京都の水源を守る神様として古くから信仰されてきた「貴船神社」。由緒あるこの神社は、京都有数のパワースポット、そして縁結びの地としても知られ、「水占みくじ」という珍しいおみくじも人気の神社です。
また、参道の階段に立ち並ぶ灯篭と、四季折々に移り変わる風景も見どころ。
今回は、歴史ある水の神様を祀る貴船神社の魅力に迫ります。
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貴船神社とは

貴船神社は、京都府京都市左京区にある神社。
周りを自然に囲まれ、ひっそりと佇む貴船神社の始まりはおよそ1300年前。日本国内でも指折りの歴史・伝統がある神社です。
貴船山の緑豊かな自然に囲まれ、清流に恵まれたその地に建つこの神社は、古代からの水源信仰の中心地として知られ、多くの参拝者が訪れています。
境内を流れる貴船川の清流の上に小さな食事処が点在しています。特に夏の季節限定で貴船川のすぐ近くで、四季折々の素材をいただける「川床料理」は絶品です。
四季折々の風情を楽しむことができ、特に紅葉の季節は美しい景色が広がり、「貴船もみじ灯籠」などの夜間特別ライトアップが行われたりもします。
貴船神社の見どころを紹介
貴船神社の見どころを紹介していきます。
貴船神社は京都の水源を守る神様

貴船神社の御神水
貴船神社は、水を司る神様「高龗神(たかおかみのかみ)」を祭神として祀っており、雨乞いや雨止み神事によって、京都の大切な水を守り続けてきました。そんな貴船神社には、普通のおみくじとは少し違う「水占みくじ」というものがあります。

貴船神社の水占みくじ
御神水が流れ出ている「水占齋庭(みずうらゆにわ)」に、白紙のおみくじを浮かべると文字が浮き出てくるおみくじ。
水の神様はあらゆることを見通せるといわれているので、この水占みくじは当たると評判です。
また、貴船神社の御神水は無料で汲むことができ、持ち帰ることもできます。今まで一度も枯れたことがないという御神水は、弱アルカリ性の良質な天然水です。
水の神様を祀る神社の御神水を持っているだけでも、さらに運気が上がるかもしれませんよ。
ただし、御神水は生水のためなるべく早めに飲むか、煮沸してから飲むことをオススメします。また、容器がない場合は貴船神社オリジナル容器を300円で購入することもできます。
絵馬発祥の地である貴船神社

白馬と黒馬の像
水の神様を祀る貴船神社ですが、実は「絵馬」発祥の地としても知られています。願い事をするときや、願い事が叶ったお礼に書き、神社やお寺に奉納する絵馬。
今ではほとんどの神社やお寺で目にしますが、始まりは貴船神社です。
平安時代、天皇が遣わした勅使による、雨乞い、雨止みの御祈願を行う風習がありました。その際、雨が降ってほしいときは「黒馬」を、雨を降り止ませてほしいときは「白馬」を奉納していました。やがて、生きた馬から木の板に馬を描いたものへと変わり、それが絵馬の原型だと伝えられています。

貴船神社の絵馬
貴船神社の絵馬は三種類。「神馬の絵馬」「竜神様の絵馬」「和泉式部の絵馬」から選べます。
貴船神社の参拝方法
貴船神社には社殿が3つあり、「本宮」→「奥宮」→「結社」の順番で参拝するのが正式です。この三社を参拝することを「三社詣」と呼び、順序通りに全てを参拝すると願いが叶うといわれています。
貴船神社の本宮

貴船神社の本宮
最初に参拝する「本宮」。現在の社殿は、御神座が本宮に遷されて950年という節目である2005年に建てられたものです。本殿は神社で最も多い「流れ造り」の建築様式で、水を司る神様の高龗神を祀っています。
貴船神社の奥宮

貴船神社の奥宮
次に向かうのは、本宮から歩いて5分ほどの場所に位置する「奥宮」。貴船神社のはじまりの地とされ、本宮と同じく高龗神が祀られています。
奥宮の本殿の真下には「龍穴」と呼ばれる大きな穴があいているという伝説が残されていますが、その穴を覗くことは誰も許されていません。奥宮は、貴船神社の中でも特にパワーの集まる場所とされています。
貴船神社の結社

貴船神社の結社
最後に参拝するのは、本宮と奥宮の中間に位置する「結社(ゆいのやしろ)」。
縁結びの神様である「磐長姫命(いわながのひめみこと)」を祀っています。
平安時代より縁結びにご利益があると信仰されてきた結社には、平安時代中期の女流歌人・和泉式部も参拝し、恋の願いを無事叶えたそうです。それ以来、貴船神社は「恋の宮」とも呼ばれるようになりました。
貴船神社がご利益がすごいパワースポット

貴船神社の鳥居
京都の貴船神社は、日本全国に数多く点在する貴船神社の総本山です。そのため、京都の中でもトップクラスのパワースポットとして知られています。
貴船神社のご利益がすごいと言われる理由を解説していきます。
貴船神社が祀っている神様とは?

