東京湾に浮かぶ巨大な船・安宅丸の正体とは?
御座船 安宅丸の船の紹介
安宅丸の豪華ディナーと東京湾からの夜景
徳川お持て成し役者が盛り上げる船旅を鑑賞!
WAGAKUのこだわりとは?総合演出 森健太郎氏にインタビュー
まとめ

東京湾でクルーズ乗船といえば、西洋風のクルーズ船に乗り東京観光を楽しむ人が多いのでは。そんな中、昨今話題になっているのが、江戸時代に徳川幕府によって造られた伝説の巨船をモチーフとした遊覧船「御座船 安宅丸」です。

豪華な外観や内観を携えた和の情緒あふれるこの船は、和の雰囲気たっぷりな景観と食事・東京の絶景、そしてプロのパフォーマンス集団による演劇が人気の理由。

今回、実際に乗船して演劇を鑑賞し,演出を手がける森健太郎氏に、安宅丸の魅力や演劇の見どころを伺ってきました。

東京湾に浮かぶ巨大な船・安宅丸の正体とは?

クルーズ船を使った観光が人気ななか、昨今注目を集めているのが、東京湾を走る遊覧船「御座船 安宅丸」。「安宅丸」とは、江戸時代に造られたとされる謎に包まれた巨船で、「御座船 安宅丸」はかつての安宅丸をモチーフに誕生しました。御座船とは、貴人が乗るための豪華な船を意味します。
東京湾を進む御座船 安宅丸

東京湾を悠々と進む御座船 安宅丸

和の雰囲気たっぷりの安宅丸は、西洋風のクルーズ船が並ぶ港のなかでもひときわ目立つ存在。朱色の船体が優美な雰囲気を醸し出しています。時代を超えて東京湾に浮かぶ観光船となった安宅丸は、かつての諸大名が使用した御座船などを参考にした、歴史ロマンを感じさせるテーマ船です。

徳川時代に造られた伝説の船・安宅丸

そもそも安宅丸が誕生したのは、江戸時代初期の1634年のこと。徳川3代将軍である徳川家光の在任期に、向井将監忠勝が指揮を執り造られました。当時は軍用船として伊豆国(現在の静岡県南部の半島)で造られ、「天下丸」ともいわれていたのだとか。日本一の御船として、大きさは富士山に、豪華さは日光東照宮に例えられるほど有名な巨船で、実際に徳川家光自身が品川沖で乗船したこともあるそう。

御座船 安宅丸の模型

細部まで再現された御座船 安宅丸の模型

しかし、莫大な維持費のため安宅丸は完成から約50年ほどで解体されてしまいます。当時を記録した詳細な資料も見つかっておらず、安宅丸の真相は今も謎に包まれたまま。中には、江戸湾防衛の要塞として造られたという説もあるのだとか。

後にまとめられた「安宅御船仕様帳」「安宅御船諸色注文書」によると、全長は64m、船体の幅は約16.2mとされ、日本最大級の軍船の30倍という大きさだったそう。当時では世界レベルの巨艦であったといわれています。
昼間の御座船 安宅丸

船の先端にも徳川家の家紋

「御座船 安宅丸」の船にも、徳川の家紋が多くあるのが特徴。船体はもちろん、船内のいたるところでも家紋が見つかります。徳川埋蔵金など、未だ解明されていない謎が多いことでも有名な徳川家。歴史好きな人と乗船すると盛り上がりそうです。

御座船 安宅丸の船の紹介

安宅丸の魅力のひとつは、外観・内観の豪華絢爛さにあります。2017年にリニューアルした内装は、日本を代表するインダストリアルデザイナー兼イラストレーターである水戸岡鋭治氏がデザインを監修しました。建築・鉄道車両・グラフィックなどさまざまなジャンルのデザインを手がける水戸岡氏により、上品で艶やかな内装に仕上がっています。
御座船 安宅丸の階段

2階デッキへと繋がる階段

船内は重厚感のある和のテイストで、現代的なスタイリッシュな雰囲気を織り交ぜた仕様。広々とした船内は、全ての部屋一貫した世界観で統一されているため、贅沢な雰囲気を感じられます。乗船したら船内を見学してみるのもおすすめです。
御座船 安宅丸の御座の間

