再興を果たしました。一方の西寺は、1233年に唯一境内に残っていた五重塔が焼失。西寺は時の流れとともに姿を消しました。

平安京唯一の遺構となった東寺は、京都中が焼け野原となった応仁の乱をも回避。幾多の戦乱をくぐり抜けてきました。しかしながら、1486年に起きた「文明の土一揆」で金堂(こんどう)や講堂、南大門などを焼失。東寺創建以来、最も大きな痛手を受けました。

世界遺産に登録された東寺は京都のシンボル的存在

東寺は世界遺産に登録されている

東寺は世界遺産に登録されている

復興が危ぶまれた東寺ですが、桃山時代に入ると約100年ぶりに金堂が再建。新しい薬師如来や日光菩薩、月光菩薩も金堂に誕生しました。続いて南大門も完成し、焼失後すぐに再建した講堂も含めて東寺は元の姿に。その後落雷によって五重塔を焼失しますが、1644年に再建されました。

昭和に入った1965年には、金堂と講堂の内部を公開。平安時代へと続く歴史の扉が開かれました。1944年に「古都京都の文化財」として世界遺産に登録。現在は京都のシンボル的な存在として、東寺は国内外から人気を集めています。

東寺の見どころ

創建から1200年以上の歴史を持つ東寺。国宝や重要文化財など、ぜひ目にしたい見どころが存在します。

五重塔

東寺の五重塔は日本一高い木造建築物

東寺の五重塔は日本一高い木造建築物

東寺の代名詞的な存在である「五重塔」。高さ約55mで、木造建築物としては日本一の高さを誇ります。空海が五重塔の建立に着手した際、費用も人手も不足した状態。そこで空海は826年に、材木運搬の協力を朝廷に願い出ました。

努力の末に完成した東寺の五重塔は、落雷などで合計4回焼失。しかしその度に、空海同様多くの僧が奔走して再建を果たしてきました。現在の五重塔は1644年に再建された5代目。東寺の五重塔は国宝に指定されています。普段は非公開となっている五重塔の初層内部ですが、特別公開される時期もあるのでお見逃しなく。

東大門

東寺の東大門は不開門の異名を取る

東寺の東大門は不開門の異名を取る

「不開門(あかずのもん)」の異名を取る「東大門(ひがしだいもん)」。1190年から1198年に再建されたものと考えられており、重要文化財に指定されています。

南北朝時代、「足利尊氏(あしかがたかうじ)」は東寺に陣を置いて「新田義貞(にったよしさだ)」と交戦。戦場は都から東寺付近へと移動していきます。

この際、足利軍は東大門を固く閉ざして危機を回避。これをきっかけに、東大門は不開門と呼ばれるようになりました。東寺の東大門には矢の跡が残っていて、戦乱の痕跡を今に伝えています。

講堂

東寺の講堂は密教を広めるための中心として建てられた

東寺の講堂は密教を広めるための中心として建てられた

東寺境内の中心に位置している「講堂」。大日如来や不動明王など二十一尊の仏様が、密教の教えを視覚的に表現した「立体曼荼羅(まんだら)」として配置されています。

東寺を託された空海は、人生の全てをかけて密教を広めようと決意。その中心的な建築物として位置づけられたのが、東寺の講堂です。1486年に金堂や南大門とともに焼失したものの、5年後に最優先で再建。現在までその姿を保ち、重要文化財に指定されています。

金堂

東寺の金堂には御本尊の薬師如来が安置されている

東寺の金堂には御本尊の薬師如来が安置されている

東寺の本堂である「金堂」。796年に東寺が創建されてから、最初に金堂の工事が着手されました。金堂には東寺の御本尊である「薬師如来」を安置。1486年に焼失しましたが、関ヶ原の合戦の後に再建されました。

東寺の金堂は、宋の様式を取り入れた「天竺様」と「和様」を合わせた桃山時代の代表的な建築物。屋根中央の切り上げは、「東大寺大仏殿」や「平等院鳳凰堂」にも見られる形です。

