「早く出世したい!」「頑張ってるけど、最近仕事がうまくいかない…」
働く人なら、1度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。そんな時に欲しいのが出世運や仕事運アップのご利益。東京の愛宕神社には、出世運や仕事運アップのご利益がいただける場所があります。
それが「出世の石段」。江戸時代に登った人が出世したことでその名がついたとされているスポットです。愛宕神社の総本宮があるのは京都府ですが、今回は愛宕神社の中でも出世の石段で有名な東京の愛宕神社に注目。実際に出世の石段を登ってきました。
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【愛宕神社】明智光秀も参拝!火の神を祀る京都最高峰の霊山
東京の愛宕神社とは
東京・愛宕神社の歴史
東京都港区にある愛宕神社
東京都港区にある「愛宕神社(あたごじんじゃ)」。東京23区内にある自然の地形としては最も標高の高い、「愛宕山」の山頂にある神社です。1603年、徳川家康の命により創建されました。
愛宕神社に祀(まつ)られている主祭神は「火産霊命(ほむすびのみこと)」。江戸を火事や天災から守る防火の神様として、愛宕神社に祀られています。
防火を願い建てられた東京の愛宕神社は、江戸時代の大火災により全焼。なんとも皮肉なことですが、江戸の町を守るために愛宕神社が代わりに燃えたのかもしれません。だとすれば、愛宕神社にはかなりご利益があることになります。
東京にある愛宕神社は、江戸城の無血開城に向けて重要な役割を果たした場所でもあります。家康ゆかりの愛宕山に登った勝海舟と西郷隆盛。2人は江戸の街を見下ろし、「戦火で消失させてしまうのはしなびない。」と協議し、一緒に下山したと言われています。
江戸の街を戦火から守った愛宕神社。防火の神様が祀られているご利益は、やはり本物かもしれませんね。
東京の愛宕神社で得られるご利益
東京 愛宕神社の社殿
東京の愛宕神社には、防火や防災など火に関するご利益はもちろん、他にもご利益があります。その種類は縁結びや商売繁盛、金運に招福など様々。実は東京の愛宕神社に祀られているのは、火産霊命だけではありません。
主祭神である火の神・火産霊命の他に祀られているのは、水の神と山の神と武徳の神。これらの神様によって、東京にある愛宕神社では数多くのご利益をいただくことができます。社殿に立ち寄って御朱印やお守り、おみくじなどをいただきましょう。御朱印は帳面への押印のみでしかいただけないのでご注意ください。
東京・愛宕神社の出世の石段
東京の愛宕神社にある出世の石段
数多くのご利益を得られる東京の愛宕神社。中でも特に有名なのが、仕事運・出世運がアップするというご利益です。そのご利益を得られる場所が「出世の石段」。傾斜は約40度、全部で86段ある出世の石段を登るには、それなりに覚悟が必要です。心して最初の一歩を踏み出しましょう。
出世運アップのご利益があるとして有名な出世の石段は、東京・愛宕神社の男坂です。ではなぜ、出世運アップのご利益があると言われているのでしょうか。出世の石段の歴史を紐解いていきます。
愛宕神社の梅を欲しがった家光
東京の愛宕神社に咲く将軍梅
1634年、徳川家光が増上寺を参拝する途中で愛宕神社の前を通った時のこと。愛宕神社に咲く満開の梅をとても気に入り、馬に乗って取ってくるよう家臣に命じました。
しかし、目の前に立ちはだかる急斜面の石段。歩いて登り下りすることさえためらわれます。まして馬に乗って梅を取ってくるのは至難の業。下手をすれば命の保証はありません。家臣たちは揃って下を向いてしまいました。
石段を馬に乗って駆け上がり、出世した無名の家臣
東京 愛宕神社の男坂
そんな中、愛宕神社の石段を馬に乗って駆け上がる家臣が1人だけいました。その名は曲垣平九郎(まがきへいくろう)。四国丸亀藩の家臣です。平九郎は馬に乗ったまま見事に石段を駆け上がり、愛宕神社の梅を手にしました。