大広間の「御座の間」
御座船 安宅丸のVIPルーム 貴賓の間

個室空間「貴賓の間」

安宅丸の豪華ディナーと東京湾からの夜景

安宅丸で楽しむ大満足のコース料理

安宅丸の魅力のひとつは、贅を尽くした絶品料理が堪能できることにもあります。メニューは乗船コースにより異なりますが、ディナーでは、和洋折衷の料理が楽しめます。日本食を楽しみたいなら「マグロづくしのコース」など魚介類をふんだんに使ったコースがおすすめ。がっつりと肉料理を楽しみたい人には、肉料理が味わえる「肉づくしコース」がぴったりです。お酒好きの人でも大満足できる飲み放題コースも用意しています。
御座船 安宅丸の人気メニュー「マグロと肉のいいとこどりコース」

人気の「マグロと肉のいいとこどりコース」

中でも人気なのが「マグロと肉のいいとこどりコース」。その名の通り、マグロ料理と肉料理どちらもたっぷり味わえるコースです。すき身を貝ですくって食べる「マグロ中落ち」や柔らかくジューシーな「マグロカマ塩焼き」、お肉料理「大沼牛炙りカルパッチョ」、「鶏トマト煮」など、こだわりの料理たちを心ゆくまで楽しめます。

船上から楽しむ東京の夜景

絶品料理でお腹を満たしたら、東京の夜景を眺めて心も満たされてみては。船内で食事しながらでも夜景を望めますが、しっかり夜景を鑑賞したいなら、船の外に出てみてください。普段なかなかお目にかかれない東京湾から見る都心の夜景をたっぷり楽しめます。
御座船 安宅丸の船外から見た東京湾の夜景

船外から見れる東京ゲートブリッジ
東京湾の夜景とレインボーブリッジ

東京湾から眺める東京の夜景(イメージ)

サンセットクルーズでは羽田空港から飛び立つ飛行機を眺めることができるなど、クルーズの時間帯やコースによって見られる景色も変わります。
御座船 安宅丸の屋外デッキにあるバー

船の2階 屋外デッキにあるバー
季節によっては屋外デッキでイベントも開催され、夏の間は盆踊りなどのイベントも行っています。春から夏にかけては、屋外デッキの飲食スペースで飲食を楽しめる「ビアガーデン飲み放題プラン」も開催しています。

徳川お持て成し役者が盛り上げる船旅を鑑賞!

内装や食事も豪華で内容盛りだくさんな安宅丸ですが、安宅丸最大の魅力は「WAGAKU」の演劇。様々な口コミで高評価を獲得しているそう。徳川お持て成し役者 WAGAKUが繰り広げるパフォーマンスとはどのようなものなのか、実際に乗船して演劇を鑑賞してきました。

徳川お持て成し役者「WAGAKU」とは?

「WAGAKU」とは、安宅丸を中心として活躍するパフォーマンス集団。劇団四季出身のキャストも多く、迫力のあるパフォーマンスや歌声を楽しめます。
WAGAKUのメンバー

お持て成し役者「WAGAKU」のメンバー
WAGAKUには、和を楽しむ「和楽」、 和を学ぶ「和学」 という意味があるとのこと。伝統文化の要素と文化を融合したパフォーマンスを行っていることから、WAGAKUの「和」には、混ぜ合わせるという意味の「和える」という意味も込めて名付けたのだとか。

さあ!豪華絢爛 WAGAKUの演劇が始まります

乗船から1時間後、演劇の開始の呼びかけが入り、席にスタンバイ。徳川お持て成し役者「WAGAKU」のメンバーが繰り広げる演劇が始まります。
演劇が始まる前の御座船 安宅丸

全面に大きく描かれた松の木
パフォーマンスのコンセプトは、乗船者の今後の益々の発展を願った「弥栄(いやさか)」。日本演劇史の原点である神話の要素や祭りのスタイルも取り入れているのだとか。
御座船 安宅丸で開催されるWAGAKUの演劇

WAGAKUのパフォーマンスで盛り上がる船内
御座船 安宅丸で開催されるWAGAKUのダンス

キレのあるダンスパフォーマンス

御座船 安宅丸で開催されるWAGAKUのパフォーマンス

賑やかなお祭りのような雰囲気

語源の一説が「和を背負う」ともされている「ワッショイ」や 今後の発展を願う「イヤサカ」 という掛け声が曲中に登場し、気分が盛り上がるお祭りのよう。 演劇の中盤からお客さんも一緒に参加できるほか、ダンスや音楽に合わせて手拍子参加するなど、乗船者全員が盛り上がれる一体感が魅力です。
御座船 安宅丸で開催されるWAGAKUと観客