御影堂

東寺の御影堂にはかつて空海が住んでいた

東寺の御影堂にはかつて空海が住んでいた

空海の住まいだった「御影堂(みえいどう)」。空海は御影堂で立体曼荼羅の構想を練ったと言われています。御影堂内には木造の空海坐像を安置。毎朝6時からは、空海にお膳やお茶を届ける儀式の「生身供(しょうじんく)」が行われます。御影堂の参拝は朝6時から閉門までいつでも可能なので、早起きが苦手な方もご安心ください。

東寺の基本情報

交通アクセス:JR【京都駅】から徒歩約15分/近鉄電車【東寺駅】から徒歩約10分
住所:〒601-8473 京都府京都市南区九条町1番地
電話番号:075-691-3325
拝観時間:金堂・講堂 8:00〜17:00 宝物館・観智院 9:00〜17:00(受付は16:30まで)
拝観料:無料(金堂や講堂を含め一部有料)
    金堂・講堂 大人:500円 高校生:400円 中学生以下:300円
    観智院 大人(高校生以上):500円 中学生以下:300円
    共通券 大人:800円 中学生以下:500円
公式サイト:東寺

東寺周辺のおすすめスポット

日本一高い木造建築物である五重塔を誇る東寺。周辺には併せて訪れたいスポットが存在します。

伏見稲荷大社

千本鳥居が並ぶ伏見稲荷大社は京都でも有数の観光名所

千本鳥居が並ぶ伏見稲荷大社は京都でも有数の観光名所

創建から1300年以上の歴史を持つと伝わる「伏見稲荷大社」。日本各地に存在する稲荷神社の総本宮であり、京都でも有数の観光名所です。伏見稲荷大社で特に有名なのが「千本鳥居」。美しい朱塗りの鳥居が連なる光景は、見る人の心を奪います。

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【伏見稲荷大社】の歴史や見どころは?千本鳥居が有名な京都の観光名所

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千本鳥居で有名な伏見稲荷大社

【伏見稲荷大社】の歴史や見どころは?千本鳥居が有名な京都の観光名所 全国各地にある稲荷神社の総本宮「伏見稲荷大社」。たくさんの鳥居が連なる千本鳥居が有名な京都で人気の観光名所です。御朱印もいただくことができ、多くのご利益があるパワースポット。今回は伏見稲荷大社の歴史や見どころを紹介します。

神社・寺

西本願寺

西本願寺には多くの国宝や重要文化財が存在する

西本願寺には多くの国宝や重要文化財が存在する

浄土真宗の開祖「親鸞(しんらん)」の墓として建てられた世界遺産「西本願寺」。正式名称は「龍谷山本願寺」で、建立から700年以上の歴史があります。

特に金閣寺や銀閣寺とともに京都三名閣とされている「飛雲閣(ひうんかく)」は、絶対に見逃せない存在。本堂の「阿弥陀堂」や「御影堂(みえいどう)」をはじめ、西本願寺は多くの国宝や重要文化財を所有しています。

京都タワー

京都タワーは京都のランドマーク的存在

京都タワーは京都のランドマーク的存在

京都で1番の高さを誇る「京都タワー」。京都のランドマークとして、多くの観光客を迎え入れています。京都タワーが完成したのは、1回目の東京オリンピックが開催された1964年。海がない京都の街を照らす灯台をモチーフに建築されました。

JR京都駅前にそびえる京都タワーは、実は世界一高い無鉄骨の建築物。地上100mの高さにある展望室からは、京都の街並みを360度見渡すことができます。

東寺は唯一残る平安京からの遺構

今回は、五重塔が有名な東寺を紹介しました。多くの国宝や重要文化財を保有する東寺は、平安時代に創建された歴史あるお寺。京都駅から比較的近い場所に位置しているので、京都観光の最初や最後に訪れるのもおすすめです。

唯一現存する平安京の遺構である東寺を訪れ、あなたの肌で時の流れを感じてみてはいかがでしょうか。