家光から「日本一の馬術名人」と讃えられた平九郎。それまで無名だった平九郎の名は瞬く間に日本中に轟き、平九郎は大出世しました。この逸話から出世の石段と呼ばれるようになった東京・愛宕神社の男坂。「石段を馬が登った」なんて、嘘みたいな話ですよね。
愛宕神社の石段を本当に馬が駆け上がった
しかし、馬に乗って出世の石段を登り下りした人が明治以降に3人存在します。明治15年に石川清馬(せいま)、大正14年に岩木利夫、昭和57年には渡辺隆馬。この3人が、馬に乗って石段を駆け上がりました。愛宕神社の出世の石段にまつわる逸話は事実だったんですね。
今では出世を希望する多くの人々が、東京の愛宕神社を訪れ出世の石段を登っています。馬に乗らずとも、一歩ずつ歩いて登ってもご利益はあるそうなのでご心配なく。自分のペースでゆっくり登りましょう。
出世の石段祭
出世の石段祭では提灯が灯る
東京の愛宕神社で最も大きなお祭りである「出世の石段祭」。2年に1度、9月22日〜24日に開催されるお祭りです。お御輿が出世の石段を行き来し、1年の感謝を神様に伝えます。
町内を巡った後、提灯をつけてダイナミックに石段を登るお御輿。お祭りのクライマックスに相応しいその様は、参加者の興奮を一気に高めます。
実際に出世の石段を登ってみた!
東京 愛宕神社の出世の石段を登ってみた
急勾配の出世の石段ですが、実際に登るとどのくらい時間がかかるのでしょうか。東京の愛宕神社を訪ねて確かめてみました。出世の石段の前に立った時に感じたのは、「結構簡単に登れそう。出世って楽なのかも。」ということ。それでは登ってみましょう。
出世の石段を登ってみて
ゴールまでもう少し!
最後まで登りきって、かかった時間はおよそ2分ほど。意外と速く登れた気がしますが想像以上に傾斜が急だったので、登り終わった後は足が悲鳴を上げていました。出世は、そして人生は決して楽じゃないということですね。特に辛かったのは中盤に差し掛かったあたり。まさに人生と同じということかもしれません。
出世の石段を1段ずつ踏みしめ、登りきったことで得られた達成感。人生転びそうな時や転落しそうな時も、踏みとどまって最後まで頑張らないといけないなということを感じさせられました。
愛宕神社の出世の石段を登ることで自信をつけられることも、出世につながるのかもしれませんね。
出世の石段以外にも!東京・愛宕神社の見どころ
出世の石段が有名な東京・愛宕神社。せっかく苦労して石段を登ったのに、それだけで終わってしまうのはもったいないですよね。ここでは、東京・愛宕神社を訪れた際に足を運びたいスポットを紹介します。
東京・愛宕神社の女坂
東京 愛宕神社の女坂
石段の男坂があるということは、女坂も存在します。東京・愛宕神社の入り口にある大鳥居から見て、右手にある女坂。男坂に比べて緩やかな階段で、多くの参拝客が女坂を下って愛宕神社を後にします。男坂を下ると、石段を登って得られたご利益がなくなってしまうなんて噂も。
あくまで噂に過ぎないので気にする必要はなさそうですが、不安な人は女坂を下った方が良いかもしれませんね。また男坂はかなり急なので、そもそも下るのが少し怖いかもしれません。そういった人も女坂を下って安全に帰宅しましょう。
東京・愛宕神社の丹塗りの門(にぬりのもん)
東京 愛宕神社の丹塗りの門
出世の石段を登り、真っ直ぐ進んだ先にある丹塗りの門。徳川家ゆかりの葵のご紋が記された朱色の大きな門です。毎年6月23日と24日に行われる「ほおづき市(いち)」では、茅の輪(ちのわ)が設置されます。
茅の輪とは、「かや」もしくは「わら」で作った大きな輪のこと。茅の輪をくぐると災いを避けることができると言われています。
ほおづき市と言えば東京の浅草が有名ですが、実は始まりは東京の愛宕神社。丹塗りの門に設置された茅の輪をくぐってからお参りをすると、千日分のご利益がいただけるそうです。東京の愛宕神社を訪れた際は、茅の輪をくぐるだけでなくお参りもお忘れなく。