観客も一緒になって宴を盛り上げる
舞台正面のステージ以外にも、WAGAKUのメンバーが通路や客席までやってきて船旅を盛り上げます。観客に誕生日の人がいれば、ショーの最後に全員でお祝い。記念日などのスペシャルな日を盛り上げてくれること間違いなし。

希望者には、ショーの後、舞台上でWAGAKUメンバーと記念撮影も。下船の際には、最後までお見送りをしてくれるなど、WAGAKUのお持て成しの心が行き届いたショーを満喫できます。
WAGAKUの演劇の後に行われる記念撮影

WAGAKUメンバーと舞台で記念撮影も

WAGAKUのこだわりについて総合演出 森健太郎氏にインタビュー

プロの演劇集団「WAGAKU」の総合演出を務めるのは、劇団四季出身で現在は株式会社オフィスピエロの代表取締役を務める森健太郎氏。ユーザーから高評価を獲得しているWAGAKUの演出や安宅丸の魅力について伺いました。

WAGAKUの総合演出を務める森健太郎氏

元々は俳優としても活躍していた森健太郎氏
ーー立ち姿も素敵な森さん。元々は役者として劇団四季のミュージカルに出演されていたと伺いました
ありがとうございます。そうですね。役者として劇団四季でライオンキングなどのミュージカルに2012年まで出演していました。

ーープロデュースに携わるようになったきっかけは?
劇団四季出身者をはじめ、演劇に携わる役者が活躍できるセカンドステージとしての機会を生み出していきたいと考えていたことにあります。そんな時に出会ったのが、御座船 安宅丸。船の運営会社である両備ホールディングスと交渉を重ね、2014年からプロデュースをスタートさせました。最初から順風満帆とはいきませんでしたが、そこから徐々にサービスや演出をアップグレードしていきましたね。乗船中の分刻みのスケジュールなども、お客様が楽しめるベストなものに改良しています。

WAGAKUのメンバーと海外からのゲスト

海外の旅行者からも人気
ーープロデュースの世界観やイメージについて教えてください
安宅丸を一目見た時に感じたのは、ジブリ映画の「千と千尋の神隠し」の世界観です。千と千尋の神隠しは「油屋」が舞台になっています。安宅丸の外観も油屋と同じく朱色の船体が特徴で、和のテイストが出ていることから、「千と千尋の神隠し」をイメージしています。

船や衣装にも朱色が多く使われていますが、炎や太陽の「生命の色」でもあります。演出のテイストも、能や歌舞伎とは違う、日本の祭りのパワーを感じさせるものになっています。お客様の発展や成功を祈るような景気の良い音楽を用いているのもそのためです。

ーーWAGAKUへの想いを聞かせてください
楽しみが溢れる世の中で、ネット上だけでも満足してしまうことが多い近年、社会に価値を提供できる存在になることが大前提です。歌や踊りの技術で楽しませるのは当たり前。来てくれたお客さんに生きるエネルギーを与え、魂を躍動させるような存在になりたいですね。

安宅丸に乗っていただくお客様に、乗船から下船までの時間と空間のトータルコーディネートを提供したいという強い思いが基本にあります。日常とかけ離れた世界を体験でき、わくわくするような演出やホスピタリティを提供する、ディズニーランドのような空間を作るのが目標です。劇団四季時代に学んだ、「舞台を通じて、人生の感動・生きる喜びを届けたい」という理念や大学時代に芸術学部で学んだことが今に繋がっています。

森健太郎氏とWAGAKUのメンバー

森氏とWAGAKUメンバー

安宅丸でWAGAKUによる大人気の宴を満喫!

東京湾から眺める夜景はもちろん、美味しい料理にも大満足の「御座船 安宅丸」。その人気の秘密は、森氏がプロデュースする「WAGAKU」のパフォーマンスやホスピタリティ精神にあります。WAGAKUと共に楽しむ2時間のクルーズは、乗船から下船まで、様々なコンテンツが盛りだくさん。お祝いや年末年始のイベントなど、少人数からグループでの参加でも大満喫できることでしょう。

「御座船 安宅丸」で江戸の賑やかな雰囲気やエネルギーを感じつつ、優雅な気分に浸ってみてはいかがでしょうか。