伊奘諾と伊奘冉
貴船神社の御祭神は本宮・奥宮と結社によってそれぞれ異なります。
本宮と奥宮では、伊奘諾尊(いざなぎのみこと)の御子神である、高龗神(たかおかみのかみ)が祀られています。水の供給を司る神様として知られているようです。
高龗神は闇龗神(くらおかみのかみ)として呼ばれることもありますが、どちらも同じ神様としています。
古事記や日本書紀のその誕生秘話によると、伊弉諾が火の神を剣で絶ったところ3つの神が新たに生み出されました。
雷の神、山の神、そして水の神である高龗神になったと言われています。

磐長姫命(いわながひめのみこと)
奥宮では磐長姫命(いわながひめのみこと)が御祭神です。磐長姫命は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の姉です。磐長姫命は妹と対照的に不美人として描かれており、失恋等をしますが良縁を授けようと尽力した神様です。
まとめますと、貴船神社のご利益としては「*運気隆昌」「縁結び」「諸願成就」が挙げられます。
(*運気隆昌とは勢いよく運気が上昇していく様を表します。)
貴船神社は「運氣龍昇」の神様が鎮まっている?
京都有数のパワースポットとして知られる貴船神社ですが、貴船は、古くは「氣生根(きふね)」と表記されていました。
氣生根には、万物のエネルギーである「氣」が生ずる根元の地という意味があります。そのことから、貴船には「運氣龍昇」の神様が鎮まっているとされ、運氣発祥の地として信仰されています。
貴船神社周辺がライトアップされるイベント
貴船神社へせっかく訪れるなら、ライトアップがされる期間限定のイベント中にお参りを検討してみませんか?
貴船神社とその周辺がライトアップされるイベントを紹介していきます。
夏の七夕と秋の紅葉

貴船神社の七夕ライトアップ
2023年は七夕期間(7月初旬〜8月中旬)に境内にある笹飾りや社殿のライトアップが行われました。
拝観時間が延長される。この機会に貴船神社で願い事を書いてみてはいかがでしょうか?
縁結びのご利益があるので、カップルで訪れるのもおすすめですですよ。
そのほか、秋の季節(11月初旬〜下旬)には貴船神社や神社へと続く料理旅館街、最寄り駅や線路上で街灯の設置と紅葉ライトアップが行われる「京の奥座敷 貴船もみじ灯篭」が開催されます。
2022年には、貴船神社の本宮を中心に境内の紅葉がライトアップされたほか、貴船神社の結社で絵馬による光の演出も行われました。
貴船神社の最寄駅(貴船口駅)〜市原駅間で紅葉のライトアップもされ、叡山電車の車窓から幻想的な景色を見ることができますよ。
最新情報は叡山電車公式ページをご覧ください。
公式サイト:叡山電車 京の奥座敷 貴船もみじ灯篭
積雪日限定ライトアップ

積雪日限定の貴船神社ライトアップ
冬には雪が降った日限定で開催される、夜の雪見特別参拝・積雪日限定ライトアップも見逃せないイベントです。
拝観時間も20時まで延長され、雪の白景色と貴船神社の見事なコラボレーションです。特に二の鳥居にある道に並んだ赤色の灯篭と、雪の白色は幻想的な景色を作り出します。
1月中旬〜2月下旬まで開催されますが、当日行うかどうかはその日の天候次第。開催する場合は当日の15時に貴船神社の公式サイトやSNSを通して、発表されます。
冬の貴船神社へと訪れる方は、チェックしておきましょう。
冬の季節はかなり冷え込み、雪も降ると足元が滑りやすくなりますので、厚手のコートやダウンジャケットなどの防寒具をしっかりと用意し、滑りにくい靴を履いていくことをオススメします。
公式X(旧Twitter):貴船神社
貴船神社に行かない方いいと言われる理由とは?