東京・愛宕神社の招き石
東京 愛宕神社の招き石
丹塗りの門をくぐると左手に見えるのが「招き石」。不思議な形をした石で、この招き石を撫でると福を招くと言われています。油断していると見逃してしまう、東京・愛宕神社の隠れたパワースポット。忘れずに撫でて、福を呼び寄せましょう。招き石の隣では、家光に献上されたとされる愛宕神社の将軍梅が咲きます。
東京・愛宕神社の弁財天社
東京 愛宕神社の弁財天社
出世の石段を登り右に進むと見えてくるのが「弁財天社」。市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を祭神としている末社(まっしゃ)です。末社とは本社に付属した神社のことを指します。
弁財天社の横にあるのは「児盤水(こばんすい)の滝」。平将門の乱が鎮まり平和になるように、源経基(みなもとのつねとも)がこの場所で祈ったとされています。「児盤水=小判水」として、金運のご利益がいただける場所です。
運が良ければ出会えるかも!「愛宕オールスターズ」
東京 愛宕神社でお昼寝していた猫
東京の愛宕神社には「愛宕オールスターズ」という犬と猫がいるそう。実際に東京の愛宕神社を訪ねたとき、その内の1匹の白い猫に出会いました。運が良ければ出会えるかもしれないので、ぜひ東京の愛宕神社を訪れて探してみては。
東京・愛宕神社の基本情報
アクセス:日比谷線「神谷町駅」/都営三田線「御成門駅」から徒歩約10分
住所:〒105-0002 東京都港区愛宕1丁目5番3号
電話番号:03-3431-0327
営業時間:社務所受付 9:00〜16:00 ご祈祷受付 10:00〜15:00
公式サイト:愛宕神社
東京・愛宕神社の周辺情報
東京都港区にある愛宕神社。都心のオフィス街に位置するパワースポット周辺には、あわせて訪れたい有名なスポットがあります。東京の愛宕神社から少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
言わずと知れた東京の代名詞「東京タワー」
愛宕神社の近くにそびえる東京タワー
東京観光の名所である「東京タワー」。実は愛宕神社と東京タワーは近くにあり、歩いて5分ほどで東京タワーにたどり着きます。愛宕神社で出世運をアップさせた後は、そびえ立つ東京のシンボルからパワーをもらいましょう。
東京タワーに関する記事はこちら↓
【東京タワー】東京のシンボルを見に行こう!
徳川家ゆかりのお寺「増上寺」
東京タワーの足元に位置する増上寺"
東京タワーの足元に位置する増上寺。境内には徳川将軍家のお墓があるなど、徳川家と関わりの深いお寺です。徳川家光が愛宕神社の前を通ったのも、増上寺を参拝しようとした時。増上寺がなければ、愛宕神社の出世の石段は誕生していないかもしれませんね。
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東京タワーの麓【増上寺】で徳川家のお墓を訪ねよう
日本最古の公園「芝公園」
芝公園からみた東京タワー
東京タワーを間近で楽しむことができる芝公園。明治時代に誕生した日本最古の公園の1つです。訪れる時期によって違う見え方の東京タワーを楽しめるので、何回でも足を運びたくなります。
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日本最古の公園?【芝公園】で東京タワーと季節の変化を味わい尽くそう!
東京の愛宕神社で出世への第一歩を踏み出そう!
今回は、江戸時代からの歴史がある東京の愛宕神社を紹介しました。ご利益が多い東京の愛宕神社ですが、中でもいただきたいのは出世運アップのご利益。苦労して出世の石段を登る経験は、仕事で大変な日々を乗り越える自信を与えてくれるはずです。出世への第一歩として、東京の愛宕神社へ足を運んでみてはいかがでしょうか。