丑の刻参りで使われる藁人形
貴船神社は「宇治の橋姫の伝説」の舞台にもなった場所。その由来から「丑の刻参り」の発祥の地にもなった場所だと言われています。
宇治の橋姫の伝説とは、平家物語の「源平盛衰記」に出てくるお話のこと。
お話を要約すると、男性に見捨てられてしまった女性が恨みを重ね、貴船神社の神に「生きたまま私を鬼にしてくれ」と願いました。その願いを聞いた神様は、姿を変えて川に数十日間浸れば鬼に変えるとという条件を提示しました。
その女性は、藁人形を御神木に釘で打ち立てる丑の刻参りの姿のように身なりを変えて、川に浸ったところ本当に鬼に変わっていったのです。
その後、鬼に変わった女性はその男性や良縁者、親族、市民などを次々と殺めていきました。その後、源綱や安倍晴明によって退治されたとの言い伝えがあるとされています。
丑の刻参りのルーツともなっているお話が貴船神社にはあり、行かない方がいいと言われているのかもしれません。
この伝説には諸説がありますが、どうしても気になる方は、
・長居をしない
・日が暮れてから行かない
・参道から外れない
・正式な参拝ルートからお参りする
以上のことを守ると良いとされています。
貴船神社周辺のおすすめランチ・ディナー
貴船神社周辺には、川床料理をいただける飲食店や旅館が集まっています。
川床とは、料理店や茶屋が川の上や屋外で川のよく見える位置に座敷を作り、料理を提供する店外席のことを指します。
京都市は三方を山に囲まれる盆地で昔も今も夏は蒸し暑く、そんな蒸し暑い京の夏を涼しく過ごすために、川床は始まったとされています。貴船では「かわどこ」といい、鴨川では「かわゆか」、「納涼床(のうりょうゆか)」と呼ぶこともあるようです。
そんな川床で食事を楽しめるカフェやお店を紹介していきます。
兵衛カフェ
貴船神社から徒歩約10分のところにある兵衛。
川床料理やカフェのほか、宿泊もすることができる施設です。
川床料理には季節によって、さまざまな新鮮な食材をいただくことができます。
夏には鮎などの川魚料理、鱧(はも)しゃぶをいただくことができます。
カフェでは、イタリアから取り寄せたとされるエスプレッソマシーンで淹れるコーヒー、抹茶ラテの飲み物やわらび餅・日替わりで変わるデザートをカフェでは楽しむことができます。
近くを流れる貴船川のゆったりと時間が流れる空間と、ほっと一息つけるカフェは相性バッチリです。
【兵衛カフェ基本情報】
営業時間:11:00~16:00
定休日:不定休(cafeは水曜日休日)
公式サイト:兵衛カフェ
鳥居茶屋
名物であるあゆ茶漬、四季の素材を活かした会席料理、、冷豆腐・湯豆腐、うなぎ玉子丼など日本料理をいただくことができる。
冬にはぼたん鍋をいただくことができます。
鳥居茶屋から約200m下流にある真々庵では、夏のシーズン中は川床で料理をいただける川床料理を味わうことができます。
貴船川のせせらぎと、緑豊かな木々に囲まれた空間でいただく川床料理は貴船ならではの味になることでしょう。
【鳥居茶屋基本情報】
営業時間:11時〜20時半(1階ラストオーダーは16時)
定休日:火曜・不定休
駐車場:あり(4台)
公式サイト:鳥居茶屋
貴船喜らく
大正10年創業と歴史のあるお店「貴船喜らく」。
季節の旬の野菜や魚・肉などを使った料理が特徴です。
夏には川床で鮎や鯉(こい)、鰻(うなぎ)などの川魚がいただけるほか、すき焼きやしゃぶしゃぶの料理を味わうことができる。
秋は松茸や湯豆腐などの秋の味覚をふんだんに使った会席料理を楽しむことができます。
冬のメニューはぼたん鍋と湯豆腐と、温かい鍋料理で身も心もぽかぽかです。
【貴船喜らくの基本情報】
営業時間:11時〜21時半
定休日:無休
駐車場:あり
公式サイト:貴船喜らく
貴船神社へのアクセス
最寄駅:貴船口
貴船口駅からのアクセス
【貴船口駅】- 京都バス33系統 / 貴船行き
→【貴船バス停】→ 徒歩(約5分)